特集"UVERworldニューアルバムリリース記念企画"  vol. 4

Interview

UVERworld ソロインタビュー④ 誠果×『TYCOON』=“今”の変遷

UVERworld ソロインタビュー④ 誠果×『TYCOON』=“今”の変遷

UVERworldニューアルバム『TYCOON』がリリースされて4日が経過した。発売後のCDデイリーチャートでは1位を獲得し、彼らの新たな作品を多くのリスナーがどれだけ心待ちにしていたのかが数字としても証明された。ソロインタビュー特集4人目に登場するのはサックス&マニピュレーターの誠果。アルバムが完成して息つく暇もなくすぐにライヴ用のミックスや音作りの作業に着手したという彼ならではの苦労や、このバンドだから可能となる独特の楽曲制作方法論まで、『TYCOON』の側面に迫る。

取材・文 / 本間夕子 写真 / 増田 慶
ヘアメイク / 荒木尚子 スタイリング / 上井大輔


ライヴでちゃんと曲を表現できなきゃ本末転倒

9枚目となるニューアルバム『TYCOON』が完成して、すでにライヴハウスツアーも始まっていますが、今の誠果さんの心境は?

ツアーで新曲もやり始めて、ちょっとずつ体に浸み込んできてる感じですね。やっと自分たちのものになってきたなって。ライヴでやるとまた全然違うので。

アルバムが完成を迎えたときはどんな気持ちだったんでしょう。

完成したときは「やっとできた……!」(笑)。

やっぱり長かったです?

そうですね。いつものことですけど僕ら、最後の最後はもうギュッと凝縮してつねに24時間、スタジオに誰かいるような状態でラストスパートをかけるので、終わったときはやっぱり達成感ですよね。でも俺の場合、アルバムが出来ても、さらにもう一段階、ライヴ用のミックス、音作りをするっていう作業があるから、むしろアルバムが出来た瞬間は「よしっ」って気合いを入れ直す感じで。

ここからもうひと頑張りしないとって?

そうそう。聴いてもらったらわかるとおり、例えば音数の多い曲も結構あるんですよ。これが聴こえてないと曲が成立しないような大事な音がそれぞれにあって。だからアルバムが出来た瞬間は「あの曲、ライヴで全部の音が聴こえるようになんてできるのかな」とか、そういうことをすでに悩み始めてるっていう。曲によっては一緒に鳴ってる音をなくしたり、もしくは別の音を足したりしたほうがより良く聴こえる場合もあるので、そこは毎回悩みどころですね。

やっぱりライヴでちゃんと聴かせてこそ本当の完成なんだっていう気持ちがあるからでしょうね。

もちろんです。僕らはライヴをするってことを中心に考えて曲作りもやっているので、ライヴでちゃんと曲を表現できなきゃ本末転倒というか。別にCDで売れるためにやってるバンドじゃないですし。TAKUYA∞がよくMCでも言ってることですけど、CDを買わなくても、友達に貸してもらうなり、なんらかの方法で聴いてくれたらそれでいい、とにかく聴いてライヴに来て欲しいって。ライヴでは聴いたもの以上のものを来てもらった人に与えたいし、そういう意味でもちゃんと再現しないと。

それにしても、3年分とはいえ18曲、全78分59秒ってものすごいボリューム感じゃないですか。最初はその数字に怯んでたんですけど、聴き始めたら一気にラストまで聴けてしまって。それこそ1本のライヴを観ている感じで聴けたんですよね。曲順とか流れとか、そのへんはかなり意識して構成されたのかなと思ったのですが。

作ってる最中は曲順とか全然考えてなかったんですよ。ほんと一曲入キョン……入キョン?

入魂ですね(笑)。

“キョン”ってなんや(笑)、大事なとこで。まあ、だから一曲入魂で、とにかく1曲ずつちゃんといい曲を作ろうってところでやっていたので、作ってる途中では「このアルバム、もしかしたら結構偏った感じになるんじゃないか」みたいな不安もあったんですけど。最終的に並べて聴いたら、意外とまとまったな、みたいな。まとまったというか、むしろ絶妙なバランスで。

本当ですね。どの曲も個性が強いのに、アルバムとして聴いたときにすごくバランスがいい。

ですよね。しかも3年前とは違うUVERworld、3年分、ちゃんと歳を取ったUVERworldを表現できたんじゃないかなって。この1枚の中に1年前、2年前、3年前っていうコントラストもしっかり曲に反映されてると思うし。すごくいいバランスかつ、いいボリュームでパッケージできたんじゃないかな。

作ってる間は相当大変だったのでしょうけどね。

そうなんですよね(笑)。ま、産みの苦しみはやっぱりありますから。たぶんデモで言うと50曲ぐらいあるんですよ、1コーラスだけのものとか。歌が乗ってないのも含めたら、ヘタすると100いくかもしれない。作っては壊し、作っては捨て、みたいにやってたから。

まさに精鋭ですね、この18曲は。ではサックスに関してはいかがですか。今回、何か心がけていたことなどがあれば教えてください。

自分だったら入れようと思わへんところにサックスを入れてみようっていうトライを今回、してみたんですよ。でも入れてはみたものの、みんなの意見としてもこれはちょっと違うなっていうことになって。そうしたら、そのフレーズがいつの間にか違うところに使われてたっていう。

同じ曲の中で、最初に入れていた箇所とは違うところに、ということですね。

そうそう。キーは同じやからね。僕が知らん間に勝手に移動されてたわけですけど、面白いのは、俺やったらそこには絶対このフレーズは移動させへんってところに使われてたってことで。でも、それによって曲がめちゃくちゃ良くなったんですよ。

へぇ!

それはほんと、このバンドだからこその化学反応やなって。化学反応っていうのも月並みな言葉ですけど。そもそも僕がまず、普通だったら入れへんところにサックスを入れてみようって思わなかったら、そのフレーズは生まれてこなかったわけですよ。

このバンドだからこその化学反応やなって

で、その箇所に入れるのは違うけどフレーズ自体はいいなと思ったメンバーがいたから、曲がグンと良くなって。

そうなんです。そうやって2段階あったりするのが面白いなあって。

ちなみにどの曲ですか。

「IDEAL REALITY」です。どアタマのラップのところにベースとサックスが入ってるんですけど、このサックスのフレーズがそれなんですよ。最初はどアタマにはサックスは入れてなくて、次のラップでバンドが入ってくるところからAメロのあたりまで、ひとしきり入ってたんですね。でも、それがいったん全部却下になって、その中のAメロに使ってたものがどアタマに移動したっていう。しかもそれ、俺には知らされてなくて、次の日かな? TDのときに聴いたら「あれ? そっちに移動したん?」みたいな(笑)。

あはははは! いや、興味深いエピソードです。むしろ、このアタマのサックスがカッコいいなと思って聴いていたくらいで。すごくオシャレですよね。

俺もすっごいいいなと思って。だから自分が作ったフレーズだけど自分のじゃない、みたいな感じです。そういう奇跡があって一気にこの曲がオシャレになったんで。奇跡なんて言い過ぎかもしれないですけど、これがあるとないとでは全然違いますからね。ほんと、みんなのセンスがすごいなって。俺はそこに動かすなんて思いもしなかったから。

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