特集"UVERworldニューアルバムリリース記念企画"  vol. 5

Interview

UVERworld ソロインタビュー⑤ 信人×『TYCOON』=“道”の自信

UVERworld ソロインタビュー⑤ 信人×『TYCOON』=“道”の自信

聴けば聴くほど、いい意味で遊びがないUVERworldのニューアルバム『TYCOON』。様々な個性を持つ楽曲が集合体になったときに放つ破壊力はすさまじいと改めて感じさせてくれる作品だ。そんな超大作の裏側に迫るソロインタビュー特集5番目に登場するのはバンドのムードメーカーであるベースの信人。彼が手がけたUVERworldの新機軸ともいえる「奏全域」制作エピソードから、信人が見据える次なる作品への構想と決意を語る。

取材・文 / 本間夕子 写真 / 増田 慶
ヘアメイク / 荒木尚子 スタイリング / 上井大輔


それは僕らの弱点でもあるし、強みでもある

ニューアルバム『TYCOON』はまさにUVERworldの3年間の集大成ですよね。収録された全18曲、1曲たりと聴き逃せない超力作だな、と。

ありがとうございます。毎回、そうやけど、全部リード曲のつもりで作ってましたからね。結果、3年かかりましたけど、最終的には自分たちで最終リミットを設定して、とにかく追い込んで完成させました。

そうでもしないと、いつまでもリリースできないぞって。

そうそう(笑)。

だとすると最後の追い込みはかなりシビアだったのでは?

集中力は相当ありましたね。合宿に行ってもひたすら曲のことだけやって、ほとんど音楽以外のことはしゃべってへんっていうくらい。正直、自分らの中でハードルもかなり上がってたから、ヘラヘラしてられへんなっていう気持ちがあって。そんなに器用じゃないんですよ、僕ら。良くも悪くもだと思うんですけどね。それは僕らの弱点でもあるし、強みでもあると思う。

『TYCOON』はそれが強みに出たアルバムなんじゃないでしょうか。

うん、結果としてね。

正直なところ、制作中とか、3年もかかってしまってどうしよう、みたいな気持ちはなかったですか。

制作の2年目くらいの頃はありましたね。シングルはちょいちょい出してたけど、やっぱりツアーをやっていても、もうひとつ張りが出ないというか。もちろん毎回、全力でやってるし、めっちゃ楽しいんですけど、何かが足りひん、みたいな。

やっぱりシングルとアルバムでは違うものですかね。

ま、ただ単純に曲が多いっていうだけのものだったら意味ないし、それよりは質のいい1曲を出すほうがいいと思うけど、いいアルバムが出来るっていう前提で早く作って出したいなとは思ってました。なのでライヴ以外のときは地味にずっとスタジオにいましたからね(笑)。ボツ曲が何曲あるんだっていう世界です。

よくぞ心折れずに完成させましたね。

音楽をやれていること自体が幸せなんやからっていうのを第一に頭に置いて。これでご飯も食べられてるしって言い聞かせながら(笑)。あとはもう信じるっていう。正直、一日中やっても4小節ぐらいしかできひん日もあったんですよ。「何してんのやろうな、俺」みたいな。答えがなさすぎて。

だってゴールが見えないのはキツいですよ。コンセプトやテーマがあるわけでもないし。

ないです。ずーっとトンネル。ただ漠然といいものを作ろうっていう気持ちだけで。

ここからは今までの自分らの世界観だけでやっていけるのか?っていうぐらい大きく変えていきたい

じゃあ形になったときは感激もひとしおだったでしょう。

そうですね。でも今回やりたかったことはたぶん、ほとんどできてると思うんで、ここからですよね、やっぱり。ここからは今までの自分らの世界観だけでやっていけるのか?っていうぐらい大きく変えていきたいんですよ。どうしても手癖とか世界観は出ちゃうものだし、それがUVERworldなんですけど、そこをもっと変えたいなって。

もっと革新的なところに踏み出したい。

はい。僕はメンバー以外の第三者、新たな風を入れてもいいんじゃないかなっていうぐらいに思ってます。

うわ、そこまで?

自分らの作りたいものは作り上げてきたつもりやし、そこに固執する必要はあるのか?とも思ってて。もちろん、それは大事なプライドでもあるけど、べつにそれを捨てるわけじゃなくて、純粋にバンドにインプットしたいんです。そのほうがバンドが飛躍するような気がしてて。

そう思わせるぐらいに、これはやり切ったアルバムなんですね。

現状、僕らがやりたいことは。その上で次の10枚目では「またUVERworld、全然違う世界に行ったな。しかもめっちゃいいやん」って言わせるぐらいのところに行きたいので。全然違うエッセンスを取り入れるのは俺はありやと思ってますね。そのほうが作り上げるものに未来がある気がする、ここからは。

例えばAK-69さんとコラボレーションした「Forever Young feat. UVERworld」みたいな感じでしょうか。

そうそうそう! あれもすごく新鮮でしたし。

なるほどな。でもこのアルバムも相当に新しい風が吹いてると思いました。

前まではフワッとエッセンス程度に入れてたもの、例えばEDMやったらEDMをガッツリと入れたりしたからじゃないですかね。自分らがやってて面白くないものは作りたくなかったし、だったらそこから抜け出すためにも行き切ろう、と。

信人さんとTAKUYA∞さんが作曲にクレジットされている「奏全域」なんて、まさにザ・EDMじゃないですか。

これはもうコテコテにしたろと思って(笑)。僕、こういう曲も結構好きで、この2〜3年ずっとコツコツ打ち込みでやってるんですよ。趣味かってぐらい作ってたりして。そういう自分の好きな世界観、カッコいいと思ってるテイストのものを集めて、入れたらこうなったって感じです。もともとサビっぽいメロディだけはあったんですけど、誰も触れないまま浮いてたんですよ。そしたらヌルッと僕が担当することになって(笑)。

ヌルッと(笑)。

かなり時間も切羽詰まってたから、例えば彰やったら「シリウス」とか克っちゃんやったら「SHOUT LOVE」とか、それぞれ担当みたいな感じになってたんですよ。で、サビのメロディをしっかりさせて、それ以外のところをガーッと作っていって。

大変でした?

結構(笑)。迷子になりましたね。サビ以外のバースがほとんどかぶらないような、でも繋がりはちゃんとあるっていう曲にしてやろうと思っていて。そしたら、まとめるのがめちゃめちゃ大変だったんですよ。頭の中、ぐちゃぐちゃになって。ヘタすると否定されて終わりやなと思ったので、出来上がるまでメンバーに聴かせず、ひたすら自分ひとりで作業してましたね。合宿期間中だったんですけど、1週間近くかけてなんとか形にしました。

メンバーの反応は?

「ええやん」って。一発OKでした(笑)。

良かった。やっぱり聴いてもらうときって緊張するものですか。

緊張しますね、だいぶ慣れてはきましたけど。だってボツのときって自分のセンスまでボツですから。ヤバいですよ、再生ボタンを押すときの「あ〜〜〜〜」っていう感覚(笑)。

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