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“映画スターを堪能できるドラマはコレだ!”3

“映画スターを堪能できるドラマはコレだ!”3

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© 2013 MRC II Distribution Company L.P. All Rights Reserved.
発売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

「海外ドラマ、アレもコレも見たいけどタイトルが沢山ありすぎてどれを見ればいいのか悩ましい・・・」

そんなあなたのために、海外ドラマ評論家の3人(今祥枝さん、池田敏さん、 幕田千宏さん)が、テーマにそったイチオシ海外ドラマ作品をセレクト。第二回のテーマは“映画スターを堪能できるドラマはコレだ!”を、お送りします。

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大物ばかりが集まった、壮大なドラマ・プロジェクト

復讐心と権力欲に取り憑かれた議員が、あらゆる手段を駆使して権力を手中に収めていく姿を描くポリティカル・サスペンス『ハウス・オブ・カード 野望の階段』。

幕田千宏さん(映画・海外ドラマライター)がイチオシする本作の製作総指揮をつとめ、第1話、2話の演出も手がけたのが、デヴィッド・フィンチャー。『エイリアン3』で賛否両論な監督デビューを飾り、続く『セブン』『ファイトクラブ』で観客も批評家も唸らせ、『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』『ソーシャル・ネットワーク』でアカデミー監督賞にノミネートされたハリウッドを代表する大物監督だ。

そんなフィンチャーが、『ドラゴン・タトゥーの女』と『ゴーン・ガール』というミステリー色の強い2作の間に立ち上げた壮大なドラマ・プロジェクトがこの『ハウス・オブ・カード 野望の階段』なのだ。

主演は『アメリカン・ビューティー』でアカデミー賞主演男優賞を受賞したケヴィン・スペイシー。フィンチャーが監督した『セブン』では連続殺人犯のジョン・ドゥを演じて強烈な印象を残しているが、今作では自らプロデューサーも兼任してフィンチャーと再タッグ。情け容赦のない怪物のような政治家フランクを、圧巻の演技力でリアルに表現している。

表情や態度と、実際に思っていることが別……。野心に燃える腹黒な政治家夫妻を、ハリウッドの第一線で活躍するケヴィン・スペイシーとロビン・ライトが熱演。

表情や態度と、実際に思っていることが別……。野心に燃える腹黒な政治家夫妻を、ハリウッドの第一線で活躍するケヴィン・スペイシーとロビン・ライトが熱演。© 2013 MRC II Distribution Company L.P. All Rights Reserved.

そしてフランクの妻のクレア役には、『フォレストガンプ/一期一会』でゴールデングローブ賞にノミネートされたロビン・ライト。フランクから体を張ってでも特ダネを引き出す新聞記者に、近々劇場公開される『ファンタスティック・フォー』で、インビジブル・ウーマン役に抜擢されたケイト・マーラ。さらに各エピソードの演出には、『評決のとき』『フォーン・ブース』のジョエル・シュマッカー、『摩天楼を夢みて』『パーフェクト・ストレンジャー』のジェームズ・フォーリー、『青いドレスの女』のカール・フランクリンなどハリウッドの第一線で活躍する一流監督が担当。シーズン2では、女優ジョディ・フォスターも監督として演出に参加している。

「映画スターを堪能できる」どころか、もはや1本の映画では実現不可能なほど第一線級のスタッフ・キャストが揃った『ハウス・オブ・カード 野望の階段』。

幕田さんが「ここ何年かで、有名監督やハリウッドスターがドラマに出演する流れになっている」と指摘しているが、ここまでの豪華な布陣はまさに未曾有の出来事。制作費も100億円を超えると言われており、その規模は通常のドラマでは考えられないスケールだ。

その秘密のひとつが、このドラマを製作しているのが「ネットフリックス」という動画配信会社だということ。ネットフリックスは、アメリカ有数の映画やドラマの配信サービス会社。本作は、そのオリジナルコンテンツとして製作されており、厳密にいえば本作は「テレビドラマ」ではなく、「ネット配信ドラマ」なのだ。

そのおかげで、テレビドラマに付随するスポンサーからの縛りや、テレビ局の放送コードなどが無く、製作側の作りたいモノをそのまま表現することが可能となった。

そして、ネット配信ならではの画期的な試みとして、第1シーズンの全13話を一挙に配信。この方式により次回放送までに話題性を高めるためだけのムダな「引き」が無くなり、1話1話の完成度を高めることに成功。全編を通して観ることで、まさに13時間の映画といっていいほどのクオリティに仕上がっている。

大物の出演者、スタッフが、最高の環境で作り上げた極上の復讐劇。全米が熱狂するのも納得の面白さだ。

挫折からの復讐!一瞬も油断できない闘争劇

フランシス・アンダーウッド(フランク)は、議員生活22年目のアメリカ下院議員。大統領候補のギャレット・ウォーカーを応援しているが、その見返りとしてギャレットが大統領になったときには、国務長官としてホワイトハウス入りするという約束を交わしていた。フランクの絶大な貢献により、ギャレットはアメリカ大統領に就任。しかし、新大統領はフランクを裏切り、別の人物を国務長官に指名する。恥辱にまみれたフランクは復讐を誓い、どんな手段を使ってでもホワイトハウスでのし上がり、権力を手中に収めることを誓う。

フランクの妻クレアも、その復讐に協力。フランクを叱咤激励しながら、共に闘う姿勢をみせるが、クレア自身も大きな野望を抱いている。夫婦はときには協力し、ときには緊張感のある関係に陥っていく。

フランクは、冷徹に物事を進め、使えるモノはなんでも使う。自らに忠誠を誓う議員スタッフのダグや、スキャンダルをもみ消すことで、協力せざるを得ない状況になった下院議員のルッソも、フランクにとって重要な「駒」だ。

そして、特ダネを求めてフランクに近づいてきた新聞記者のゾーイも、お互いの利益のために利用しあう仲となっていく。

新米新聞記者のゾーイは肉体関係を持ってまで、フランクから情報を引き出そうとする。演じるケイト・マーラは本作でブレイク。妹は女優のルーニー・マーラ。

新米新聞記者のゾーイは肉体関係を持ってまで、フランクから情報を引き出そうとする。演じるケイト・マーラは本作でブレイク。妹は女優のルーニー・マーラ。© 2013 MRC II Distribution Company L.P. All Rights Reserved.

謀略がうずまくアメリカの政界の中枢部で、暗闘を繰り返していく政治家たち。それぞれが抱える欲望と野望に加え、その時々の政治状況も複雑に絡み合い、先の読めない展開が続く。誰のことも信用せず、裏切り、蹴落としていく。

フランクの行く先には、大統領のイスが待っているのだろうか……。

復讐劇の凄まじい展開に誰もが大興奮!

ホワイトハウスを舞台としたアメリカの政治ドラマというと、ちょっぴり難しそうな印象を受けるが、『ハウス・オブ・カード 野望の階段』のメインストーリーは、誰もが興奮してしまう壮絶な復讐劇。裏切られたオトコが、周到な計画と冷徹な実行力で政治の世界を成り上がっていくという、手に汗握りながら堪能できるサスペンスドラマなのだ。

そして独特の映像美と完璧主義で知られるデヴィット・フィンチャーが製作しているだけあって、精緻な画づくりと、容赦のないハードな描写は、これまでのドラマでは観た事がないほどのレベル。

その緊張感を緩和させてくれるのが、本作の独特の「フランクが視聴者に語りかけてくる」演出だ。フランクが政敵と笑顔で握手した次の瞬間、カメラに向かって「今からコイツを騙すから」などと喋るのだ。一筋縄ではいかない人間関係と、フランクの思惑を理解するのにひと役買っている演出だが、これはシェイクスピアの『リチャード三世』にルーツを持つ手法だという。

とにかく誰も信用せず、自分以外を駒のように扱い、利用価値が無くなったら切り捨てるフランク。元・軍人なので腕っ節も強く、必要とあれば自ら手を下す。

とにかく誰も信用せず、自分以外を駒のように扱い、利用価値が無くなったら切り捨てるフランク。元・軍人なので腕っ節も強く、必要とあれば自ら手を下す。© 2013 MRC II Distribution Company L.P. All Rights Reserved.

この『ハウス・オブ・カード 野望の階段』は、90年代にイギリスで放送され、大きな話題となった『野望の階段』を原作としている。この英版ドラマも『リチャード三世』の影響を受けているとされ、この古典的な復讐劇と人間ドラマに現在のアメリカの政治状況を取り入れたのが、全米での大ヒットに繋がったといえる。現実の政治問題とリンクするようなエピソードも多く、その、あまりのリアルぶりに、オバマ大統領も本作のファンを自認している。

シーズン1では、フランクの野望の達成が描かれるが、続くシーズン2も重要人物が次々と消されていくという衝撃の展開に。さらにシーズン3では、ついに階段を登り詰めたフランクが、より大きなライバルたちと熾烈な権力闘争を繰り広げていく。

幕田さんも太鼓判をおす脚本の質の高さと、ハリウッドの一流スタッフたちによる安定感のある演出。前代未聞のスケールで紡がれる最高級のピカレスク・ストーリーは、映画ファンも、ドラマファンも、どちらも必見だ。


海外ドラマ評論家の3人が、テーマにそったイチオシ海外ドラマ作品を、ゲストのミッツ・マングローブさんにプレゼンテーションする動画番組「イチオシアター」を、PlayStation VIDEOにて無料でご覧いただけます。

『イチオシアター』配信スケジュール

7月21日(火)~配信中 Presentation 2 : 「映画スターを堪能できるドラマはコレだ!」

YouTube版はこちら。

7月14日(火)~配信中 Presentation 1 : 「イマ見ておくべき旬の海外ドラマはコレだ!」

YouTube版はこちら。

7月28日(火)~配信中 Presentation 3 : 「長いけど大丈夫!今からでも観たくなるロングランドラマはコレだ!」

YouTube版はこちら。

海外ドラマ『ハウス・オブ・カード』

ハウス・オブ・カード

© 2013 MRC II Distribution Company L.P. All Rights Reserved.
発売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

ジャンル:サスペンス 政治ドラマ
制作国/制作年:アメリカ/2013年~
制作会社:ネットフリックス

主要キャスト・スタッフ
出演:ケヴィン・スペイシー、ロビン・ライト、ケイト・マーラ、マイケル・ケリー、コリー・ストール、ミシェル・ギル
製作:デヴィッド・フィンチャー、ケヴィン・スペイシー、エリック・ロス