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眞嶋秀斗・松村龍之介らが縦横無尽に斬りまくる!斬劇『戦国BASARA』小田原征伐――インタビュー&稽古場レポート

眞嶋秀斗・松村龍之介らが縦横無尽に斬りまくる!斬劇『戦国BASARA』小田原征伐――インタビュー&稽古場レポート

歴史に名を残した武将たちが戦国の世を所狭しと闊歩して敵をなぎ倒す大人気アクションゲーム『戦国BASARA』。その舞台版は今作、斬劇『戦国BASARA』小田原征伐で第13作目を数え、常に次作に期待が寄せられる、2.5次元舞台において無くてはならない存在になっている。今作では、北条氏政や山中鹿之介などの新キャストも登場。
その中でもストーリーと殺陣で重要な役割を果たすのが、ライバル同士である、前作の斬劇『関ヶ原の戦い』から伊達政宗役となった眞嶋秀斗と常連で7回目の出演となる真田幸村の松村龍之介だろう。彼らがぶつかるストーリーだけでなく斬劇と銘打った殺陣の応酬に目が離せないのは必至だ。今回は、そんな眞嶋秀斗と松村龍之介に慌ただしい稽古前にインタビューを奪取。さらに、熱気のこもった「殺陣返し」、いわゆる殺陣のみの稽古をレポートする。

取材・文・撮影 / 竹下力


戦国バサラはやればやるほど役者として満足できなくなる

2009年に初演を迎え、今作でなんと13作目を数えます。ますますファンの期待も高まっていますし、夏の風物詩、まさに斬劇『戦国BASARA』の夏になりつつあります。あと2日でAiiA 2.5 Theater Tokyo入りを迎えられるなか、今の心境はいかがですか。

眞嶋秀斗(伊達政宗) 衣装付の通し稽古も終えて、舞台上でのイメージがやっとできてきました。小田原征伐で、伊達政宗がどういうキャラクターか輪郭を明確に繊細に作り上げているところです。現場では演出家のヨリコジュンさんと、のすけ(松村龍之介)さんとみんなで話し合いながら感動的な舞台にするという同じベクトルに進んでいるので初日が待ち遠しいです。

松村龍之介(真田幸村) セリフや演技、ストーリーで感情的に表現が噛み合わないところをみんなで作り上げている達成感のようなものが前回以上にありますね。

「斬劇」と銘打つほど殺陣が重要な舞台ですが、殺陣の仕上がりはいかがでしょう。

眞嶋 前回よりも殺陣の数が多いですね。前回もいっぱいいっぱいだったので、必死に食らいついています。僕は六爪という6つの刀を同時に扱うのですが、他にも難しい武器があります。みんなそれぞれの武器の扱いをブラッシュアップしているのを見ると自分も奮い立ちますね。

松村 殺陣は前回を越えたいし、日々進化させていきたいです。舞台の『戦国BASARA』は7回目の出演ですが、殺陣もストーリーも進化している舞台だから、役者として完全に満足することはないと思います。お客さんの満足を達成したい欲求と、自分がどれだけ役になりきれるかという欲求をぶつけ合って行くのが役者だと思うので、丹念をおこたらず、丁寧な殺陣ができたらと思います。

松村さんの〈真田幸村〉は7回目です。眞嶋さんにとって偉大な先輩ですね。

眞嶋 僕はまだ2回目の出演で、自分の殺陣で精一杯。相手のことを気にしていられないこともあるんです。でも、ビデオで撮影した動画を見直してみると、のすけさんの〈幸村〉とは武器が違いますが、動きのスピードも滑らかさもすごくて、相手への配慮もあって丁寧だから、早く追いつかないとって反省しています(笑)。キャラクターは、のすけさんが熱くぶつかって来てくれるので、クールな伊達でも、自分の中に熱いものが込み上げてきて、のすけさんに思いを込めてぶつかっていく日々です。

先輩の松村さんから見た政宗はいかがですか。

松村 むちゃくちゃかっこいいよ(笑)。

眞嶋 そんな。

松村 しゅう(眞嶋)の〈政宗〉は洗練されていくんです。彼はストイックで、役者として貪欲なところがあるから常に役を磨いている。僕の意見をぶつけたら返してくれますし、稽古が進むにつれて楽しくなります。彼は謙遜していますけど、舞台上でもライバルだし、役者としてもライバルでいたいですね。

お時間の短いところありがとうございました。最後にもうすぐ殺陣返し(殺陣のみの稽古)が始まるとのことで、意気込みをお願いいたします。

眞嶋 “小田原征伐”はすごいストーリーと殺陣が仕上がってきています。皆さんも戦いに挑むように劇場に来てくれたら嬉しいですね。そして楽しんでもらえるように稽古を頑張ります!

松村 小屋入り(劇場での稽古)間近ですから、劇場に行く前に思い残すことがないように演技や殺陣を練り上げながら、“小田原征伐”を盛り上げたらいいですね。培ってきたものをぶつけるしかないので、今日も頑張りたいと思います。

【稽古場レポート】殺陣から見える役者たちの心意気が溢れる舞台

殺陣返しとは、主に殺陣を集中して練習するのだが、ここで気を抜けば大事故につながりかねない。ある時は、ゲネプロ(通し稽古)より大切な稽古とも言え、練習開始からピリピリしたムードが漂う。斬劇『戦国BASARA』小田原征伐の稽古場も例外ではない。いや、他の稽古場よりも殺陣が重要な分、凄まじい熱気に満ちていた。

このレポートでは殺陣の魅力を感じて欲しいのだが、ストーリーを簡単に触れておくと、関ヶ原の戦いを前にした1590年に起こった豊臣家と北条家の戦をモチーフに、伊達政宗、真田幸村、北条氏政や毛利元就、さらに徳川家康たちも絡み合いながら謀略が繰り返され、天下統一を目論む武将たちが入り乱れて戦う歴史ファンタジーだ。

まずは、殺陣師の指導により、前日の振り返りから始まる。取材時は稽古場入り2日前ということもあり、すでにシーン全てにおいて殺陣返しが行われることになっていた。

冒頭から、大人数での殺陣のシーンがあるのだが、ここはまず眞嶋秀斗の伊達政宗の六双が火を噴く。最初は一本の刀で敵を斬っていくかと思えば、後半のシーンでは一気に6本を抜刀するシーンになれば圧巻の一言である。片方の手に3本ずつ刀を持つ。実際に眼帯もするからこそ、相手からの刀の見え方、立ち位置、刀の持ち方、彼は注意深く観察しながら殺陣を行うという難しい役になるのだが、彼は誰よりも力強く演じていた。

そのため、立ち回り、回転斬りをした時に役者同士がぶつからないようにする位置どり、抜刀、納刀全ての所作が丁寧に仕上がっているように見えた。それでもまだまだ足りないところがあるようで、殺陣師と念入りにチェックをする。実際に役者を斬るわけではないので、怪我をさせるわけにはいかない。だから、いかにリアルでいて、それでいて斬られたこと、斬ったことをリアルに見せる役者の演技が重要なのだ。

そのうちに、真田幸村の松村龍之介の双槍が綺麗な放物線を描く。回転をしながら武器をくるくると回す様は舞のようにも見える。松村は力強い腕で、体躯よりも大きな槍を二つ、巧みに扱いながら、石田三成とのつばぜり合いを表情豊かに演じ、居合のように武器を素早く振るう。

基本は彼ら2人の殺陣を中心にストーリーが展開するのだが、注目すべき武器をもつ役者は他にも何人もいる。

伊達政宗の家臣である片倉小十郎役の井上正大は、脇差と一本の刀を抜刀するのだが、彼のがっしりした体躯とともに重心の乗った一振りがリアルに見える。実際に真剣の道場に通っていたこともあるそうで、その所作から重厚感がひしひしと伝わってくる。

徳川家康役の中尾拳也は手甲といって、剣道で言えば金属の小手のようなものをつけて殴って戦うのだが、こちらは、自分の腕のみで、伊達政宗の剣とのつばぜり合いは、まるで異種格闘技戦を見ているようでかっこよかった。

毛利元就役の小谷嘉一は、輪刀という、フラフープのような形をした刀を、アクロバティックに扱うのだが、これが幾多の稽古を経てきたからだろうか、いとも自在に操っていて新体操を見ているようで美しい。

石田三成役の沖野晃司は、無名刀という名工しらずの一本刀。こちらは片倉と違い幅が太いので扱いが不便だが、今作では重要な役どころを果たしているだけに出番は多い。中でも群衆での殺陣のシーンでは、怪我をさせないように最新の注意を払いながら敵を薙ぎ払っていく様が見事だ。途中、自ら演技をやめて、「この動きは危ないから振り方を変えませんか」と殺陣師に申し出る。ちょっとした役者同士の気遣いがこのカンパニーには溢れている。

そのほかにも個性的な武器が登場する。猿飛佐助役の椎名鯛造の大きな2つの四方手裏剣は、自在に操れば操るほどアクロバティックな忍者に見える。長曾我部元親役の白又敦の長槍は堂々とした佇まい。風魔小太郎役の末野卓麿の小さな二本の小刀で俗にいう“対刀”をこれも新体操のバトンのように器用に扱う。

黒田官兵衛役の伊藤裕一の大きな鉄球を意味する鉄戒が舞台に地響きを鳴らす。山中鹿之介役の橘龍丸は、2つの鉄球のついたヌンチャクのような武器を器用に使いこなせばカンフースターもびっくりだろう。

ただ、どのシーンも入念に手直しが行われ、動き、抜刀、斬り方、納刀、全ての所作に危険が及ばないように、それでいて、無駄が見えないようにする。思わず武器があたりそうになれば、すぐにシーンをストップさせる。そして役者同士が間合いとタイミングを確認しあいながら、演技と演技、武器と武器をぶつけ合って、互いが互いの心が通じ合い舞台をリアルにそして見たことのないスペクタクルに高め合っていく。稽古場に優しさが溢れている。だから、殺陣返しの時間にこれほどかける舞台は、なかなかないのではないだろうか。

そして殺陣返しの一番の難しいところは、だんだん本番の動きに近づけていくことで、剣や槍の動きがどんどん本番のように早くなっていくことだ。ただ稽古を重ね、心を通わせた彼らなら心配はいらない。リアリティーのある殺陣が本番で繰り広げられるのは確実だろう。武器のレリーフの緻密さと相まって、本番で衣装を通せば、憧れの武将たちの目を見張るような戦いが待っている。開演はすぐそこだ。

斬劇『戦国BASARA』小田原征伐

【東京公演】2017年8月11日(金)~20日(日)
AiiA 2.5 Theater Tokyo

【大阪公演】2017年8月25日(金)~27日(日)
立命館いばらきフューチャープラザ グランドホール

【原作】CAPCOM(「戦国BASARA」シリーズ)
【構成・演出・映像】ヨリコジュン
【企画・原作監修】小林裕幸(CAPCOM) 山本真(CAPCOM)
【シナリオ協力】松野出

【出演】
伊達政宗 役・眞嶋秀斗、真田幸村 役・松村龍之介、徳川家康 役・中尾拳也、石田三成 役・沖野晃司/ 片倉小十郎役・井上正大、、猿飛佐助 役・椎名鯛造、長曾我部元親 役・白又敦/黒田官兵衛 役・伊藤裕一/山中鹿之介 役・橘龍丸、北条氏政 役・寺山武志、風魔小太郎 役・末野卓麿、大谷吉継 役・大山将司/毛利元就 役・小谷嘉一/健人(Wキャスト)

オフィシャルサイトhttp://www.basara-st.com

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