Interview

コレサワ メジャーシーンへ。覆面女子シンガーソングライターの正体と生態と期待のアルバムを紹介

コレサワ メジャーシーンへ。覆面女子シンガーソングライターの正体と生態と期待のアルバムを紹介

「れ子ちゃん」と名付けられたクマのキャラクターで顔を隠した覆面女子シンガーソングライター、コレサワ。ポップなメロディに乗せて女子の生態を赤裸々に歌う音楽性は時にキュートで、時に毒を感じさせる独自性に溢れ、その無二の魅力に若い女子や様々なアーティストまでもがトリコに。インディーズ時代に発表された「あたしを彼女にしたいなら」「君のバンド」「たばこ」といった楽曲はYouTubeで高い再生回数を誇り、SNS上にはそれらのカヴァー動画や絶賛コメントが多数投稿される事態となっている。そんな彼女がアルバム「コレカラー」を引っ提げて待望のメジャーデビュー! 圧倒的なポピュラリティを秘めたコレサワとは果たしてどんなアーティストなのか? アルバムに込めた思いとともに、彼女自身の生態に迫ってみた。

取材・文 / もりひでゆき 撮影 / 小坂茂雄


戦闘態勢にやっとなれたっていう感覚ではありますよね

ついにメジャーデビューを果たしたコレサワさん。今のお気持ちはいかがですか?

周りから「おめでとう!」ってすごく言ってもらえるんですよ。なのでお誕生日がもう一個できた気分ですね。メジャーデビューはもちろん、アルバムを作れたことが何よりうれしい。

活動の中でメジャーデビューを目標としていたところもありました?

そうですね。メジャーにはずっと行きたかったです。でも、メジャーに行ったから安泰かって言われたら今の時代そうじゃないから。戦闘態勢にやっとなれたっていう感覚ではありますよね。インディーズ時代と状況が変わらんかったらかっこ悪いんで、浮かれてる場合じゃないなって気持ちが引き締まる感じです。

そもそもコレサワさんが歌手を目指したのはいくつくらいだったんですか?

自分は歌手になるんだろうなっていう思いは幼稚園の頃からありました。でも高校生になったときに、「あれ、歌手になるにはどうするんだろう?」って疑問が出てきて。それまでは生きてるだけで歌手になれると思ってたけど、そうじゃないみたいだぞって(笑)。で、高校3年生のときにオーディションをいろいろ受けてみたところ、「意外とライバルが多いぞ」「これはちゃんと覚悟決めてやんないとダメそうだぞ」ってことに気づくわけです。音楽でご飯を食べられるようになろうと覚悟を決めたのはその時期でしたね。

自分が客観的にはどう見られるかってことにそこで気づくこともできたし

そこからメジャーデビューまでたどり着いたわけですが、その時間はコレサワさんにとってどんなものでしたか?

自分としては普通に進んできた結果やなっていう感覚はあるんですよ。インディーズで6年くらいやってたけど、自分的にはゆっくりやけどちゃんと進んできたなっていう思いがあって。後ろに下がってるって思ったことは一切なかったし。だから「長かった!」とか「やっと!」みたいな感じでもなく、「ですよね」みたいな感じというか(笑)。

その間に迷いや挫折を経験することもなく?

いや、それはありましたよ。20、21歳くらいのときにライブへ業界の人たちがたくさん来てくれたことがあるんですけど、そのときにボロカスに言われましたからね。なんかパッとしないとか似たような曲ばっかりだとかすごい言われて大人嫌いになる、みたいな(笑)。もちろんそのときはムカついたんですけど、でもあらためて気持ちがメラメラしたところもあったんですよね。自分が客観的にはどう見られるかってことにそこで気づくこともできたし、ボロカスに言われるってことは自分が中途半端だからなんやろうなって思うことができたというか。だから、名前を変える決意も生まれて。

以前は違った名義で音楽活動をしていたんですね。

そうです。でもその時期は前に進んではいるけど状況に大きな変化がなかったんで、名前を変えたことがいいきっかけにはなったなと思いますね。

名義を変えたことは音楽性にも影響は与えました?

以前は未来への不安とか世間の不安とか、そういうことをアーティスティックに歌っていた感じで。でも、名前を変えて、もっと気楽に曲を書けばいいんやなっていうのがわかってからは音楽性も自然と変わっていきましたね。インディーズで「君のバンド」(2015年リリースの初全国流通盤EP)を出したくらいからやっと自分の書きたかった、女の子の気持ちについて素直に歌えるようになったんですけど。

聴いてくれる人の耳にちゃんと引っかかってもらえるような言葉を選ぶようにはなりましたね

それよってリスナーからの反応も変わりましたか?

そうですね。「たばこ」という曲で<キスはみじかめが好き>とかちょっとエッチな歌詞を歌ってみたら、それまでライブでケータイいじってたお客さんが「ん?」って反応してくれたりして(笑)。そういう経験を通して、女の子の気持ちを赤裸々に歌詞にしたほうがみんな興味を持って聴いてくれるんやなってことがわかったところもあったんですよ。だからそれ以降は、聴いてくれる人の耳にちゃんと引っかかってもらえるような言葉を選ぶようにはなりましたね。

曲はどんなふうに生まれるんですか?

ポン!って思いつく感じですね。逆に言うと思いつくまでは作れないから待つしかない。いつも待ってます(笑)。基本的にはメロディと歌詞が一緒に出てくるんですけど。

思いつくきっかけは何かあるんですかね?

みんな頭の中で「ご飯食べたいな」とか「あの子かわいいな」とか思うじゃないですか。私の場合、そこにメロディがついてくる感じなんですよ。だからきっかけはなんでもいいというか。例えば、私がインドカレーにめっちゃハマってて、近所のインドカレー屋さんに週1くらいで行ってた時があって。で、お店に向かうときに<♪君とインドカレー>って自然と歌いながらチャリ漕いでたんですよね(笑)。

今回のアルバムに収録されてる「君とインドカレー」のサビのフレーズですね。

そうそう。そのメロディがいいなと思ったので、それを元にして作っていったんですよ、あの曲は。他の曲もだいたいそんな感じです。で、そうやって作った曲のほうがみんないいって言ってくれることが多いので。

じっくり考えながら曲作りをすることもあるんですか?

あるにはありますけど、考えて書いた曲は結局ボツになることが多いです。お母さんがササっと作ってくれた料理のほうが美味しいみたいな感じなんでしょうね。ササっと作った曲のほうがみんながいい曲だって、聴いてくれるなっていうことは、今までの経験で実感してるところがあるんですよね。

他の人が歌ってることをわざわざうちが歌う必要はないですからね

パッと思いついたメロディや歌詞に対して、ご自身の中で「ないな」という判断を下すものもあるんですか?

思いついたものはできるだけ曲にしてあげたいっていう気持ちはあるんですけど、たまに「空がキレイ」みたいな普通のことが出てきたときは自分的に「ないな」って思いますね。言わなくてもみんながわかるようなことは言わんでええかなって。他の人が歌う分にはいいけど、うちがそれを歌っても誰も喜ばんやろうなって思ったりするので。

その線引きがコレサワさんならではの色になってるんでしょうね。

あー確かにそうなのかも。世の中にアーティストはいっぱいいるから、他の人が歌ってることをわざわざうちが歌う必要はないですからね。コレサワしか歌えへんようなことをなるべくCDにしていきたいなとはずっと思ってやってますね。

アルバムの4曲目「あたしを彼女にしたいなら」には<「生まれ変わっても一緒」「この手は離さない」とかダサイからマジでいらない>というラインがあって。ここにもコレサワさんらしいセンスが感じられたんですよね。女子なら喜びそうなフレーズをばっさり切り捨てるっていう(笑)。

自分の中での良い悪い、好き嫌いははっきりしてるんですよ。周りのみんながいいって言っても自分が好きじゃなかったら好きじゃないって言えちゃう性格の悪さ(笑)。

いやでも、そこで自分の価値観を打ち出しても決して独りよがりになってないところがコレサワさんのすごいところで。クスッと笑えるコミカルさと相まって、多くの人に共感を与えうるものになっていますから。

それはたぶん私が一般の女の子とそんな変わらないからやと思うんですよ。すごく異端な子の思想には誰もついていけへんと思うけど、うちはほんまに大阪にいっぱいおる女の子の1人でしかないから。日常でもほんまに普通のことしか話してないし。そんな私が歌ってるから、同じような子たちが聴いて共感するのは普通なことなんじゃないかなって。だから私はいかに日常を普通に過ごすかってことを常に考えてますからね。普通の女の子として遊びたいから顔も出したくないし。