Interview

藤田恵名、“今、いちばん脱げるシンガーソングライター”としての潔さ。注目を集める現状への本音

藤田恵名、“今、いちばん脱げるシンガーソングライター”としての潔さ。注目を集める現状への本音

ビキニ姿でライヴをし、ジャケットやミュージックビデオでは大胆なヌードも披露。“今、いちばん脱げるシンガーソングライター”として大きな話題を集めている、藤田恵名。
福岡県出身の彼女は、10歳から人前で歌い始め、高校生時代は〈ダンス甲子園〉にも出場。ガールズバンドのドラマーを経て、2010年に上京後はシンガーソングライターとしてインディーズで活動。近年は、グラビアアイドルや女優など、様々なフィールドに活躍の場を広げるなかで、なぜ音楽にこだわり続けるのか? そして、自分で作った曲を自分で歌うシンガーソングライターでありながら、どうして脱ぐのだろうか? メジャー1stアルバム『強めの心臓』をリリースした彼女に率直な質問をぶつけた。

取材・文 / 永堀アツオ 撮影 / 中原幸


ジャケットが一人歩きしてはいるけど、音楽を聴いてもらうきっかけになればいい

“今、いちばん脱げるシンガーソングライター”として、ジャケットやアーティスト写真、ライヴ写真やミュージックビデオなど、ビジュアルが話題になっていることをどう感じています?

私としては、入り口はなんでもいいと思っていて。結果、私の名前を知って、アルバムを聴いていただけるのであれば、とても嬉しいんです。もちろん、悪目立ちをしている自覚はあるんですけど(笑)、いままでずっと自主制作でCDを出してきて。いくら頭を使ってやっても届かないなって感じることがたくさんあったので、やっとメジャーでフルアルバムを出せるというところで、まだジャケットが一人歩きしてはいるんですけど、知ってもらうきっかけ、音楽を聴いてもらうきっかけになればいいなと思っています。

脱ぐことに抵抗はないですか?

ないですね。自分で決めて、自分の意志でやっていることなので。例えば、ポッと人気が出て脚光を浴びたけど、すぐに見なくなっちゃう人っているじゃないですか。私はそうは絶対になりたくなくて。それってきっと、自分の意志がないまま進んでしまったパターンだと思うんですね。でも、入り口になればそれでいいってちゃんと思ってこだわってやってるし、「儚い」とか「切ない」って言われることもあるんですけど、今のうちに脱いでおこうっていう気持ちもあるんで。自分からしたら、もうフレッシュではないので、ちょっとノイズがかかって見えるんですよ。ピチピチでもなければ、ウルツヤでもないので(笑)。

「男性にわかってたまるか!」っていう気持ちで歌を作ってるところもあって

(笑)でも、男性ファンは食いつくとしても、女性ファンは入りにくい可能性もあるじゃないですか。楽曲の中では、ちゃんと女性の立場で女性の気持ちを歌っているのに。

そうですね。そこはネックだなって感じてるところでもあります(笑)。ライヴでも水着で歌っているので、さすがに女子は来づらいなと思うこともあって。でも、シンガーソングライターとかグラビアアイドルって世の中にたくさんいるし、ありふれているじゃないですか。その差別化じゃないですけど、わかりやすいキャッチコピーのようなものがあったほうがいいのかなって思っていて。でも、最近は女性の方もライヴやリリースイベントに来てくれるようになったんですよ。自分から遠ざけてるつもりはまったくないし、最終的には男性にも女性にも、ライヴに来てもらえたら嬉しいので。もしかしたら、脱ぐことが話題になることでふるいにかけられるというか、本当に曲をいいって思ってくれる子が実際にライヴに足を運んでくれてるんだろうなっていう気持ちにもなるんですよね。今は男性のファンが多いけど、「男性にわかってたまるか!」っていう気持ちで歌を作ってるところもあって……。

あはは! 歌詞は男子に対して強烈なメッセージを投げかけてますもんね。「6時のカタルシス」でも“見世物じゃない”って言ってたりとか。

はい。だから、男性ファンでライヴに足を運んでくれる方って、私の主観的な考えですけど、露出云々ではなく、純粋にライヴが楽しくて来てくれてるんだろうなって思ってて。私のことをわかろうとしながら曲を聴いてくれてるんだろうなって思っています。

“つい脱衣してるピュアのクズ”を“今夜のおかず”とラップする「BIKINI RIOT」でも“確信犯集まる東京”って歌ってますけど、いちばんの確信犯はご自身ということですよね。

あはは! もう完全な確信犯です。全部、わかったうえで言ってますし、「そのくらい気づけよ!」って思いながら歌ってます(笑)。

「噂で嫌いにならないで」には“私のなにを見てるだろうか”というフレーズもありますが、誤解を受けがちながらも、ご自身をどう見られたいと思っています?

良く思われたいとはもう思わないですかね。ちょっと前までは、当たりさわりなく、万人受けが何よりって思っていたんですけど、少しずつ人前に出る機会も増えてきて、万人に好かれるのは不可能だと思って。そうなったら、つい棘があることも言ってしまうことも含めて、このままを支持してくれるなら嬉しいなって思ってます。どう見られたいかって言うと、女の子の味方であり続けたい。アホっぽい言い方になりますけど、私も頑張ってるから自分も頑張ろうって思ってもらえたり、「これは私の歌なんじゃないか?」って感じてもらえたらいいなって思います。全裸入り口で聴いてくれる男性には(笑)、こういうふうに思ったり考えてる女の子もいるのかなって思ってもらえたらいいな。とにかく、作詞作曲をしてるっていう武器があるので、いろいろやってはいるけど、「ちゃんと頑張ってる子だね」って思われたい。すべて、自分の意志でやっていることなので。

その“いろいろやっている”なんですが、藤田さんは何でもできるじゃないですか。歌やダンス、ドラム、ギター、ラップ。それに、グラビアも演技もできるし。

究極の器用貧乏なんですよ(笑)。逆に言うと、物事を極めることができないというか。ある程度のところまでは何でもできるんですけど、そこで「できた!」で満足して終わっちゃうんです。でも、歌うことに関しては、10歳の頃からモチベーションが変わっていなくて。親に発表会用にCD を買ってもらったから、何が何でも完全にカバーして歌って振りも付けてやらないといけないっていう使命感とか、勉強もできないし足も遅いけど、自分の意志でレッスンを習わせてもらっているから、ほかの子よりも頭1個抜けていたいっていう。そういう気持ちは当時からあって、歌に対しては気持ち悪いくらい貪欲なんですよね。

そもそも、歌うようになった出発点はどんなきっかけでした?

小さい頃に『(美少女戦士)セーラームーン』の歌を歌ったら、母親にめっちゃ褒めれられたんですよ。ほかのことはお姉ちゃんに全部負けていたので、これならお姉ちゃんに勝てると思って(笑)。最初は、もっと褒めて欲しいという気持ちもあって、極めたいって思うようになったんですよね。ただ、音楽に詳しいわけじゃなくて……両親が音楽好きで、父が毎週水曜日にレンタル屋さんでオリコンのシングルチャート上位10〜20曲を借りてきていて。朝起きると、そういうヒット曲、ポップスが流れているような生活だったんですね。だから、小さい頃に影響を受けたのはSPEEDさんとPUFFYさん。SPEEDさんが解散されたときに、物事はいつか消えるんだと悟って。

あはははは。それ、いくつのときですか?

小学生だったんですけど、夢中になって応援するのはバカバカしいって思うようになって。そのあと、周りの友達はモーニング娘。に移っていって、自分も石川梨華さん推しではあったんですけど、このグループもいつか消えるんだ、夢中になって誰かを応援するってつらいなって思うようになってましたね。

小学生にして終わりがあることを実感しちゃったんですね。音の話に戻ると、アルバムはバンドサウンドのロックになっていますよね。

私、今、第4形態くらいなんです。ポップスが好きだった子供の頃が第1形態。ガールズバンドで歌わずにドラムを叩いていた時期を経て、上京して養成所に通い始めたんですけど、母親が死んだこともあって、当たりさわりのないバラードやR&Bを歌っていたのが第2形態。そのあとに、どんな曲調も歌いたいっていう気持ちに陥って “ひとり遊園地シンガーソングライター”っていう時期があったんですけど、その、もりもり自主制作をしていた時期が第3形態ですね。それで、ギターを弾けるようになってから、向井秀徳さんや椎名林檎さん、THE BLUE HEARTSさんを聴くようになって、今の第4形態に入っています。私、「私もこうなりたい!」って憧れやすいんですよ……憧れて、夢破れやすいんですけど(笑)、これでしばらしくは落ち着きたいなって思っています。

では、「私だけがいない世界」のミュージックビデオはまさに第3形態から第4形態に移行する過程を描いていたんですね。昔の自分からエレキギターを引っこ抜いてるシーンがありました。

たしかにそうですね。監督の意図がそうだったかはわからないですけど、私としては、殻を破ったっていう意味で捉えていますね。