スピッツが僕たちに見せてくれた世界  vol. 8

Review

ブレイク後のスピッツの第一歩、今「インディゴ地平線」を聴くと……

ブレイク後のスピッツの第一歩、今「インディゴ地平線」を聴くと……

スピッツが結成30周年を迎え、シングルコレクションアルバム『CYCLE HIT 1991-2017 Spitz Complete Single Collection -30th Anniversary BOX-』を届けてくれた。
世代を超えて愛され続けている音楽を作ることを成し得たアーティストが到達できる30周年。聴く人の喜怒哀楽、それぞれの想いにもそっと寄り添い、潤いを与え続けているスピッツが僕たちに見せてくれた世界をオリジナルアルバム単位で1枚ずつ振り返っていきたい。
『CYCLE HIT 1991-2017 Spitz Complete Single Collection -30th Anniversary BOX-』に収録されているシングルの味わいもグッと増し、もっとスピッツを知りたくなってくれることを願って。

#8 7th Album「インディゴ地平線」(1996年10月23日発売)

シングル「ロビンソン」とアルバム『ハチミツ』が大ヒット、その間のシングル「涙がキラリ☆」も大ヒット。アルバムのリリース・ツアーとして、初めての40本越えのホール・ツアー『SPITZ JAMBOREE TOUR “TONGARI’95-‘96”』を行う──。
というのが1995年4月から1996年2月にかけてのスピッツだが、そのツアーが終わる前の1996年1月に、前作『空の飛び方』の先行シングルだった「空も飛べるはず」がフジテレビ系ドラマ『白線流し』の主題歌に起用されてリバイバルヒット、スピッツとして初めてのオリコンシングルチャート1位を獲得する(そう、「ロビンソン」、あんなに売れたのに1位にはなっていないのです。最高位4位)。

13th Single「チェリー」(1996年4月10日発売)

続いて、4月の先行シングル「チェリー」もオリコン1位。いくら本人たちにそんなつもりがなかった(と思う)とはいえ、何かもう「破竹の勢い」以外の言葉が見つからないような状況の中で作られリリースされたのが、本作『インディゴ地平線』だということになる。
この作品に関しては、当時聴いた印象と、今改めて聴き直した時の印象は、さほど変わらない。どんな印象か。スピッツらしさを貫きながら……いや、「貫く」というほど頑なな感じじゃないか、もっと自然にスピッツらしさを出しながら、かつアレンジ面・作曲面において、新しい音楽的なトライアルをしているアルバム、という印象なのだった、昔も今も。
たとえば、アルバムの要所要所で響くテツヤ印のアルペジオや、「渚」「ハヤテ」「ほうき星」に顕著なマサムネの「日常的だけどぶっとんでいて、ぶっとんでるけど身近」な言葉のセレクト、及びそれらを使って描かれる脳内の世界のさまなどが、いつものスピッツらしいスピッツ。「渚」で曲に敷いてあるシンセのテクノっぽいアレンジや、「虹を越えて」の「いかにもスピッツ」を微妙に裏切っていく曲展開(なんか2~3曲が1曲の尺に入っているように感じる)などが、新しいトライアルだと言えると思う。

14th Single「渚」(1996年9月9日発売)

特に、「花泥棒」と「ほうき星」という、マサムネ以外のメンバーが書いた2曲。前者はテツヤ、後者は田村が作曲している。この時にほかのメンバーも曲を書いてみてはどうかと提案したのは笹路正徳プロデューサーだったらしい。テツヤは初期のアルバム3枚まで曲を書いていたが、田村はこの「ほうき星」が初めて。いきなりファスト&ラウド&短いパンク・チューンが始まって(1曲目なのです)聴き手を驚かせる「花泥棒」も、曲の展開も各楽器の鳴りもサイケな響きの「ほうき星」も、「これ、確かにマサムネからは出てこない発想だなあ」と思わせる仕上がりで、アルバムの素敵なアクセントになっている。

というわけで。大ブレイクしたあとも自らのペースを崩さず、両足をしっかりと地に着けて作ったすばらしいアルバム──という印象だったので、2007年に出たスピッツの単行本『旅の途中』(幻冬舎)を読んで、実はこの頃ってけっこう大変な時期だったことを知って、ちょっと驚いたものです。
いろいろ大変な中で作り上げたのが、このアルバムだった、ということだ。当時は「売れてもスタンス変えないなあこの人たちは」と感心するくらい、それまでと同じに見えていたので(忙しくて取材のオファーが前より通りにくくなった、というのはあったけど、まあ当然そうなるよなあとも思っていたし)、そこまで想像をめぐらしておりませんでした。失礼しました。

なお、このアルバムが、笹路正徳と組んで制作した最後の作品になる。

文 / 兵庫慎司

楽曲/DISCOGRAPHY

7th Album
インディゴ地平線

発売日:1996年10月23日
品番:UPCH-1188

【収録曲】
01. 花泥棒
02. 初恋クレイジー
03. インディゴ地平線
04. 渚
05. ハヤテ
06. ナナヘの気持ち
07. 虹を越えて
08. バニーガール
09. ほうき星
10. マフラーマン
11. 夕陽が笑う、君も笑う
12. チェリー

リリース情報

スピッツ

CYCLE HIT 1991-2017 Spitz Complete Single Collection -30th Anniversary BOX-

2017年7月5日発売
(3CD)UPCH-7329/31
¥3,900+税

1991年のデビューシングルから昨年2016年4月に発売されたシングル曲「みなと」までの全シングル曲、そして「愛のことば-2014mix-」「雪風」といったドラマ主題歌としても話題となった配信限定シングル曲、さらには、新たにレコーディングをした新曲3曲を加えた全45曲収録のCD3枚組アルバム。

【収録曲】
【DISC 1】CYCLE HIT 1991-1997 Spitz Complete Single Collection
01.ヒバリのこころ
02. 夏の魔物
03.魔女旅に出る
04.惑星のかけら
05.日なたの窓に憧れて
06.裸のままで
07.君が思い出になる前に
08.空も飛べるはず
09.青い車
10.スパイダー
11.ロビンソン
12.涙がキラリ☆
13.チェリー
14.渚
15.スカーレット

【DISC 2】CYCLE HIT 1997-2005 Spitz Complete Single Collection
01.夢じゃない
02.運命の人
03.冷たい頬
04.楓
05.流れ星
06.ホタル
07.メモリーズ
08.遥か
09.夢追い虫
10.さわって・変わって
11.ハネモノ
12.水色の街
13.スターゲイザー
14.正夢
15.春の歌

【DISC 3】CYCLE HIT 2006-2017 Spitz Complete Single Collection
01.魔法のコトバ
02.ルキンフォー
03.群青
04.若葉
05.君は太陽
06.つぐみ
07.シロクマ
08.タイム・トラベル
09.さらさら
10.愛のことば-2014mix-
11.雪風
12.みなと
13.ヘビーメロウ
14.歌ウサギ
15.1987→ 

2006年に発売された2枚の『CYCLE HIT』も2017年最新のマスタリングをして再発売!

CYCLE HIT 1991-1997 Spitz Complete Single Collection

(CD)UPCH-2129 ¥2,500+税

CYCLE HIT 1997-2005 Spitz Complete Single Collection

(CD)UPCH-2130 ¥2,500+税

CYCLE HIT 2006-2017 Spitz Complete Single Collection

(CD)UPCH-2131 ¥2,500+税

『CYCLE HIT 1991-1997 Spitz Complete Single Collection』、そして『CYCLE HIT 1997-2005 Spitz Complete Single Collection』も、今回の新たなアイテムに合わせ、2017年の最新スピッツサウンドを表現する為に、世界最高峰の「Marcussen Mastering」にてリマスタリングを遂行。7月5日に再発売。

アナログ盤も“重量盤”で7月5日同時発売!

ファーストアルバム『スピッツ』から昨年7月に発売された最新アルバム『醒めない』までのオリジナルアルバム15作品に、ミニアルバム『オーロラになれなかった人のために』を加えた全16作品をアナログ盤で発売。

ライブ情報

『SPITZ 30th ANNIVERSARY TOUR “THIRTY30FIFTY50”』

8月05日(土):長野県・長野・ビッグハット
8月06日(日):長野県・長野ビッグハット
8月11日(金・祝):香川県・さぬき市野外音楽広場テアトロン
8月12日(土):香川県・さぬき市野外音楽広場テアトロン
8月16日(水):東京都・日本武道館
8月17日(木):東京都・日本武道館
8月19日(土):東京都・日本武道館
8月23日(水):神奈川県・横浜アリーナ
8月24日(木):神奈川県・横浜アリーナ
9月02日(土):福岡県・マリンメッセ福岡
9月03日(日):福岡県・マリンメッセ福岡
9月16日(土):北海道・北海道総合体育センター北海きたえーる
9月17日(日):北海道・北海道総合体育センター北海きたえーる
9月30日(土):宮城県・宮城・セキスイハイムスーパーアリーナ(グランディ・21)
10月1日(日):宮城県・宮城・セキスイハイムスーパーアリーナ(グランディ・21)

SPITZ

草野マサムネ :1967年12月21日 福岡県 O型 ヴォーカル&ギター
三輪テツヤ :1967年5月17日 静岡県 B型 ギター
田村明浩 :1967年5月31日 静岡県 A型 ベースギター
﨑山龍男 :1967年10月25日 栃木県 B型 ドラムス
草野マサムネ(Vo/Gt)、三輪テツヤ(Gt)、 田村明浩(B)、﨑山龍男(Dr)の4人 組ロックバンド。
1987年結成。1991年3月シングル「ヒバリのこころ」、アルバム「スピッツ」でメジャーデビュー後、1995年リリースの11thシングル「ロビンソン」、6thアルバム『ハチミツ』のヒットを機に、多くのファンを獲得。
以後、楽曲制作はもちろん、日本国内をくまなく廻る全国ツアーや自らオーガナイズするイベント開催など、マイペースな活動を継続している。 そして今夏、15thアルバム『醒めない』を発売、全国ツアーも大成功。
2017年結成30周年を迎え、7月5日は「CYCLE HIT 1991-2017 Spitz Complete Single Collection -30th Anniversary BOX-」を発売、『SPITZ 30th ANNIVERSARY TOUR “THIRTY30FIFTY50”』も敢行中と精力的に活動を展開している。
オフィシャルサイトhttp://spitz.r-s.co.jp/

vol.7
vol.8
vol.9