Report

『イースⅧ』はなぜ傑作なのか?アクションRPGの3大要素を検証

『イースⅧ』はなぜ傑作なのか?アクションRPGの3大要素を検証

冒険家“アドル・クリスティン”のつづった冒険の記録を辿るアクションRPG、『イース』シリーズ。その最新作でありシリーズ初のPlayStation®4参入作品である『イースⅧ -Lacrimosa of DANA-』(以下、イースⅧ』)は、発売から時間を経てなお多くのゲーマーから支持を受けている。

本稿では、ユーザーの心をつかんで離さない本作のストーリー展開、遊び心をくすぐる寄り道要素、そして冒険を盛り上げてくれる珠玉のBGMから『イースⅧ』の魅力を検証していく。冒険物語の定番要素を詰め込みつつ丁寧に描かれた物語やキャラクター、豊富な寄り道要素、そしてプレイヤーの心を揺さぶる珠玉のBGMにはRPG好きならずとも興味を引かれることだろう。

文 / 村田征二朗


1.丁寧に描かれる王道の物語と衝撃の結末

 前回の記事ではスピーディな移動やテンポのいい戦闘が生み出すプレイすること自体の面白さ、そしてそれを支える異様なまでに短いロード時間に代表される快適なゲームプレイについて述べてきました。この点だけにおいても『イースⅧ』は非常にクオリティが高いのですが、そのゲーム性に劣らず本作の魅力となるのが、丁寧に描かれる王道展開満載のストーリーです。

『イースⅧ』の物語は時系列的に言えば『イースⅤ』より後、『イースⅥ』より前の話となっていますが、前回の記事でも触れた通り基本的には1作ごとに物語が独立しているため、『イース』シリーズ初プレイでも問題なくストーリーを楽しむことができるのも魅力です。

▲『イースⅤ』で登場した最強の剣が登場するなど、シリーズ作品をプレイしていればニヤリとできる要素もいくつか登場します

本作は、主人公“アドル・クリスティン”やほかの旅行者を乗せた旅客船が巨大な海中の魔物に襲われて難破し、アドルが“セイレン島”という、上陸して帰ってきた者はいないと言われる呪われた無人島に流れ着くところから幕を開けます。そこから無人島で合流した旅客船の乗客たちと漂流者の村を作り、脱出への準備を進めるなか、アドルたちは大昔に絶滅したはずの古代種(恐竜のような存在)と遭遇し、やがてセイレン島に隠された大きな秘密を解き明かしていくこととなり……、というのが本作の大筋です。

▲舞台となるのは“永遠に呪われた島”とも呼ばれるセイレン島。ちなみに本作はシリーズ8作目にして通算3回目の漂流スタートです。アドルも十分呪われているのでは……!?

ほかの漂流者を探し出し、協力しあって拠点となる村を整備していくという無人島におけるお約束の展開は、プレイの爽快感や漂流者が順調に見つかっていくこともあって基本的には平穏な雰囲気で進行していきます。しかし、ゲーム序盤の山場となるイベントでは漂流者たちの中から死傷者が出てしまうなど意外にシビアな展開を見せます。そして、大昔に絶滅したはずの古代種との遭遇、さらにはセイレン島の深部へ進むことで発覚する驚愕の事実など、一気に冒険のスリルが増し、「つぎは何が起きるんだ?」とワクワクせずにはいられません。

また、小さないざこざや村を襲う獣たちなどの苦難を乗り越え、赤の他人だった漂流者たちのあいだに家族のような絆が芽生えていく様子が丁寧に描かれており、亡くなった者の死を悼むシーンの悲壮感や、パーティメンバーたちが焚火を囲んで語り合うシーンの和やかさなどがとても印象に残るのです。

▲水浴び中に初対面というアクシデントによってアドルに対する第一印象が最悪な貴族令嬢“ラクシャ・フォン・ロズウェル”も、冒険を通してアドルに対する態度が大きく変化していきます

▲やたら偉そうな態度の“カーラン卿”。協調性ゼロのトラブルメーカーも無人島というサバイバルシチュエーションのお約束です

船旅からの漂流、無人島への漂着という“ザ・冒険もの”な展開は初プレイであってもどこか懐かしいものを感じさせますが、そこにもうひとりの主人公“ダーナ・イクルシア”の存在が絡んでくることで、本作の物語は単なる王道とは違った深みを増していきます。

ゲーム序盤、ダーナはアドルの夢に現れ、時代も場所もはっきりとしない彼女の物語はイラストとナレーションだけで進行していきます。しかしゲームの進行とともに、彼女がはるか昔のセイレン島にいた人物であることが判明し、プレイヤーが直接ダーナを操作して彼女の物語を辿り、セイレン島にかつて何が起こったのかを知っていくことになります。ただの無邪気な少女からお転婆な巫女となったダーナがみずからの使命に目覚め、人々から非難を受けようとも彼らを救おうと行動する様は胸を打つものがあり、ゲーム終盤で彼女が見せる自己犠牲の献身には思わず涙腺がアツくなってしまいます。

▲ “Lacrimosa of DANA”(ダーナのラクリモサ=涙の日)と題されており、タイトル画面でもダーナの姿が大きく映っていることからもわかるように、本作は彼女の成長を描いた物語でもあります

漂流者たちが集まり、そのなかで大きな事件が勃発する序盤、アドルとダーナのダブル主人公体制でセイレン島やダーナに関する謎が深まっていく中盤、そしてアドルとダーナの物語がつながり、ゲームの序盤では想像もできないほど衝撃的なラストへと続いていく。『イースⅧ』の物語は王道ながら大きな驚きに満ちた展開でプレイヤーを楽しませてくれます。

アドルが残した冒険記を辿る『イース』シリーズなだけあって、冒険小説、ファンタジー小説を読んでいるかのようなワクワクを味わうことのできる本作。爽快なアクションに乗せて紡がれる物語を体験すれば、たちまち『イース』シリーズのファンになってしまうことでしょう!