舞台『四月は君の嘘』  vol. 2

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安西慎太郎x和田雅成「2時間だけでも『四月は君の嘘』の世界に連れて行く」インタビュー&稽古場レポート

安西慎太郎x和田雅成「2時間だけでも『四月は君の嘘』の世界に連れて行く」インタビュー&稽古場レポート

8月24日よりAiiA 2.5 Theater Tokyoにて初日を迎える舞台『四月は君の嘘』。母の死によってトラウマを抱えた元・天才ピアニスト有馬公生が、ヴァイオリニストの宮園かをりと出会ったことで、改めてピアノを弾き始める青春ラブストーリーが原作。これまでにアニメ化、映画化されている大人気漫画だ。
初日まで10日を切った緊張感高まる稽古場に潜入。座長の安西慎太郎、そして和田雅成に上演を目前とした気持ちを語ってもらった。そして、ピアニストの松村湧太とヴァイオリニストの小林修子の生演奏を交えての稽古をレポート。インタビューとともに生演奏が織りなすリアルな舞台稽古を感じて欲しい。


【安西慎太郎&和田雅成インタビュー】
2時間だけでも『四月は君の嘘』の世界に連れて行きたい

大ヒット漫画『四月は君の嘘』の舞台化が決まり、稽古も順調に進んでいるとお伺いしました。今日からは、実際に生演奏を交えての稽古が始まるそうですね。今の心境はいかがでしょうか。

安西慎太郎 今作は、漫画、アニメ、映画化された大人気作品です。どれだけ原作を忠実に再現できるのか難しい反面、舞台でしか味わえない生演奏をどう演技に絡めていくのか。いろいろ試していかなくてはいけない演技と、絶対変えてはけない演技を探しながら試行錯誤しています。

和田雅成 今日からセットも組まれ本格的な稽古が始まります。役者の力はもちろん必要ですが、他の舞台と違うのは生演奏が入るところです。生演奏と一緒に稽古をすることでまた心境が変わっていく気がしますね。

安西慎太郎

トラウマを抱えた天才ピアニスト有馬公生、それを支えるスポーツ万能で女子に人気の渡亮太、とそれぞれキャラクターが違いますが、今作に限らず、お2人の役作りへのこだわりはありますか。

安西 かをりが「旅へ出よう」と公生に言いますが、役者もまた旅人だと感じます。キャリーバッグに荷物を入れては捨てるを繰り返して、勇気を持って新たな道を進んでいく。どんな舞台の役でもそうですが、それを役者魂として大切にしています。

和田 今回の渡役で、公生の人生に影響を与えられたらいいな。しんた(安西慎太郎)とはこれまでに何回か共演していますが、公生を超えて、しんたの心にも影響を与えられたらと思います。

製作発表会の時からお互いの仲の良さが印象的でしたね。

安西 和田くんは、稽古場でいろんな人とコミュニケーションを取って、人と人とを繋げてくれるんです。本来は僕と同じようにコミュニケーションを取るのが苦手なんだと思うんですけど(笑)、それでも、キャストとスタッフの間を率先して埋めてくれることで連携がスムーズになり、作品に深みが出ます。しかも、無意識ではなく、考えて実行してくれる。作品にとってかけがえのない大切な人だと思います。

和田 恥ずかしいな(笑)。しんたは舞台で真ん中をやることが多くて、座長を多くこなしているから安心感がありますね。しんたが真ん中にいて役に集中できれば、僕たちは周りを固めて作品をより力強いものにできます。

和田雅成

先日は、松永さん、河内さん、山下さんにガールズ・トークと称して男性陣の印象を伺いました(笑)。今回はボーイズ・トークということで女性陣の印象を伺えたらと思います。

安西 松永さんは初めてお芝居を観たときに嫉妬しました。稽古で何回もやっているシーンのセリフも初めて聞くような錯覚を起こさせる能力があります。河内さんは19歳ですし、僕も和田くんも若い座組みですが、いろんなことに興味を持とうとしている。自分が見ている世界だけではダメで視野を広くしようと自覚していらっしゃいますね。山下さんは面白いですね(笑)。今回、井川というライバル役ですが、彼女ではないと出せないオーラがあります。井川役に入った瞬間は魅力的ですし、初舞台なのに、それを感じさせないリラックスしている感じもしますね。

和田 しんたが一人一人、正解を言っちゃったから、僕はガールズ全般の印象を(笑)。舞台にかける想いも、役に対する想いも違いますが、それぞれが真剣だから、舞台上に立つと、みんなからポジティブなエネルギーを感じます。それぞれ一生懸命なので負けたくないと思いますね。

安西 そうそう(笑)。

和田 僕たちは女性と共演することが少ないから新鮮ですね。

最後に意気込みを。

和田 この作品を舞台にした意味を感じてもらえるはずです。生演奏は、アニメや映画にもなく、この世界を生で体感できる初めての作品になりますから。僕たちが作り出す『四月は君の嘘』の世界にしっかりとお連れできたらいいと思います。

安西 お客様は、原作ファンも、個々のキャラクターのファン、一方で原作を知らない方もいらっしゃると思うので、2時間だけでも『四月は君の嘘』の世界に連れて行きたい。ただ、言うが易しで、作品の感動をお客様の心に届けるのは難しく、この後も、死に物狂いで、キャスト・スタッフ一丸となって作品作りをしていきます。さあ、稽古頑張るぞ!

【稽古場レポート】
舞台でしか味わえない生演奏と役者の演技の即興

稽古場でストレッチをしていた役者が、演出の伊勢直弘の声で集まり、美術監督に今日初めて組まれたセットを歩きながら案内される。AiiA 2.5 Theater Tokyoと同じ広さを取っているだけあって、本番を意識し始めた役者たちの緊張感の高まりが激しい心臓の鼓動のように伝わってくる。

今回は、場面稽古といって、特に集中して稽古するシーンを取材させてもらった。注目すべきは生演奏のシーンとなり、その稽古は本番10日前の取材日から始まったそうだ。ソリストでピアニストの松村湧太も、同じくヴァイオリニストの小林修子もこれからの稽古に向けて音合わせをしている。

取材をしたのは3シーン。まずかかった曲はベートーヴェン作曲『ヴァイオリンソナタ第9番「クロイツェル」』。ベートーヴェンの中でも第5番『春』と並んで有名なヴァイオリンソナタで、高度なテクニックが要求されることで有名だ。
これは、公生とかをりが公園で出会い、かをりが音楽コンクールで披露する課題曲でもある。
そこで公生は、彼女の自由奔放な演奏を聞いているうちに「暴力上等、性格最低、印象最悪」という第一印象が、「彼女は美しい」という印象に変化する。

そこでの松永有紗はまさにかをりそのもの。演奏者であるヴァイオリニストの小林も力強く音楽を奏でる。まるでシンクロをしているようだった。
演奏シーンの多くは、生演奏と心情表現の絡み合いで成立する。まさに舞台でしかできないシーンの連続だ。観客側にいる公生の安西、渡の和田、澤部椿役の河内の演技からも目が話せない。

続いて披露されたのが、サン=サーンス作曲『序奏とロンド・カプリチオーソ』である。これは、スペイン出身のヴァイオリニスト、パブロ・デ・サラサーテのために書かれ、スペイン風の要素がとりいれられた、情熱的で自由で優しい曲だ。

この曲は、かをりと公生がコンクールで披露する。公生は母と死別したことがトラウマになり、ピアノが弾けないのだが、かをりからコンクールの伴奏者に指名されたことで半ば強引に出場させられてしまう。そのシーンでは、安西がまさに初めてピアノに触れる少年のように恐々とそっと鍵盤に触れ、そして弾き始めるや否や、天才と言われた彼の顔が見える。その瞬間の安西のきらめく表情やピアノを弾く仕草が忘れられない。

しかし、公生はピアノを弾いているうちに、母の幻影を見てしまい、ピアノの音が聞こえなくなるという現象に陥る。そして演奏をストップしてしまう。そんな時にかをりが「アゲイン」ともう一度演奏するように促し、「旅へ出よう」と告げる。原作でも人気の高い2人の初共演シーンだ。ここでの生演奏も素晴らしかった。2人の天才がここにいると知らしめる曲として見事に表現されていた。

最後のシーンで披露された曲は『バッハ平均律第1巻13番』。とても繊細なフレージングが要求されるピアノ曲だ。公生を終生のライバルと捉える相座武士役の横井翔二郎がコンクールの課題曲として弾く曲だが、松村のピアノと横井の演技がシンクロして、鬼気迫る演奏シーンとなっていた。

今回の取材では演奏シーンが主になっているが、この演奏が、ストーリーと重ね合わされた時の感動はすごいものになるのではないか、期待せずにはいられない。安西を筆頭に、個性豊かな若い俳優が織りなす切ない恋物語。この夏、あなたの忘れられない思い出として観劇してみてはいかがだろうか。本番は目前だ。

取材・文・撮影 / 竹下力

安西慎太郎

1993年生まれ、神奈川県出身。主な出演舞台に『ミュージカル・テニスの王子様2ndシーズン』『男水!』『遠い夏のゴッホ』など。

和田雅成

1991年生まれ、大阪府出身。主な出演舞台に『おそ松さん on STAGE ~SIX MEN’S SHOW TIME~』『弱虫ペダル』『里見八犬伝』、tvk「猫のひたいほどワイド」月曜レギュラーなど。

舞台『四月は君の嘘』

【東京公演】2017年8月24日(木)~9月3日(日)AiiA 2.5 Theater Tokyo
【大阪公演】2017年9月7日(木)~10日(日)梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ

『ヒューマンメトロノームとも揶揄された正確無比なピアノ演奏』、『幼少から数多くのコンクール優勝』。そんな異名を持つ天才ピアニスト有馬公生は、母親の死をきっかけにピアノの音が聞こえなくなり演奏から遠ざかっていた。公生を心配する幼馴染みの澤部椿や渡亮太と学生生活を送り新学期になった四月。公生は同い年のヴァイオリニスト宮園かをりと出会う。かをりとの日々はモノクロな公生の心をカラフルに変えていく。ある日、かをりはコンクールのピアノ伴奏に公生を指名。再び鍵盤に触れたことで公生の中に新たな感情が芽生える。友人、ライバル、恩師と過ごす春夏秋冬は美しくも切ない物語を紡ぎ出す。

【原作】新川直司『四月は君の嘘』(講談社「月刊少年マガジン」所載)
【脚本】三浦香
【演出】伊勢直弘

【出演】有馬公生 役/安西慎太郎 宮園かをり 役/松永有紗 澤部椿 役/河内美里 渡亮太 役/和田雅成 井川絵見 役/山下永夏 相座武士 役/横井翔二郎 ほか

オフィシャルサイトhttp://kimiuso-stage.com

©新川直司・講談社/エイベックス・ピクチャーズ株式会社

原作本 『四月は君の嘘』

四月は君の嘘

著者:新川直司
月刊少年マガジン

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