Interview

ドラマ『コード・ブルー』でドクターヘリのパイロットを演じる伊藤祐輝に注目。彼の俳優としてのプロフェッショナルとは?

ドラマ『コード・ブルー』でドクターヘリのパイロットを演じる伊藤祐輝に注目。彼の俳優としてのプロフェッショナルとは?

高視聴率をキープし続けているフジテレビ系月9ドラマ『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命- THE THIRD SEASON』。フライトドクターやフライトナース、フェロー(フライトドクター候補生)など、緊急医療を通して、ひとりひとりが抱える悩みや葛藤が丁寧に描かれるなかで、8月28日にオンエアされた第7話では、彼らを現場まで安全に、迅速に送り届けるドクターヘリのパイロットにも焦点が当てられた。
そこで、『エンタメステーション』では、この3rdシーズンから新たに救命チームに加わったパイロットの早川正豊を演じる伊藤祐輝にインタビューを敢行。人気シリーズへのオファーを受けた際の心境を入り口に、オンエアが終了したばかりの7話の撮影現場について話を聞いた。

取材・文 / 永堀アツオ 撮影 / 関信行

プロフェッショナル同士の信頼関係、絆もテーマ

まず、ドラマ『コード・ブルー』への出演が決まったときの心境から教えてください。

僕が学生のときから放送されていた作品で、お話をいただいたときは「本当ですか!?」と。何と言いますか……視聴者として観ていたものなので最初は実感がなかなか湧かなくて、「え! 『コード・ブルー』に僕が出るの?」という何とも言えない感じでした。

写真左:伊藤祐輝(ドラマ『コード・ブルー』早川正豊 役)©フジテレビ

本作は、2008年に1stシーズン、2009年にスペシャル、2010年に2ndシーズンがオンエアされていました。それらをご覧になられていた?

家族で観ていましたね。特に姉が医療ドラマが好きだったのもあって。

当時はこのドラマを観て、どう思っていましたか?

絶対にこれが正しいというのを見せないというか、「どちらも正義ではないか?」という問いかけをメッセージとして出しているところがあったので、次の展開を楽しみにしつつ、面白いというよりも考えさせられていましたね。

そんな作品にご自身が参加することになっていかがでしたか?

いつも台本を読むときには「自分の役割とは何なのか?」とか「この作品のテーマは何なのか?」というところを考えるんですけど……。

では、本作における“自分の役割”はどう考えました?

今回のドラマで僕が演じる早川(正豊)は救命医ではなく、ドクターヘリのパイロットで医療現場とは距離をひとつ置いている関係性なんですけど、台本を読んでみて、プロフェッショナル同士の信頼関係、絆もテーマになっているのかなと思って、そこをパイロットの佇まいとしてどう出すか、表現できるのかを考えました。

言葉数の少ない緊迫したシーンの中で、いかにその信頼関係を見せるかということですよね?

阿吽の呼吸に近いんですかね。目線だったり、ひとつひとつの仕草とかで表現できればいいなと思っていて。実際、指導してくださるドクターヘリのパイロットさんとお話をする機会があって。自分以外の救命医や整備士、運行管理のCSさんがどうやったら働きやすいかをつねに考えているし、向こうもそう考えているとおっしゃっていて。すごいプロフェッショナルの集まりなんだなと改めて感じられましたし、そこでイメージも持てましたね。

改めて、この作品の“テーマ”はなんだと感じました?

難しいですね……7話もですけど、白黒はっきりつけられない問題が描かれていて。“葛藤”がテーマなのかなぁと思いました。新しく入ってきたフェローの成長もひとつテーマとしてあって、彼らを指導するフライトドクターたちの心境の変化というのもあったり……。いろいろありますよね。

早川は「男気溢れるというよりは、柔和な人をイメージ」と

早川という役柄はフェローと同じ新人的な立ち位置なんですか?

ベテランではないけど新人でもない。衣装合わせのときに監督さんからは「中堅」と言われましたね。

衣装は実際着られていかがでした?

いやぁ、カーキ色のフライトジャケットかっこいいですよね(笑)。衣装を着て「こんな感じです」と監督さんに見せたときに「うんうん」と頷いていらっしゃって、そのときに初めて鏡で見たんですけど、自ら言うのはおこがましいですけど……「パイロットっぽいじゃないか!」と思いましたね(笑)。そこで、急に実感がわいてきました。

ビジュアルから理解できる部分があった?

そうですね。監督さんから事前に「早川は熱くギラギラして男気溢れるというよりは、柔和な人をイメージしています」というお話があって。実際に衣装を着てみたら、その柔らかさを感じられたと言いますか……カーキのフライトジャケットを着て初めて「自分に求められているものはこういうものか」と、なんとなくですけど、掴んだ感じがありました。

実際の撮影現場はどんな雰囲気でした?

自分の中であまりにも大きい存在として『コード・ブルー』を勝手に捉えていて緊張していたところもあったんですけど、キャストさんもスタッフさんもみなさんフラットに受け入れてくださっている雰囲気があって。これまでに出来上がった『コード・ブルー』チームですよという固まった感じもいっさいなく迎えてくださって安心しました。藤川(一男)役の浅利(陽介)さんも「伊藤くん、めちゃくちゃ肩幅広いね。何をやったらそうなるの?」って(笑)話しかけてくださって、何気ない会話がありがたかったですね。いい意味での緊張感はあるんですけど、無駄な緊張感がない現場です。

藤川との会話があったのは2話ですね。運行管理CS室で初めて、早川の顔が見れた!と思いました。

あはは! 自分が出ていた2話のシーンは、シリアスなシーンが終わったあとの団欒のシーンだったんですけど。浅利さんに引っ張っていただきましたね。現場で浅利さんが監督さんにいろいろ提案をされていて、「それ、いいね」と盛り上がったので楽しかったですし、オンエアでもその現場のテンポ感やチーム感がちゃんと出ていたのでホッとしました。

僕としては、誠実に責任を背負うというところに意識がいってました

そして、ついにオンエアされたばかりの7話で早川の大きな出番がやってきました!

はい、ドクターヘリが着陸を失敗してしまい、調査委員会が開かれるという……。

あのシーンはドクターとパイロットのお互いがかばい合ったんでしょうか。

ん~おそらく、かばう気持ちとはまた違うのかなと……。自分の仕事に対する責任感の強さですね。プロフェッショナル同士のチームワークがあまりにも強すぎたという回だったと思います。みんなひとりひとりが患者さんを助けたいという想いがあった。ただ、大きな組織の中では僕の責任として処分されてしまうというところが、灰谷(俊平)先生(成田凌)にとっては余計につらいっていう。台本を読んだとき言葉にできない想いみたいなものを感じました。

医療ドラマで、人間ドラマでもありますが、この回は、裁判もののような緊張感がありました。

そうでしたね。わりと張り詰めている現場で、新垣(結衣)さんも深呼吸してからお芝居に臨むとおっしゃってました。僕としては、誠実に責任を背負うというところに意識がいってました。自分がこの先も前を向いて進んでいくためには、まずは公の場できちんと責任を取らないといけないと思って臨もう、と。処分の結果が出るシーンで「ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」と頭を下げて、顔を上げた瞬間に見えた灰谷先生の顔が、この世の終わりくらいの泣きそうな表情をしていて。そこで、もちろん何も言葉はないんですけど目線で訴えてくるものがあって、思わず目をそらしたくなるというか。その表情が忘れられなくて、その場では決して見せてはいけない(早川の)私情が溢れ出てしまいましたね。“灰谷”という役は、慎重であり、臆病だというのがひとつのテーマだと僕は思っていて。過度に自分のせいにしてしまう、その気持ちはすごくわかりますね。

灰谷は6話でやっと自信を得たばかりだったので、観ているほうもとてもつらい気持ちになりました。監督からはどんな演出がありました?

かばったり、弱々しいステージではなくて、もう自分の中で責任を取ろうと整理がついているんだっていう。早川の清廉潔白、誠実さを表現して欲しいと、言われましたね。

もしや、早川はもう戻ってこないんですかね?

どうですかね(笑)。

ドラマのいちファンとしては、ドクターヘリ業務に復帰した早川と灰谷の会話をしっかりと観たいという気持ちがあります。早川が戻ってくるのを待ってます。

撮影が終わって、早川は今どんな心境なんだろうかと考えるんですけど……想像ですけど、逃げないと思うんですよ。いままでやってきた業務に戻れるならば、そこで取り返すというか、業務を淡々と安全にやっていくことが、今回の事故を償うことになる、って思うのかなと。