LIVE SHUTTLE  vol. 187

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ORANGE RANGE が4thアルバムを“REWIND”。コンセプトツアー〈RWD←SCREAM 017〉の世界に迫る

ORANGE RANGE が4thアルバムを“REWIND”。コンセプトツアー〈RWD←SCREAM 017〉の世界に迫る

REWIND(巻き戻す)とは何か? それは過去を再現しながら現在を表現し、未来を創造するORANGE RANGEのキーワード。コンセプトツアー〈RWD←SCREAM 017〉は、これまでに1stから3枚のアルバムを再現してきたシリーズライヴの最新型で、今回フォーカスするのは4thアルバム『ORANGE RANGE』だ。リリースは2006年12月──。11年前、あなたは何歳で、どんな気持ちでこのアルバムを聴いていただろう? 8月25日、ツアーのセミファイナル。Zepp Tokyoを埋め尽くしたオーディエンスの、ひとりひとりの想いも乗せた特別なショーの幕が開く。

取材・文 / 宮本英夫 写真 / AZUSA TAKADA

バンドの過去と現在と未来を一望のもとに見せ、思い出を更新してくれるRWDシリーズ

強烈な逆光に目が眩むなか、メンバーがひとりずつ手を挙げて登場する、シンプルだが壮麗なオープニング。NAOTOがアコギを弾き、YOHが太くしなやかなベースを奏で、柔らかく力強いグルーヴが会場全体を包み込む。HIROKIは赤いキャップに短パン、YAMATOは黒キャップに上下も黒、RYOは鮮やかなレインボーカラーのTシャツで、握ったマイクに命を吹き込む。じっくり聴かせるタイプの恋愛曲「STEP BY STEP」を1曲目に持ってきたのには、意表を突かれた。

続く「LIGHTS」は4つ打ちのダンスチューンだが、ただのイケイケではない、緩急を付けた展開がなんともドラマチック。ゆっくりとエンジンの回転を上げてゆくような立ち上がりは、やはりいつものライヴとは違う。

と思いきや、イントロ数秒で大歓声が湧き上がる。大ヒット「UN ROCK STAR」の登場だ。オールドタイプのブギーロックに、ファンクとダンスミュージック、ポップなわかりやすさを兼ね備えた、ORANGE RANGEの王道ロックチューン。NAOTOのギターがとんでもなくラウド。フロアはタテノリ、全員参加のダンス大会だ。

「過去を振り返りつつ、新しい素晴らし未来を作っていきたいと思います!」

まるで選手宣誓のようなHIROKIのMCに続き、ぐるぐる回るミラーボールの下で歌われたのは「DANCE2 feat.ソイソース」。まるで意味のない歌詞と、アナログ感いっぱいの手作りテクノサウンドの強烈な破壊力は、当時も今も変わらない。そして破壊力と言えば「チャンピオーネ」。沸騰するフロアを眺めながら、「ああ、あのときはサッカーワールドカップのドイツ大会だったな」と懐かしく思い出す。時は流れ、歌は残る。そして良き思い出は、いつでもREWINDすることができる。

HIROKI

アッパーで楽しい、しかしトリッキーな展開をたっぷり盛り込んだミクスチャーロック「MIRACLE」のあとは、長めのMCタイム。

11年という月日が流れても、『ORANGE RANGE』の楽曲がみなさんの生活の中に響いていることが嬉しいと、HIROKIがいいことを言う。オーディエンスに年齢をたずねると、20代がほとんど。そうか、「チャンピオーネ」を中学生のときに聴いた子は、今は20代の半ばか。まだまだ若く元気いっぱい、フロアを埋めた彼ら彼女らの熱気が、ORANGE RANGEのライヴをノスタルジーにはさせない。

このライヴのテーマはくじ引きで決めてるとか、次は5ヵ月後かもしれないとか、『TEN』を再現するかもしれないとか、HIROKIとYAMATOが口から出まかせを言い合い、笑い合っている。そんな景色もあの頃と変わらない。

サイケデリックでトリッピー、ダンサブルな「Hello」から、不思議な浮遊感をはらむラテン調の「Everysing」へ。YOHのベースラインが最高にクールで、ラストを飾るYAMATOのスクリームがかっこいい。

「BEAUTIFUL DAY」は、NAOTOの非凡な作曲センスが存分に発揮された曲で、ニューウェーヴ、ロック、ドラムンベース、ダンスミュージックが混然一体となった、ORANGE RANGE流ミクスチャーロック。「こんなにいい曲あったっけ?」と、記憶をどんどん更新できるのも、このライヴの醍醐味だ。

YOH

「いい感じで楽しんでくれてありがとう。4枚目のアルバムを改めて背負って、東京に届けられて嬉しいです」

YOHのセクシーな低音MCに、うっとりと聴き惚れるオーディエンス。そのあとを弟が引き継ぎ、「ゆっくりでも着実に前に進むORANGE RANGE。5人6脚でやってきました」と胸を張るRYO。「Walk on」は、昨年の15周年記念作『縁盤』で再録音された三線入りバージョンで、音のふくらみ、包容力、力強さがぐっとアップ。“君が笑えば/世界中がみんなHappyなんだ”。あまりに屈託のない、だからこそ胸に刺さるシンプルな歌詞。

シンプルと言えば次の「Silent Night」は、アルバム『ORANGE RANGE』の中でも最もシンプルなスローバラードだ。美しいメロディ、研ぎ澄ませたリズムの繰り返しが徐々に高まり、“光よ差せ”のひと言をきっかけに、壮麗な光と爆音が解き放たれる、ロックバラードとして感動的な一曲。ファンタジーとエコロジーがミックスしたようなメッセージ性の強い歌詞は、今でも、いや、今こそたしかに有効だ。

RYO

「ここからは攻めの曲です。ここまでずっと、ためてたわけです。ついてこれる? どうだい?」

さあ、いよいよライヴは後半。RYOの煽りにこたえ、騒ぎたくてうずうずしていたオーディエンスが、一斉に鬨の声を上げた。曲は「風林火山」。作曲は低音一家、すなわちRYO&YOHの兄弟が手がける、極めてヘヴィなファストチューン。ジャンプ、ヘドバン、荒れ狂うフロアを挑発し、ジャンプを繰り返すフロントの3人。後半ではサポートドラムの神田リョウが、精密なスティックさばきで強力なドラムソロを聴かせてくれた。

「Great Escape」はさらに激しく派手に、変拍子を駆使したファンクロックで、ORANGE RANGEの最もヘヴィでダークなサイドを見せつける。さらに続けて、レゲエとファンクとメタル、タテノリのロックンロールをゴチャマゼにしたエクストリームな一曲、「FAT」をぶちかます。YAMATOが間奏でずっとヘドバンしている。もう手の付けられないほどキレキレだ。

YAMATO

「メッセージ性の強い曲はちゃんと聴いてくれる。騒ぎたい曲は一緒に汗かいてくれる。最高でした。過去のものではなくて、4枚目のアルバムを今日バージョンで更新できたと思います」

ラストチューンは、HIROKIいわく「これが最後の曲です。『SAYONARA』と一度言ってみたかった」と言う「SAYONARA」。得意気な曲紹介に、せつない曲なのになぜか笑いが巻き起こる。ステージ上と上空のミラーボールが連動する、光に包まれた壮大なロックバラード。MCではまったくしゃべらないNAOTOの、誰よりも雄弁なギターソロがエモい。思いきりラウドななかに、微妙な陰影をたたえたバンドアンサンブルに、あの頃にはなかった深みを感じる。曲は同じだが、バンドはたしかに成長している。

NAOTO

そして、アンコール。RYOが「新曲やらせていただきます!」と叫び、7月に配信した「チラチラリズム」を聴かせてくれた。サマーの、サマーによる、サマーのためのサマーチューン。RYOが「夏が好きなヤツ、腹から声出せ!」と煽り立て、そのまま「イケナイ太陽」へと繋げる展開には、フロアも2階席も我を忘れて飛び跳ねるしかない。全体に目を配りながら細かく煽りを入れて盛り上げるRYO、自分のタイミングでシャウトしたりヘドバンしたり、自由奔放なYAMATO、笑顔でオーディエンスとコミュニケーションをとるHIROKI。フロント3人のパフォーマンスは、目で追っているだけで飽きることがない。

本当のラストチューンは「上海ハニー」。カチャーシーの振り付けを盛り込みながら、会場全体がひとつになったダンスタイム。360度、どこを見渡しても笑顔しかない。YAMATOが心のこもった挨拶をし、オーディエンスが熱烈な拍手と歓声を送り返す。なんて見事なハッピーエンディング。

「最高の時間をありがとうございました。いつも感謝してます。またライヴで会いましょう。愛してるよみんな!」

終わってみれば、ちょうど2時間。アルバム『ORANGE RANGE』の曲のみで構成された本編は、原曲の良さ、アレンジの凝り方、当時の彼らの野心的な楽曲づくりを再確認できる貴重な機会だった。ダブルミリオンを記録した特大ヒット『musiQ』から2年、ヒット曲の呪縛やポップの規制からはみ出し、独自の音楽性を模索し始めた彼らの、挑戦とヒントがたっぷり詰まった意欲作だった。もう一度聴き直さなければ。バンドの過去と現在と未来を一望のもとに見せ、思い出を更新してくれるRWDシリーズ。次は『PANIC FANCY』か? 楽しみに待ちたい。

ORANGE RANGE〈RWD←SCREAM 017〉2017.08.25@Zepp Tokyo SET LIST

M01. STEP BY STEP
M02. LIGHTS
M03. UN ROCK STAR

M04. DANCE2 feat.ソイソース
M05. チャンピオーネ
M06. MIRACLE
M07. Hello
M08. Everysing
M09. BEAUTIFUL DAY
M10. Walk on
M11. Silent Night
M12. 風林火山
M13. Great Escape
M14. FAT
M15. SAYONARA
EN01. チラチラリズム
EN02. イケナイ太陽
EN03. 上海ハニー

ORANGE RANGE(オレンジ・レンジ)

YAMATO(vox)、HIROKI(vox)、RYO(vox)、NAOTO(guitar)、YOH(bass)。2001年に結成。2002年2月22日にアルバム『オレンジボール』でインディーズデビュー。2003年にシングル「キリキリマイ」でメジャーデビューを果たし、同年7月にシングル「上海ハニー」をリリース以降、数々のヒット作を連発。2004年発表のシングル「花」がロングセールスを記録。2007年には自主レーベルSUPER ((ECHO)) LABELを設立。2016年にはバンド結成15周年を掲げ、アニバーサリーイヤーを展開し、7月に『縁盤』を発表。2017年6月に沖縄ファミリーマート創立30周年を記念してテレビCM用に書き下ろした「チラチラリズム」を配信リリース。11月より〈ORANGE RANGE LIVE TOUR 017-018〉を開催。
オフィシャルサイト


ORANGE RANGE
『ORANGE RANGE』

2006年12月6日に発売された4thアルバム
Sony Music Records Inc.

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