Interview

村上虹郎、恋に音楽にひたむきに生きた『ニドナツ』。「バンドが作品の中心にある時点で魅力的でしかない」

村上虹郎、恋に音楽にひたむきに生きた『ニドナツ』。「バンドが作品の中心にある時点で魅力的でしかない」

切ない恋心、温かな友情、バンド、学園祭、そしてタイムリープ……! そんな刹那なエモーションを掻き立てる要素がふんだんに散りばめられた青春ラブストーリー『二度めの夏、二度と会えない君』(以下、『ニドナツ』)にて、主人公の智を演じているのが村上虹郎さん。
2014年に『2つ目の窓』(河瀨直美監督)で俳優デビュー。2016年には連ドラ初出演となった『仰げば尊し』でファン層を広げる一方、『ディストラクション・ベイビーズ』(真利子哲也監督)『武曲 MUKOKU』(熊切和嘉監督)など過激ともいえる作品で鮮烈な存在感をスクリーンに焼き付けた彼。現在テレビ東京にて放映中の新感覚ホラードラマ『デッドストック~未知への挑戦~』でも主演を務めるなど、どこか尖ったイメージもある彼が青春音楽映画『ニドナツ』に込めた思いとは――。

取材・文 / 井口啓子 撮影 / 山野浩司


〈智〉は、〈燐〉のため、二人のために生きていた

『ニドナツ』は恋に音楽に友情に、これぞ青春!といった学園ドラマですが、噓っぽくキラキラしたものでは決してなく、皆さんがそれぞれの役を生きる感じがすごくよかったです。個人的には村上さんがこういう作品に出演されるのは意外な気もしたのですが、逆に引き出しの広さを見せつけられた感じもあり……。

そう言っていただけるとありがたいです。僕自身、最初に話を聞いたときは、「純愛、恥ずかしい」という思いは確かにあったんです。でも制服でギターを弾く役なんて人生でも出来る時期は限られていますし、僕は制服を着る学校に行ったことがなかったので、こんな機会をいただけるのはありがたいなと。結果的にこの作品が10代最後の作品になりました。

村上さんご自身は、こういう「いわゆる青春」みたいな学園生活とは距離を感じてらしたのかなとも想像するんですが、だからこそ楽しめた部分はありましたか?

僕が普通の学園生活を知らない部分も多かったので、いろんなことが新鮮で楽しかったです。

今回演じられた〈智〉についてはどう感じられました?

僕はわりとシャイというか、身近な人にいろんなことを話すのが苦手で。身近だといろんなことが当たり前になるので、良くも悪くも話さなくなってしまう。〈智〉もあまり感情を表に出すタイプではないですよね。だから、僕と近い面もあります。この映画での〈智〉の行動って、特に二度め(タイムリープした二度めの夏)はすべて燐のためだけに、彼自身はバンドやっていても全然楽しめていないので「もうちょっと楽しんで!」と思うところもありながら、「好きな子が死んでしまうんだから楽しめないよなぁ……」と共感するところも。この映画での〈智〉は自分の後悔のためでなく、〈燐〉のため、二人のために生きていました。

〈智〉が〈燐〉に振り回されてる感じも、この年頃の男女ってこんなかんじだったなぁ…… と微笑ましくなりました。

〈燐〉が天真爛漫で素直なんです。なにか思惑があって行動しているわけではなく、いい意味で単純で、そこがいい。ただ、無邪気に振舞っているように見えても、二人とも複雑な感情が渦巻いているんです。

『ニドナツ』では劇中バンド「Primember」のシーンも大きな見どころとなっています。〈智〉はギター担当ですが、村上さんもギターを弾かれるんですよね。弾き姿がすごく自然でかっこよかったです。

ありがとうございます。ギターは以前から弾いていたのですがバンドはやったことがなかったんです。エレキでこうやって何曲も弾くのも初めてで、クランクインする少し前から作中で演奏する曲を練習しました。今回、山ちゃん(山田裕貴)と金城(茉奈)さんは楽器が初めてだったそうで、クランクイン3ヵ月前ぐらいから毎日練習していました。二人がバンドのイメージを掴むために、目の前でたんこぶちん(今回ヒロインの燐を演じた吉田円佳がVo&Gtを務める人気ガールズバンド)がライブをやってくれたらしくて。「それ呼ばれてない!僕も呼んでほしかった!」って(笑)。

さみしい思いをしたと(笑)。バンドの演奏シーンもすごくいいんですが、〈智〉と〈燐〉がメンバーを集めていく過程もワクワク感があってよかったです。

少年マンガ感がありますよね。『ワンピース』みたいに、仲間を探しにいくぜ! って。それも〈燐〉が主導権をもってやっていて、〈智〉はあくまで〈燐〉のためにやっている。

バンドが作品の中心にある時点で、僕からすると魅力的でしかない

今回、〈燐〉を演じた吉田円佳さんは演技は初めてということでしたが、歌うシーンはもちろん、それ以外でも全身全霊で役を生きている感じで、演技を超えて惹き付けられるものがありました。

もともとステージに立ってる方だから雰囲気がありますよね。特に歌うことは、その人の根っこのところまで全部をストレートに曝け出す。それを10年もやってこられたわけですから、表現者という部分では僕より先輩。僕が初めて演技をしたときは恥ずかしさが勝ってしまいましたが、彼女はぜんぜん物怖じしていなかったですし、すごいなと思いました。彼女のバンド「たんこぶちん」にもいい刺激を受けました。

タイムリープという設定は演じられてみていかがでしたか?

 

10年前ではなく半年前という、「まだ記憶がある」過去をやりなおすのっていろんな感情がめぐりますよね。ついさっき撮ったシーンとほぼ同じシーンを撮るけれど、2回目は「実は未来を知っている」設定だからより繊細なものが求められる。そこは演じていて不思議な感覚でした。

ちなみに村上さん自身は、「今思えばこれが自分の青春だったな」と思う出来事や状態ってありますか?

学校では悪さばっかりしていました(笑)。家も学校もけっこう厳しかったので、反発ばっかりして人に迷惑をかけていた……。でも、今が楽しいからあまり昔のことは思い出さないです。こないだ母親と一緒にトークショーに出たのですが、「この人はあんまり幼少の記憶ないねん。今を生きる男やから」という風に言っていて、確かに! と思いました。でも反抗期は長かったです。僕の記憶では、ずっと思春期だったというか、母親のことも好きなのですが、家族って近すぎて無性に腹が立ったり。素直だった時代もあるはずなのですが、あんまり憶えていない(笑)。

そういう村上さんが、この映画の魅力を語るとするなら?

バンドが作品の中心にある、その時点で僕からすると魅力的でしかないんです。やっぱり「グループ感でありグルーヴ感」じゃないですか。僕の周りにはミュージシャンの方が多いのですが、家族ではないのに何十年も一緒にいて、バンドをやっているって、運命共同体みたいですごいなって思います。趣味嗜好も性格も違う人が集まるということだけで奇跡ですし、単に仲良しとも違う。バンドという共通の夢や目標があるからこそで、彼らの距離感も素敵ですよね。

村上さんもバンドがやりたくなりましたか?

仲間が見つかれば、ですね……。今はお芝居が楽しいのでその余裕はないですが、本当に「こいつらとやったら楽しい!」って思える仲間と出会えたらやってみたいです。

村上虹郎

1997年3月17日生まれ、東京都出身。カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品『2つ目の窓』(14)で主演を務め、俳優デビュー。この作品で高崎映画祭最優秀新人男優賞を受賞。主演ドラマ「デッドストック〜未知への挑戦〜」(テレ東)が現在放送中。最新作として、『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(9月23日公開)、『AMY SAID』(9月30日公開)、が控えている。
【その他の代表作】映画『ディストラクション・ベイビーズ』(16)、『武曲 MUKOKU』(17)、ドラマ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」(CX)、「仰げば尊し」(TBS)。

映画『二度めの夏、二度と会えない君』

9月1日(金)より新宿バルト9他全国ロードショー

「バンド組もう!」智が通う北高に転校してきた燐は、文化祭でライブをするという夢を叶えるためにやってきた。そしてメンバーとして集められたのが、智、姫子、六郎。バンド活動が禁止されている中、生徒会長の菅野瑛子の手助けもあり、文化祭ライブは成功を収めた。
そして、夏のおわりに、智は燐に自分の想いを伝える。だがそれは取り返しのつかない言葉として刻まれ、2人を引き裂いてしまう。なぜ、あんなことを言ってしまったのだろう。もしもやり直せるなら──そう思ったある日、半年前にタイムリープした智は、“あの夏”をやり直すチャンスを手にする。今度は絶対に燐に“告白しない”と心に決めた智。しかし、二度めの夏は一度めと何か違っていた。果たしてライブは成功するのか。二度めの夏はどんな結末を迎えるのか──。

【監督】中西健二
【原作】赤城大空

【出演】
村上虹郎、吉田円佳、加藤玲奈、金城茉奈、山田裕貴、本上まなみ、菊池亜希子

【スクリーンナンバー】たんこぶちん

【配給』キノフィルムズ/木下グループ

オフィシャルサイトhttp://nido-natsu.com/

原作本 「二度めの夏、二度と会えない君」

「二度めの夏、二度と会えない君」

赤城大空(著)
ぶーた(イラスト) 
ガガガ文庫

この記事の画像一覧

©赤城大空・小学館/ 『二度めの夏、二度と会えない君』パートナーズ


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8月30日(水)~9月8日(金)23:59