Interview

WEAVERのコンセプトEP第2弾「A/W」。シンセを取り入れて魅せる、新たなバンド像とは?

WEAVERのコンセプトEP第2弾「A/W」。シンセを取り入れて魅せる、新たなバンド像とは?

2017年5月にリリースされた「S/S」に続くWEAVERのコンセプトEP「A/W」は、秋から冬の情感を想起させる楽曲を軸にした作品となった。ハウスミュージックの要素を取り入れた「Another World」、現在のバンドの状況がリアルに反映された「だから僕は僕を手放す」、My Little Loverの名曲「Hello, Again〜昔からある場所〜」のカバーなど個性的な楽曲が並んだ本作、そして、10月から11月にかけて行われる全国ツアー〈WEAVER 13th TOUR 2017「A/W TOUR〜You and I will find Another World〜」〉についてメンバー3人に聞いた。

取材・文 / 森朋之 撮影 / 中原幸

「A/W」では秋から冬にかけての憂い、切なさを出してみたいなと

「S/S」に続くコンセプトEP第2弾「A/W」がリリースされます。まず、対になる2つの作品を作ろうと思った理由を教えてもらえますか?

奥野翔太 去年の年末、今年の初めくらいにはそういう話をしていたんだよね?

杉本雄治 そうだね。例えば、“善と悪”“静と動”みたいに「コンセプトを立ててみたらどうだろう?」って。

奥野 いろいろと話をするなかで“季節”というテーマが出てきたんです。いままで季節感に合わせた作品をリリースしたこともなかったので、そこから「S/S」「A/W」というコンセプトになって。ビジュアル的にも(ファッション誌)『NYLON』とコラボすることで新しい見せ方もできるかなと。

杉本雄治(Piano & Vocal)

「S/S」は春から夏、「A/W」は秋から冬ということですね。

杉本 「A/W」では秋から冬にかけての憂い、切なさを出してみたいなと思っていました。1曲目の「Another World」は、今、自分たちがやろうとしているシンセサウンド、ハウスミュージックの要素を取り入れた曲なんですが、その中に切ない雰囲気があるんです。

シンセを取り入れたエレクトロサウンドは、ここ最近のWEAVERのトレンドですよね。

杉本 そこはもっともっと突き詰めていかないといけないと思ってます。WEAVERはずっとピアノを中心としたサウンドだったんですけど、(ライヴの)お客さんの沸点を上げるために何ができるだろうと考えたときに、シンセのサウンドにアプローチをし始めて。日本のシーンではまだ少ないですから。

奥野 トリオで演奏していると、どうにかして隙間を埋めようとするし、フレージングの幅も広がっていくんです。それはそれでいいことなんですけど、そこにシンセを取り入れることでシンプルなリズムに徹することもできて。より洗練されたアレンジにもトライできるし、すごく新鮮なんです。

杉本 3人だけでは絶対に出せないグルーヴが生まれるというか。もう4年前になりますけど、ロンドンに留学させてもらったときの経験も大きいですね。そこで世界的に流行していたダンスミュージックに触れたり、向こうの人たちの音楽の楽しみ方にもすごく惹かれて。がむしゃらに3つの音だけでやってきましたけど、「もっと自由にサウンドの幅を広げてもいいんじゃないか」と思えたというか。

河邉徹 そうだね。最近のライヴではいろんなシーンを見せることができているんです。3人だけの音で見せる場面もあるし、そこにシンセを取り入れたダンスミュージックも加わって。ひとつのショーの中で幅広い音楽を楽しんでもらえていると思います。

奥野翔太(Bass & Chorus)

「Another World」はEPのタイトル「A/W」ともリンクしていますが……。

杉本 はい。“A”と“W”縛りのワードですね(笑)。

河邉 それが、意外と大変でした(笑)。歌詞のテーマとしては……社会人も学生もそうだと思うんですけど、僕たちは「自分が生きている世界がすべて」と思いがちじゃないですか。自分の周りしか見えてないと、その場所がつらくなったときに「もう生きていけない」という気持ちになったり。でも、ホントはそうじゃないんですよね。ちょっと手を伸ばせば別の世界が広がっているし、違う価値観とも出会える。そんなことを伝えたかったんです。

特に学生のときはそうかもしれないですね。どうしても視野が狭くなるというか。

河邉 そうですね。学校の中で受け入れられなかったら「もう終わりだ」って。本当はそんなはずないんですけどね。

河邉徹(Drums & Chorus)

WEAVERというバンドも、つねに外の世界に目を向けようとしているイメージがあります。

杉本 そうかもしれないですね。バンドのスタイル的にもほかにはなかったし、似たバンドがなかったからこそ、つねにアンテナを張っていたというか。いろんなトライを重ねるなかで「自分たちで新しいシーンを作れたらいいな」という気持ちも持てるようになりましたし。

奥野 でも、見本になるバンドがいないことがコンプレックスに繋がっていた時期もあったんです。「ギターバンドには敵わない」と思ったこともあったし……。そのなかでもがきながら、自分たちらしさを見つけて。今は「WEAVERにしかできない音楽をやっている」という自信もあります。

2曲目の「だから僕は僕を手放す」はエモーショナルなメロディが印象的なアッパーチューン。

杉本 アニメ(『サクラダリセット』)の原作を読んだときのインスピレーションがもとになっている曲です。もちろんそれだけではなくて、今のWEAVERの意志も込めています。さっきの話と逆で、自分たちの内側にこもって「今、持っているものを守りたい」と思っていた時期もあったんです。でも、それでは前に進めないし、新しいものも生まれない。自分たちの想像を超えてさらに進むためには、もともと持っているものを手放す必要もあるんじゃないかなって。

奥野 一歩踏み出さなくちゃいけないタイミングって誰にでもあると思うんです。まだ29歳だし、いろいろチャレンジしないと。例えば、いままで興味が持てなかった音楽を掘ってみて「ここは面白いな」と思った部分をWEAVERに混ぜてみるとか。