LIVE SHUTTLE  vol. 189

Report

SuGの10年の歴史が、奇跡を起こした、武道館。7000人が歓喜したステージの模様を報告。そして“無期限活動休止”へ

SuGの10年の歴史が、奇跡を起こした、武道館。7000人が歓喜したステージの模様を報告。そして“無期限活動休止”へ

SuG 10th Anniversary「HEAVY POSITIVE ROCK」
2017年9月2日 日本武道館

活動10周年目にして、一つの目標であった武道館という場所でのライヴを成功させたSuG。
しかし。その夢の達成の場が、SuGというバンドのラストライヴとなったのだ。最後とは思えない勢いと、SuGというバンドが求められていることを実感させられた、熱量の高いその現実は、美しくも、あまりに悔しい瞬間であった。

“無期限活動休止”の発表が7月31日にオフィシャルのホームページにて告知されてから、彼らは武道館に向けて我武者らにライヴを続け、最期の時へと向かったのだ。そこに向かうまでの彼らの想いと、彼らを支え続けたファンたちの気持ちを考えると、こうして原稿を書いている今も、とても複雑な感情が込み上げてくる。

予定時刻から30分押しでスタートしたこの日、5人はSEをバックに中央から揃ってステージに姿を現した。

武道館のステージに立った彼らをオーディエンスは大きな歓声で迎い入れた。
1曲目は「AGAKU」。
“ぼくらは綱渡りだった 傷だらけだった そして未来もそうであれ”
体をリズムに預けたくなるリズミックな楽曲に、SuGの今の想いが詰め込まれた歌詞が乗る最新シングル「AGAKU」は、まさしく、この場所で1曲目に響かせたかった楽曲に違いない。

「狂おうぜ! 武道館!」(武瑠)

武瑠は曲終わりにそう叫んだ。その言葉もまた、ファンはもちろん、自分たち自身に向けられた言葉であった様に思った。彼らは、この曲でここから始まる武道館との戦いに宣戦布告すると、masatoの激しいギターリフから幕を開ける「HELLYEAH」でそこに漂う空気感を一変させた。下手を担うyujiもステージ前方に出向いて挑発的なプレイを届け、Chiyuは全身の力を込めたデスボイスで煽りを差し込んでいく。オーディエンスは、shinpeiの叩き出すバスのリズムに右手を掲げながらジャンプし、時おりクラップを加えながらその曲を全身で楽しんだ。

「いけるよな?」(武瑠)

間髪入れずに届けられていったのは「不完全 Beautyfool Days」。SuG純度100%のサビを持つこの曲で、武瑠、masato、yuji、Chiyuはステージに散らばり、オーディエンスを煽った。

「去年5月、俺たちSuGは武道館という無謀な挑戦をしました。そのときから伝えていたのは、結成したとき15人しか動員がなかった俺たちが、初のワンマンで目黒鹿鳴館をやったとき、半年で300人を集めてソールドさせるという奇跡を起こした。武道館は、その奇跡を、もう一度起こすだけだと言ってきました。そして今日、ここに7000人が集まっています。SuGの10年の歴史が、奇跡を起こしました! でも、会場が変わってもやることは一緒。遊ぼうぜっ!」(武瑠)

武瑠は、飾らない言葉で、SuGの始まりと、この武道館への想いを完結にまとめ、この日をただただ無理矢理前向きに楽しもうと、オーディエンスに伝えたのだった。

ここからは、100人のダンサーと共に、「Toy Soldier」「小悪魔 Sparkling」「B.A.B.Y.」「無限Styles」といった、一聴してSuGだと分かる“SuGならではの個性”を感じるキャッチーなダンスチューンでSHOW要素の強いライヴを届けた。このブロックは、10年という長いようで短い歴史の中で、一聴してSuGだと分かる個性を確立させた彼らの独自の音楽性を、改めて素晴しいと感じた瞬間でもあった。

「この場所で、心を込め、心を削って、心を引っ掻いて書いた曲を歌えるのは幸せだなと思います」(武瑠)

そんな武瑠の一言を挟み、曲は「桜雨」へと繋げられた。ステージ後ろのヴィジョンに映し出されたのは、「桜雨」のミュージックビデオだ。“現代のシド&ナンシー”をテーマに武瑠が監督を務めた映画の様なその映像は、切なくも愛しいメロディの「桜雨」を届ける5人をそっと包み込んでいるように見えた。この曲で歌われる“二人ぼっち”というワードは、一人ぼっちよりも孤独を感じるのはどうしてだろう———?

情景を一変し、8本の松明の明かりの中で届けられた「無条件幸福論」。この歌詞にも、やはり心を掻きむしられるものがある。“今”を“ここで”と読ませるワード使いは、武瑠の人生観であり、SuGならではの表現方法と言えるだろう。武瑠が心を削って吐き出す言葉は、masato、yuji、Chiyu、shinpeiが創り出すサウンドの中でとても強く、時にとても寂しげに響く。キラキラとした前向きなパブリックイメージを持つ彼らだが、私は、そんな彼らの中に、常に寂しさと葛藤が見え隠れする刹那を感じてきた。いや、キラキラとした前向きなパブリックイメージだったからこそ、より強くそう感じていたのかもしれない。そう感じたのはきっと、彼らが届けてきた曲は切なげなバラードだけでなく、そのすべてが【心を込め、心を削って、心を引っ掻いて書いた曲】だったからだろう。

中盤にダンサーを交えたバンドセッションを設け、Chiyu がサックスのソロを披露すると、そこからは、“ロック”というジャンルに縛られることのない「sweeToxic」「契約彼女、生贄彼氏」「FRIDAY!!」などで客席をダンスフロアへと変えていった。

後半戦へと繋げられる前のMCで、メンバーはそれぞれイヤモニを外し、オーディエンスの歓声の大きさを確認する場面もあった。ここでは、武道館を発表した時に、周りから“SuGが武道館!? 入って3,000でしょ”と言われた時の赤裸々な心情をあかし、改めてこの日ここに集まってくれた7,000人のオーディエンスに“ありがとう”を伝えたのだった。

そして。ライヴ後半には、インディーズ時代の初期ナンバーを含むメドレーでSuGの10年を振り返った。楽曲が移り変わる度に、大きな歓声を上げ、SuGと共に歩んだ10年に声を重ねていたオーディエンスの姿を、きっと彼らは忘れることはないだろう。

「dot.0」から始まったアンコールでは、1人1人がMCで想いを伝えた。
実感が沸かないと言いながらも、涙を堪え、この日、こんなにも素敵な景色を作ってくれたみんなに感謝していると、何度も何度も“幸せ”という言葉を繰り返していたshinpei。無期限活動休止という選択に対し、“ごめんね”ではなく“ありがとう”という言葉で伝えたいと言い、深く深く頭を下げ、この先もずっとSuGという名前を守っていきたいと伝えたChiyu。“みんなに3つ伝えたいことがある”と言い、1つ目にみんなへの感謝をのべ、2つ目に、やり残したことも思い残すこともないとのべ、3つ目に“SuGがあったからこそ出来た繋がりを大事にしてほしい”と伝えたyuji。10年やってきた中で、たくさんの人に愛してもらえたことを本当に幸せに思うとしながらも、笑顔を見せることなく、SuGの活動が止まることをただただ悔しいと語ったmasato。一瞬一瞬が愛しくてたまらないと言い、SuGを守れなかったことをファンに謝罪し、涙した武瑠。武瑠は、“弱いから泣くんじゃなくて、大事だから泣くんだと思います”と、その涙の意味をオーディエンスに伝えた。

SuGの音がライヴで聴けなくなる日が来るなど想像したこともなかった。当たり前に、この先もずっと在り続けるモノだと思っていた。しかしこの日、この世に永遠などないということを改めて悟った気がした。世の中のすべては永遠でないからこそ、だからこそ、こんなにも美しく輝くことが出来るのだと。

彼らは、最後にメンバー5人で初めて作ったという「Smell Like Virgin Sprits」を届けてステージを後にしたのだが、鳴り止まぬアンコールの声に再びステージに登場し、ラストに「ときどきすてきなこのせかい」を贈ったのだった。これが彼らからの最期のメッセージ。

この曲の最後に歌われる“命の限りに 幸せにするぜ”というフレーズが心に染み付いた。彼らと彼らを支えてきたファンは、ときどきすてきなこの世界で、SuGというとても大きな幸せに出逢えたことで、生きる意味の素敵さを知ることができたに違いない。

2017年9月2日20時35分。
SuGというバンドは、その歴史に幕を引いた。
“こんなバンドになりたい!”という確固たる想いもないまま、とにかく、込み上げる感情に突き動かされるままに突っ走ってきた先にあったこの景色。この日、彼らはその景色に、何を誓ったのだろう?

泣き顔で笑う5人は、この先、それぞれの道を歩むことになる。この日を境に音楽を辞めるというyuji以外は音楽を続けていくと言う。この景色に誓った5人の想いが、この先、どんな形で輝いていくのか、実に楽しみなところである。

文 / 武市尚子

SuG 10th Anniversary「HEAVY POSITIVE ROCK」
2017年9月2日 日本武道館
セットリスト

1. AGAKU
2. HELLYEAH
3. 不完全Beautyfool Days
4. Toy Soldier
5. 小悪魔Sparkling
6. B.A.B.Y.
7. 無限Styles
8. 桜雨
9. 無条件幸福論
10. Howling Magic
11. セッション
12. sweeToxic
13. 契約彼女、生贄彼氏
14. FRIDAY!!

15. gr8 story
16. ☆ギミギミ☆
17. SICK’S
18. mad$hip
19. 10th ANNIVERSARY MEDLEY
〜Alterna.
〜俺式Continue
〜R.P.G. -Rockin’ Playing Game
〜Vi-Vi-Vi
〜武士道 -bushido- FREAKY
〜Fast Food Hunters
〜Crazy Bunny Coaster
20. 39GalaxyZ
<ENCORE1>
1. dot.0
2. teenAge dream
3. CRY OUT
4. Smells Like Virgin Spirit
<ENCORE2>
1. LOVE SCREAM PARTY
2. ときどきすてきなこのせかい

SuG

雑多な音楽性やファッションを独自の感覚でミックス、その鮮烈なサウンドやヴィジュアルで異彩を放つロックバンド SuG。Vo. 武瑠、Gt.masato、Gt. yuji、Ba. Chiyu、Dr. shinpei からなる5人組。
いわゆるヴィジュアル系としてそのキャリアをスタートさせるも、そうした括りに縛られることなく、むしろそのパブリックイメージをことごとく 裏切っていく。白人音楽(メタルやゴシックロック)の系譜に連なるヴィジュアル系にありながら、それらに加えてヒップホップやファンクなどの 黒人音楽の要素をも取り入れ、またファッションやアートワークにおいてもヒップホップやスケーターカルチャーなどのストリートテイストを大胆 にミックスし、デビュー以来シーンの “異端児” として賛否を巻き起こすとともに、シーンやジャンルを超えて多大な支持を獲得してきた。

オフィシャルサイトhttps://sug-web.jp/

vol.188
vol.189
vol.190