Interview

バラエティーでみせる飾らない発言が好印象の青山テルマ。 10周年記念アルバムに込めた想いとは。

バラエティーでみせる飾らない発言が好印象の青山テルマ。 10周年記念アルバムに込めた想いとは。

2007年9月5日リリースシングル「ONE WAY」でデビュー10周年を迎えた青山テルマ。現在は、音楽活動以外にも、バラエティ番組に出演を重ね、その飾らないパーソナリティに幅広い世代からの共感を呼んでいる。 そのテルマ自身が、10年に想いを込めて制作されたアニバーサリー・オリジナル・アルバムが発売された。
同世代のアーティストが続々とデビューするなかで、焦りを感じていたという10年前。今は、キャリアを重ね、自分と向き合うことで、周りを客観的にみられるようになったという。
自分をさらけ出して向き合ったアルバムには、ありのままの青山テルマが存在している。

取材・文 / 土屋恵介 撮影 / コザイリサ

自分で作り上げた決め事とかが、全部解けた感じがします

デビュー10周年を迎えたテルマさんのニューアルバム『10TH DIARY』ですが、今回どんなテーマで制作していったんですか。

いつもテーマとかは先に決めるんですけど、自分が想像してるものとは全然真逆なものができたりするんです。今回は、最初、10周年だしこれまでの10年を語るディープなものにしようって気持ちで作り始めたんですけど、1曲ずつ作っていくうちに、すごくライトな曲やノリで作った曲もあったりして、気づいたら失恋曲、ザ・J-POPなバラードが1曲しかなかったんですよ。それよりも友情とかを歌ってたり、自分が想像した以上に前向きなアルバムになったんです。歌詞も音的にもシンプルなものが増えましたね。今の自分をありのまま詰め込んだ作品になったなって。

素の自分からの言葉、音楽って感じですね。

そうなんです。言葉使いも会話っぽいし。今まではこういう言葉を使っちゃいけないとか、もっとリリカルな感じで攻めなきゃとか、自分のスタンスがあったんです。でも、すごくフランクでパーソナルで自分らしさが散りばめられてる感じがします。

なぜ、そういう作品になったと思いますか?

去年からバラエティーに出させていただいたのも影響してるかなって。昔よりも、普段の自分とアーティスト像がより近くなったというか。私、もともと自分の中での決め事とか、自分が理想とするアーティスト像をかなり強く持ってたんです。だけど、音楽だけじゃなく、いろんなメディアを通して、より私のことを知っていただく機会が増えてどこか吹っ切れたというか。あと、10年経つと、いい意味でプライドとかエゴとかなくなるんですよ。なんでもオッケーみたいな(笑)。自分で作り上げた決め事とかが、全部解けた感じがしますね。それが、今回のアルバムにつながったのかなって。

なるほど。ではリード曲「一生仲間」についてですが、まさにタイトル通り友情を歌った曲ですね。

私は、恋愛のことを歌ってきた印象が強いと思うんですけど、誰でも友だちがいて仲間がいてっていう曲って聴いてて楽しいなと思ったんです。それで、リラックスした感じで書いていきました。言葉もかっこいいことを言ってないし、何があっても笑っていこうぜ!みたいな、聴いてテンションが上がる曲を作りたかったんです。ライブでみんなでも聴けるし、ひとり家で聴いてうれしい気持ちになったり、そういうものができたと思います。

友だちや仲間って、自分を助けてくれる存在でもありますよね。

そうそう。悲しいとき、苦しんでるときに、スタッフや親とかに話せないことはやっぱり仲間に話したりするし。逆に、自分もそういう存在でいたいなって。あと10年やってると、ファンも仲間の一員みたいな感覚があるんですよ。最近は、みんなとSNSでより近く感じられる存在になってるし。そういう意味では、ファンも仲間って意識で作りました。

では、個人的に印象深い曲を挙げるとすると?

今イチ押しは「なんだかんだ」です。一番最後に書いた曲なんです。すごい素直に書いたし、すぐできたんです。口ずさんで、歌詞とメロディが出て来たって感じでした。

「なんだかんだ」は、周りの目よりも自分の信じるものを大切にしようという思いを歌った、アルバムのラストを締めくくるアコースティックチューンですね。

前までだったら、“大丈夫”とかシンプルな言葉を、よりリリカルにしようと考えてたんですけど、全然飾らずに書けたんですよね。自分で書いたのに、それを聴いて勇気づけられるというか(笑)。そうだよねって自分で納得しちゃうので好きですね。

アルバムは、まさに10年やって来た今のタイミングだからこそできた作品って感じですね。

そうですね。10周年だし、自分の本性もいろんなところで出してるし(笑)。もちろん制作期間は悩んだりしたけど、すごいリラックスしてピュアな気持ちを素直に書けた曲が多いです。歌詞も音も、削られて削られて引き算がされたアルバムだなって。きっと、足して足してっていう時期は、それだけ不安だったり、自分の決め事だったりが多いからなんですよ。そういうのは全部削られた感があるし、飾らなくてよくなった楽さはありましたね。いい意味で、変にがんばらないことが自分らしかったんだなって、10年経って思うところはありましたね。

私より先に身内がデビューしていくのを見て焦りを感じてたんです

アルバムを作っていくことで、改めて今の自分に気づけたと。

そうですね。アルバム作りは毎回チャレンジだし、毎回反省だし。私のCDを作るときのベースは、自分の子供とか孫とかに聴かせて、かっこいいじゃんって言われたいなっていうのが根本的にあるんです。10年後にまた自分が聴いたときに、ちゃんとかっこいいもの作ったな、自分が納得したもの作ってたなって思いたい。周りがどうのより、自分がいいと思うものを提供していきたいなというのは強く思ってます。

潔いですね。では、デビュー10周年の話題に移りましょう。2007年9月にシングル「ONE WAY」でメジャーデビューしたテルマさんですが、デビュー当時はどういう気持ちだったのかを聞かせてください。

デビューしたのは19歳のときだったんですけど、まず、10代で絶対デビューしたいって気持ちが強かったんです。

それはどうしてですか。

周りの、AIちゃん、(加藤)ミリヤ、MAY J、JYONGRIとか、私より先に身内がデビューしていくのを見て焦りを感じてたんです。10代にデビューできなかったらダメだなって思ってました。だから、19歳でデビューできたときはめちゃくちゃうれしかったですね。しかも、絶対売れるって根拠のない自信を持ってました(笑)。きっと、デビューした頃って誰もがトントントンって行けるかなってイメージを持ってると思うんです。だけど、現実はそんなにあまくはなくて。私は、セカンドシングル「そばにいるね」があったのでとんとん拍子に見えるけど、それまでの過程が長かったので自分ではそう思えなくて。逆に、やっとかって思ったくらい大変でした。

SoulJaさんの「ここにいるよ feat.青山テルマ」を挟んで、2008年1月に「そばにいるね feat. SoulJa」が大ヒットとなりました。

「ここにいるよ」は、デモが来た段階で、これは売れる!って、自分でわかってたんです。だから早く出そうってずっと言ってたんですよ(笑)。でも、スタッフもタイミングを見てたんです。
で、「ここにいるよ」が世に出てパッとなって、やっぱ来たわって。私の中では、あんなにいい曲がヒットしないわけがないと思ってたし、びっくりじゃなく想定内って感じでした。それのアンサーソングとして、「そばにいるね」を出させてもらって大ヒットになって。リリースのタイミングがすごくよかったのもありますね。当時、着メロってものがノリに乗ってた時期だったし。

ありましたね、着メロ時代。

着うた、着メロとかまだガラケーの時代で。みんながスマホを持つちょっと前だったから、CDを買うギリギリの時代だったんですよ。そういう意味では、「そばにいるね」はタイミング的にはバッチリでしたね。2008年の1時代を作れた曲なので。そこから、アンサーソングだったり、フィーチャリング、遠距離恋愛ソングとか、着うたを意識して作る曲がすごく増えたんですよ。あの頃は新人が出てきて、今も一線で走ってる人ってすごく多いんです。そういう意味では、まだ夢があった時期かなって思いますね。「そばにいるね」が、“日本で最も売れた着うたフル楽曲”としてギネスに認定されたりとか。時代背景で、曲が活かされた感はすごくあるなって。

自分も何をしようと、やり続ければ自分の居場所はあるなって感覚です

2008年は紅白にも出場しましたね。では、10年やって来た中で自分の変化した部分は?

さっきも言ったけど、プライドもエゴもないし、腰が低くなったというか(笑)。昔の方がツンツンしてました。周りに女性アーティストも多かったし、自分もがんばらなきゃ、追い越されたくないって気持ちもあったし。もう10年経って、今年30歳になるんですけど、あまり焦るというよりも、自分がいいと思ったものをやることを大事にしたりとか。あと10年やってきて思うのは、ずっとマラソンしてる感覚がしますね。順位も入れ替わるし、振り返ると、昔一緒にやってたあの子歌やめたんだとか、そういうのも切なくて。だから、最近は10年やり続けたことの意味をすごく大事に思います。今では、みんなアーティスト全員でマブダチになればいいのにって思うようになりました。

アーティスト全員でマブダチになるっていいですね。

もちろんライバル意識を持つのは大事だし、トンがるのも必要な時期はあるし。だけど、音楽業界が元気ない分、アーティストがみんなで超盛り上がれたらもっと最高なのになっては思いますね。変わったとしたら、そういう部分ですね。

昔はバチバチ感が強かった?

っていうか、自分の中の焦りですね。隣の芝生は青く見えるみたいな感じで、もしかしたら自分も側から見たら羨ましがられる環境なのに、やっぱり焦ってるから、あのステージ立ちたい、あの服着たいとか、そういうのが目に入りやすい年頃じゃないですか。ギスギスってよりも、羨ましいって気持ちはあったんです。でも今はそういう気持ちも全くないですね。誰に対しても。私は私、彼女は彼女、あいつはあいつって。アーティストしても、プライベートもそうだし。

周りをフラットに見れるようになったんですね。

そう。よく椅子取りゲームっていうけど、みんな席あるじゃんって思うようになりました。みんな自分の席があって、それに気づくか気づかないかだけの違いで。だから他人の椅子を取ろうと思っても、自分も椅子もあるんだからそこ座ってろよって気持ちになれました(笑)。自分も何をしようと、やり続ければ自分の居場所はあるなって感覚ですね。

自分の中でそれに気づけたきっかけってありますか。

それは、たぶん年齢じゃないですかね。客観的に自分のことを見れるようになったのは、ここ3年くらいかな。27〜28歳くらいだと思います。人間って、自分が大事なものってなんだろう?というのがどんどんシフトしていくと思うんですよ。特に女性アーティストって、家族を持つと人生変わっちゃうので。そこを優先する人もいれば、それがあっても音楽を続ける人もいるし。どちらがいい悪いじゃなくね。そうやって、自分の大事なものへのスタンスが変わってきました。他人の目が怖くなくなってくるんですよね。昔は、受け入れられたい、認められたい、なめられたくないって気持ちもあったけど。今は、自分や周りの人がハッピーだったらそれでいいなって。そういう年頃なんでしょうね。だって29歳にもなって、あいつマジぶっとばしってえとか言ってたらヤバいし、お前落ち着けって感じじゃないですか(笑)。

そりゃそうですよね(笑)。

だから年齢もあると思う。20代前半だと、大学生だったり同年代とかともつるんでたけど、今は学校もないしつるむのも大人が多いし。自分がどういう環境にしたいか、自分で選べるじゃないですか。自分の環境作りをよりスマートにできるようになると、人ってあまり他人が気にならなくなるんだなって。