2017年 第74回ヴェネチア国際映画祭レポート  vol. 8

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【ヴェネチア国際映画祭レポ】福山雅治×ジョン・ウー、フリードキンの新作ほかコンペ以外にも話題作が続々!

【ヴェネチア国際映画祭レポ】福山雅治×ジョン・ウー、フリードキンの新作ほかコンペ以外にも話題作が続々!

フランスのカンヌ、ドイツのベルリンと並ぶ世界三大映画祭の1つ『ヴェネチア国際映画祭』が開幕。最優秀賞の「金獅子賞」を競うコンペティション部門21作品の中に、日本からは是枝裕和監督の「三度目の殺人」がノミネートされていたり、クロージング作品として北野武監督の最新作「アウトレイジ最終章」が上映されたりと日本作品の話題も多い。そんなヴェネチア国際映画祭の現地レポートを随時お伝えしていきます。

取材・文 / 立田敦子


コンペティション部門以外にも多くの新作が上映される映画祭。今年は、巨匠の話題作が豊富だった。

Victoria & Abdul 3© Focus Features

ジャガー・ルクルート賞を受賞した英国の巨匠スティーヴン・フリアーズの『ヴィクトリア・アンド・アブドゥル』である。フリアーズは、カンヌ、ベルリンなどの国際映画祭の常連だが、ヴェネチアではダイアナ元妃の交通事故死の際の英国王室の内部を描いた『クイーン』(06年)で脚本賞と女優賞(ヘレン・ミレン)を受賞するなど所縁も深い。
『ヴィクトリア・アンド・アブドゥル』は、19世紀末の英国王室を舞台にヴィクトリア女王と女王に使えたインド人のうちアブドゥル・カリムとの交流を描く。人間の心の機微を描ききるフリアーズらしい巧みな演出が光る1本だ。

Victoria & Abdul – director Stephen Frears 1 © Focus Features

The Devil and Father Amorth

『ザ・デビル・アンド・ファーザー・アモス』は、オカルトブームを巻き起こした悪魔祓いをテーマにした大ヒット作『エクソシスト』(73年)ウィリアム・フリードキンが手がけたドキュメンタリー。90歳を超え、今も悪魔祓いを続けるガブリエル・アモス神父の活動を追う。半世紀近く今も、“悪魔祓い”を探求し続けているフリードキンの情熱に感動する。

The Devil and Father Amorth – director William Friedkin © Pat York

中国の巨匠ジョン・ウーの『追捕 MANHUNT(原題)』は、邦画の『君よ憤怒の河を渉れ』(76年)のリメイクである。『君よ〜』は、文化大革命後に初めて中国で公開された外国語映画で、大ヒットしたという。当時、この作品を受けたジョン・ウー監督は、高倉健が演じた杜丘検事をチャン・ハンユーが弁護士役に設定を変え演じ、原田芳雄が演じた刑事を福山雅治が演じている。
基本のストーリーライン以外は、時代も場所も変更され、作品は、ジョン・ウーらしいアクション・エンターテイメントに仕上がっている。

Zhuibu (Manhunt) – director John Woo on set

また、サイドバーのオリゾンティ部門には、五十嵐耕平、ダミアン・マニヴェル共同監督の『泳ぎすぎた夜』が選出された。

La nuit où j’ai nagé – Oyogisugita yoru – director 五十嵐耕平

La nuit où j’ai nagé – Oyogisugita yoru – director Damien Manivel

小学生の少年が、魚市場で働く父親に自分の描いた絵を見せるため雪道を行く1日が描かれる。青森県の弘前が舞台だが、主演は、プロの俳優ではなく青森在住の少年が選ばれ、その家族も出演している。
五十嵐監督は、東京造形大学卒業後、東京藝術大学大学院映像研究科映画専攻監督領域修了。『息を殺して』が上映された第67回ロカルノ国際映画祭でマニヴェル監督と出会い、今回の共同監督につながったという。

La nuit où j’ai nagé – Oyogisugita yoru

『泳ぎすぎた夜』は受賞は逃したものの評判は上々。ロカルノに続いてヴェネチアというプレステージの高い国際映画祭での上映によって、確実に世界にその名が広まっていることは間違いない。
日本公開は、2018年、シアターイメージフォーラムほかにて。

アイキャッチ画像:Zhuibu (追捕 MANHUNT【原題】)

© La Biennale di Venezia – foto ASAC

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