2017年 第74回ヴェネチア国際映画祭レポート  vol. 9

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【ヴェネチア国際映画祭レポ】金獅子賞から20年、北野武監督「ヴェネチアへの感謝は忘れない」

【ヴェネチア国際映画祭レポ】金獅子賞から20年、北野武監督「ヴェネチアへの感謝は忘れない」

フランスのカンヌ、ドイツのベルリンと並ぶ世界三大映画祭の1つ『ヴェネチア国際映画祭』が開幕。最優秀賞の「金獅子賞」を競うコンペティション部門21作品の中に、日本からは是枝裕和監督の「三度目の殺人」がノミネートされていたり、クロージング作品として北野武監督の最新作「アウトレイジ 最終章」が上映されたりと日本作品の話題も多い。そんなヴェネチア国際映画祭の現地レポートを随時お伝えしていきます。

取材・文 / 立田敦子


映画祭最終日の9月9日(土)、北野武監督の『アウトレイジ 最終章』がクロージング作品として登場。夜の公式上映に先立って行われた記者会見に、北野監督、森昌行プロデューサーが登壇した。

2017.9.9_Press conference Outrage Coda – Film delegation © La Biennale di Venezia – foto ASAC

20年前、第54回ヴェネチア映画祭で『HANA-BI』で金獅子賞(最高作品賞)を受賞し、世界的監督としての地位を確立した思い出深い地だ。“キタニスト“といわれる熱狂的なファンも多い。
記者から「監督にとってのヴェネチア映画祭とは?」という質問には、「『HANA-BI』の前も、いくつか映画を撮っていたが、日本ではほとんど評価されず、ダメな監督だと思われていた。交通事故を起こしたこともあり、日本のエンタテイメント界ではもう終わりだと言われたりもした。どん底だった。その後、ヴェネチア映画祭で立派な賞をいただいたことで、認められ、日本のエンタテイメント界での地位も一気に戻ったようなところがある。ヴェネチア映画祭は、自分のキャリアの中では絶対に忘れることのできない“事件”であり、今も感謝している。ヴェネチア(映画祭)には9回も来ているけれど、毎回、それを思い出している」と想いを語った。

2017.9.9_Press conference Outrage Coda – Takeshi Kitano © La Biennale di Venezia – foto ASAC

 

三部作の最終章である『アウトレイジ 最終章』は、デビュー以来、繰り返し北野監督が描いてきたヤクザの世界を舞台にしているが、「世界情勢もあって、以前のような拳銃が出てくるようなエンタテイメントのバイオレンスは受け入れられにくい。今回は、ヤクザの世界を描いているが、普通の企業の構造と似ていて、(主人公の)大友は、いってみれば古いタイプのサラリーマンだ」と語った。

Outrage Coda ©2017『アウトレイジ 最終章』製作委員会

また、「三部作を終え、次はどこへ向かうのか?」との問いには、9 月に出版される自身の小説を基にしたラブストーリーの映画化を準備中と明かした。「自分で映画化すれば、よくあるような小説と映画作品の世界観が違うことがないから」と語った。
70歳を迎え、さらには「新たなる挑戦」に意欲的であることを明言した。

授賞式に続いて21時からメイン会場であるサラ・グランデで行われた上映はほぼ満席。外国人には伝わりにくい北野流のジョークにも笑いが起こるなど、北野映画がヴェネチアに浸透していることを伺わせた。
上映後、北野監督は、「クロージング作品に選ばれるなんて栄誉なことといわれたけど、最後の夜に上映だなんて、(客席が)ガラガラじゃないかと心配したよ。でも、チケットは全部売れたっていうし、観客も入っていたから安心した」とコメント。北野ファンが上映にも駆けつけていたことを記者から問われると、「嬉しいけど、ちょっとプレッシャーもある。大丈夫かな、ウケているかな、って顔を見ちゃうところもある。でもどこの映画祭でも初めて観せるときは緊張するね」と本音を垣間見せた。

Outrage Coda – director Takeshi Kitano

『アウトレイジ 最終章』は、10月7日より日本公開。

映画『アウトレイジ 最終章』

2017年10月7日公開

監督・脚本・編集:北野 武
出演:ビートたけし 西田敏行
大森南朋 ピエール瀧 松重 豊 大杉 漣 塩見三省
白竜 名高達男 光石 研 原田泰造 池内博之 津田寛治 金田時男 中村育二 岸部一徳
音楽:鈴木慶一
配給:ワーナー・ブラザース映画/オフィス北野

オフィシャルサイトoutrage-movie.jp

【STORY】
《関東【山王会】 vs関西【花菱会】》の巨大抗争後、大友(ビートたけし)は韓国に渡り、日韓を牛耳るフィクサー張会長(金田時男)の下にいた。そんな折、取引のため韓国滞在中の【花菱会】幹部・花田がトラブルを起こし、張会長の手下を殺してしまう。これをきっかけに、《国際的フィクサー【張グループ】 vs巨大暴力団組織【花菱会】》一触即発の状態に。激怒した大友は、全ての因縁に決着をつけるべく日本に戻ってくる。時を同じくして、その【花菱会】では卑劣な内紛が勃発していた……。

©2017『アウトレイジ 最終章』製作委員会


アイキャッチ画像:2017.9.9_Photocall – Outrage Coda – Takeshi Kitano – Masayuki Mori © La Biennale di Venezia – foto ASAC

© La Biennale di Venezia – foto ASAC

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