Interview

the peggiesが新作リリース。ボーカル北澤ゆうほが語る、女の子にしか書けない世界観とロックバンドにしか出せないカッコ良さ

the peggiesが新作リリース。ボーカル北澤ゆうほが語る、女の子にしか書けない世界観とロックバンドにしか出せないカッコ良さ

中学生の同級生によって結成された3人組のガールズロックバンド、the peggiesがメジャーデビュー作となった前作「ドリーミージューニー」から4ヶ月ぶりとなるニューシングル「BABY!」をリリースした。表題曲は、人生に一度しかない初恋の高揚と戸惑いを綴った胸キュンポップで、カップリングのミドルナンバー「ずっと」は別れ際の女の子の本音を描いたミドルテンポの失恋ソングになっている。共通しているのは、ともにラブソングだという点。バンドの全楽曲のソングライティングを務める北澤ゆうほ(Vo、Gt)に、メジャー2枚目にして、早くもロックバンドにしか出せないカッコ良さと、女の子にしか書けない世界観の融合を目指した理由を聞いた。

取材・文 / 永堀アツオ

みんなも楽しそうにしてくれるし、まだリリースしてないのが逆に不思議なくらいなんですけど

北澤ゆうほ(Guitar & Vocal)

メジャーデビュー日はメンバーと乾杯しました?

当日は渋谷TOWER RECORDでのインストアライブの後に、ラジオの出演があったので、後日、大阪のインストアが終わった後にめっちゃ飲みました(笑)。休日のインストアだったので、17時に始まって、19時にはもうはけてて。『こんなに早い時間から飲めるの最高だよね』って、一軒目で乾杯して。私はその一軒目の途中から記憶がなくて、はって気づいた時には、3人で違うお店でダーツしてて。そのあと、王将に行って、さんざん食べたくせに、餃子と皿うどんを頼んで、なんとか食べて。the peggies史に残る1日でしたね。次の日もライブだったんですけど、すごく健やかにできたので良かったです。

3人でどんな話をしたんですか?

基本的に、私たちは飲むと、3人がお互いに褒め合うんですよ。音楽の話は、音楽ファンに戻って、音楽がいかに最高かっていう話しかしなくて。あとは、私が『本当にまぁちゃん、可愛い』って、ずっと言ってたりとか。『ほんとに可愛いから一緒に写真撮ろう』って、メンバーの写真を撮ったり。二人も私のことを褒めてくれたり。3人の時はいっつも、誰も気分を害さない、ひたすら気分のいい飲み会ですね。

あははは。そして、新曲「BABY!」なんですが、インストや各地キャンペーンが終わった6月から始まったツアーの初日からもうやってましたね。

7本回って、ちゃんとファイナルのリキッドに向けて持っていけた感がありました。緊張して、新曲っぽい感じの演奏にならずに、いい意味で新曲らしくない、ちゃんと落ち着いて、自分たちの演奏でできる状態に持ってくことができた。今もライブの一番最後にやっても盛り上がるし、みんなも楽しそうにしてくれるし、まだリリースしてないのが逆に不思議なくらいなんですけど。

石渡マキコ(Bass)

大貫みく(Drums)

カッコいいって、女子らしくいても表現できるだろうなっていうことに気づいたんですよね

リキッドのMCでは「かっこいいだけじゃなく、かわいいthe peggiesも見せていきたい」と言ってましたが、それがまさにこの曲で具現化できてるなと感じました。

うん、この曲でできたっていう手応えは感じてますね。さらに、自分自身の殻とか変なプライドを打破できたところもあります。

その殻やプライドというのは?

やっぱり女の子のバンドマンって、どうしてもカッコいいって言われたかったり、可愛いって言われることに対する抵抗があると思うんですよ。なんでかというと、バンドはカッコいいから好きになるからで、カッコいいっていうのは男らしくいることだっていう謎の方程式に縛られてたところがあって。でも、カッコいいって、女子らしくいても表現できるだろうなっていうことに気づいたんですよね。それに挑戦してみたいなっていう気持ちで作ったんですけど、やるんだったら振り切ろうと思って。中途半端に大人びた歌詞とか、性格上での男らしさを入れず、120パーセント女子に振り切れてやろう! と思って作ったんですけど、その気持ちになるまでが時間がかかりました。

時間がかかったのはどうしてでした?

最初にワンコーラス作った時は、作ったはいいけど、全然自分っぽくないなと思って。自分で作った曲なのに、うまく向き合えずに、自分で認められなかったんですよね。でも、メンバーが「新しいゆうほだと思うし、聴き手として聞いて、キュンキュンしたし、好きだよ」って言ってくれて。最初はえーって思ったんだけど、ずっと言ってくれて。歌詞を自分の感覚に近い感じで書き直したりしたんだけど、結局、違う気がして。改めて、最初の歌詞を見たら、いいじゃん、これって思えて。……なんだろ、自分じゃないなって思っても、なんだかんだ自分らしくなると思うんですよ。この声と、3人の空気感と、the peggiesでやれば、結局はthe peggiesらしくなるんだから、変にそこで自分らしさみたいなのを自分で勝手に決めて、そこに留まるのはどうだろうっていう風に思い直す、大きなきっかけとなって。その必要ないなって思って。せっかくできることがあるなら、挑戦してみたいし、飛び込んでみたい。新しい自分がまだいるんだったら、どんどん自分で発見して、自分の意思で新しい自分を表現していこうっていう気持ちになって。だから、リリースに至るまではいろんな道のりがあって、気持ちが落ち着くまではそわそわしてましたね。

女子ならではの感覚みたいなものを今まで無理に隠していたところがあって

自分らしくはない、新しい自分が出てきた感じ?

そうですね。根本にずっとあったんだけど、隠していた部分が出せたんだろうなって思います。「BABY!」の主人公とは全然違う性格だけど、こういう主人公の少女漫画とか映画とかが大好きだし、胸キュンもの好きだし。そういうところでは重なる部分があるんだけど、女子ならではの感覚みたいなものを今まで無理に隠していたところがあって。それを、隠さなくていいやっていう意味で、さらけ出したっていう意味での新しい自分なのかなって思ってます。

そもそも歌声自体に、聴き手を胸キュンさせる可愛らしさがありますからね。

「カッコいい声ですね」って言われる声ではないっていうのは気づいているのに、「可愛いって言われたくない」ってやってることへの違和感をだんだんと自分でも感じてきて。この声だからこそ伝わるものが、絶対にあるんだろうなっていうのに気づいて。「BABY!」は私の声だからこそ、女子の気持ちなんだなっていうのが聴き手に伝わると思う。そういう意味では、やっと、自分の声に向き合えた感じですね。ただ、歌うときは、元気いっぱいに歌わないように意識しました。歌詞の世界観で十分、みずみずしさは出てるから、これ以上、そのエッセンスを加える必要はないなって思って。声を張って、元気一杯歌うと、ファンタジックになっちゃうかなと思ったし、ちゃんとみんなのリアリティに寄り添って、どこか心をくすぐれるようにっていう意味では、普段よりも歌い方を抑えて、歌ったりはしましたね。歌い手的にも新しい挑戦をしてます。

女子の恋心さえも自分でわかってないような初恋が一番ちゃんと、超女子が表現できるかなと思って、初恋をテーマにしました

今、あった“女子の気持ち”というのは、どんな気持ちですか?

イメージ的には共学に通う女子の初恋ですね。一度きりの、わちゃわちゃ感というか落ち着きのなさ。1回目の人生で初めての恋愛でをする。行き当たりばったりみたいなのが初恋の魅力だし、そういう恋って、回数を重ねたら、やりたくてもできないと思うんです。そういうのをちゃんと歌詞にできたらいいんじゃないかなっていう思いで描いてて。どうして初恋かっていうと、女の子に聞いて欲しいなっていうのがあったから。今までは、女の子に聞いてもらうためには、かっこ良くなきゃいけないんだろうなと思って、わざと女の子らしさを消してたんですけど、実は逆で。私の場合、どう頑張っても女子な人が女子を消そうとしても、男の人からは、それすらもなんか可愛らしくというか、頑張ってんなっていう感じに映っちゃってるんだっていうことに気づいて。だから、女の子に聞いて欲しいんだったら、「私たちも女の子で、同じ女の子の味方なんだよ」っていうことを伝えるために、歌詞の世界観から何から、女子になろうと思って。それが一番わかりやすいのって、大人の恋愛観よりは、男の人の気持ちなんて何も知らない、いっちゃえば、女子の恋心さえも自分でわかってないような初恋が一番ちゃんと、超女子が表現できるかなと思って、初恋をテーマにしました。

メンバー3人とも女子校ですよね。

そうです。さらに、私は小学校から女子校なんです。

でも、楽曲には好きな人と廊下をすれ違っただけでキュンとするやつがリアルに描かれてます。

それは、私の高校時代に培った少女漫画読破の経験ですね(笑)。女子校ってマジでみんな読んでるんですよ、少女漫画を。その経験自体が、私にとってはすごく青春だったし、少女漫画の存在って偉大だなって思って。実体験がない人でも、キュンキュンできて、ワクワクできてて、これいいなって思える。それは少女漫画ならではだなって思ってて。そういう経験があったので、世界観とか絵は浮かびました。リアリティー溢れる絵じゃないかもしれないですけど、女子校自体は、妄想しかすることないぐらい、ずっとみんな妄想をしてて。妄想シチュエーションの貯蓄を引っ張り出して、そこからさらに、詩を書く立場として、自分なりに変換したりはしました。でも、やっぱりちょっと難しかったですね。自分の中に、もともとリアルとしてないものを外に出すから。少女漫画で得たリアリティしか知らないので、果たして女子的に、これで正解なのかは不安なところもあったんですけど、メンバーは……幼稚園と小学校だけですけど共学経験者なので(笑)、そこはキュンとしたよって言ってくれたし、スタッフの人もいいよって言ってくれたので、自信を持てました。

「ずっと」は対照的で、自分の中にあるリアルを出して書きました

もう1曲の「ずっと」は失恋ソングになってますよね。しかも、「BABY!」で“君”と言ってた相手が“あなた”になってて。

そうです。だから、1曲目と2曲目でものすごく時が移動してます。「BABY!」が初恋だけど、「ずっと」は3、4回目の恋愛だと思いますね。初恋の別れ方ではない。「BABY!」は自分の中にない女の子を主人公にしたんですけど、「ずっと」は対照的で、自分の中にあるリアルを出して書きました。

どんな思いを書いてます?

女の人って、すごく感情的だけど、それとは裏腹に、めっちゃ冷酷なところがあって。感情的なのに、「全然平気」ってさらっと言えたりする。女の人の生っぽさって、別れる時にでてくると思うんですよね。それが男性にとってはすごく怖いんだと思うんですけど、そういうのを同じ女子としてわかるから、書きたいなっていう気持ちで書いてて。この曲も、しがみついて泣きながら、「忘れないから」って言ってるんじゃなくて、クールに穏やかに「忘れないよ」って、私、あくまでいい女っていう感じで通してるんだけど、そばにいたかったし、私が忘れないんだから、あなたも忘れないでねっていう気持ちが最後の方に出て来るっていう。生々しいけど、どっか綺麗な感じ。美しさみたいな、女の子の感覚を表現したかったんですね。

上手な別れ方を書いてますよね。恨み言や未練を言わず、「ごめんね」と「バイバイ」しか言ってない。

あはははは。いい女でいたいんです。別れ際が悪いと、あとで絶対に悪口を言われるので、あくまでさらっと別れる。そうすることによって与えるプレッシャーもあるんですよ。だから、聴く人によっては切ないと思う。なんというか、言わないことの美学が女性にはあると思ってて。男性もきっと、強がる部分もあると思うんだけど、女の人はもっと陰湿というか。言いたいことがある感じはでてるのに、言わないっていう。これはきっと、女々しい男性が、女性目線で書いた曲には出せない、ガチの女性らしさがうまいこと書けたかなって思います。

意味のあるポップさと女子らしさを出せた

「BABY!」と「ずっと」の間にいろいろあったんですね、女子として。

曲間2秒で、何があったんだっていう、いろんな経験が見えますね。そういうところも面白がってもらえたらいいですね。

女子に振り切った2曲が完成して、バンドとしてはどんな1枚になりました?

私たちが女子であることを受け入れた覚悟や、意思表明みたいなのは早めに伝えておきたいなと思ったし、2個目に女子!っていうのを振り切って投げれらことで、本当に勇気のある、大きな一歩を踏めたなっていう気持ちでいます。3人とも、自分たちができること、自分たちに与えられた役目や武器を改めて見つめ直して、それを使う勇気をこの1枚で得ることができたっていう意味では、バンドにとってすごく大きなことだと思う。たとえ、今、「なんだよ、超ポップになっちゃったじゃん」って思う人がいたとしても、絶対に何年か後にわかってもらえると思う。バンドとしてもちゃんと意思のある演奏ができたし、意味のあるポップさと女子らしさを出せた。今後、何年もthe peggiesを続けていく中で、大正解だったなって思えるような1枚になったなって思いますね。

その他のthe peggiesの作品はこちらへ

ライブ情報

9月17日(日) イナズマロック フェス 2017 滋賀県草津市 烏丸半島芝生広場
9月29日(金) Jumpin’jack 2017 大阪 BIGCAT


引っ提げないワンマン 名古屋・大阪編
11月22日(水) 名古屋 CLUB UPSET

11月23日(木・祝) 大阪 Shangri-La


12月2日(土) DECEMBER’S CHILDREN 赤坂BLITZ

the peggies

the peggies(ザ・ペギーズ)は北澤ゆうほ(Vo&Gt) 石渡マキコ(Ba) 大貫みく(Dr)からなる3人組ロックバンド。
中学校の同級生で結成し高校生時代から都内ライブハウスを中心に本格的に活動を開始。2014年11月に初の全国流通音源「goodmorning in TOKYO」をタワーレコード限定でリリース。
2015年11月にリリースされたNEW KINGDOMのリード曲「グライダー」が話題となり、2016年7月に行われた渋谷club asiaでのワンマンライブはソールドアウト! 10月19日には初のシングル「スプートニク / LOVE TRIP」をリリース! 昨年12月8日に行った渋谷クラブクアトロでのワンマンライブでメジャーデビューを発表!
2017年5月10日に「ドリーミージャーニー」でメジャーデビュー。
9月6日、2ndシングル「BABY!」をリリースした。

オフィシャルサイトhttp://thepeggies.jp/