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華やかな歌とダンスと衣裳で甦る、大好きなセーラームーンの世界。「セラミュー」最終章公演レポート

華やかな歌とダンスと衣裳で甦る、大好きなセーラームーンの世界。「セラミュー」最終章公演レポート

東京公演を大成功で終えたミュージカル「美少女戦士セーラームーン」-Le Mouvement Final-が、いよいよ愛知、そして大阪へとめぐっていく。2013 年から続く人気シリーズも、ついに最終章。感動のクライマックスで描かれたのは、原作連載開始から25年、世界中が愛した、人よりちょっと泣き虫で、だけど誰より純粋なヒロインの姿だった。

華やかな歌とダンスと衣裳で甦る、大好きなセーラームーンの世界

本作は、原作の第五期をミュージカル化。史上最強の敵、シャドウ・ギャラクティカに挑むセーラー10戦士のラストバトルを描いている。

まず引きこまれるのが、ミュージカルならではの歌とダンス。タキシード仮面役の大和悠河を筆頭に、宝塚歌劇団出身の実力派を多くキャスティング。その確かな歌声が、作品のグレードを一段も二段も押し上げる。セーラーマーキュリー役の竹内夢、セーラープルート役の石井美絵子など、セーラー戦士たちも伸びやかに歌い上げ、健闘。戦いに寄せる乙女の内面を情感豊かに観客に届けた。

そして、女子たちの夢がつまった衣裳が煌びやかで胸ときめかさせる 。光沢感のあるスカートやリボンを見ていると、「あんな恰好をして私も戦ってみたかった!」という幼い頃の憧れが甦ってくる。特に終盤、セーラームーンがエターナルセーラームーンへと変身する場面は、もう鳥肌。天使のような大きな羽根。三段カラーのミニスカート。小さい頃に夢見たセーラームーンが、目の前にいる。それが、嬉しくて、ドキドキして、もう止められない。

セーラームーンと一緒に生きた、あの頃の「私」を思い出す

1992年。それは、ある世代の女子たちにとってエポックメイキングな1年だった。月刊なかよしにて漫画『美少女戦士セーラームーン』が連載開始。セーラー服姿で戦うお団子頭の女の子に、日本中が夢中になった。教室で「月にかわっておしおきよ」と真似をしては、セーラー戦士ごっこをするたびに誰がどの役をやるか取り合いになった。
あれからもう25年。いつかセーラームーンになることが夢だった私たちは、とっくに彼女たちの年を追い越して、大人になった。もうすっかり少女と呼べない年齢になった。

そんな私たちの前に現れたセーラームーンは、ちっとも変わっていなかった。変わりすぎた私たちに「そんなことないよ」と明るく声をかけるように、彼女は強くて可憐だった。

「強くて」と書いたけれど、セーラームーンは決して戦うことが好きなヒロインじゃない。どちらかと言えばその逆。戦うことなんて全然好きじゃないし、戦闘中も泣いてばかりだ。本作でも壮絶な出来事が次々と襲いかかってくるたびに彼女は泣いている。そんなセーラームーンを仲間のみんなが盾となり守りぬく。

セーラームーンは、プリンセス。彼女は守られるヒロインなのだ。かつて私たちもたくさんの大人の愛を注がれ、庇護を受け、自分をプリンセスのように思っていた時期があった。だけど多くの人がプリンセスではいられない。いつまでも守ってもらえわけではない。大人になった私たちは、自分の足で立ち、歩いていくことを要求される。

だから守ってもらえるセーラームーンが、ちょっと羨ましかった。泣いてばかりいるセーラームーンを、少し憎らしくも思った。

でも、いろんなことを乗り越え、戦うことを選んだセーラームーンを見て、やっぱり私たちはセーラームーンが好きなんだと気づく。誰かを倒すためでも、強くなるためでもない。愛のために、仲間のために、信じるもののために立ち上がるセーラームーンを見て、そうだ、こんな女の子になりたかったのだ、私は、ということを思い出すのだ。

セーラームーン役の野本ほたるは、原作にリスペクトを払いながら、オリジナリティのあるセーラームーンを体現。彼女でなければ、きっとこんなに魅力的なヒロインにはならなかっただろう。おしとやかな亜美ちゃんに、普段はクールなのに、ちょっとトボけたところを見せちゃうレイちゃんもそのまま。まこちゃんは頼もしくて優しくて、美奈子ちゃんは可愛くてお調子者。何だか、ずっと会うこともなかった小学生時代の友達に25年ぶりに再会したみたいだった。それは、とても幸福な高揚感だった。

みんな元気だった。うさぎちゃんも、亜美ちゃんも、レイちゃんも、まこちゃんも、美奈子ちゃんも、はるかさんやみちるさんやせつなさんやほたるちゃんも、みんな、みんな。だから私も頑張ろう。明日からも毎日を頑張っていこう。セーラームーンにはなれなかったけど、そんな自分の人生をちゃんと受け止めて愛していこう。そんな気持ちで、その日の夜は眠りに就くことができた。明日の私は、もしかしたらいつもよりほんの少し素敵に“メイクアップ”できているかもしれないと願いながら。

ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」-Le Mouvement Final-は、9月23日(土)よりアイプラザ豊橋にて愛知公演が開幕。そして9月29日(金)より梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティにて大阪公演が開幕する。会いに行ってほしい、大好きだったあの頃の友達に。きっと彼女たちは、大人になった私たちを笑顔で迎えてくれるはずだから。

取材・文 / 横川良明

フォトギャラリー

ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」-Le Mouvement Final- (ル ムヴマン フィナール)

【東京公演】9月8日(金)~18日(月・祝)
AiiA 2.5 Theater Tokyo
【愛知公演】9月23日(土・祝)、24日(日)
アイプラザ豊橋
【大阪公演】9月29日(金)~10月1日(日)
梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ

【出演】
セーラームーン/月野うさぎ:野本ほたる
セーラーマーキュリー/水野亜美:竹内 夢
セーラーマーズ/火野レイ:小林かれん
セーラージュピター/木野まこと:楓
セーラーヴィーナス/愛野美奈子:長谷川里桃

補足情報を見る
セーラーウラヌス/天王はるか:汐月しゅう
セーラーネプチューン/海王みちる:藤岡沙也香
セーラープルート/冥王せつな:石井美絵子
セーラーサターン/土萠ほたる:未来
セーラーちびムーン/ちびうさ:神田愛莉
セーラースターファイター/星野 光:春川芽生
セーラースターメイカー/大気 光:立道梨緒奈
セーラースターヒーラー/夜天 光:松田彩希
火球皇女:岡村麻未
セーラーギャラクシア:五十鈴ココ
セーラーアイアンマウス:青木志穏
セーラーティンにゃんこ:橋垣美佑
セーラーアルーミナムセイレーン:小林由佳
セーラーレッドクロウ:悠斗イリヤ
シャドウ・ギャラクティカ:
椎原夕加里 肥田野好美 匂坂あゆ美 長澤綾乃
ちびちび(Wキャスト):山口陽愛
ちびちび(Wキャスト):新津ちせ
セーラーコスモス:大久保聡美
タキシード仮面/地場衛:大和悠河

ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」公式サイト
http://sailormoon-official.com/musical/
期間限定「美少女戦士セーラームーン」25 周年特設サイト
http://www.sailormoon-official.com/25th/
「美少女戦士セーラームーン」25 周年プロジェクトオフィシャルサイト
http://sailormoon-official.com/

©武内直子・PNP/ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」製作委員会2017