Interview

シャイな一面を見せる寛 一 郎、『ナミヤ』『ここさけ』同世代の共演者に「刺激をもらいました」

シャイな一面を見せる寛 一 郎、『ナミヤ』『ここさけ』同世代の共演者に「刺激をもらいました」

 

“東野圭吾作品史上、最も泣ける感動作”と称されるベストセラー小説『ナミヤ雑貨店の奇蹟』。5つのエピソードが時代を超え緻密に絡み合った群像劇であるこの作品が、廣木隆一監督の手により、ついに実写化される。本作で、コインロッカーに捨てられたのち、孤児院で育ったという過酷なバックボーンを持ちながらも、優しく温かい青年へと成長し、過去から来た手紙と真摯に向き合う〈麻生幸平〉を演じた寛 一 郎。この作品で俳優デビューを果たした彼に、本作の魅力はもちろん、共演した山田涼介や村上虹郎とのエピソード、俳優として歩みだした近年の心境の変化など、パーソナルに迫る話を聞いてきた。シャイな一面をのぞかせつつ、言葉を選びながら真摯に答えてくれたインタビューをお届けする。

取材・文 / 吉田可奈 撮影 / 三橋優美子


東野圭吾さんが手がけた原作は読まれましたか?

寛 一 郎 この映画に出演するお話をいただいてから読みました。実は僕、本を読むのが苦手なんですよ。重い腰を上げて読み始めても、最初の数ページで詰まってしまうんです(笑)。

詰まってしまう!?

寛 一 郎 そうなんです。面白い本ならすぐにその世界観に入り込めるんですが、そういった本になかなか出合えないんですよね。でも、この『ナミヤ雑貨店の奇蹟』は、一気に夢中になって、ページをめくるのがすごく楽しみだったんです。

脚本になると、原作の雰囲気から少し変わると思うのですが、どんな変化がありましたか?

寛 一 郎 この原作にはいくつかの物語が詰まっているので、一体どんな風に映画化されるのか、すごく興味深かったんです。いざ脚本を読んでみたら、オリジナリティもありつつ、ちゃんと原作の鍵となる展開がぎゅっと詰め込まれていて、純粋に「すごい!」って思いました。実は、最初にこの脚本を読んだときに、理解しきれない箇所があったんですよね。でも、何度も読むうちに隠された伏線がキレイに回収されていくことで、どんどんこの作品の素晴らしさにハマっていったんです。

映像になると、その展開はさらにスマートに表現されていますよね。

寛 一 郎 そうなんです。改めて、役者さんたちの表現力や、映像を撮り、作り上げていくスタッフさんの手腕に感動しました。

寛 一 郎さんが演じる〈麻生幸平〉は、とても優しくて素朴な青年でしたよね。〈幸平〉の魅力はどんなところだと思いますか?

寛 一 郎 彼はすごく優しいですよね。それに、芯が一本通っている、思いやりがある青年なんです。生まれてすぐにコインロッカーに捨てられて、孤児院である“丸光園”で、〈矢口敦也〉(山田涼介)と〈小林翔太〉(村上虹郎)とともに育つという過酷なバックボーンを持っているんですが、どうしてこういった性格になったかは描かれていないんです。だからこそ、自分が思うように〈幸平〉を作り上げました。そういえば、撮影前は、この3人の“幼なじみ感”をどう出したらいいのかを考えて、不安になっていたんです。

不安だったんですか?

寛 一 郎 はい。もともと人見知りなので、どうしたら仲良くなれるかずっと考えていたんです。でも、いざ撮影で現場に入ったら、虹郎とは同じ年ということもあり、どんどん話しかけてくれたんですよね。その後、すごく仲良くなって、一緒にご飯を食べに行くまでになりました。この作品は“虹郎に出会えた作品”でもあります(笑)。山田さんは集中力がすごく高い方で、オンとオフがしっかりしているんです。僕らのアニキのような存在で、気さくに話してくれるし、僕たちに話を合わせてくれました。

いいトライアングルの関係性が出来ていたんですね。

寛 一 郎 そうですね。すごく楽しく撮影ができました。実は、撮影の前に3日間のリハーサルがあったんです。本来なら1日で済む量のリハーサルなのですが、この3人の幼なじみ感を出すために、監督が時間を取ってくださったんです。おかげで、その後の撮影は息が合って、すごく演じやすかったですね。

本作には、様々なメッセージが詰まっていますが、寛 一 郎さんはどんなことを感じましたか?

寛 一 郎 一番心を掴まれて、改めて感じたのは、“人との繋がりの大切さ”です。この作品では“手紙”がキーワードになっているんです。いまはSNSが発達して、手紙を書くことが少なくなりましたよね。でも、手紙が持つ温かさはSNSには敵わないと思うんです。手紙は、メールやSNSに比べて、少し面倒だからこそなかなか書く気にならない人も多いと思いますが、想いを手紙にしたためて伝えるのはすごく素敵だということを教えてもらいました。さらに、どんな状況に立たされたとしても、“決めるのは自分自身”というメッセージも受け取りました。

〈幸平〉は、“ナミヤ雑貨店”に過去から届いた手紙に、一生懸命に返事を書こうとしますよね。

寛 一 郎 そうなんです。〈幸平〉はそういう温かい人間なんですよ。

この幼なじみの3人は、それぞれまったくタイプが違いますね。

寛 一 郎 〈幸平〉は優しくて、〈敦也〉はつっぱっていながらリーダーシップがあり、〈翔太〉は冷静なんです。この3人のタイプって、人間誰しもが持っている性格だと思うんです。だからこそ、3人ともそれぞれ共感できるところがあるんですよね。ぜひ、自分を重ねながら観てほしいです。

寛 一 郎さんはこの1~2年で様々な映画に出演されていますが、心境の変化はありましたか?

寛 一 郎 人との接し方がすごく変わりました。これまで、必要がないことはあまり話さないタイプだったんです(笑)。でも、映画の現場や、一緒に何かを作り上げていくときは、対話が大事だということを学びました。人と話せば話すほど温かさを感じますし、現場が楽しくなるということもわかったんです。

最近はバラエティ番組などにも出演されていますよね。

寛 一 郎 そうですね。映画に出演したら、バラエティ番組にも出て作品をアピールすることの大切さを知ったので、大変ではありますが、「乗り越えないといけない」と思っています。……とはいえ、バラエティはまだ少し苦手です(笑)。

あはは(笑)。

寛 一 郎 あとは、夏に公開した映画『心が叫びたがってるんだ。』も、この映画も、同年代の俳優さんと一緒に演じることが多かったんです。そこでの佇まいや居方で、勉強させてもらうことも多くあり、すごく刺激をもらいました。

『心が叫びたがってるんだ。』での好演も印象的でしたが、反響が大きかったのではないでしょうか?

寛 一 郎 作品に対して「面白かったよ」というのはありましたが、僕自身に対する反響あまりないんですよ。

では、この『ナミヤ雑貨店の奇蹟』を観た人たちからは、感想を言ってほしいですね。

寛 一 郎 いやいやいや、言わなくていいです(笑)! というか、僕自身「言わないで」というオーラを出してしまうんです。

え!? それはどうしてでしょうか。

寛 一 郎 ……純粋に褒められるのが恥ずかしいんですよね(笑)。でも、作品の感想はいつでもお待ちしています(笑)。

では最後に、本作でキーワードになっている“手紙”にかけて、寛 一 郎さんは過去と未来、どちらに手紙を書きたいですか?

寛 一 郎 未来です!

「どんな俳優になっていますか?」と聞くんですか?

寛 一 郎 いや、「彼女はいるの?」って聞きたいです(笑)。

そっちですか!?

寛 一 郎 どんな俳優になるかは、これからの自分の積み重ねだと思うので、いま聞いたところでわからないと思うんです。でも、彼女は頑張らないと出来ないと思うので……。本当は「結婚していますか?」って書きたいんですが、その前に彼女がいないと結婚は出来ないと思うので、それを聞いてみたいと思います(笑)。

寛 一 郎

1996年生まれ、東京都出身。本作で俳優デビューを果たす。2015年に公開されて大ヒットを記録したアニメの実写映画版『心が叫びたがってるんだ。』(17/熊澤尚人 監督)で、主要な登場人物の一人であり、野球部の元エース〈田崎大樹〉役を好演。今後は、木竜麻生、韓英恵、東出昌大が出演する映画『菊とギロチン -女相撲とアナキスト-』(2018年夏公開予定/瀬々敬久 監督)が待機している。

オフィシャルサイトhttp://t-artist.net/man/kanichiro/kanichiro-pr.html

寛 一 郎さん画像ギャラリー

映画『ナミヤ雑貨店の奇蹟』

2017年9月23日(土)公開

2012年のある夜、今は空き家で誰も寄りつかないはずのナミヤ雑貨店に突如一通の手紙が舞い込んでくる。それは1980年から届いた悩み相談の手紙。この雑貨店の店主、〈浪矢雄治〉(西田敏行)は、かつて商売をしながら、客の悩み相談に回答していたのだった。シャッターの郵便受けに入れられた手紙への回答は、翌日店の掲示板に張り出され、そして深刻な悩みについては店の牛乳箱にひっそりと入れられていた。偶然にもその夜、〈敦也〉(山田涼介)、〈翔太〉(村上虹郎)、〈幸平〉(寛 一 郎)の3人組がナミヤ雑貨店に忍び込んでいた。ある理由で女性企業家(尾野真知子)を襲った3人は、店で一夜を明かそうとしていたのだ。店に落ちていた雑誌で店主の悩み相談のことを知った3人は、〈幸平〉の発案で、その過去からきた手紙に返事を書くことにするのだった。

【原作】東野圭吾『ナミヤ雑貨店の奇蹟』角川文庫刊
【監督】廣木隆一
【脚本】斉藤ひろし
【出演】
山田涼介
村上虹郎 寛 一 郎 成海璃子 門脇麦
林遣都 鈴木梨央 山下リオ 手塚とおる PANTA
萩原聖人 / 小林薫 / 吉行和子
尾野真千子 / 西田敏行
【主題歌】山下達郎「REBORN」(ワーナーミュージック・ジャパン)
【配給】KADOKAWA/松竹

オフィシャルサイトhttp://namiya-movie.jp/

© 2017「ナミヤ雑貨店の奇蹟」製作委員会

【主題歌】山下達郎「REBORN」

REBORN
山下達郎

配信開始日:2017.09.13
ワーナーミュージック・ジャパン