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『探偵 神宮寺三郎 GOD』秋の夜長にハードボイルドADVを

『探偵 神宮寺三郎 GOD』秋の夜長にハードボイルドADVを

クラシカルな“読む“推理アドベンチャー

『神宮寺』シリーズのシステムはかなりクラシカルかつ親切なものとなっており、また操作に制限時間があるような場面やアクション性を要求する場面もなく、アドベンチャーに限らず、ゲーム自体に慣れていない人でも操作に戸惑うことはありません。基本的には“見る“、“話す“といったコマンドを選び、その対象を“選択“することで物語が進んでいきます。事件現場を調べる際にはカーソルを動かして怪しい場所を調べる“探索“が、事件関係者などから話を聞きだす際には手持ちの情報と相手の表情から推理をしながら会話を進める“トークプロファイル“が発生し、プレイヤーの推理力が問われます。

▲やや判定がシビアな場面もありますが、調べることのできる場所ではカーソルの色が変わるので、探索もそう難しくはありません

▲こちらは上下画面をつなげたもの。このようなインターフェースで進めます。“トークプロファイル“で選択肢を間違えてもデメリットはありませんが、間違った選択肢を選んで神宮寺に「いや、それは違うな……」と訂正されるのが微妙に悔しいので、一発で正解を選びたくなります

推理アドベンチャーでプレイヤーの推理力が求められるのは当然のことですが、本作も含めて『神宮寺』シリーズでは基本的に選択ミスによるペナルティの発生やゲームオーバーなどはなく、またいわゆる“バッドエンド“と呼ばれるような事件未解決エンドなどへの分岐もないため、推理があまり得意でない人であってもとくに詰まることはありません。純粋にシナリオを楽しみやすくなっているのも、『神宮寺』シリーズの特徴でしょう。

▲会話や調査を十分に行う前にほかの場所に移動しようとすると引き留めてくれるなど、かなり親切な作りになっているのでサクサク進めることができます

選択ミスに対するペナルティがないぶんゲーム的なスリルには欠けるかもしれませんが、本作はそういった“選択肢を間違えないことに集中するゲーム“というよりは、“プレイする小説“として楽しむ作品なのだと筆者は考えています。選択のミスにデメリットが存在することによってプレイに緊張感が生まれるのも確かですが、しかしそのスリルがなければ面白くないというわけではありません。

推理ゲームの面白さは“ハズレの選択肢を選ばないこと“といった消極的なものではなく、“事件の謎や犯人を推理すること“、そして“その推理によって正しい選択肢を見事に当ててみせること“にあると言えるでしょう。であれば、ペナルティがあろうとなかろうと、推理すること自体の面白さが変わることはありません。ペナルティが存在することによって生じるハラハラが魅力になる作品もあれば、逆にそれをなくすことで落ち着いた雰囲気を生み出す作品もあり、『神宮寺』シリーズはまさしく後者に当たるのでしょう(じつは、コミカルな雰囲気の“謎の事件簿“では例外的にゲームオーバーもありますが)。

▲落ち着いた作品には落ち着いたプレイスタイル。そういう意味で『神宮寺』シリーズはペナルティの存在抜きにも楽しめる作品です

推理ゲームと言うとちょっと難しいかも、という印象を持つ人もいるかもしれませんが、いま述べてきたように『神宮寺』シリーズは全体的にかなり親切な作りになっているため、“推理ゲーム=難しい“という固定概念を持つ人にこそプレイしてみてほしいタイトルです。ハードボイルドな雰囲気や探偵ものの空気が好きな人、そして本稿に掲載しているスクリーンショットの絵柄が気に入った人であれば、本作のシナリオにも夢中になれることはほぼ間違いないでしょう。

▲タバコを吸うことでヒントを見たり、手帳でそれまでの捜査状況を確認したりできるので、久しぶりのプレイでシナリオがうろ覚えになっていても安心です

また、システム面で細かい話をすると、本作は十字キーだけでメッセージ送りやメッセージログの確認ができるのですが、これが地味に便利なのです。方向キーの右ボタンをメッセージ送りや選択肢の決定にも使うことができるので、探索中などの一部を除けば左手だけで会話を進めていくことができ、ちょっと飲み物を手に取ったりするときにもプレイを中断する必要がないのです。この操作があるから推理が楽になる、というようなことはないのですが、この細かい便利さはストレスなく遊ぶ助けにもなっており、個人的には非常にナイスなポイントです。 

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