モリコメンド 一本釣り  vol. 32

Column

MOSHIMO 胸キュンする“恋”のシーンをシニカルに描く、“こんなの聴いたことない”新鮮なギターロックバンド

MOSHIMO 胸キュンする“恋”のシーンをシニカルに描く、“こんなの聴いたことない”新鮮なギターロックバンド

他者の視線、同調圧力に晒されながら“それでも私は特別な存在でいたい”という欲望を捨てることができないインスタ世代の女子の心情をリアルに捉えた歌詞、フェミニンな可愛らしさとシャープな手触りを併せ持った女性ボーカル、そして、ロックとポップを自在に行き来するバンドサウンド。2010年代後半のロックバンドに求められることを全て兼ね備えたうえで“こんなの聴いたことないな”という新鮮さを感じさせてくれる、きわめて魅力的なニューカマーが登場した。バンドの名前は、MOSHIMO。ロックフェスやイベントはもちろん、テレビ、ラジオ、SNSなどでも既に大きな話題を集めている4ピースバンドだ。

前身バンドCHEESE CAKEの岩淵紗貴(V&G)、一瀬貴之(G)、宮原颯(Ba)に本多響平(Dr)が加わり、2015年4月に福岡で始動。翌年5月にデビューシングル「猫かぶる」をリリースしたMOSHIMOが最初に注目されたのは、1stミニアルバム「命短し恋せよ乙女」(2016年9月)のタイトル曲「命短し恋せよ乙女」だった。

“命短し恋せよ乙女/君をこらしめに行こう”というフレーズから始まるこの曲の主人公は、“ハートをキュンと掴むのが/やたらと上手い”男の子を好きになってしまった女の子。頭を撫でられたり、ふいにボディタッチされたりしてドキドキが増していく彼女は、そのうち“この人、他の女の子にも同じことしてるのかな…”と心配になってしまう。でも、恋する気持ちは止めることができず——というシチュエーションをポップに描いたこの曲は、10代〜20代の女子を中心にジワジワと拡散され、教室を舞台にしたMVの再生回数は(2017年9月19日現在)160万回を突破。インパクトのあるギターフレーズ、親しみやすいメロディも印象的なこの曲のスマッシュヒットにより、MOSHIMOは“バンドシーンのネクストブレイク候補”として存在感を強めていく。

さらに日本テレビ系「バズリズム」の「これはバズるぞ2017」に選ばれ、2017年5月にリリースされた2ndミニアルバム「触らぬキミに祟りなし」がタワーレコードの「タワレコメン」に選出されるなど、各方面で話題を集めてきたMOSHIMOは、今年夏に全4か所のワンマンツアーを開催。渋谷WWW公演を含むこのツアーがすべてソールドアウトしたことで、このバンドの勢いはさらに加速した(ちなみに“渋谷WWW”は若手バンドにとっての“新・登竜門”的存在のライブハウスだと筆者は捉えています)。

そして10月4日、4人は新しいアイテムとなる1st EP「支配するのは君と恋の味」をリリースする。作詞・作曲はすべて岩淵紗貴、一瀬貴之のソングライティング・チーム。これまでに築き上げてきたMOSHIMOらしさ(女子目線の胸キュンにしてシニカルなリリック、ダンサブルかつロッキンなサウンド、フレンドリーな旋律など)を踏まえつつ、歌詞、メロディ、アンサンブル、サウンドメイクのすべてにおいて、さらなる飛躍を果たした作品に仕上がっている。

まずはリードトラックの「支配するのは君と恋の味」。切なさをたっぷり含んだボーカルライン、強烈なダイナミズムを感じさせるギターフレーズ、力強いエイトビートを軸にしたアレンジは、これまでのMOSHIMOのイメージを気持ち良く裏切ってくれるはず。この方向性は新機軸ではなく、おそらくこのバンドがもともと持っていた要素。「支配するのは君と恋の味」の骨太なロックサウンドは、MOSHIMOの本質のひとつだと言っていいだろう。歌詞のテーマはもちろん“恋”。大好きな“君”のことが頭から離れず、でも、“今の関係も壊せないから”と一歩踏み出せないでいる“私”をストレートに描いたこの歌は、これまで以上の共感を呼び起こすことになりそうだ。

指弾きのアコースティックギターと“ようこそ僕は悪魔 真夜中になれば”というラインから始まる「悪魔のつくりかた」は、自らのアイデンティを巡るナンバーだ。いつも自分の価値を探し、後悔と鬱と涙のなかで悶々と考え続ける主人公の姿は、現代を生きるすべてのリスナーの心を揺さぶるはず。こういう切実なテーマをさりげなく表現できることも、このバンドの強味なのだと思う。

さらに爆音ギターと荒々しいビートが強烈なインパクトを放つロックチューン「96メモリー」(でもメロディはめちゃくちゃポップ)、ブルーズの手触りを感じさせるグルーヴとノスタルジックな歌がひとつになった「白い自転車」を収録。音楽性を大きく広げることに成功した本作によって、このバンドの存在はさらに大きくクローズアップされるはず。表面的なインパクトだけに頼らず、ポップスとしてのクオリティを備えたMOSHIMO。このバンドの楽曲は、フェス、イベントに集まるロックファンだけではなく、スマフォでJ−POPを聴いている一般ユーザーにもしっかりと届くことになるだろう。

文 / 森朋之

ライブ情報

MOSHIMOワンマンツアー2017冬「恋の怪物は君のすぐそばに」

10月28日(土)【大阪】梅田バナナホール
11月03日(金・祝)【愛知】名古屋ell.FITS ALL
11月05日(日)【福岡】BEAT STATION
12月09日(土)【東京】渋谷CLUB QUATTRO

オフィシャルサイトhttp://band-moshimo.net

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