LIVE SHUTTLE  vol. 196

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CHEMISTRY、ゴスペラーズ、鈴木雅之。ソウル・ミュージックを愛するシンガーやミュージシャンが集結! SOUL POWER TOKYO SUMMIT 2017

CHEMISTRY、ゴスペラーズ、鈴木雅之。ソウル・ミュージックを愛するシンガーやミュージシャンが集結! SOUL POWER TOKYO SUMMIT 2017

SOUL POWER TOKYO SUMMIT 2017
2017年9月10日 東京国際フォーラム ホールA

今年で12回目を迎える“SOUL POWER TOKYO SUMMIT 2017”を東京国際フォーラムで観た。ソウル・ミュージックを愛するシンガーやミュージシャンが集結して、この音楽ジャンルの素晴らしさを多くの人に楽しんでもらい、継承していく目的でスタートしたイベントは、すっかり定着していまや恒例となっている。大阪公演を終えて、この日が最終日となった。

最初に登場したのはSkoop On Somebody。ボーカルのTAKEがステージ中央で、のっけから♪Yea!♪とコール&レスポンスをオーディエンスに促す。さらに♪Oh! Yea!♪と煽ると、会場はすぐに反応してステージと一体となる。サックス、トランペット、トロンボーンのブラスセクションが、その背中を押す。ブラスはソウル・ミュージックを構成する重要なアイテムのひとつだが、この夜のセクションは切れが抜群で、ウキウキしてくる。その他、ドラムやベースなども超一流のミュージシャンばかり。彼らをキーボードのKO-ICHIROがリードして、Skoop On Somebodyにピッタリのシルキーなサウンドが生まれる。“本物”を提供して、楽しみを下の世代に提供していくことを大切にしているイベント作りの基本姿勢が頼もしい。

「Skoop On Somebodyは今年で20周年を迎えて、久しぶりにシングルを出して、ツアーもやりました。10月にはフルアルバムを出します」とTAKEが嬉しい報告をすると、会場から大きな拍手が起こる。

そんなSkoop On Somebodyに、CHEMISTRYが合流して歌った「My Gift To You」にオーディエンスは大興奮。それもそのはず、川畑要はこれまでも参加していたが、堂珍嘉邦が加わったCHEMISTRYとしては、これが初登場。Skoop On Somebodyはトップバッターにふさわしい“名場面”を提供して、ラストは最新シングル「Every Kiss,Every Lies」で締めた。

Skoop On Somebodyが20周年なら、鈴木聖美は今年、30周年だ。

「30年前にタイムスリップしてみましょう」と言って、弟の鈴木・マーチン・雅之と佐藤善雄を呼び込むと、2人は鮮やかなパープルのスーツで登場して大いに会場が沸く。するとマーチンが「今日はせっかくだからもう1人!」と言って呼び込んだのは、ゴスペラーズの黒沢薫で、黒沢が鈴木&佐藤以上にド派手なパープルのスーツを着ていたので騒ぎはさらに大きくなる。ファミリー感満載のメンバー構成で、“鈴木聖美with Rats&Star”名義で発表したデビュー曲「シンデレラリバティー」を歌ったのだった。

ここでミラーボールが回転する中、「ダンス☆マンのテーマ」に乗ってDANCE☆MANが登場。「皆さん、楽しんでますかぁ? 私も我を忘れて楽しんでます。ミラーボール星人である私の、ミラーボール第2中学校時代の恋の歌を歌います」と、「二中のファンタジー」(注:EW&Fの「宇宙のファンタジー」のパロディ)をゴスペラーズの安岡優と一緒に歌って、会場を和ませたのだった。ギャグやパロディのネタもすべてソウル・ミュージックというのも、このイベントらしくて楽しい。

舞台転換が本当にスムーズで、イベントはテンポよく進行。ひときわ大きな歓声が上がって、いよいよCHEMISTRYの出番だ。注目の1曲目は、彼らのデビュー曲「PIECES OF DREAM」だった。

「“SOUL POWER SUMMIT”初登場ということで、ありがとうございます。最高に楽しいです。お家に帰っても、ずっとソウル・ミュージックを聴いてます」と堂珍。ずっと1人で参加していた川畑が「今回、CHEMISTRYとして出れて、本当に嬉しいです。今年の3月にここ、国際フォーラムで再始動ライブをやったんですよ」。11月リリースのシングル「「Windy/ユメノツヅキ」を一足先に披露して、その歓びを表わした。

イベントは佳境に入る。次はゴスペラーズのステージだ。Skoop On Somebodyから始まって、CHEMISTRYまで、しっとりしたパフォーマンスが続く。ソウル・ミュージックのセクシー&メローな側面が、今回のイベントでは強調されているようだ。そしてゴスペラーズはその“極致”とも言えるライブを展開したのだった。

深紅のスーツで現われた5人は、スツールに座りながら最新アルバム『Soul Renaissance』から「インター’17」、「Déjà vu」を立て続けに歌う。濃厚なハーモニーに、会場はシーンと聴き入る。極め付けは「告白」だった。途中で村上てつやが立って歌い、それを追うように黒沢が立ち上がって歌う。続く「All night&every night」では5人が広々とした立ち位置で歌う。どの場面も情熱的で、風格があった。

「甘い歌を続けてお送りしました。“SOUL POWER SUMMIT”は12回目なんですが、まだゴスペラーズのメンバーの顔と名前が一致していない人たちのために、丁寧に自己紹介してください」と黒沢が言うと笑いが起こる。メンバーの短い自己紹介が始まると、もっと大きな笑いが上がる。このオーディエンスへのアプローチで、改めて会場の一体感が高まり、その後でこの日、最高の1曲が歌われたのだった。

アカペラで5人が歌い出すと、ステージになんの前触れもなく、川畑と堂珍が現われた。名曲「ひとり」の最初のパートを川畑が歌い出す。鳥肌が立つと同時に、その後のメロディを堂珍が引き継ぐ。確かにゴスペラーズの曲ではあるのだけれど、2人はそれぞれの個性を活かして自分らしく丁寧に歌い上げる。オーディエンスはこの“7人のボーカルグループ”を、あっけにとられて見入っている、聴き入っている。まさに“SOUL POWER SUMMIT”でしか実現できない、スペシャル・セッションとなった。

終わると、大きな大きな拍手歓声が巻き起こったのだった。その中を、CHEMISTRYの2人は静かに去った。先ほど堂珍が「最高に楽しい」と言ったのは、こんな場面があるからなのだろう。

北山陽一が「ひとり」のカップリング曲「東京スヰート」を歌い出す。あくまでこの日のゴスペラーズは“大人”だ。5人はゆっくりフォーメーションを組みながら歌う。

「今回はゴスペラーズ流R&Bをたっぷり聴いてもらうのがテーマです」と村上。「もう一つ、サブテーマがありまして、それは2001年。この年にCHEMISTRYがデビューして、僕らはブレイクしました。アルバム・チャートはゴスペラーズが一位、シングルはCHEMISTRYが一位。あの嬉しさを、人生の中でもう一度味わいたいです(笑)」。

村上はユーモアたっぷりに、活動を再開した後輩にエールを贈り、自分たちにも気合いを入れる。最高のMCだった。最後はセクシーなアッパーチューン「熱帯夜」で会場を熱狂に巻き込んだ。

トリはもちろん鈴木雅之。鈴木はホスト役を鮮やかにこなす。

オープニングの「違う、そうじゃない」では“セリフ”のような歌い回しで、リアルな感情をオーディエンスに伝える。たった1曲でシンガーとして魅了すると、続く「東京は夜の7時」では野宮真貴を「ソウル・ディーヴァ」と紹介してゲストに迎え、さらりとデュエットをキメる。

「渋谷系の女王こと、野宮真貴です。“SOUL POWER SUMMIT”は初参加です。よろしく」と野宮。「シャネルズはドゥーワップを日本に紹介しましたが、野宮さんのいたピチカート・ファイヴはモータウンを日本に紹介しました」と鈴木。

2人はこのところお互いのレコーディングに協力し合っていることを観客に伝え、鈴木のカヴァー・アルバムに野宮がコーラスで参加した「ラブリー」を一緒に歌う。小沢健二の大ヒット曲が、オリジナルとはまったくテイストの異なるJ-POPに生まれ変わった瞬間だった。

他のアーティストの曲を自分のカラーに染め上げる名人・鈴木は、最後の曲、RCサクセションの「スローバラード」を実にディープなソウル・バラードに仕立て上げたのだった。

アンコールは、出演者総出演でソウル・ミュージックへの愛を表わす。「SOUL TRAINのテーマ」に乗って、10人のダンサーがステージに入ってくる。70年代のアメリカのソウル・ミュージック・シーンをリードしたテレビ番組『SOUL TRAIN』へのリスペクトだ。

「Soul Sister,Brown Suger」では鈴木、安岡、黒沢、川畑が切れのいいグルーヴのボーカルを披露。「Curious」ではTAKEとゴスペラーズの酒井雄二が、非常にソフィスティケートされたハーモニーを聴かせる。

フィナーレはこのイベントのテーマソング「WE GOT SOUL POWER」だった。全員が胸を張り、ソウルへの愛を誓う。会場に集まったオーディエンスたちも、ステージ上のシンガーたちに合わせて腕を挙げ、彼らへの敬意を表す。バンドも最高の演奏で盛り上げる。

ラストはバンドのミュージシャンも含めて、ステージ上の全員をオーディエンスに紹介。ステージングも演出も、すべてがソウル・ミュージックのマナーに貫かれて、会場にいるすべての人が芯から熱くなるエンディングとなった。 

文 / 平山雄一

SOUL POWER TOKYO SUMMIT 2017
2017年9月10日 東京国際フォーラム ホールA

セットリスト

◎Skoop On Somebody
01.ソウル・リヴァイヴァ―
02.バラ色
03.Nice ‘n Slow
04.Soul’n’Roll
05.潮騒
06.My Gift To You (CHEMISTRY)
07.Every Kiss, Every Lies
 
◎鈴木聖美
01.TAXI
02.ロンリー・チャップリン(+鈴木雅之・佐藤善雄・桑野信義・黒沢薫)
03.シンデレラリバティー(+鈴木雅之・佐藤善雄・桑野信義)
 
◎DANCE☆MAN
01.ダンス☆マンのテーマ
02.二中のファンタジー(+安岡優)
 
◎CHEMISTRY
01.PIECES OF A DREAM
02.Windy
03.Why
04.ユメノツヅキ
 
◎ゴスペラーズ
01.インター’17
02.Déjà vu
03.告白
04.All Night & every Night
05.ひとり(CHEMISTRY)
06.東京スヰート
07.熱帯夜
 
◎鈴木雅之
01.違うそうじゃない
02.東京の夜は7時(+野宮真貴)
03.ラブリー(+野宮真貴)
04.渋谷で5時(+野宮真貴)
05.スローバラード
 
◎ENCORE
01.ソウル・トレインのテーマ (T.S.O.P) (SOUL POWER GANG)
02.Soul Sister, Brown Sugar(エナメル・ブラザーズ、川畑要)
03.You’ll never find another love like mine(佐藤善雄、北山陽一)
04.Dance Floor(The☆Funks)
05.Curious(桑野信義、酒井雄二)
06.Right Here (Human Nature Radio Mix)(鈴木聖美、野宮真貴、武田と哲也)
07.No One Else Comes Close(ゴスペラーズ、堂珍嘉邦)
08.Sha la la(オールキャスト)
09.WE GOT SOUL POWER(オールキャスト)

◎Skoop On Somebody

◎鈴木聖美

◎DANCE☆MAN

◎CHEMISTRY

◎ゴスペラーズ

◎鈴木雅之

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