Interview

“『アイカツ!』の台本が私の教科書”声優アーティスト・田所あずさが振り返るオーディション・デビュー、そして現在・未来とは?

“『アイカツ!』の台本が私の教科書”声優アーティスト・田所あずさが振り返るオーディション・デビュー、そして現在・未来とは?

アニメ音楽に特化したレコードレーベル・ランティスが現在、バンダイナムコピクチャーズ、サンライズ音楽出版、ホリプロとタッグを組み、次世代の声優アーティストを募集する“次世代声優☆ミラクルオーディション”を開催中。グランプリ受賞者には、バンダイナムコピクチャーズが制作する2018年のTVアニメで声優デビューとランティスからキャラクターソングCDのリリースが特典として与えられる。

今回は、“ホリプロタレントスカウトキャラバン”でのグランプリ受賞をきっかけとして現在も声優・声優アーティストの両面で活躍中の田所あずさに、オーディションやデビュー当時について赤裸々に語ってもらった。さらに本稿では、あわせて10月に彼女がリリースする3rdアルバム『So What?』や今後挑戦してみたいことなど、そのオーディションから繋がる今と未来についても話してくれている。

文 / 須永兼次

短時間だった自己PRの時間では、持っていた“特技”に救われました

まず、“ホリプロタレントスカウトキャラバン”のオーディションを受けたきっかけからお伺いできますか?

田所あずさ 中学2年生のときに『犬夜叉』を観て、「声だけでこんなにキャラのバックボーンを出せちゃうのはすごい! なんだこの職業は!?」と思って、「こんなふうに、人の心を動かす演技をできるようになりたいな」って憧れたのがきっかけです。

“次世代声優アーティストオーディション”という副題がついていたオーディションでしたが、そもそもの目標は声優だったんですね。

田所 そうですね。それに歌をうたうことも全然好きだったので、むしろピッタリだなとも思って。でもオーディション雑誌なんかを買うのも初めてで、やっぱり……“オーディション”って、詐欺かもしれないって思うじゃないですか?

ははは(笑)。ちょっと身構えちゃいますよね。

田所 でも、私でも名前を知ってる“ホリプロタレントスカウトキャラバン”だったので、「さすがに詐欺ではないだろう」と。だからたとえ出来レースだとしても、お金を取られたりすることはないだろうと思って……(笑)でも実際、全然出来レースじゃないことを自分で証明することになって、びっくりしました。

じゃあ、“オーディションを受けている”という実感が湧いてきたのは、選考の過程で?

田所 そうですね。どんどん怖くなっていったくらいで。もちろん漠然と「声優になりたい」という気持ちはあったんですけど、このときは初めて受けるオーディションだったこともあって、「オーディションの雰囲気に慣れてみよう」みたいな気持ちだったんですよ。

そのオーディションのなかで、印象に残った出来事はありましたか?

田所 書類選考の次の、対面での二次審査ですね。受ける前って「オーディションって何するんだろう?」って調べるじゃないですか? そしたら「自己PRを1分ぐらいでやります」ってネットに書いてあったので、考えて暗記していったんです。でも、現場では直前に「自己PRは30秒です」って言われたんですよ。30秒しかないから、言葉を言うより特技をやったほうがいいかなって思いました(笑)。

そうですよね。用意してきたものが使えなくなっちゃったわけですから。

田所 でも、私が声優の矢島晶子さんが好きで、クレヨンしんちゃんのモノマネを得意としていたのでそれに救われたというか……「持っててよかったなぁ」って思いました。今でも、すごく運がよかったなって思ってます。

決勝大会は、品川ステラボールで行われましたよね。あのステージからの光景は覚えてます?

田所 全然覚えてないんです! めちゃくちゃまぶしい空間で、現実味がありませんでした。それにグランプリを取れるとは全く思ってなくて、(結果発表の)ドラムロールが鳴ってるときには「これで終わりかぁ……」ってちょっと寂しくなってたくらいなんですよ。だからグランプリとして名前を呼ばれたときには「まさか自分が!?」と思ったんです。

ご自身では、審査員の皆さんの目に止まったポイントはどんなところだと思われていますか?

田所 うーん……後になって、インタビューとかで金成さん(金成雄文氏。田所あずさがグランプリを受賞した“第36回ホリプロタレントスカウトキャラバン”の実行委員長で、現在は田所のマネージャー)は「ほっとけなさ」とか言ってましたけど……自分ではあんまりよくわかんないです(笑)。

『アイカツ!』の台本は、私にとっての“教科書”なんです

続いて、グランプリを受賞されてからデビューされるまでの間に、レッスンやご自分で取り組まれたことのなかで印象深かったことをお伺いしたいのですが。

田所 声優に関することはそれまでまったくやってこなかったので、レッスンをしてもほかの人よりだいぶ遅れてしまっていたんです。なので、発声の仕方を習うワークショップみたいなところに行ったりもしていました。でも実際に声優という仕事に正面から向き合えたのは、『アイカツ!』(2012年12月~放送のTVアニメ)のアフレコが始まってからだと思います。

なるほど、現場で磨かれていった。

田所 そうですね。オーディションに合格して結構すぐぐらいにやらせていただいたお仕事だったんですけど……あまりにもできなくって、びっくりされたんですよ(笑)。あとから聞いたら、音響監督さんは「ここまでか!」って思われていたみたいで。それで、その音響監督さんが直接事務所にいらして個人レッスンをわざわざしてくださって。本当に毎度毎度勉強と言うか、『アイカツ!』の台本が“私の教科書”ぐらいの気持ちで毎回やっていました。初期の頃からずっと取ってある台本も、私の宝物です。

一方、声優アーティストとしてのデビュー前には小さなライブハウスでライブを重ねられていたんですよね。

田所 そうなんです。最初の頃は人前に立つと震えちゃうし、声も震えちゃうので歌がブレブレで。まずそれをどうにかしなきゃ……っていうところがスタートだったんです。だから歌の先生から「あなたは斜めに立って、胸に手を当てて動かないで歌いなさい」なんて言われるくらい、全部細かく決めないと歌えなかったんですよ。

じゃあ、ライブを重ねたのは度胸付けみたいなところも?

田所 それはすごくありますね。それがなかったら、もうちょっと時間がかかってたと思います。でも、活動を続けていくなかで「初めてステージに立つんです」っていう方とご一緒してステージを観ると、「私、ホントにできなかったんだなぁ」って思います(笑)。皆さん最初からすごく堂々とされているので。

でも田所さんもこの間、アニサマ(さいたまスーパーアリーナで開催の「アニメロサマーライブ2017」)のステージに堂々と立たれていましたし。

田所 そうですね。ちょっと感覚が麻痺してきましたね。

麻痺なんですか(笑)。

田所 去年ソロで立たせていただいたときにはさすがに「広いなぁ……」って思いましたけど。グループでの出演のときには、広さに関してはあまり感じなくなりました。ただ、そのさいたまスーパーアリーナとか日本武道館のステージからの景色って、普通に生きてたら見られないようなものじゃないですか? それを見せていただいているのは、やっぱりすごくありがたいなって思います。

「忘れらんねえよ」柴田さんの仮歌は永久保存版です!

そうして声優アーティストとしての活動を続けられている田所さんですが、10月25日にはニュー・アルバム『So What?』をリリースされます。今回は以前シングル「運命ジレンマ」に収録されていた「スーパースタールーザー」が、田所さん自身もギターを弾かれた“So What? mix”として収録されていますが、レコーディングでギターを弾くというのはどんな感覚でしたか?

田所 まず、マイクのあるブースに入るのが自分じゃなくてアンプだけっていうのが、最初めっちゃ面白かったです(笑)。てっきりマイク前で弾くものだと思っていたら、普通に皆さんが横にいる状態で座って弾いたので。あと、「さすがにレコーディングしたら粗が目立つだろうなぁ」と思ってたんですけど、マイクを通したら意外とかっこよくなっていたので、それは「おー!」って思いましたね。それに、作編曲を手がけてくれた山本陽介さんがその場で弾いてアレンジをしてくださった、よりかっこいいギターの音も入って進化しているので、ぜひ楽しみにしていただけたらうれしいです。

ちなみにこのアルバム、田所さんがあえて聴きどころを挙げるなら?

田所 私の気持ちだと、激推しの曲は「ころあるき」ですかね。大好きなバンド「忘れらんねえよ」の柴田(隆浩)さんが詞曲を提供してくださったので、やっぱり最高に思い入れ深くて……「こんなことがあるのか!?」っていう驚きとうれしさで、今もいっぱいですね。まだアレンジがどうなるのかはわからないんですけど(※取材日段階)、デモの段階だと柴田さんが弾き語りで仮歌を歌ってくださっていて、もう「永久保存版だな!」って思いました(笑)。曲自体もめっちゃくちゃいいので、楽しみに待っていてほしいです。