Interview

佐藤健「全てを出し切った」と語る『亜人』にかけた想い、キャリアを重ねることで得た“主演”としての感覚を明かす

佐藤健「全てを出し切った」と語る『亜人』にかけた想い、キャリアを重ねることで得た“主演”としての感覚を明かす

『るろうに剣心』と『亜人』のアクションは「全く種類の違うもの」

本作はアクションチームに映画『るろうに剣心』シリーズのスタッフの方々が入っていたそうですが、佐藤さんにとっては久しぶりのアクション映画でしたよね。昨年出演した2本の作品(『世界から猫が消えたなら』『何者』)は人間ドラマの側面が強かったですし。

佐藤 そうですね。久しぶりではありましたが、『るろうに剣心』の中で僕が演じた〈緋村剣心〉はとても強い設定だったので、攻撃に主眼を置いたアクションばかりだったのに対し、今回は防御というか、逃げる立場だったので、同じアクションと言っても全く種類の違うものでした。〈圭〉は圧倒的に受け身ですし、いわゆる“やられ役”のアクションに挑戦してみて、攻撃を受ける側ってここまで負担が大きいんだな、ということに改めて気付きました。高いところから何度も着地をすると、いくら安全な環境とはいえ、体への衝撃も強くて。これは比喩ではなく、確実に首が縮みました(笑)。ワイヤーアクションも難易度の高いものに挑戦したので、練習を重ねました。

目を見張るようなアクションシーンの連続に思わず手に汗握ってしまいましたが、佐藤さん自身もアイデアを出されたそうですね。

佐藤 アクションって台本に書けないんですよ。だからアクションチームと話し合って、0ベースから『亜人』ならではの見せ方をみんなで追求していった感覚です。チームが提案してくれた動きに対して、もうちょっとこうしたいですと意見を伝えて、実際にそれが形になっているので、全てのアクションを自分が納得した上で挑むことができました。いま思い返しても、高いところから飛び降りて着地するシーンと、綾野剛が演じる亜人のテロリスト〈佐藤〉のIBMに投げられ、その勢いを利用して攻撃するシーンはなかなか苦戦しました。

完成した作品を観ると、IBMがまるで実在しているかのようでした。佐藤さん演じる〈圭〉、綾野さん演じる〈佐藤〉、そしてそれぞれのIBMが一堂に会する四ツ巴の戦いのシーンは迫力のある場面でしたね。

佐藤 見えないものと戦うシーンを撮るときは、ダンスを踊る感覚に近いんです。例えば、あの四ツ巴の戦いのシーンだと、僕と(綾野)剛、撮影チームとで、同じイメージを共有した上で、それぞれの決められた動きを練習通りの間合いとカウントで自分が動いて、相手もその通りに動けば、息の合ったシーンが完成するという方法論なんです。だから反復練習で間合いとカウントを染み込ませて忠実に動くと、きちんと噛み合って、殴り合っているように見える。それは生身の人間相手でも、実在しない物体相手でも変わりないと思います。

主演に課せられた使命は「多くの人に良いと言ってもらえる作品にすること」

本広克行監督とは初めてのタッグでしたが、本広組に参加されてみての感想は?

佐藤 俳優を信頼してくださる監督でした。僕の目指しているものをお話ししたら理解してくださって、人物設計などの上では任せてくれた部分も多かったですね。完成した作品を観ても、編集のテンポ、音楽の疾走感、CGのクオリティ、すべてが合わさってエキサイティングな作品に仕上がっているので、監督に感謝しています。他に印象的だったのは、本広監督の現場は、必ずケータリングだったということです。それは監督のこだわりだそうで、お弁当が出たことは一度もなく、必ず暖かいケータリングを用意してくださっていたんです。でも、残念ながら我々キャスト陣はみんな食事制限をしていたので、一度も食べることが出来なかったのが心残りです。最初は僕と剛が体づくりのために食事制限をしていたら、スタッフの中にも痩せたいという人が出てきたので、志願者は全員、僕らと同じものを食べたりしていました。基本は糖質抜きですけど、トレーニングも欠かせないので、タンパク質は切らさないようにしていました。

シリアスな作風ですが、現場は和気藹々とされていたんですね。俳優さん同士でも密にコミュニケーションは取られていたのですか?

佐藤 役柄的には剛と一緒になることが多かったので、必然的にそういう話はよくしていました。剛とはアクションを0から一緒に作っていく作業が多かったので、お互いの役を演じた役者同士というより、共に作品を作り上げた戦友という感覚です。

〈圭〉を演じたことによって、佐藤さんが成長できたと感じることがあれば伺いたいです。

佐藤 クランクイン前に掲げていた“誰も観たことのない新しいアクション映画を創る”という目標を達成できたという自信はあるので、そこに関しては満足しています。ただ、自分自身に課したハードルを超えてしまったがために、もしまた次にアクションをすることになった際に、『亜人』が新たな壁となって僕の前に立ちはだかるんだろうな、とも思っていますね。ある意味楽しみですけど、僕としてはこれ以上新しいものはしばらく出来ないと思うくらい、全てを出し切りました。

主演ということで特に意識されたことはありますか?

佐藤 主演を務めさせていただくということは、演じるというのは最低限の仕事で、映画を面白くしなきゃいけない、良いものにしたい、そういう責任感も同時に負うことになると思っているんです。昔はそこまで考えが及ばない部分もありましたが、キャリアを重ねていったことにより得た感覚なのかな、と思います。そう考えると、僕が『亜人』という作品に対して出来ることは、これまでに積み重ねてきた経験、漫画の実写映画への出演で得た経験を最大限に生かした上で、多くの人に良いと言ってもらえる作品にすることが主演に課せられた使命だと捉えて、関わり方や取り組み方もこれまでとは違うチャレンジをさせてもらいました。台本の打ち合わせなどにも、クランクイン前から何度か出席させてもらって、〈永井圭〉をどんなキャラクターにするのかをスタッフの方とも話し合わせていただいたんです。もちろん作品ごとで関わり方は全く違うものではありますが、今後も演じるだけではなく、中から一緒に作り上げるような関わり方もしていけたらいいですね。

佐藤健

1989年生まれ、埼玉県出身。様々な映画やドラマ、CMなど多彩な作品で鮮烈な印象を残す。主な代表作に【映画】『ROOKIES -卒業-』(09/平川雄一朗 監督)、『BECK』(10/堤幸彦 監督)、『るろうに剣心』三部作(12・14/大友啓史 監督)、『リアル~完全なる首長竜の日~』(13/黒沢清 監督)、『カノジョは嘘を愛しすぎてる』(13/小泉徳宏 監督)、『バクマン。』(15/大根仁 監督)、『世界から猫が消えたなら』(16/永井聡 監督)、『何者』(16/三浦大輔 監督)、【ドラマ】『ブラッディ・マンデイ』(08・10/TBS)、『メイちゃんの執事』(09/CX)、大河ドラマ『龍馬伝』(10/NHK)、『天皇の料理番』(15/TBS)など。2018年4月から放送される連続テレビ小説『半分、青い。』(NHK)ではヒロインの幼なじみ役を務める。今後の映画の公開待機作に『8年越しの花嫁』(12月16日公開/瀬々敬久 監督)、『いぬやしき』(2018年公開/佐藤信介 監督)、『ハード・コア』(2018年公開/山下敦弘 監督)がある。

オフィシャルサイトhttp://www.satohtakeru.com/

佐藤健さん画像ギャラリー

映画『亜人』

2017年9月30日(土)公開

病気の妹〈慧理子〉(浜辺美波)を救うために研修医となった〈永井圭〉(佐藤健)。ある日、不慮の事故に遭い即死したかと思われたが、その直後に息を吹き返す。なんと〈圭〉は、驚異的な回復力を持ち、命を繰り返す不死身の新人類“亜人”だったのだ。ごく普通の日常を送っていた〈圭〉の人生は一変。国家に追われ、非人道的な実験のモルモットとなってしまう。そんな〈圭〉の前に突如、亜人最凶のテロリスト〈佐藤〉(綾野剛)が現れる。自分の運命に葛藤する〈圭〉は、〈佐藤〉が描く亜人の未来に共感できないでいた。やがて始まる、〈佐藤〉による衝撃の国獲りゲーム。衡突する人類と亜人、そして亜人と亜人。絶対に死なない男VS絶対に死なない男の終わることなきエンドレス・リピート・バトルが始まる。亜人たちは、永遠の命をどう生きるのか――?

【原作】桜井画門(講談社「good!アフタヌーン」連載)
【監督】本広克行
【脚本】瀬古浩司 山浦雅大
【出演】
佐藤健 玉山鉄二 城田優 千葉雄大 川栄李奈 山田裕貴
浜辺美波 品川祐 / 吉行和子 / 綾野剛
【アクション監督】大内貴仁
【音楽】菅野祐悟
【主題歌】THE ORAL CIGARETTES「BLACK MEMORY」(A-Sketch)
【配給】東宝
オフィシャルサイトhttp://ajin-movie.com/

©2017映画「亜人」製作委員会 ©桜井画門/講談社


【原作本情報】

『亜人』

桜井画門
good!アフタヌーン

「亜人」と呼ばれるその生物は「死なない」。高校生・永井圭はある日、交通事故で死ぬが、その直後に生き返った。それは、彼が亜人であり、人間ではないことを意味する。圭をとりまく環境は一変した。彼は人間たちから逃げ惑うことになる。友人のカイは、怯える圭を助けるために駆けつけ、ふたりで人里を離れて山の中に逃げ込んだ。そんな彼に人間と敵対する亜人たちが接触してきた。――彼は何と戦い、誰と生きればいいんだろう?【1巻著者:三浦追儺・桜井画門】

【主題歌】

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