Interview

【インタビュー】“これからのアニソンシンガー”に向けて黒崎真音が伝えたいこと。デビューから7年の集大成ベストと未来への決意

【インタビュー】“これからのアニソンシンガー”に向けて黒崎真音が伝えたいこと。デビューから7年の集大成ベストと未来への決意

2010年、TVアニメ『学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD』の週替りEDテーマ12曲をすべて担当するという離れ業で、衝撃のデビューを飾ったアニソンシンガー・黒崎真音。その楽曲すべてを収録したデビュー・アルバム『H.O.T.D.』をリリースしたあとも、『とある魔術の禁書目録II』や『がっこうぐらし!』、『DRIFTERS』といった人気作品の主題歌を多数担当。そのほとんどの楽曲で自ら作詞も手がける、アニソン界のシンガー・ソングライターだ。そんな彼女が、デビューからの7年の集大成となるベスト・アルバム『MAON KUROSAKI BEST ALBUM -M.A.O.N.-』をリリース。それに合わせて、本稿でもこれまでの自身の足跡を辿ってもらった。

取材・文 / 須永兼次

いろんな世界を渡り歩いて、今の自分を作っているものを実感できました

デビューから今までを振り返ると、どんな7年間でしたか?

黒崎真音 すごく濃密な7年間でした。ソロの活動はもちろん、fripSideの八木沼悟志さんやmotsuさんとのALTIMAというユニットでの活動もやらせていただきましたし、たくさん主題歌も歌うことができて、アニメソングと常に近い状態で活動できたことって本当に幸せだなぁと思いますね。

本当に、ソロもユニットも含めて7年間走り続けられていた印象があります。

黒崎 そうですね。自分自身が止まる瞬間がなくて、常に目の前のことに一生懸命になれた7年間だったと思うんです。それを「今やるべきことをやらなきゃ!」っていう気持ちでやっているうちに、いつの間にか7年経ってたという感じなんですよ。私はすごくアニソンシンガーになりたかったので、常にライブがあったり曲や歌詞を書く機会に恵まれていて……これ以上ないくらいの7年間を過ごせたかなと思います。

今回は新曲含めて17曲が収録されていますが、曲順はどんな意図のもと決められたんですか?

黒崎 今回は『M.A.O.N.』というタイトルでもあるので、自分が思う「私だったらこういう順番で聴きたい」っていう、ライブのセットリストを意識して考えたんですよ。いつもライブのセットリストを自分で考えて提出することが多いのでそんなに悩むこともなく、「ライブだったら、この曲がここで流れてきたらおいしいな」っていう曲ごとの得意ジャンルとみたいなものを考慮して、決めました。

その収録曲を聴いていくと、改めてそのバリエーションのすごさに驚かされます。

黒崎 そうですね、本当に私の曲はいい意味で縛りがないので。それって、面白くもあるポイントだと思うんですよね。

その礎には、『学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD』で週替りのEDテーマ全曲を担当された経験があるのでは? と思うのですが。

黒崎 そうですね。あのときは「黒崎真音はどうなっていくのかな?」と思ったり、迷いながら難しさを感じながらやってましたけど、今聴き直してみてもちゃんとしたものを残せていたんだなという気はしますね。

本当にその12曲のサウンドの幅ってとても広くて、今回収録の「君と太陽が死んだ日」のような重い曲もありつつ、例えば「宝石のスパイ」は全然方向性が違っていましたよね。

黒崎 そうですね。あの曲は昭和のアイドルの曲みたいで、結構新鮮でした。どの曲でも「どう歌おうか?」というのを最初のうちはアドバイスをいただきながら歌わせていただいていたので、その頃から知らない自分と出会う旅をしていたみたいな感じだったんですよ。

なるほど、キャリアの最初から。

黒崎 はい。そこから儚さと美しさが共存したような「黎鳴 -reimei-」を歌ったり、「UNDER/SHAFT」ではまたメタルに行ったりと、いろんな世界を渡り歩いてきたんです。だからそのなかでも「どれが黒崎真音なんだろう?」って思った時期もあったんですけど、並べて聴くと一つひとつに全然違う個性があって、それがすごくいいなと思えるようになったんです。だから最近、全部違う人全然違う個性の曲が集まって“黒崎真音”っていうものができあがってたんだなっていうのを実感しました。

どれも“黒崎真音”の一部であるというか。

黒崎 そうですね。出会うべくして出会っていると思うので。そうして悩んだこともあったけど、結果的に私のところに来てくれた楽曲たちが、ずっとそばで支えてくれていたと思うんですよ。

アニソンへの感謝の想いと、過去・現在・未来すべてを新曲に詰め込みました

そしてこのベストアルバムを締めくくるのが、新曲「僕はこの世界に恋をしたから」です。この曲はどんなテーマのもと制作されたのでしょう?

黒崎 この曲は、このアルバムをバーッと聴いて最後に感じた気持ちをそのまま歌詞にしていきました。「この7年間ずっと好きだったものってなんだろう?」って考えたらやっぱりアニソンで、「やっぱりこの世界が好きだなぁ」っていちばんに思ったので、このタイトルにしました。

なるほど。やはりアニソンへの感謝の想いというか。

黒崎 そうですね、アニソンがなかったら今の私も黒崎真音もいないから、そういったアニソンへの感謝と、自分のところへ来てくれた楽曲たちへの感謝。あとアニソンを作ってこられた歴代の先輩方やファンの皆さんにとか、すべてに対して「ありがとう」っていう気持ちになれたんですよ。なので、そういう気持ちを詰め込んで「この7年間、幸せだったなぁ」という形を残したくて、曲にしました。

ひとつの集大成であるベストアルバムをその形で締めくくれるのも、また幸せなことだと思います。

黒崎 ただ、集大成だからこそ「もしかしたらこれで終わっちゃうんじゃないか?」って予感をしてしまう方もいるかもしれないじゃないですか? だから爽やかに次に繋がる歌を作りたくて、過去があって今があって未来があって……っていう気持ちを、いちばん最後に詰め込みました。

そうですよね。最後の一節に「ありがとう 歌うよ」とあるのは、「これからもずっと歌う」という意志の表れだと思いますし。

黒崎 そうですね。いろいろなご縁があってここにいると思うので、ここにいる以上はいろんなものを吸収して、皆さんにお見せできるようになりたいなと今も思っているんです。なのでこの曲ではそういう気持ちをファンの皆さんに、手紙のように書いていきました。