LIVE SHUTTLE  vol. 198

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音楽界の頂点による夢の競演が実現した「氣志團万博」1日目を振り返る。

音楽界の頂点による夢の競演が実現した「氣志團万博」1日目を振り返る。

いつの間にか氣志團万博は日本の音楽シーンに君臨するレジェンドたちが集結する場所になっていた。2014年には和田アキ子、2015年は郷ひろみや聖飢魔IIを迎えるなど、他のフェスでは決して見ることのできないアーティストを、綾小路 翔の圧倒的に広い人脈を駆使することで、ここ数年、とんでもないメンツが顔を揃える氣志團万博。今年は氣志團が結成20周年を迎えたメモリアルイヤーということもあり、これまでの集大成とも言えるような、音楽界の頂点による夢の競演が繰り広げられた。9月16、17日。台風18号の接近が心配されるなか雨天決行となった2日間のうち、ここでは1日目の模様をレポートする。

氣志團 撮影:青木カズロー

その出演が発表されるやネットで大反響を呼んだ、千葉県のローカルミュージシャン、ジャガーによる奇っ怪なオープニングセレモニーのあと、いきなり氣志團が登場した。アーティスト主催のフェスの場合、多くは主催アーティストが大トリを飾ることが多いと思うが、早々に氣志團が出番を迎えるのが、氣志團万博。そのあとに布袋寅泰やVAMPS、Dragon Ashが控えてくることを思えば、当然と言えば、当然だが、そもそも氣志團万博に来るお客さんは、氣志團目当で帰るようなタイプでもなく、全てのアーティストを温かく迎え入れる気構えがある。出演アーティストの誰ひとりアウェイにならないウェルカム感が氣志團万博の魅力のひとつだ。「ウィーアー氣志團!」。翔やんの声が弾むなかで繰り広げられたライブは、休学中の白鳥雪之丞(Dr)が乱入した「鉄のハート」、毎年、開会宣言を務める森山直太朗の置き土産「バームクーヘン」、メンバーのゆるキャラが登場した「One Night Carnival」など、笑いとセンチメンタルをいっぱいに詰め込んだエンターテイメントショーを繰り広げた。「1997年にこの街で結成してから20年。こんなにたくさんの仲間ができたことを誇りに思います」と、翔やん。この言葉が、8度目の氣志團万博の開会宣言だった。

氣志團 撮影:青木カズロー

この日、氣志團と同じく結成20周年のアーティストが2組いた。いまや氣志團と同じく自らの主催フェス「京都大作戦」を毎年地元・京都で開催するパンク界のカリスマ10-FEETと、ミクスチャーロックの体現者としてシーンを独走するDragon Ashだ。

今年4月に氣志團との対戦型フェス「万博大作戦日本シリーズ」を開催した因縁もある10-FEETは、バックステージにアーティストの記念撮影用として氣志團が用意していたという特攻服を着用してステージに登場。そのため途中で翔やんらが乱入して、服を脱がされるという、アドリブ感満載のオチなしの寸劇で笑いを掻っ攫った。「その向こうへ」「RIVER」など、性急なビートにのせて投げかける真っすぐな楽曲たち。なかでも、7月にリリースされたばかりの新曲「太陽4号」が素晴らしかった。ゆっくりと刻むテンポにのせたフォークソングのようなメロディ。腐っても、心を殺しても、毎日をしぶとく生きる私たちへの泥臭い哀歌に、結成20年を経てなお真新しい10-FEETを見た。

10-FEET 撮影:青木カズロー

10-FEET 撮影:青木カズロー

2014年から氣志團万博の常連でもある10-FEETの一方で、Dragon Ashは初参戦。最新のライブアンセム「Mix It Up」から雨の降りしきる広大なフィールドを灼熱のライブハウスに変えた。想像を超えた悲しみを背負い、その姿を少しずつ変えながら駆け抜けてきたバンドだが、いつの時代でもその主戦場がライブであり続けることは変わらない。「音楽に上も下もないから、右も左も関係ないから。どんなジャンルだろうが、一生懸命やってるやつはかっこいいと思う。アーティストに感謝なんてしねぇでいいから。俺らが出たくてやらせてもらってるんだから。ただ、氣志團にだけは、あいつらにだけは“知らねぇ音楽を教えてくれてありがとう”って言って帰ってください」。氣志團万博のもっとも大切な信念に寄り添うKjの言葉に、会場から大きな喝采が湧くなかで届けたラストソングは「Fantasista」だった。強くて優しい孤高のミクスチャーロックは、いつでも私たちの味方であり続ける。

Dragon Ash 撮影:釘野孝宏

Dragon Ash 撮影:釘野孝宏

2017年の氣志團万博を語るうえで、もうひとつ欠かせないのが盟友・ももいろクローバーZとVAMPSだろう。どちらも、氣志團万博には初年度から出演する皆勤賞アーティストで、翔やんいわく、もはや「共同開催と言ってもいい」と断言する2組でもある。

「ももクロ万博始めます!」という、百田夏菜子のお馴染みのあいさつからスタートしたももいろクローバーZは、“We Are The World”の斉唱をはじめ、この日トリに出演する布袋寅泰が楽曲を提供した「サラバ、愛しき悲しみたちよ」、花道に置いた網くぐりの障害物を乗り越えて届けた「行くぜっ!怪盗少女」などで、キレのあるダンスと歌で魅せる。氣志團万博への初出場時は10代だった彼女たちも、いまや最年少の佐々木彩夏も21歳。氣志團万博の成長とともに、今年もその場所に成長を刻んだももクロだった。

ももいろクローバーZ 撮影:釘野孝宏

ももいろクローバーZ 撮影:釘野孝宏

トリを飾る布袋寅泰の直前にステージに降臨したVAMPSの時間は一段と雨が激しかった。まるでキリストのような白い衣装と茨の冠を身にまとったHYDEとギターのK.A.Zを中心に奏でる、破壊的かつ耽美なラウドロックが、会場を妖しくなダークな色合いに染める。MCではHYDEが「また来ちゃった……」と少し自嘲気味に言うのも、もはや氣志團万博名物。過去、VAMPSは万博直後にL’Arc~en~Cielのワンマンライブが控えているというスケジュールで強硬出演したこともある。なぜ、それでもVAMPSは氣志團万博に出続けるのか。今年もその謎は解けなかったが、他にも東京スカパラダイスオーケストラやRIP SLYMEなど、リピーター出演者が多いことは、氣志團の求心力の大きさを物語っている気がする。

VAMPS 撮影:青木カズロー

VAMPS 撮影:青木カズロー

1日目の氣志團万博、最後のラスボスは布袋寅泰だった。氣志團世代のバンドマンならば、永遠の憧れとも言えるギターヒーロー。真っ赤なロングジャケットでギターを弾く長身のギタリストはステージに立ち姿だけでかっこいい。映画『キル・ビル』のテーマ「Battle Without Honor or Humanity」をはじめ、「THRILL」「POISON」「Bad Feeling」など、イントロの一撃から「キター!」と叫びたくなるような、言わずとも知れた代表曲たちが惜しげもなく披露されていく。「会いたかったぜー!」と叫ぶ布袋。こういうことが起きるから、この場所では、大の大人たちが、奇跡だの、伝説だの、夢だのと無邪気に言ってしまうのだ。ラストは布袋が「翔やん、カモン」と呼び込むと、「Dreamin’」で、布袋×翔やんのコラボが実現。布袋にぴったりと向き合って歌う翔やんは少年のような笑顔だった。「みんなのおかげで俺たちの街に布袋が来てくれたぜ!」。誇らしそうに喜びの声をあげた翔やんの言葉とともに、そのステージは熱狂のなか幕を閉じた。

布袋寅泰 撮影:釘野孝宏

布袋寅泰 撮影:釘野孝宏

「氣志團万博は、みんなの“好き”が集まってできています。何かを好きな力が、この世でいちばん強くて尊いものだと思っています」。今年だけではなく、翔やんは、毎年氣志團万博で必ずそんな言葉を口にする。そもそも氣志團万博の出演者は、“人とは違うこと”を初めてやった人たちばかりだ。誰も歩いたことのない道を切り開いて、ワン・アンド・オンリーな場所へ辿り着いてきた。だからこそ認められるまではバカにされたり、誤解されたアーティストも多い。そのファンもまた居心地の悪い想いをしたかもしれない。それは氣志團も同じだった。だから、翔やんは“好き”の尊さを強く主張するのだと思う。この日、氣志團が呼び寄せたアーティストたちは、頂点にいるから素晴らしいのではない。バカにされても、認められなくても、自分を貫き続けることで、好きでいてくれる人たちを守り続けた、そういうアーティストたちだった。氣志團万博が毎年多くの人を惹きつけるのは、本当の好きなものを、大きな声で“好き”と言える、とてつもない包容力があるからだと思う。

氣志團 撮影:青木カズロー

取材・文 / 秦理絵 アイキャッチ画像撮影 / 青木カズロー

氣志團万博 2017〜房総与太郎爆音マシマシ、ロックンロールチョモランマ~

【公演概要】
2017年9月16日(土)・17日(日)
千葉県・袖ヶ浦海浜公園

9月16日(1日目)全セットリスト
【YASSAI STAGE】

JAGUAR
1 だまってJAGUARにちゃんとついて来い!
2 ファイトちば!

氣志團
1 デリケートにキスして
2 ゴッド・スピード・ユー!
3 鉄のハート w/ 白鳥雪之丞
4 バームクーヘン
5 One Night Carnival “w/ 微熱DANJI&DANDY+白鳥雪之丞+着ぐるみダンサー6P”

補足情報を見る

東京スカパラダイスオーケストラ
1 Paradise Has No Border-short-
2 DOWN BEAT STOMP
3 Samurai Dreamers w/ Vocal.TAKUMA
4 閃光 w/ Vocal.TAKUMA
5 天空橋 w/ Dancer.早乙女 光
6 ペドラーズ
8 All Good Ska is One

10-FEET
1 VIBES BY VIBES
2 goes on
3 ヒトリセカイ
4 太陽4号
5 その向こうへ
6 RIVER

ももいろクローバーZ
1 Survival of the Fittest
2 BLAST!
3 サラバ、愛しき悲しみたちよ
4 SECRET LOVE STORY
5 ココ☆ナツ
6 行くぜっ!怪盗少女
7 コノウタ

SiM
1 Blah Blah Blah
2 TxHxC
3 GUNSHOTS
4 MAKE ME DEAD!
5 CROWS
6 KiLLiNG ME
7 f.a.i.t.h

マキシマム ザ ホルモン
1 恋のメガラバ
2 シミ
3 アバラ・ボブ<アバラ・カプセル・マーケッボブ>
4 「F」
5 my girl
6 恋のスペルマ

Dragon Ash
1 Mix It Up
2 Pulse
3 The Live
4 Jump
5 百合の咲く場所で
6 Fantasista

VAMPS
1 MIDNIGHT CELEBRATION
2 INSIDE OF ME
3 UNDERWORLD
4 CALLING
5 IN THIS HELL
6 BLOODSUCKERS
7 B.Y.O.B.(BRING YOUR OWN BLOOD)
8 AHEAD
9 SEX BLOOD ROCK’ ROLL

布袋寅泰
1 Battle Without Honor or Humanity
2 THRILL
3 POISON
4 Bad feeling
5 Dreamers are Lonely
6 さらば青春の光
7 BAMBINA
8 Dreamin’ w/ 綾小路 翔

【MOSSAI STAGE】

四星球
1 運動会やりたい
2 クラーク博士と僕
3 Mr.Cosmo

coldrain
1 NO ESCAPE
2 WRONG
3 ENVY
4 7月24日
5 THE REVELATION

MUCC
1 KILLEЯ
2 G.G
3 TONIGHT

LiSA
1 だってアタシのヒーロー。
2 Merry Hurry Berry
3 コズミックジェットコースター
4 Rising Hope
5 Catch the Moment

DJダイノジ
1 Otherside/SMAP
2 HIGH PRESSURE/T.M.Revolution
3 survival dAnce/TRF
4 READY STEADY GO/L’Arc~en~Ciel
5 あつまれ!パーティーピーポー/ヤバイTシャツ屋さん
6 PARTY PARTY/TOTALFAT
7 夜明けのBEAT/フジファブリック
8 創聖のアクエリオン/AKINO
9 シュガーソングとビターステップ/UNISON SQUARE GARDEN
10 オルガズム/X JAPAN

RIP SLYME
1 Super Shooter
2 Jump
3 SLY
4 楽園ベイべー
5 熱帯夜
6 JOINT

私立恵比寿中学
1 サドンデス w/氣志團
2 放課後ゲタ箱ロッケンロールMX
3 大人はわかってくれない
4 Go!Go!Here We Go!ロック・リー
5 MISSION SURVIVOR
6 HOT UP!!!

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