LIVE SHUTTLE  vol. 199

Report

「最後まで全アクト、無事にやれてよかった!」ー『氣志團万博』2日目を振り返る。

「最後まで全アクト、無事にやれてよかった!」ー『氣志團万博』2日目を振り返る。

ああ、よかった! 途中で終わらなくてよかった! 最後まで全アクト無事にやれてよかった!

とにかくもう、それに尽きたのが、2017年の『氣志團万博』2日目だったことは、少なくとも開演から終了まであの会場にいた人にとっての共通の思いではないだろうか。
というのは言いすぎか。中には「なんで?」という人もいるかもしれないし。「それに尽きた」ってことはないだろ、ライブそのもの、ステージそのものにも、メモリアルなすばらしい瞬間いっぱいあったろ、と言われれば、確かにそうだし。

ただ、僕の場合、氣志團の5人によるフィナーレ、そしてYASSAI STAGE上部から打ち上がった花火(後述)を観ながらもっとも強く抱いたのは、そういう思いでした。
日本列島をなぞるように縦断していく台風18号、この日の深夜に関東上陸、という予報で、同日の朝から日中にかけて台風が通過する関西では、前日の段階で数ヵ所の野外フェスやイベントの中止や延期が発表されていたりもして、『氣志團万博』の2日目、はたして大丈夫なのか? 台風に限らず「予報の時間よりもまく」っていうのが天気あるあるだぞ、終演時までもつのか? と懸念される中で、朝9時に開場、10時15分にレーザーラモンRGの開会宣言(「こぶしたかし」つまり細川たかしキャラで「木更津あるある」「氣志團あるある」を歌う)で開演。

レーザーラモンRG 撮影:上山陽介

そのあとも、YASSAI STAGE/MOSSAI STAGE交互に、時折「雨」が「大雨」になったりする天候の割にはスムーズに、ライブが続いていたのだが、KICK THE CAN CREWあたり(なので13時前後頃)では雨に加えて風もかなり強くなってくる。海に面した会場なので威力が強く、飲食の出店の看板がバタバタなびいているような按配で、これ以上悪化すると本当にヤバいかもしれない」と心配な状態に。KICKのライブが終わって転換時間に入ってから、これ次が始まる前に途中終了のアナウンスがあるんじゃないか、團長が出てきて悔しさをこらえてそれを告げるんじゃないか、という不安でいっぱいになった。

が。そのあと天気、なんかスーッと回復したのだ。続くWANIMA(YASSAI STAGE)~水曜日のカンパネラ(MOSSAI STAGE)で風が弱まり、その次の氣志團(YASSAI STAGE)の時には、「あれ? これ、雨ほとんどやんでないか?」という瞬間もあるくらいもち直す。
それ以降も雨は降り続いたし、MOSSAI STAGEトリの岡崎体育からYASSAI STAGEトリの米米CLUBの時間にはかなり強くなったりもしたが、風が弱いままだったせいで開催に支障をきたすほどではなかった。

って、天候悪かったけど最後までやれてよかったね、ってことを書くのにこんなに文字数使ってどうする。と、自分でも思うが、私、1年前にくるりの『京都音楽博覧会』で、トリのくるりを残して悪天候で途中終了が決まり、それを告げに出て来た時の岸田繁&佐藤征史の無念の表情を目の当たりにしたことがあるもので、その時の気持ちがまざまざと蘇ったりもしたのでした、途中何度も。それでつい書いてしまいました。

さてライブ。

「喜屋武豊、ギターのネックをチーズフォンデュに付けて食う」「樽美酒研二、目に余るど下ネタ披露」「実家がすぐ近くの歌広場淳、今日の衣装がビキニだということをツイートしないでくれとオーディエンスに懇願」などなど、本日も爆笑をかっさらったゴールデンボンバー。

ゴールデンボンバー 撮影:釘野孝宏

大雨をものともせず……いや、かなりステージに吹き込んでいたので、コンディション的には平気なわけなかったと思うが、笑顔と攻撃的なプレイを崩さないまま最後まで走り抜けたUNISON SQUARE GARDEN(あきらかにMOSSAI STAGEのキャパと不釣り合いだった、動員も出ている音も)。

UNISON SQUARE GARDEN 撮影:青木カズロー

「喧嘩上等50%」「One Night Carnival」と氣志團カバー2連発でスタート、次の氣志團が曲提供した「GO!! 世待塾GO!!」では綾小路翔&早乙女光が白い長ランでサプライズ登場したBOYS AND MEN。

BOYS AND MEN 撮影:中野修也

この日もっとも強い雨風の中、前半は最新曲「千%」や大ヒット曲「マルシェ」でオーディエンスをアゲ、後半は「イツナロウバ」「sayonara sayonara」「アンバランス」とメロウな曲を連打して感動をさらった(あおり映像での團長曰く)「同期デビューのスター」KICK THE CAN CREW。

KICK THE CAN CREW 撮影:釘野孝宏

「ともに」「オドルヨル」「THANX」とライブ・アンセムを立て続けにプレイ、この日いちばんの熱狂とシンガロングと笑顔でYASSAI STAGEを満たしたWANIMA。

WANIMA 撮影:青木カズロー

「できるだけ純情でいたい」で始まって、「カルアミルク」のショート・バージョンへと続いたあとは、20分ノンストップで「愛はおしゃれじゃない」「ビバナミダ」「あの娘ぼくがロングシュートを決めたらどんな顔するだろう」「だいすき」をぶちかまし、参加者を歓喜の渦に巻き込んだ岡村靖幸。

岡村靖幸 撮影:青木カズロー

2日間の大トリとして、楽しさと華やかさに満ちたパフォーマンスをくり広げ、「I・CAN・BE」「FUNK FUJIYAMA」「浪漫飛行 ’07」「SHAKE HIP!」などヒット曲を惜しみなく連発しながら、一番の大ヒット曲「君がいるだけで」は、やるフリしてやらない、という「らしさ」も見せた米米CLUB。

米米CLUB 撮影:上山陽介

などなど、どのアクトもすばらしかったが、個人的に特に印象に残ったやつ3つ、以下、書きます。

まずユニコーン。「服部」で奥田民生ハンドマイクでスタート、「ひまわり」を経てテッシーが歌う「オーレオーレパラダイス」とEBIの「BLACKTIGER」、ABEDONの「SAMURAI 5」が途中で「かきまZ!」(『関ジャム』出演時にアドリブで作ってあとで配信した曲)になってまた「SAMURAI 5」に戻るやつ、再び民生ハンドマイクで「大迷惑」、最後にしっとりと「開店休業」でシメ──というのが、この夏の各地のフェス出演時のユニコーンのセットリストだったのですが、尺の関係だったのか、この日は「開店休業」なしで「大迷惑」で終わりました。

ユニコーン 撮影:釘野孝宏

それはともかく。フェスの短い尺の中でテッシー曲もEBI曲もやる、というのは、ユニコーンをよく知らない人にとっては事情が呑み込めなくて「えっ!?」となるであろうことであって、現に一部のお客さんが「えっ?」となっている現場もあったわけで(その場にいました、私)、ただしそれを想定した上でわざとそういうことをやるのがユニコーンだったりもするわけなのだが、でもこの日は、「えっ?」というリアクション、皆無でした。終始熱狂的に迎えられていました。さすが氣志團の師匠(サード・アルバムまでのプロデューサー)、ABEDONのバンド。
ただしそのバンドのメインのボーカルの方は、1曲目で歌いながら花道の先っぽまで出て行って、イヤモニ(バンドの演奏をイヤホンで聴くやつ)してないけど大丈夫かな、と思っていたらやっぱり演奏が聴き取れなくて歌が遅れてしまい、ステージを振り返って苦笑い、メンバーもソデのスタッフも苦笑い、という一幕もありました。
MCで、「俺、めっちゃ遅れてたでしょ?Aメロが」と自供。ああいう花道って普通先っぽにもモニターあるじゃん、そしたらなかったんだよ、と言い、それは昔の話で今はみんなイヤモニで聴くんだよ、とテッシーに教わって、「そうか、だからみんなあれ耳に入れてるのか」と、納得しておられました。昔気質の職人のようでした。

ユニコーン 撮影:釘野孝宏

そして山下達郎。運よくこの場にいた参加者の多くが、ツイートとかしまくっていたので、すでにご存知の方も多いと思うが……というか僕も思わずツイートしたが、とんでもなかった。すごい音楽体験だった。
あの雨風の中での生演奏であることがまったく信じられない、奇跡のような出音のよさ、演奏の安定感、そして言うまでもないが、歌のすばらしさ、美しさ。
1曲目でいきなり「ハイティーン・ブギ」のセルフカバー、続いて「SPARKLE」「BOMBER」、「硝子の少年」のセルフカバー、「アトムの子」では途中でアンパンマンのテーマ曲をぶちこみ、次の「恋のブギ・ウギ・トレイン」では花道の先まで行ってギター弾きまくり、そのあとはステージ後方画面前のお立ち台(氣志團のダンサーや米米のホーン隊BIG HORNS BEEが上がるところ)でもギター弾きまくり。

山下達郎 撮影:菊地英二

MCでは、自分は隠れ氣志團ファンであること、去年いちばん聴いた曲は「幸せにしかしねーから」であること、300回ぐらい聴いたことを話す。コーラス隊4人のうちのひとりは竹内まりや。ひとりずつメンバーを紹介していく最後で名前を呼んで「あれ竹内まりやじゃね?」ってなってたオーディエンスがドッと湧く。そして最後には呼んでもらえてうれしい、また呼んでほしいと言葉にしてから、今ここにふさわしい曲だと思う、と、「さよなら夏の日」を披露──。
つまり、演奏すごいとか歌すごいとか曲が桁外れにすばらしいとか、そういうことはいつもどおりなんだろうけど、それ以外に、自分がこのフェスに出るならば、参加者にいちばん喜んでくれるのは何か、それを最優先する、というポリシーに貫かれたステージだったのだ。だって山下達郎が花道に出てくると思う?思いませんよね普通。頭から最後まで掛け値なしに、オーディエンス、どよめきっぱなしだったし、興奮しっぱなしだった。

山下達郎 撮影:菊地英二

そして、五番に登場した氣志團。前日と同じく、20周年を祝いに無期限休学中の白鳥雪之丞(Dr)が登場。ドラムの叶亜喜良のドラムソロを「ちょっと待った!」とさえぎって現れ、自身のドラムセットでソロを始めるも團長に制止され、それでも叩き続けた挙句團長にビンタを食らいスティックを投げ捨てられる──というおなじみの展開、参加者爆笑、でもみんなどこか感慨深げ。

氣志團 撮影:上山陽介

そのあと團長&光と3人で花道の先で「鉄のハート」を歌う、5曲目の「One Night Carnival」では微熱と4人でダンサーとして踊るなど、今年ならではの特別なステージになる。
なお、最後に「幸せにしかしねーから」をやったのは、このあとの山下達郎へのフリだったのかもしれません。と、終わってから思いました。
という本編のライブもとてもよかったのだが、さらにグッときたのがエンディング。米米CLUBのあとメンバー5人で赤スーツで登場。團長以外サングラスなしで、きっちり稽古したダンス付きで、国民的アイドルグループのヒット曲とマッシュアップした「One Night Carnival」を歌い踊ったのだ。

氣志團 撮影:上山陽介

今年に限ったことじゃないが、ていねいに前あおり映像を作り立木文彦のナレーションを付けてライブのスタート前に流すことも、他のアーティストのステージにサプライズで登場したりすることも含めて、「ここまでやるか!?」と思わせる出演アーティストへの手厚さ。
その出演者の顔ぶれも、それぞれのステージングも、自分たちのパフォーマンスも含めて、何をどう見せることができるか、その結果どんな気持ちで帰ってもらえるか、ということを考え抜いた、お客さんへの手厚さ。 その両方が氣志團万博のすばらしさだが、今年はそれが「ここにいない人」にまで、いい感じで飛び火しているような気がしたのでした。

終始、すばらしい時間だった、終わってみれば。

撮影:釘野孝宏

なのですが、最後にまったくの余談。
イヤモニなしで花道に出て行った人、奥田民生、岡村靖幸、山下達郎の3人いたわけなのですが、奥田民生は歌がずれたのに、岡村靖幸の声と山下達郎のギターはずれなかった件。
あれ、普通、あたりまえにずれるものなのです。演奏が聞こえないんだから。なんで岡村ちゃんと山下達郎はずれなかったのか、私、今でもまったくわかりません。
どうやったらあんなことができるのか。誰か教えてください。

取材・文 / 兵庫慎司 アイキャッチ画像撮影 / 上山陽介

氣志團万博 2017〜房総与太郎爆音マシマシ、ロックンロールチョモランマ~

【公演概要】
2017年9月16日(土)・17日(日)
千葉県・袖ヶ浦海浜公園

9月17日(2日目)全セットリスト
【YASSAI STAGE】

レイザーラモンRG
1 北酒場
2 浪花節だよ人生は

ゴールデンボンバー
1 #CDが売れないこんな世の中じゃ
2 抱きしめてシュヴァルツ
3 トラウマキャバ嬢
4 †ザ・V系っぽい曲†
5 女々しくて

補足情報を見る

SCANDAL
1 Image
2 瞬間センチメンタル
3 太陽スキャンダラス
4 会わないつもりの、元気でね
5 テイクミーアウト
6 LOVE SURVIVE

KICK THE CAN CREW
1 千%
2 地球ブルース~337~
3 マルシェ
4 SummerSpot
5 イツナロウバ
6 sayonara sayonara
7 アンバランス

WANIMA
1 ともに
2 いいから
3 オドルヨル
4 THANX
5 CHARM
6 やってみよう

氣志團
1 デリケートにキスして
2 ゴッド・スピード・ユー!
3 鉄のハート w/ 白鳥雪之丞
4 落陽
5 One Night Carnival “w/ 微熱DANJI&DANDY+白鳥雪之丞+着ぐるみダンサー6P”
6 幸せにしかしねーから

ユニコーン
1 服部
2 ひまわり
3 オーレオーレパラダイス
4 BLACKTIGER
5 SAMURAI 5~かきまZ!
6 大迷惑

岡村靖幸
1 できるだけ純情でいたい
2 カルアミルク(short ver.)
3 愛はおしゃれじゃない
4 ビバナミダ
5 あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう
6 だいすき

山下達郎
1 ハイティーン・ブギ
2 SPARKLE
3 BOMBER
4 硝子の少年
5 アトムの子
6 恋のブギ・ウギ・トレイン
7 さよなら夏の日

米米CLUB
1 僕らのスーパー・ヒーロー
2 I・CAN・BE
3 FUNK FUJIYAMA
4 浪漫飛行‘07
5 君いる!& OH!米GOD!~美熱少年
6 狂わせたいの
7 SHAKE HIP!

氣志團
SE
1 One Night Carniva ~氣志團万博 2017ver~

【MOSSAI STAGE】

UNISON SQUARE GARDEN
1 場違いハミングバード
2 オリオンをなぞる
3 10% roll, 10% romance
4 crazy birthday
5 シュガーソングとビターステップ

BOYS AND MEN
1 喧嘩上等50%
2 One Night Carnival
3 GO!!世侍塾GO!! w/氣志團
4 帆を上げろ!

水曜日のカンパネラ
1 マルコポーロ
2 嬴政
3 一休さん
4 桃太郎 remix

C&K
1 C&K IX(Short ver.)
2 to di Bone(Short ver.)
3 パーティ☆キング(Short ver.)
MC(フリースタイル)
4 Y
5 踊LOCCA~around the world 新たなる冒険~
6 入浴

BLUE ENCOUNT
1 LAST HERO
2 SUMMER DIVE
3 DAY×DAY
4 もっと光を

MIYAVI
1 What’s My Name? 2017
2 In Crowd
3 Fire Bird
4 Dim It
5 Ha!!!
6 Strong
7 Day 1

岡崎体育
1 Stamp
2 Walk Of Death
3 感情のピクセル
4 Q-DUB

vol.198
vol.199
vol.200