Interview

グッドモーニングアメリカ 完全復活を告げるアルバム『502号室のシリウス』に見る、変化と進化

グッドモーニングアメリカ 完全復活を告げるアルバム『502号室のシリウス』に見る、変化と進化

継続は力なり。ボーカル金廣真悟の喉の手術という一大事件も、バンドの前進意欲を止めることはなかった。ライヴに明け暮れる2017年のグッドモーニングアメリカ、その激走の答えがここにある──。前作以上に生々しくドライヴしまくるバンドサウンドと、コーラスを多用して厚みを増したハーモニー。エモく切ないメロディに、ネガもポジも丸飲みしてリアルな夢と希望を描く歌詞。覚醒の5thアルバム『502号室のシリウス』、堂々完成。

取材・文 / 宮本英夫 撮影 / 中原幸

自分たちらしさを出し過ぎてるところもあるんですけど、それも狙いだった

去年の暮れに前作『鉛空のスターゲイザー』を出して、そのあと長いツアーを回って、金廣さんの喉の手術で休止期間もあって、復活して今に至る。この10ヵ月の間に本当にいろんなことがありました。

金廣真悟 そうですね。休止期間はあったんですけど、アルバムに取りかかるスタンスとしては、前作から途切れることなくツアーをしながら作ったので。そういう意味でのライヴ感は前作より増えてると思うし、目の前にいるお客さんに対してのアプローチがあるなかで作ったという感覚は、いつもより強いかもしれないですね。

金廣真悟(vocal, guitar)

前作もそうだったんですけど、よりダイレクトなライヴバンド感覚を強調した、生々しくてかっこいいアルバムだと思います。

金廣 ありがとうございます。ライヴ感がめちゃめちゃ出た、いいアルバムになったと思ってます。

渡邊幸一 前作がすごい手ごたえがあったので、それをさらに進化させて、新しい武器を身につけたいなと思っていて。今回はメンバー全員がコーラスしているのが、これまでとの大きな違いのひとつなのかなと。いままでを知ってる人も知らない人も、新鮮な気持ちで聴いてもらえるんじゃないかな。

渡邊幸一(guitar, chorus)

たなしん 前作はライヴをイメージして作ったという経緯があって、今回はよりいいライヴができるとイメージできるアルバムになってると思います。アップテンポな曲もあるし、ライヴ独特の空気感も想像がつくような、そういった手ごたえがいちばんあるアルバムですね。

たなしん(bass, chorus)

ペギ 3枚目ぐらいから、各々がアイデアを持ってきてセッションで曲を作ることをやり始めたんですけど。4枚目の『鉛空のスターゲイザー』はそれが多くて、よりバンドらしいアルバムが出来たので、「5枚目はもっとバンド感を出したい」と。俺個人としては、アナログレコーディングがしたかったんですよ。でもアナログRECは技術も必要だし、環境も必要なので、現実的には難しい。だったら「エディット(編集)とかするのやめませんか?」と提案して。今はデジタル加工をバチバチにやっちゃうじゃないですか。だから、それをしないというルールを決めて、よりバンドらしい曲で、俺らが聴いてきたものをより反映させて、さらに今出せる武器も増やそうということで、「コーラスやハモリを前より増やしませんか?」と。自分たちらしさを出し過ぎてるところもあるんですけど、それも狙いだったので。メンバーが好きな12曲を入れられたし、やりたいことを存分にやれたんじゃないかなと思います。

ペギ(drums, chorus)

いいテイクが録れたなという曲は、例えば?

ペギ 5曲目の「あなたの事だよ」とかは、テンポが遅くて空間も多くて。しっかり演奏しないとその空間がなあなあになっちゃうんですよね、こういう曲って。そのへんのタイム感をうまく出せたかなと思ってます。もし2年前くらいにこういう曲を叩いてたら、もっとチープな感じになったと思います。「フライデイナイト」もそうで、ハイハットの裏の細かいニュアンスとか、ああいう録り方をしてるから忠実に出ちゃうんですけど、サンプルで貼ってしまうとニュアンスが消えるので、それはやらずに、いい感じで出せたと思います。

渡邊さん、お気に入り曲は?

渡邊 「アンカーズアウェイ」が、ギターの音がめちゃめちゃよく録れたと思います。いろいろ工夫はしてるんですけど、すごいシンプルな曲なんですよ。コードをジャカジャカやるだけのシンプルさを、いかにかっこよく聴かせるか。すごくいい音が録れたと思ってます。あとは「She’s…」もすごくよく録れて、感動的な感じのギターになっている。静と動が特に出る曲だと思うので、場面の展開を狙いどおりにギターで表現できたと思います。

たなしんさんもひと言。

たなしん 普段ライヴでは使ってないんですけど、60年代の古いジャズベースを持っていて、今回久々に使ったのがばっちりハマりました。最初はいつものベースを使っていたんですけど、途中で録り直して、グッとくるものになったと思います。それと、「風と鳴いて融けてゆけ」もそのベースで録ったんですけど、これもすごくハマったので、このアルバムはこのベースでいこうと決めました。

「ハブーブの後に」とか、「The Sheeple」とか、どこの10代のメロコアバンドかと思うぐらい勢いよくかっ飛んでる曲もあれば、「花火」や「星は変わらない」みたいな切ない恋歌もあって。

金廣 メロコア上がりというか、もともとそっち畑でバンド活動を始めて今に至るんですけど。一周か二周か、何周かわかんないけど周ってきて、今回「The Sheeple」とか「ハブーブの後に」とかが出来て、そこに「花火」や「星は変わらない」が入ってるのはすごくいいと思いますね。自分たち的に、しっくりくる曲のラインナップになったなと思います。「フライデイナイト」とか、あんまりやったことのないような曲もあって、全体的に面白い感じになりました。