Interview

『ひよっこ』『ナラタージュ』俳優としても進化を遂げる 古舘佑太郎、新バンド名にも表した“前作を超える”意識

『ひよっこ』『ナラタージュ』俳優としても進化を遂げる 古舘佑太郎、新バンド名にも表した“前作を超える”意識

島本理生が20歳のときに発表した恋愛小説で、2006年版「この恋愛小説がすごい!」第1位に輝いた原作を、『ピンクとグレー』(16)などの行定勲監督が12年の構想を経て映画化。切なく苦しい、けれど一生に一度の大事な恋――松本潤と有村架純が体現する大人の恋物語『ナラタージュ』で、有村架純が演じる〈工藤泉〉の元同級生で演劇部OBの〈黒川博文〉を演じているのが古舘佑太郎。ロックバンド“The SALOVERS”を経て、現在は新バンド“2(ツー)”を結成し、ミュージシャンとしても俳優としても活動中の彼が、2度目となる映画の現場のことを語ってくれた。

取材・文 / 山崎麻 撮影 / 佐野企画

久しぶりの映画の現場で不安を抱きながらも
行定組を通して「映画の楽しさを改めて感じました」

初めての行定勲組はいかがでしたか?

古舘 僕にとって『ナラタージュ』は『日々ロック』(14/入江悠 監督)に続いて長編映画2本目だったので、オーディションでは緊張していたんです。でも、そのときに行定監督が僕がやっている音楽を好きだと最初に言ってくださったので、気持ちが楽になって、普段の自分でいいのかなとポジティブに考えられたんです。それでオーディションで僕を選んでくださったと思うので、現場に入ってからも普段の自分でいようという意識を崩さずに臨みました。

そうだったんですね。演じられた〈黒川〉は明るくて、作品の中で安心して観ていられるアクセントになるキャラクターだと思うのですが、普段のご自身を反映していたようなところがあったのでしょうか。

古舘 素の自分と近かったと思います。原作を読んでいても自分が普段言うようなことを〈黒川〉が言っていたりして、かなり共感できましたし、撮影が始まる前、監督が「〈黒川〉は平凡で普遍的な、どこにでもあるような恋愛をする、どこにでもいるような男の子だよ」と言ってくれたんです。自分にとっても〈黒川〉は等身大だったので、変に作ったりせず、そのままでいこうという気持ちで現場にいました。学生時代を振り返っても、僕はお調子者で明るいヤツだったので、自然にやれたと思います。

では役作りで難しかったということもなかったんですね。

古舘 そうですね。あと、演劇部の〈金田伊織〉役の駒木根(隆介)さんと、「あえてみんなのトーンに合わせずにやろう」という話をしていました。

高校生と大学生の役ですが、全く違和感がなかったですね。

古舘 普段から実年齢より若く見られがちではありますね(笑)。実は駒木根さんは僕より10歳くらい年上だったんですけど、僕の後輩という役どころだったんです。普段は僕が敬語、駒木根さんがタメ口なのに本番では真逆だったので、そこは新鮮で楽しかったです(笑)。

撮影中に印象に残っていることはありますか?

古舘 行定監督が現場をすごくよく動き回っていてエネルギッシュだったことです。わりと早口というのもあって、ちょっとボーッとしていたり、のんびりしていたらもうついていけなくなるので、行定監督が「カット」と言って、こちらに来たら絶対に聞き逃さないようにすごく集中していました。ただ、〈黒川〉に関して何か言われることはほとんどなかったように思います。

行定組を経て、意識の変化や気付いたことなどはありましたか?

古舘 映画というものの楽しさを行定組を通して改めて感じました。映画の1本目から期間がだいぶ空いていて、自分も変化していく中で久しぶりの映画の現場だったので、「大丈夫かな、やれるかな」と心配ではあったんですけど、いざお芝居をしてみたらすごくしっくり来ました。特に行定監督はじっくり撮る方なので、試行錯誤しながら「次のテイクではこういうことをしてみよう」とか、「今度はこう変えてみよう」などと試すことができたのは良い経験でした。何度もカットを重ねて演技をしていく過程で、一つのシーンをじっくり丁寧に作り上げていっているという実感が沸きました。ドラマだともう少しテンポが速いのでそこまでじっくり作り上げていくことができないんですよね。もちろんドラマならではの面白さもあって、どちらが良いということではないんですけど。

同い年の坂口健太郎と「サウナに行ってボーッとしながらドキュメンタリー番組を観ていました(笑)」

〈葉山貴司〉役の松本さん、〈泉〉役の有村さん、〈小野怜二〉役の坂口健太郎さんとの共演の感想を教えてください。

古舘 今回、初めてお会いした3人だったんですけど、それまで持っていたイメージとそんなに違いがなかったです。皆さんすごくフランクで、きっとみなさんが抱いているイメージに近い方たちだと思います。完成作を観たときは、3人ともすごく良い表情をされてるなと思いました。説明臭くなく、感情が溢れ出てしまっているような表情をしているのを観て、素晴らしいなと思いました。〈黒川〉がいたシーンでは、3人ともそこまで切ないシーンはなかったので、現場ではわからなかったんですが、スクリーンを通して感情を揺さぶられましたね。

撮影現場でお話されたりとかは?

古舘 現場ではキャスト全員で食事に行ったことがありましたが、そのときは芝居の話というよりは好きな食べ物の話とかの雑談をしていました。富山ロケの最終日に、本当は東京に戻るはずだったんですが、あえて戻らず、健太郎くんと一緒にサウナに泊まりに行きました。健太郎くんとは同い年なんです。「行く?」って聞いてみたら、「行く」って言ってくれたので、古いカプセルホテルみたいなところに行って、そこのサウナで二人してボーッとしながらドキュメンタリー番組を観ていました(笑)。

同い年二人でサウナに(笑)。富山では美味しいものを食べられましたか?

古舘 いろいろ美味しかったですね。魚とかお酒とかいろいろあるんですけど、意外とジンギスカンがすっごく美味かったです。ホテルの近くに一軒、その辺りで有名なジンギスカン屋があって、めちゃめちゃ美味くて2~3回行ったのが印象に残っています。