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「彼女の言葉は突き刺さる」──松雪泰子が舞台『この熱き私の激情』で体現する、女性作家ネリー・アルカンにフォーカス

「彼女の言葉は突き刺さる」──松雪泰子が舞台『この熱き私の激情』で体現する、女性作家ネリー・アルカンにフォーカス

カナダ・ケベック州生まれの女性作家、ネリー・アルカンにフォーカスした“Discover Nelly Arcan ネリーを探して”と題したプロジェクト発表会見が10月2日にカナダ大使館にて行われ、11月4日より上演の舞台PARCO Production『この熱き私の激情~それは誰も触れることができないほど激しく燃える。あるいは、失われた七つの歌』に出演する松雪泰子をはじめとしたキャスト陣が登壇した。

取材・文 / エンタメステーション編集部

彼女をひと言で表すと、崇高な光に存在する混沌のようなイメージ

“Discover Nelly Arcan ネリーを探して”は、カナダ建国150周年に株式会社パルコが実施中の、“Book(書籍)”דMovie(映画)”דStage(舞台)秋のエンタメ3ヵ月連続企画”で、日本ではあまり知られていない女性作家のネリー・アルカンをフィーチャーし、彼女のデビュー作『ピュタン~偽りのセックスにまみれながら真の愛を求め続けた彼女の告白』(原題『Putain』)を9月にパルコ出版から発売、10月に彼女の半生を描いた映画『ネリー・アルカン 愛と孤独の淵で』をYEBISU GARDEN CINEMA他順次ロードショーするほか、11月には、松雪泰子ほか豪華女優陣出演の舞台『この熱き私の激情~それは誰も触れることができないほど激しく燃える。あるいは、失われた七つの歌』を天王洲・銀河劇場他にて上演するプロジェクトのこと。

ネリー・アルカンは、2001年に作家としてデビューを果たし、仏文学界で権威のある文学賞にノミネートされるも、元高級娼婦という過去や美しい容姿などのセクシャルな側面に多くの注目を集め、2009年に36歳という若さで自ら命を絶ち、わずか8年の作家人生を終えた人物。

Paris september 3. File photo: canadian author Nelly Arcan poses to promote her book.
Photo by Ulf Andersen/Getty Images.

舞台『この熱き私の激情』は、そんな劇的で壮絶な人生を送ったネリーが書き残した小説から発せられる、彼女の中で渦巻いていた痛みや矛盾、葛藤、燃えたぎる情念が織り込まれた言葉をモントリオール出身の女優・作家・演出家であるマリー・ブラッサールがコラージュした作品で、2013年にモントリオールで初演されている。

今作日本版の脚本翻案・演出もマリーが手がけ、ネリーの様々な側面を松雪泰子、小島聖、初音映莉子、宮本裕子、芦那すみれ、霧矢大夢ら6人の女優と1人のダンサー奥野美和が演じることになる。また、舞台空間はそれぞれのテーマに沿った数個の部屋に分けられ、一人一部屋にキャストが配される形で「声を感じることはできますが、お互いの姿をいっさい見られない」(マリー)という状況で進行していくという。

「死に対する執着が語られる部屋」をイメージした“影の部屋の女”を演じる松雪泰子は、「今回、マリーさんの演出でこんな素晴らしいプロジェクトに参加できることを嬉しく思っております。現在は稽古中で、ひとつひとつ綿密に繊細に舞台を作り上げています。非常に集中力が必要な作品ですので、ここにいらっしゃるみなさんとともにしっかりと稽古をし、素晴らしい作品をお届けしたいと思っています」と挨拶。

ネリーという女性像については「彼女の持つ言葉は深くて、すごく突き刺さるものがある。最期に死を選んでしまうんですが、本当はそうじゃない理想の世界で生きたかったんじゃないかという想いが痛いほどに伝わってきて。彼女をひと言で表すと、崇高な光に存在する混沌のようなイメージです」とコメントした。

また、マリー演出の稽古の感想を聞かれると、「今はまだ本の解釈ですとか、感情的な部分を身体表現するので即興でセッションしてみたりしている段階ですが、マリーさんからは『こうしてくださいとは言いません。導くソースになることは提案をしますから、それぞれの感性で何か生み出していって欲しい』と言われています。部屋は別々ですが、全員で力を合わせなきゃいけないパートもありまして、呼吸を合わせていくというところで、お互いの信頼関係が大事だと思いますので、助け合っていけたらいいなと」と静かに、でも力強く言葉を紡いだ。

舞台『この熱き私の激情~それは誰も触れることができないほど激しく燃える。あるいは、失われた七つの歌』は、11月4日から19日まで東京・天王洲 銀河劇場ほか、広島、福岡、京都、愛知にて上演される。

PARCO Production『この熱き私の激情〜それは誰も触れることができないほど激しく燃える。あるいは、失われた七つの歌』

【東京公演】2017年11月04日(土)~11月19日(日)天王洲 銀河劇場
【広島公演】2017年11月23日(木・祝)JMSアステールプラザ大ホール
【北九州公演】2017年11月25日(土)・11月26日(日)北九州芸術劇場 中劇場
【京都公演】2017年12月05日(火)・12月06日(水)ロームシアター京都サウスホール
【愛知公演】2017年12月09日(土)・12月10日(日)穂の国とよはし芸術劇場PLAT主ホール

原作:ネリー・アルカン
翻案・演出:マリー・ブラッサール
翻訳:岩切正一郎
出演:松雪泰子 小島聖 初音映莉子 宮本裕子 芦那すみれ 奥野美和 霧矢大夢
企画製作:㈱パルコ
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