東京ゲームショウ2017から見るゲーム業界の現在と未来  vol. 4

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東京ゲームショウ2017総括 ゲームの本質を忘れない、インディーゲームの面白さ

東京ゲームショウ2017総括 ゲームの本質を忘れない、インディーゲームの面白さ

日本のインディーゲームを取り巻く環境は、近年、大きな変化を迎えている。PlayStation®4ではインディーゲームの開発環境が無償で提供され、Nintendo Switchでも開発機材が個人開発者向けに安価で公開。これにより、個人や小規模のディベロッパーが多数参入し、インディーゲーム市場はにわかに活気づいている。また、ユーザーレベルでもPlayStation®4、Steam、Nintendo Switchといったインディーゲームを入手しやすいプラットフォームが増え、その認知度が上がるとともに、コンシューマーゲーム偏重だった日本ユーザーの認識が変化しつつある。

では、なぜインディーゲームがいま注目されているのだろうか? それはインディーゲームの持つ、独創的なゲーム性や、コンシューマーゲームにない魅力を、ユーザーが求めているからにほかならない。

本稿では、世界中のインディーゲームが集まった東京ゲームショウ2017、およびその前日に開催されたインディーゲームイベント“indie MEGASHOW Tokyo”を取材。インディーゲームの魅力と、その興隆についてお伝えしていく。さらに、インディーゲーム専門パブリッシャーとして、イベント開催など精力的な活動を見せるDANGEN Entertainmentのジョン・デイビス氏にインタビューを行い、インディーゲーム業界の今後について聞いてみた。

取材・文 / 辻 良太郎(SPB15)


ゲームの本質を見つめ直す転換期

ゲームハードの高性能化にともない、ゲーム開発は飛躍的な進歩を遂げてきた。ゲームはオープンワールド化し、リアルなグラフィックと精密な物理演算で作られた世界は、ユーザーを大いに興奮させる。『エルダースクロールズ』シリーズや『フォールアウト』シリーズに始まり、今年は『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』などもオープンワールドゲームの傑作として人気を博した。東京ゲームショウ2017に出展された『真・三国無双』シリーズもオープンワールド化を発表。注目のタイトルとなっている。

しかし、ユーザーが求めているゲーム体験に、リアルな3Dグラフィックや、大ボリュームのコンテンツが必要不可欠かと問われれば、その答えはおそらく”ノー”だ。ユーザーがゲームに求めることは、いかに面白いかという一点であり、最先端技術の体感はその一助にすぎない。先に例として挙げた作品が評価されたのも、オープンワールドだからではなく、その自由度の高さやゲーム性が、ユーザーの満足するゲーム体験につながった結果だ。

その点インディーゲームは、グラフィックやボリュームでコンシューマーゲームに少なからず劣っているかもしれない。しかし、ゲーム性やプレイする楽しさに関しては並んでいると言える。インディーゲームの多くは、開発者がゲームの楽しさを純粋に追い求めて作り上げたタイトルだ。それは独創的なもの、斬新なもの、ノスタルジーを感じるものなど、さまざまなゲーム体験を与えてくれる。プラットフォームが充実し、インディーゲームがユーザーの目に止まる機会が増えたいま、改めてその魅力が見直されているのだ。

インディーゲームに集まる注目

2017年9月20日、インディーゲームイベント“indie MEGASHOW Tokyo”が東京・六本木のライブ会場“スーパー・デラックス”で開催。国内外のインディーゲーム開発者が交流や自社タイトルの紹介のために参加し、多数の注目タイトルがプレイアブル出展された。東京ゲームショウ2017(以下、TGS2017)開催の前日ということもあり、多くのゲームファンが来場し、イベントは大盛況。昨今、高まりつつあるインディーゲーム業界の熱気を感じさせるイベントとなった。

▲“indie MEGASHOW Tokyo”の会場。身動きが取れないほど多くのインディーゲームファンが集まり、プレイアブル出展されたゲームや開発者とのトークを楽しんでいた

▲アリカの『謎の格闘ゲーム(タイトル未定)』のプレイアブル出展はとくに大きな注目を集めていた

本イベントを主催したのは、海外インディーゲームの日本向けパブリッシャーとして今年設立し、現在6つのインディーゲームを取り扱っているDANGEN Entertainment(以下、DANGEN)。そこに所属するジョン・デイビス氏は、これまでも京都のインディーゲームイベント“BitSummit” (※1)で主催を務めるなど、日本のインディーゲームシーンの発展に貢献してきた仕掛け人的存在だ。 

※1 BitSummit……ビットサミット。毎年京都で開催されている日本最大のインディーゲームイベント。近年ではソニー・インタラクティブエンタテインメントや任天堂も協賛として参加しており、海外のインディーゲームファンの注目も集めるイベントとなっている

▲“indie MEGASHOW Tokyo”の舞台に立つDANGENのベン・ジャッド氏(左)とジョン・デイビス氏(右)

ここから、“indie MEGASHOW Tokyo”やTGS2017のインディーゲームコーナーで展示されていた、注目の2タイトルを紹介しよう。まずはAREA35が開発する『TINY METAL®』だ。こちらは動画も見ていただきたい。

『TINY METAL®』は、往年の戦略シミュレーションゲームに強く影響を受けた作品で、歩兵、戦車、ヘリコプターなど、さまざまなユニットを駆使して敵部隊と交戦するターン性ストラテジー。拠点を占拠してコストを稼ぎ、それを消費して兵器生産を行うといったリソース管理の要素もあり、ゲーム内容は本格的。ユニットの視界に入っていない敵はマップ上に表示されず、視野の広がる丘の上に歩兵を置いて索敵を行う必要があるなど、戦略的な奥深いゲーム性を生み出している。かつての名作シミュレーションゲームがインディーゲームで復活か!? と話題を呼んでいる本作は、PC、PlayStation®4、Nintendo Switchでリリース予定。ぜひ、遊んでみてほしい。

▲歩兵で拠点を占領し、戦車や車両を生産。戦車は強力だが、対戦車武器を持つ歩兵に弱く、生産コストも高い。ユニットごとの特徴を活かして部隊を勝利に導こう

▲骨太なシミュレーションパートとは裏腹に、キャラクターのイラストや戦車モデルなどは、子どもでも親しみやすくデザインされている。世代を超えて、親子で楽しむこともできそうだ

もうひとつ、京都のゲームスタジオ、Skeleton Crew StudioのThomas・Olsson氏が個人で開発したという『BackSlash(バック\スラッシュ)』も紹介したい。

『BackSlash』は1対1の対戦アクションゲーム。10種類に分かれた武術の流派からふたつを選択し、自分だけの戦士を作って戦うというユニークなシステムが特徴だ。組み合わせた流派により、バトル中に使用できる技が変化し、シンプルながら白熱した対戦が楽しめる。流派はどれも個性的で、剣を生成して戦う流派、守りの障壁を操る流派、爆薬を操る流派などさまざま。自分なりの組み合わせを見つけることが勝利へのカギとなる。本作はSteamにて配信中だ。

▲流派のひとつで、敵を襲撃することに特化した虎掌派。中距離からの奇襲が強みだが、もうひとつの流派で接近戦の強さを重視したり、立ち回りやすさを重視したりと工夫できる

▲グラフィックは懐かしのファミコンテイスト。しかし、ユニークなシステムや、マップ破壊の要素もあり、ゲームとしての作り込みはバッチリ

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