スピッツが僕たちに見せてくれた世界  vol. 13

Review

「挑み続けるスピッツ」がクリアに表れた12th アルバム『さざなみCD』

「挑み続けるスピッツ」がクリアに表れた12th アルバム『さざなみCD』

スピッツが結成30周年を迎え、シングルコレクションアルバム『CYCLE HIT 1991-2017 Spitz Complete Single Collection -30th Anniversary BOX-』を届けてくれた。
世代を超えて愛され続けている音楽を作ることを成し得たアーティストが到達できる30周年。聴く人の喜怒哀楽、それぞれの想いにもそっと寄り添い、潤いを与え続けているスピッツが僕たちに見せてくれた世界をオリジナルアルバム単位で1枚ずつ振り返っていきたい。
『CYCLE HIT 1991-2017 Spitz Complete Single Collection -30th Anniversary BOX-』に収録されているシングルの味わいもグッと増し、もっとスピッツを知りたくなってくれることを願って。

#13 12th Album「さざなみCD」(2007年10月10日発売)

「イッキ飲みエスプレッソ HP増えていってんぞ/今なら言える아랏소 乾いた風がサラッと」(Na・de・Na・deボーイ)
「恋のフシギ 生きた証/恋のフシギ さらにセットミーフリー」(不思議)
「にわか雨冗談でしょ/恋の都 薄化粧」(点と点)

以上、通算12枚目、亀田誠治と組んで3枚目にあたるこのフル・アルバムを聴き直していて気になったところを3つ書き出してみました。

この頃よりも前から、草野マサムネは日本語ヒップホップを熱心に聴くようになっていたし、さらにそれ以前から歌詞で韻を踏むことは行っていたが、『さざなみCD』収録の曲たちの韻の踏み方を聴くと、このように、ちょっと変わってきたのではないかと思うのだ。
ハングル使ってみたり(あ、「아랏소」は「アラッソ」と発音します。「了解」とか「わかった」みたいな意味です)。「セットミーフリー」と、カタカナ英語を入れてみたり。「点と点」のように、意味が全然違う言葉で立て続けに韻を踏んでみたり。

という韻問題とは、また違う意味合いだが、以下のあたりも気になったところです。

「どれほど遠いのか知らんけど 今すぐ海を見たいのだ」(群青)
「こんなして再び会えたから」(P)
「だけど効果は 凄いものがあるってことで」(魔法のコトバ)
「ありがとうのエナジー どでかく描いたれ 空に」(トビウオ)
「四の五の言わんでも 予想外のジャンプで君に会うのよ」(漣)

31st Single「魔法のコトバ」(2006年7月12日発売)

そうです。「知らんけど」「こんなして」「ってことで」「描いたれ」「言わんでも」に耳を持っていかれたわけです。
字面だけでもインパクトあるが、メロディに載った状態で耳に入ってくるとさらにハッとします。そのマッチングがすばらしくて。

何を言いたいのかというと、いつも変わらない、いつも同じ、でもいつもすばらしいのがスピッツとつい思いがちだけど実は毎回変わっている、ということがわかりやすく表れているのがこの『さざなみCD』というアルバムなのではないか、ということです。
マサムネ、実はいろいろトライしているなあ、自分の型みたいなものを破って行こうという意志が見えるなあ、と。

ラスト・チューンの「砂漠の花」で、

「はじめて長い 夢からハミ出す 考えてやるんじゃなくて自然にまかせていける」
「ずっと遠くまで 道が続いてる 終わりと思ってた壁も 新しい扉だった」

と、マサムネは歌っているが、作詞作曲においてもまさにそれに挑み続けている、ということだ、とも言えるかもしれない。

あ、もちろんバンドもそうです。同じようでいていろいろ試している。たとえば、パーカッションとオルガンとテツヤのギターがサイケデリックな空気を描く「ネズミの進化」など、その新しい感じが、よりはっきり表れていると思う。

最後にまったくの余談。
まだ学生の弟ふたりと、兄弟3人で明大前のアパートに住んでいるんだけど、隣の部屋は音楽好きそうな女の子。俺のこと知ってるかな、聴いていてくれたらいいなと思ってたけど、ある日そのこの部屋のポストに、スピッツベルゲン(スピッツのファンクラブ)の封筒がはさまっていて「スピッツのファンかあ……」ってなった。
以上、このアルバムが出る10年くらい前のライブで、サニーデイ・サービス曽我部恵一がしていたMCでした。
この作品にはなんにも関係ない話ですが、「Na・de・Na・deボーイ」の「明大前で乗り換えて 街に出たよ」という歌詞を聴いて思い出したので、書いてみました。
書く必要、なかった気がしないでもありません。

文 / 兵庫慎司

楽曲/DISCOGRAPHY

12th Album
さざなみCD

発売日:2007年10月10日
品番:UPCH-1620

【収録曲】
01. 僕のギター
02. 桃
03. 群青
04. Na・de・Na・de ボーイ
05. ルキンフォー
06. 不思議
07. 点と点
08. P
09. 魔法のコトバ
10. トビウオ
11. ネズミの進化
12. 漣
13. 砂漠の花

リリース情報

スピッツ

CYCLE HIT 1991-2017 Spitz Complete Single Collection -30th Anniversary BOX-

2017年7月5日発売
(3CD)UPCH-7329/31
¥3,900+税

1991年のデビューシングルから昨年2016年4月に発売されたシングル曲「みなと」までの全シングル曲、そして「愛のことば-2014mix-」「雪風」といったドラマ主題歌としても話題となった配信限定シングル曲、さらには、新たにレコーディングをした新曲3曲を加えた全45曲収録のCD3枚組アルバム。

【収録曲】
【DISC 1】CYCLE HIT 1991-1997 Spitz Complete Single Collection
01.ヒバリのこころ
02. 夏の魔物
03.魔女旅に出る
04.惑星のかけら
05.日なたの窓に憧れて
06.裸のままで
07.君が思い出になる前に
08.空も飛べるはず
09.青い車
10.スパイダー
11.ロビンソン
12.涙がキラリ☆
13.チェリー
14.渚
15.スカーレット

【DISC 2】CYCLE HIT 1997-2005 Spitz Complete Single Collection
01.夢じゃない
02.運命の人
03.冷たい頬
04.楓
05.流れ星
06.ホタル
07.メモリーズ
08.遥か
09.夢追い虫
10.さわって・変わって
11.ハネモノ
12.水色の街
13.スターゲイザー
14.正夢
15.春の歌

【DISC 3】CYCLE HIT 2006-2017 Spitz Complete Single Collection
01.魔法のコトバ
02.ルキンフォー
03.群青
04.若葉
05.君は太陽
06.つぐみ
07.シロクマ
08.タイム・トラベル
09.さらさら
10.愛のことば-2014mix-
11.雪風
12.みなと
13.ヘビーメロウ
14.歌ウサギ
15.1987→ 

2006年に発売された2枚の『CYCLE HIT』も2017年最新のマスタリングをして再発売!

CYCLE HIT 1991-1997 Spitz Complete Single Collection

(CD)UPCH-2129 ¥2,500+税

CYCLE HIT 1997-2005 Spitz Complete Single Collection

(CD)UPCH-2130 ¥2,500+税

CYCLE HIT 2006-2017 Spitz Complete Single Collection

(CD)UPCH-2131 ¥2,500+税

『CYCLE HIT 1991-1997 Spitz Complete Single Collection』、そして『CYCLE HIT 1997-2005 Spitz Complete Single Collection』も、今回の新たなアイテムに合わせ、2017年の最新スピッツサウンドを表現する為に、世界最高峰の「Marcussen Mastering」にてリマスタリングを遂行。7月5日に再発売。

アナログ盤も“重量盤”で7月5日同時発売!

ファーストアルバム『スピッツ』から昨年7月に発売された最新アルバム『醒めない』までのオリジナルアルバム15作品に、ミニアルバム『オーロラになれなかった人のために』を加えた全16作品をアナログ盤で発売。

ライブ情報

『SPITZ 30th ANNIVERSARY TOUR “THIRTY30FIFTY50”』

8月05日(土):長野県・長野・ビッグハット
8月06日(日):長野県・長野ビッグハット
8月11日(金・祝):香川県・さぬき市野外音楽広場テアトロン
8月12日(土):香川県・さぬき市野外音楽広場テアトロン
8月16日(水):東京都・日本武道館
8月17日(木):東京都・日本武道館
8月19日(土):東京都・日本武道館
8月23日(水):神奈川県・横浜アリーナ
8月24日(木):神奈川県・横浜アリーナ
9月02日(土):福岡県・マリンメッセ福岡
9月03日(日):福岡県・マリンメッセ福岡
9月16日(土):北海道・北海道総合体育センター北海きたえーる
9月17日(日):北海道・北海道総合体育センター北海きたえーる
9月30日(土):宮城県・宮城・セキスイハイムスーパーアリーナ(グランディ・21)
10月1日(日):宮城県・宮城・セキスイハイムスーパーアリーナ(グランディ・21)

SPITZ

草野マサムネ :1967年12月21日 福岡県 O型 ヴォーカル&ギター
三輪テツヤ :1967年5月17日 静岡県 B型 ギター
田村明浩 :1967年5月31日 静岡県 A型 ベースギター
﨑山龍男 :1967年10月25日 栃木県 B型 ドラムス
草野マサムネ(Vo/Gt)、三輪テツヤ(Gt)、 田村明浩(B)、﨑山龍男(Dr)の4人 組ロックバンド。
1987年結成。1991年3月シングル「ヒバリのこころ」、アルバム「スピッツ」でメジャーデビュー後、1995年リリースの11thシングル「ロビンソン」、6thアルバム『ハチミツ』のヒットを機に、多くのファンを獲得。
以後、楽曲制作はもちろん、日本国内をくまなく廻る全国ツアーや自らオーガナイズするイベント開催など、マイペースな活動を継続している。 そして今夏、15thアルバム『醒めない』を発売、全国ツアーも大成功。
2017年結成30周年を迎え、7月5日は「CYCLE HIT 1991-2017 Spitz Complete Single Collection -30th Anniversary BOX-」を発売、『SPITZ 30th ANNIVERSARY TOUR “THIRTY30FIFTY50”』も敢行中と精力的に活動を展開している。
オフィシャルサイトhttp://spitz.r-s.co.jp/

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