スピッツが僕たちに見せてくれた世界  vol. 14

Review

13th アルバム『とげまる』から、「スピッツのネーミング」について考える

13th アルバム『とげまる』から、「スピッツのネーミング」について考える

スピッツが結成30周年を迎え、シングルコレクションアルバム『CYCLE HIT 1991-2017 Spitz Complete Single Collection -30th Anniversary BOX-』を届けてくれた。
世代を超えて愛され続けている音楽を作ることを成し得たアーティストが到達できる30周年。聴く人の喜怒哀楽、それぞれの想いにもそっと寄り添い、潤いを与え続けているスピッツが僕たちに見せてくれた世界をオリジナルアルバム単位で1枚ずつ振り返っていきたい。
『CYCLE HIT 1991-2017 Spitz Complete Single Collection -30th Anniversary BOX-』に収録されているシングルの味わいもグッと増し、もっとスピッツを知りたくなってくれることを願って。

#14 13th Album「とげまる」(2010年10月27日発売)

最初にスピッツの存在を知った時、音を聴く前の時点で「いいバンド名だなあ」と感心したのを覚えている。
何がそんなにいいと思ったのか、箇条書きにします。

・四文字でひと息で言える、だから略称が必要ないこの短さ。
・漢字でもひらがなでもないが、アルファベットよりもカタカナがしっくりくる感じ。
・意味やメッセージがこめられた名前ではないが、まったく無意味かというと、そんなことはない。
・口に出した時に気持ちいい、発語の快感がある。おそらく「ピ」と「ッ」が効いている。
・我々(僕はスピッツの1歳下です)が子供の頃はそこらじゅうで飼われていたのに最近見かけない、でもまだ「スピッツ」という言葉自体にはみんななじみがある、かつちょっと懐かしい感じもすでにある、という、あらゆる意味で絶妙な温度感。

どうでしょ。すばらしいでしょう、全方位的に。これに対抗できるバンド名は「たま」だけだと思う。「ロビンソン」が売れた直後の頃に、「バンド名一等賞はスピッツである」という原稿をROCKIN’ON JAPANに書いたことがあるくらいです、私。
もともとは草野マサムネが高校生の頃からスピッツというバンド名にしたかったんだけど周囲に却下されていて、大学時代に田村と組んだ前身バンド、ザ・スピッツでようやくその名前を使えた──というのはよく知られていますね。そうか、高校の頃からセンスよかったんだな。

バンド名の時点でセンスいいんだから、アルバム名も然りである。たとえばセカンドの『名前をつけてやる』や、最新作の『醒めない』のように、秀逸なタイトルのアルバムはスピッツにはいくつもある。が、今のところの「アルバム・タイトルナンバー1」は、本作ではないだろうか。

『とげまる』

ハリネズミ、ですよね。犬じゃなくて。しかし、どうだろう。スピッツそのものじゃないか、この言葉。「とげ」と「まる」である時点で。こんなに簡潔に自らを言い表すとは。おそるべし、としか言いようがない。
アルバム収録曲から持ってきたわけではなくて、それらと別に付けているのも、何かとてもいい。14曲も入っているアルバムであって、「ビギナー」「恋する凡人」「つぐみ」「新月」「えにし」など、「これがアルバム・タイトルでもいいんじゃね?」っていう曲名も多数なのに、それらを使わずにあえて『とげまる』。すばらしい。
ちなみに「とげまる」で検索すると、東京・浜松町のビストロと、山口市のパン屋がひっかかります。

36th Single「つぐみ」(2010年6月23日発売)

「愛してる」と言わなくちゃ、ということをストレートに歌う「つぐみ」、佐橋佳幸がペダル・スティールを弾くカントリー調の「花の写真」、マイナー・コードの響きとメロディがきわめて昭和歌謡な「TRABANT」など、曲調・アレンジ共に振り切れた曲が多い、バラエティに富んだアルバムでもある。
そんな中で、スピッツどまんなかなアレンジとメロディで、「スピッツが希望を描くとこうなる」すばらしいとしか言いようがない歌詞を歌うラスト・チューン「君は太陽」がよりいっそう輝いているアルバムでもある。

文 / 兵庫慎司

楽曲/DISCOGRAPHY

13th Album
とげまる

発売日:2010年10月27日
品番:UPCH-1803

【収録曲】
01. ビギナー
02. 探検隊
03. シロクマ
04. 恋する凡人
05. つぐみ
06. 新月
07. 花の写真
08. 幻のドラゴン
09. TRABANT
10. 聞かせてよ
11. えにし
12. 若葉
13. どんどどん
14. 君は太陽

リリース情報

スピッツ

CYCLE HIT 1991-2017 Spitz Complete Single Collection -30th Anniversary BOX-

2017年7月5日発売
(3CD)UPCH-7329/31
¥3,900+税

1991年のデビューシングルから昨年2016年4月に発売されたシングル曲「みなと」までの全シングル曲、そして「愛のことば-2014mix-」「雪風」といったドラマ主題歌としても話題となった配信限定シングル曲、さらには、新たにレコーディングをした新曲3曲を加えた全45曲収録のCD3枚組アルバム。

【収録曲】
【DISC 1】CYCLE HIT 1991-1997 Spitz Complete Single Collection
01.ヒバリのこころ
02. 夏の魔物
03.魔女旅に出る
04.惑星のかけら
05.日なたの窓に憧れて
06.裸のままで
07.君が思い出になる前に
08.空も飛べるはず
09.青い車
10.スパイダー
11.ロビンソン
12.涙がキラリ☆
13.チェリー
14.渚
15.スカーレット

【DISC 2】CYCLE HIT 1997-2005 Spitz Complete Single Collection
01.夢じゃない
02.運命の人
03.冷たい頬
04.楓
05.流れ星
06.ホタル
07.メモリーズ
08.遥か
09.夢追い虫
10.さわって・変わって
11.ハネモノ
12.水色の街
13.スターゲイザー
14.正夢
15.春の歌

【DISC 3】CYCLE HIT 2006-2017 Spitz Complete Single Collection
01.魔法のコトバ
02.ルキンフォー
03.群青
04.若葉
05.君は太陽
06.つぐみ
07.シロクマ
08.タイム・トラベル
09.さらさら
10.愛のことば-2014mix-
11.雪風
12.みなと
13.ヘビーメロウ
14.歌ウサギ
15.1987→ 

2006年に発売された2枚の『CYCLE HIT』も2017年最新のマスタリングをして再発売!

CYCLE HIT 1991-1997 Spitz Complete Single Collection

(CD)UPCH-2129 ¥2,500+税

CYCLE HIT 1997-2005 Spitz Complete Single Collection

(CD)UPCH-2130 ¥2,500+税

CYCLE HIT 2006-2017 Spitz Complete Single Collection

(CD)UPCH-2131 ¥2,500+税

『CYCLE HIT 1991-1997 Spitz Complete Single Collection』、そして『CYCLE HIT 1997-2005 Spitz Complete Single Collection』も、今回の新たなアイテムに合わせ、2017年の最新スピッツサウンドを表現する為に、世界最高峰の「Marcussen Mastering」にてリマスタリングを遂行。7月5日に再発売。

アナログ盤も“重量盤”で7月5日同時発売!

ファーストアルバム『スピッツ』から昨年7月に発売された最新アルバム『醒めない』までのオリジナルアルバム15作品に、ミニアルバム『オーロラになれなかった人のために』を加えた全16作品をアナログ盤で発売。

ライブ情報

『SPITZ 30th ANNIVERSARY TOUR “THIRTY30FIFTY50”』

8月05日(土):長野県・長野・ビッグハット
8月06日(日):長野県・長野ビッグハット
8月11日(金・祝):香川県・さぬき市野外音楽広場テアトロン
8月12日(土):香川県・さぬき市野外音楽広場テアトロン
8月16日(水):東京都・日本武道館
8月17日(木):東京都・日本武道館
8月19日(土):東京都・日本武道館
8月23日(水):神奈川県・横浜アリーナ
8月24日(木):神奈川県・横浜アリーナ
9月02日(土):福岡県・マリンメッセ福岡
9月03日(日):福岡県・マリンメッセ福岡
9月16日(土):北海道・北海道総合体育センター北海きたえーる
9月17日(日):北海道・北海道総合体育センター北海きたえーる
9月30日(土):宮城県・宮城・セキスイハイムスーパーアリーナ(グランディ・21)
10月1日(日):宮城県・宮城・セキスイハイムスーパーアリーナ(グランディ・21)

SPITZ

草野マサムネ :1967年12月21日 福岡県 O型 ヴォーカル&ギター
三輪テツヤ :1967年5月17日 静岡県 B型 ギター
田村明浩 :1967年5月31日 静岡県 A型 ベースギター
﨑山龍男 :1967年10月25日 栃木県 B型 ドラムス
草野マサムネ(Vo/Gt)、三輪テツヤ(Gt)、 田村明浩(B)、﨑山龍男(Dr)の4人 組ロックバンド。
1987年結成。1991年3月シングル「ヒバリのこころ」、アルバム「スピッツ」でメジャーデビュー後、1995年リリースの11thシングル「ロビンソン」、6thアルバム『ハチミツ』のヒットを機に、多くのファンを獲得。
以後、楽曲制作はもちろん、日本国内をくまなく廻る全国ツアーや自らオーガナイズするイベント開催など、マイペースな活動を継続している。 そして今夏、15thアルバム『醒めない』を発売、全国ツアーも大成功。
2017年結成30周年を迎え、7月5日は「CYCLE HIT 1991-2017 Spitz Complete Single Collection -30th Anniversary BOX-」を発売、『SPITZ 30th ANNIVERSARY TOUR “THIRTY30FIFTY50”』も敢行中と精力的に活動を展開している。
オフィシャルサイトhttp://spitz.r-s.co.jp/

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