スピッツが僕たちに見せてくれた世界  vol. 15

Review

スピッツの出した答え、がこの14thアルバム『小さな生き物』

スピッツの出した答え、がこの14thアルバム『小さな生き物』

スピッツが結成30周年を迎え、シングルコレクションアルバム『CYCLE HIT 1991-2017 Spitz Complete Single Collection -30th Anniversary BOX-』を届けてくれた。
世代を超えて愛され続けている音楽を作ることを成し得たアーティストが到達できる30周年。聴く人の喜怒哀楽、それぞれの想いにもそっと寄り添い、潤いを与え続けているスピッツが僕たちに見せてくれた世界をオリジナルアルバム単位で1枚ずつ振り返っていきたい。
『CYCLE HIT 1991-2017 Spitz Complete Single Collection -30th Anniversary BOX-』に収録されているシングルの味わいもグッと増し、もっとスピッツを知りたくなってくれることを願って。

#15 14th Album「小さな生き物」(2013年9月11日発売)

懐かしいアルバムである。最初に聴いた時は、当然ニュー・アルバムとして聴いたのに、最初にそう感じたのを憶えている。そしてそれは、今聴き直しても変わらない。
一撃で三輪テツヤのそれであることがわかるクリーントーンのギターで始まる「未来コオロギ」。
BPM88~89前後(測りました)のゆったりしたタイム感、しかしバラードではなくロック・チューンな仕上がりのアルバム・タイトル曲「小さな生き物」。
スピッツがアップテンポ&歪んだギター・サウンドをやる時の王道かつ理想形な「りありてぃ」。
テツヤのアルペジオ&マサムネのアコギ、両者の響きがとてもスピッツな「ランプ」。日本語本来の抑揚と矛盾しないメロディの抑揚で曲が進んでいく(これ、ソングライターとしての草野マサムネのすごいところのひとつだと思う)「オパビニア」──。

全曲書いてしまいそうなのでこのへんでやめるが、どれもとても、我々が慣れ親しんできたスピッツだ。
新しい音楽的なトライアルをしていない、というわけではない。たとえば「scat」は、文字どおりスキャットで、歌はあるが歌詞がない、というトライアルをしている。
あと、「野生のポルカ」は、曲名どおりアイリッシュ・トラッドな音作りだったりする。にしてもこの曲、フィドルみたいな音が効いてるな、なんの楽器なんだろうと思ってクレジットを見てみたら、佐藤芳明の弾くアコーディオンでした。それから、フラワーカンパニーズが、曲の後半の分厚いコーラスで参加していました。そうだった。忘れてた。

歌詞も然り、とてもスピッツ。というか、歌詞を引用しなくても曲名だけでそれがわかる。
「さらさら」「野生のポルカ」「scat」「スワン」「潮騒ちゃん」。いずれもとてもスピッツだ。強いて言えば、「エンドロールには早すぎる」「僕はきっと旅に出る」という曲も入っているが、それ以外は簡潔なタイトルの曲が多い、という特徴はあるかもしれない。そういえば曲の尺も然りで、長い曲がない。

38th Single「さらさら/僕はきっと旅に出る」(2013年5月15日発売)

前作と今作の間に何があったかを考えると、そういうアルバムにした理由が、なんとなく推測できる。そうだ。東日本大震災だ。そのことで自分が音楽を作る意味、音楽をやる意味はなんなのかということに、多くのミュージシャンが直面した。歌詞で直接的に震災に触れているような曲はないが、そこでスピッツが出した答えが、このアルバムなのではないか。
「今回は、はっきりと手短に伝えたいって思いが、楽曲作りにあった。だから長い曲がない」ということを、リリース当時のインタビューでマサムネは言っている。つまり、そのように、クリアにダイレクトに伝わるものを作ろうとしたら、スピッツのどまんなかにずっとあり続けたものだけが込められた、そんなアルバムになった、ということだ。そしてその結果、簡潔かつとてつもなく濃い、すばらしい作品になったということだ。

このアルバムは、2013年9月11日にリリースされている。

文 / 兵庫慎司

楽曲/DISCOGRAPHY

14th Album
小さな生き物

発売日:2013年9月11日
品番:UPCH-1946

【収録曲】
01. 未来コオロギ
02. 小さな生き物
03. りありてぃ
04. ランプ
05. オパビニア
06. さらさら
07. 野生のポルカ
08. scat
09. エンドロールには早すぎる
10. 遠吠えシャッフル
11. スワン
12. 潮騒ちゃん
13. 僕はきっと旅に出る

リリース情報

スピッツ

CYCLE HIT 1991-2017 Spitz Complete Single Collection -30th Anniversary BOX-

2017年7月5日発売
(3CD)UPCH-7329/31
¥3,900+税

1991年のデビューシングルから昨年2016年4月に発売されたシングル曲「みなと」までの全シングル曲、そして「愛のことば-2014mix-」「雪風」といったドラマ主題歌としても話題となった配信限定シングル曲、さらには、新たにレコーディングをした新曲3曲を加えた全45曲収録のCD3枚組アルバム。

【収録曲】
【DISC 1】CYCLE HIT 1991-1997 Spitz Complete Single Collection
01.ヒバリのこころ
02. 夏の魔物
03.魔女旅に出る
04.惑星のかけら
05.日なたの窓に憧れて
06.裸のままで
07.君が思い出になる前に
08.空も飛べるはず
09.青い車
10.スパイダー
11.ロビンソン
12.涙がキラリ☆
13.チェリー
14.渚
15.スカーレット

【DISC 2】CYCLE HIT 1997-2005 Spitz Complete Single Collection
01.夢じゃない
02.運命の人
03.冷たい頬
04.楓
05.流れ星
06.ホタル
07.メモリーズ
08.遥か
09.夢追い虫
10.さわって・変わって
11.ハネモノ
12.水色の街
13.スターゲイザー
14.正夢
15.春の歌

【DISC 3】CYCLE HIT 2006-2017 Spitz Complete Single Collection
01.魔法のコトバ
02.ルキンフォー
03.群青
04.若葉
05.君は太陽
06.つぐみ
07.シロクマ
08.タイム・トラベル
09.さらさら
10.愛のことば-2014mix-
11.雪風
12.みなと
13.ヘビーメロウ
14.歌ウサギ
15.1987→ 

2006年に発売された2枚の『CYCLE HIT』も2017年最新のマスタリングをして再発売!

CYCLE HIT 1991-1997 Spitz Complete Single Collection

(CD)UPCH-2129 ¥2,500+税

CYCLE HIT 1997-2005 Spitz Complete Single Collection

(CD)UPCH-2130 ¥2,500+税

CYCLE HIT 2006-2017 Spitz Complete Single Collection

(CD)UPCH-2131 ¥2,500+税

『CYCLE HIT 1991-1997 Spitz Complete Single Collection』、そして『CYCLE HIT 1997-2005 Spitz Complete Single Collection』も、今回の新たなアイテムに合わせ、2017年の最新スピッツサウンドを表現する為に、世界最高峰の「Marcussen Mastering」にてリマスタリングを遂行。7月5日に再発売。

アナログ盤も“重量盤”で7月5日同時発売!

ファーストアルバム『スピッツ』から昨年7月に発売された最新アルバム『醒めない』までのオリジナルアルバム15作品に、ミニアルバム『オーロラになれなかった人のために』を加えた全16作品をアナログ盤で発売。

ライブ情報

『SPITZ 30th ANNIVERSARY TOUR “THIRTY30FIFTY50”』

8月05日(土):長野県・長野・ビッグハット
8月06日(日):長野県・長野ビッグハット
8月11日(金・祝):香川県・さぬき市野外音楽広場テアトロン
8月12日(土):香川県・さぬき市野外音楽広場テアトロン
8月16日(水):東京都・日本武道館
8月17日(木):東京都・日本武道館
8月19日(土):東京都・日本武道館
8月23日(水):神奈川県・横浜アリーナ
8月24日(木):神奈川県・横浜アリーナ
9月02日(土):福岡県・マリンメッセ福岡
9月03日(日):福岡県・マリンメッセ福岡
9月16日(土):北海道・北海道総合体育センター北海きたえーる
9月17日(日):北海道・北海道総合体育センター北海きたえーる
9月30日(土):宮城県・宮城・セキスイハイムスーパーアリーナ(グランディ・21)
10月1日(日):宮城県・宮城・セキスイハイムスーパーアリーナ(グランディ・21)

SPITZ

草野マサムネ :1967年12月21日 福岡県 O型 ヴォーカル&ギター
三輪テツヤ :1967年5月17日 静岡県 B型 ギター
田村明浩 :1967年5月31日 静岡県 A型 ベースギター
﨑山龍男 :1967年10月25日 栃木県 B型 ドラムス
草野マサムネ(Vo/Gt)、三輪テツヤ(Gt)、 田村明浩(B)、﨑山龍男(Dr)の4人 組ロックバンド。
1987年結成。1991年3月シングル「ヒバリのこころ」、アルバム「スピッツ」でメジャーデビュー後、1995年リリースの11thシングル「ロビンソン」、6thアルバム『ハチミツ』のヒットを機に、多くのファンを獲得。
以後、楽曲制作はもちろん、日本国内をくまなく廻る全国ツアーや自らオーガナイズするイベント開催など、マイペースな活動を継続している。 そして今夏、15thアルバム『醒めない』を発売、全国ツアーも大成功。
2017年結成30周年を迎え、7月5日は「CYCLE HIT 1991-2017 Spitz Complete Single Collection -30th Anniversary BOX-」を発売、『SPITZ 30th ANNIVERSARY TOUR “THIRTY30FIFTY50”』も敢行中と精力的に活動を展開している。
オフィシャルサイトhttp://spitz.r-s.co.jp/

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