週刊『デッドストック』  vol. 11

Review

あなたが今見ているものは「真実」か「FAKE」か?『デッドストック~未知への挑戦~』最終話レビュー

あなたが今見ているものは「真実」か「FAKE」か?『デッドストック~未知への挑戦~』最終話レビュー

今クールに面白いドラマがある。30分、(ほぼ)1話完結、役者・スタッフ陣も豪華、オリジナルそれも舞台が自社!と、1話の放送を観て「おおぉぉ」というような唸るような気持ちになる。
限られた時間に凝縮した面白さを詰め込もうとも題材が恋愛系よりかと思いきや、ホラーとは……。そんな『デッドストック~未知への挑戦~』の面白さをお伝えしたい一心で、この連載が始まりました。最終回はどのような結末を迎えたのか。続編があることに期待!


第11回:あなたが今見ているものは「真実」か「FAKE」か?

『デッドストック』最終回となる第11話は,過去にテレビ東京で放送された「スプーン曲げの清田くん」の映像を見た常田大陸(村上虹郎)と二階堂早織(早見あかり)が、本人に会いに行くというもの。
前回でこれまで全編を通じて描いてきた「大ネタ(大陸の母親に関する謎)」も終了。今回はあの森達也のゲスト監督回(脚本はこれまで同様、三宅隆太と加藤淳也)ということもあり、ある種の番外編というか、最終回にしてさらに異ジャンルに突入した感がある。

©「デッドストック~未知への挑戦~」製作委員会

まず森達也が本人役で登場するシーンからして異様な空気ビンビン。森のことを清田くんだと勘違いして「これ曲げてもらえませんか」とスプーンを差す出す大陸と早織に「お前らシネコンしか行かないんだろ」と憮然と返す森と、それに対する大陸のモノローグ「ちょっと好きになれそうにないタイプです」が最高!

©「デッドストック~未知への挑戦~」製作委員会

ほどなく登場する「本物の清田くん」はもちろん、70年代に一世を風靡し、後に森達也が『職業欄はエスパー』でカメラに収めた清田益章本人なわけで。スキンヘッドのスピリチュアルおじさんと化した現在の清田くんに軽く衝撃を受けつつ、ずっと「本ドラマ」を見てきた者としては、この虚実ない交ぜの世界観に「自分は今なにを見ているんだっけ…?」と頭がジワジワとヤラれてくる!

©「デッドストック~未知への挑戦~」製作委員会

カメラの前ではもうスプーン曲げをしたくないという清田くんの意志を尊重しながらも、テレビマンとしては映像に撮れなければ存在意義がないというジレンマを抱えながらも、清田くんに密着取材する大陸たち。果たしてスプーン曲げの映像を撮れるのか? 撮れないのか? そもそも自分はいったい何を撮ろうとしているのか? そんな自問自答の末についに清田くんの撮影許可を得るも、その際のスプーン曲げはなんと失敗に終わる。

©「デッドストック~未知への挑戦~」製作委員会

「やっぱりインチキだったんじゃないの?」「カメラに映ってなきゃどうしようもないですもんね」とボヤく早織と大陸に、森がコップを手に持論をぶつけるシーンの緊張感たるや凄まじい。

「あのさ、曲がることもリアルだけど曲がらないこともリアルだよ」(森)
・・・
「これは何?」(森)
「コップです」(大陸)
「形は?」(森)
「台形です」(佐山)
「じゃあこれは?」(森)
「丸です」(大陸・早織)
「たかがコップですらどこから見るかで形が違う。現実はもっともっと多面的だよ」(森)
・・・
「TVが求めてるのは本当のリアルじゃない。リアルらしく見えること」(森)

この最終話はスタッフですら先の読めないハプニングがあってヒヤヒヤしたと聞いているが、特にこの一連のシーンはこれまでとは映像の質感も空気もガラッと変わっていて、フィクションとドキュメンタリーの皮膜を目の当たりにする思い! てか、このガチなシーンを自分で演じて、自分で編集した森達也って…と思うと、コワすぎて笑えてきます!(これぞホラー的!?)

左:森達也 右:清田益章 ©「デッドストック~未知への挑戦~」製作委員会

テレビとは「真実」を伝える場所なのか? 真実を伝えるためにはどういった方法が正しいのか? そして、現実世界において私たちが見ているものは、果たして「真実」なのか? 
そんな深淵なる問いを投げかけて終了ーーと思いきや、最後に「ある映像」が流れ、視聴者はさらに大きなクエスチョンマークを抱えたまま いまだかつてない亜空間へと放り出される。

そんなアクロバティックで清々しいエンディングは「早織と大陸による新番組」の存在を示唆するものでもあり、こりゃ続編も大いに期待できそう。
ちなみに近日発売される本ドラマのDVDには、この森達也監督回のメイキングが本編とは別立てで収録されるそうで、第一話から欠かさずテレビでウォッチしてきたファンは、こちらも必見。

テレビ東京旧社屋に残された大量の未確認素材テープを元に、毎回登場人物らがさまざまな怪奇現象に巻き込まれる様を描く、いわゆるモキュメンタリー・ホラーの様式を踏みながら、その過程でさまざまな人物の心の闇を描き、大陸の母にまつわるミステリー/サスペンスの要素を盛り込みながらも、それを壮大な赦しの物語へと昇華した上で、こんな最終回へと到達した『デッドストック』。TVドラマ史に名を刻むであろう「名/迷作」をリアルタイムにテレビで観たことの意味、その幸せをしみじみ噛みしめたい。

文 / 井口啓子

ドラマ25『デッドストック~未知への挑戦~』
DVDBOX 好評予約受付中!

2017年12月22日(金)発売

※ジャケット画像はイメージです。

キャストインタビューや恐怖の舞台裏に迫るメイキングなど豪華特典映像を収録!

ご予約は番組ホームページから!
http://www.tv-tokyo.co.jp/deadstock/

ドラマ25『デッドストック~未知への挑戦~』主演・村上虹郎のインタビュー記事はこちら
ドラマ『デッドストック』主演の村上虹郎が語る「恐怖は言語とか文化を超えて体が憶え…

ドラマ『デッドストック』主演の村上虹郎が語る「恐怖は言語とか文化を超えて体が憶え…

2017.08.25

ドラマ25『デッドストック~未知への挑戦~』

村上虹郎主演!虚実入り混じる新感覚ホラードラマ! 2016年テレビ東京の社屋移転で発見されたテープ倉庫の開かずの間。そこに眠るのは、ワケあり番組の未確認素材だった…!

【放送日時】毎週金曜日 深夜00:52~01:23
≪最終話≫
【脚本】加藤淳也、三宅隆太
【監督】森達也
【主題歌】『Different Man』 AKLO×JAY’ED
【エンディング】『Moor』UA

【出演者】
常田大陸:村上虹郎
二階堂早織:早見あかり
佐山暁:田中哲司

≪最終話ゲスト≫
清田益章
森達也
【公式HP】http://www.tv-tokyo.co.jp/deadstock/

©「デッドストック~未知への挑戦~」製作委員会

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