Interview

w-inds. 進化とキャリアを重ねる3人。フューチャーベースを導入した新作と今後のビジョンを訊く

w-inds. 進化とキャリアを重ねる3人。フューチャーベースを導入した新作と今後のビジョンを訊く

何の前触れもなくYouTubeにフル尺のMVをアップするというグループ初の試みで発表され話題を集めたw-inds.の新曲「Time Has Gone」が、いよいよCDとなって到着した。2年前のアルバム『Blue Blood』でディスコ/ブギー系のモダンファンク、今年発売の最新アルバム『INVISIBLE』でトロピカルハウスを採り入れ洋楽志向を強めていた彼らが、「Time Has Gone」では世界のダンスシーンですっかり市民権を得ているフューチャーベースを導入。洋楽好きが舌を巻くほどハイクオリティーな楽曲を作りあげてきた。前シングル「We Don’t Need To Talk Anymore」に続き、今作も橘慶太が作詞・作曲・トラックメイクを手掛けており、さらにはトラックダウンまでを担当。歌えて踊れるアーティストは数多いれど、歌えて踊れて作れる存在となると話は別。この先、w-inds.はどこへ向かうのか。「We Don’t Need To Talk Anymore」を経て『INVISIBLE』で開幕したw-inds.新章の行方を聞いた。

取材・文 / 猪又孝 撮影 / 荻原大志


展開が読めないエンターテインメントの方が、サプライズ感があって楽しいと思うんです(慶太)

新曲「Time Has Gone」は、いつ頃、どんなきっかけで作ったんですか?

慶太 『INVISIBLE』が完成してすぐですね。次も早いとこ出したいなってことになって、じゃあ作ろうみたいな。そのままパパッと作って、5月ぐらいには出来てました。

曲調からは、これまでの路線をもっと強化していこうという意思表示が感じられましたし、『INVISIBLE』ツアーに向けて作ったところもあるのかなと。

慶太 両方ですね。「We Don’t Need To Talk Anymore」と『INVISIBLE』で見せたスタイルは自分たちの中でもすごく手応えがあったので、それをもうちょっと強く印象づけたかったし、今年はそれをより積極的にやっていきたいという気持ちがあったんです。あと、ライブで新曲をやるのは見せ場のひとつだと思うので、そこも意識して作りました。

今回は、YouTubeで突如MVを公開するという発表方法を採りました。今どきの海外アーティストはよくやるパターンですが、ついにw-inds.がそれをやったか!と、驚くと同時に拍手を送りたい気持ちだったんですが、そこにはどんな意図があったんですか?

慶太 単純にいつものスタイルに飽きたというか。リリース日を決めて、1か月前ぐらいに告知して、発売2週間前ぐらいにMVが出てっていう、毎回同じパターン……。ファンの人が動きを読めるのって面白くないじゃないですか。それよりも突然こんなことやってくれたとか、突然作品がアップされたとか、展開が読めないエンターテインメントの方が、サプライズ感があって楽しいと思うんです。常に新しい音楽の発信方法を模索していきたいんです。

MV自体、今までにないような質感の自信作だったんで、早く聴いてもらいたいって気持ちがどんどん湧き上がっていましたね(涼平)

MV公開日をどんな気持ちで迎えましたか?

涼平 SNSを通して感想が来てくれるといいなと思ってたし、近年のw-inds.のサウンドを考えるとファン以外の方々を刺激しそうだなと思って公開日はワクワクしてました。MV自体、今までにないような質感の自信作だったんで、早く聴いてもらいたいって気持ちがどんどん湧き上がっていましたね。

龍一 今回はかなり水面下で動いていたプロジェクトだったんですけど、完成度の高いMVが作れたし、早く発信したいなと思ってました。それに対して見てくれた人たちの反応はかなり良かったですし、公開がツアーの直前だったので、ツアーをあおる意味でもすごくいいタイミングで良い作品を放てたなと思ってます。

ダンスミュージックなんだけど切なくなるような感じ(慶太)

「Time Has Gone」は慶太くんのセルフプロデュース作になりました。どんなサウンドを目指したんですか?

慶太 結構前からやりたいと思っていたフューチャーベースを取り入れたかったのと、あとはフューチャーベースならではの哀愁のある感じを目指しました。ダンスミュージックなんだけど切なくなるような感じ。歌詞もそうなんですけど、サウンドでそこを表現したいと思ってました。

1音1音、かなりこだわりを感じました。

慶太 さっきパソコンを開いて、久しぶりに自分のセッションを見たら、めっちゃこだわってました(笑)。すごく細かく周波数をいじって、音の距離感とか空間を意識して。切なさを引き出すために、ずっとこもってやってたなって。

中でも、いちばんこだわったのは?

慶太 いちばんですか? ドロップのところですかね。

ドロップのパートは音程がミョーにズレてて、なんか気持ち悪いんですよね(笑)。でもクセになる。

慶太 そうなんです。一度オンピッチにしてみたんですけど、そうすると明るい歌になるんですよ。すげえ前向きな元気な歌になっちゃって、これじゃないなってことでピッチをずらして、悲壮感というか、失った辛さを出そうと。

音を不安定にして不安定な心も表現、みたいな。

慶太 そうです、そうです。キーボードにはないドとド#の間の音みたいな。耳だから判断できるレベルのピッチを選んだりしてムチャクチャこだわりました。

さらに今回はトラックダウンまで自分でやってるんですよね。

慶太 そういう作業が本当に好きになってきちゃって。残すはマスタリングだけだなと思ってます。

KEITA名義でソロ始動した4年前にインタビューさせてもらったとき、部屋を埋め尽くすくらい機材を買って、ソフトも買いまくってると言ってましたが、それは変わらずですか?

慶太 買ってますね。これを買ったらもう買わないって決めるんですよ。この中のものでしか曲は作らない、あとは腕だって。でも1ケ月後には買ってますね(笑)。その繰り返しです。新しいソフトが出たら試さないと気が済まない。だから、たぶん一生買うんだと思います。

自分としては失恋よりもっと辛い別れを書いてるんです(慶太)

歌詞に目を向けると、「Time Has Gone」はざっくり言えば失恋ソングですが、どんな思いを書いたんですか?

慶太 自分としては失恋よりもっと辛い別れを書いてるんです。書いてた時期におばあちゃんを亡くしたんですけど、東京に暮らしていてその報告を受けても最初はまったく実感が沸かなくて。涙も出なかったんですけど、福岡に戻っておばあちゃんの姿を見たときに、自分では考えられないぐらい大号泣したんです。そのときにおばあちゃんの記憶が薄れていく感じってイヤだなと思ったり、でも仕方ないのかなと思ったり、すごく複雑な気持ちになって。別れがずっと尾を引くのは辛いことなんですけど、でもその悲しみを忘れないような曲を作りたいなと思って作り始めたんです。

それで「時間」をテーマにした。

慶太 時間がすべてを流しちゃうんで。良くも悪くも。記憶も薄れていくし、愛された感覚も忘れちゃう。東京にいて実感が沸かなかったのは、福岡にいたときの感覚を忘れてたんだろうなと思って、時の無情さを感じました。

この曲にはそういうパーソナルな出来事が落とし込まれていたんですね。

慶太 今までそういうのはあんまりなかったんですけどね。わりと機械的というか、曲を聴いたときの印象で歌詞を書くことが多かったんです。でも、トラックを作っていたのがそういう時期だったんで気持ち的に明るい曲は作れないですよね。あと、いつもはメロを先に作って歌詞をあとから当て込むことが多いんですけど、今回はトラックを作りながらメロも歌詞も一緒に作ったんです。だから、オケとメロと歌詞に一体感があるし、今まででいちばん曲に実感がこもってます。

2曲目の「THIS LOVE」は、カルヴィン・ハリスが今年の最新アルバムで打ち出してきた、ポストEDMのデジタルな質感のファンクですね。

慶太 「Time Has Gone」と両極端になるような、ハッピーな曲を作りたかったんです。あと、母親がDJだったこともあって自分のルーツにはファンクがあるんで、ファンク/ソウルの要素を入れた現代っぽいことをやりたいなと。まさにカルヴィン・ハリスとかがやってるような感じですね。