Interview

SILENT SIREN 歌詞はかわいいけど音はゴリゴリ。サイサイらしさに立ち返れたという新作の手応えと制作秘話を訊く

SILENT SIREN 歌詞はかわいいけど音はゴリゴリ。サイサイらしさに立ち返れたという新作の手応えと制作秘話を訊く

間もなくメジャーデビュー5周年を迎えるSILENT SIRENから、バンドとしての個性を強烈に提示するニューシングル「ジャストミート」が届けられた。疾走感のあるロックサウンドの上で、野球にまつわるワードを使って表現された女子の恋心が弾けるその仕上がりは、ポップでキュートでロックというサイサイならではのミクスチャー感覚に溢れている。紆余曲折を経て生まれたというカップリング収録の冬ソング「フユメグ」とともに、今のサイサイの勢いが高濃度でパッキングされた本作はいかにして作り上げられたのか? 6月から開催されている「5th ANNIVERSARY SILENT SIREN LIVE TOUR 2017 『新世界』」のファイナル公演、11月13、14日の日本武道館2デイズを目前に控えた4人にじっくりと話を聞いた。

取材・文 / もりひでゆき

やっぱりこれがサイサイらしさだよねっていうサウンドが作れた感じはしてるんですよね(ひなんちゅ)

SILENT SIRENは今年の夏も精力的な活動を見せてくれていましたね。振り返るとどうですか?

ゆかるん あっという間でしたねー。いろんなフェスに出していただき、その合間に楽曲制作もして、さらにその合間にはメンバー全員で富士山にも登り(笑)。かなりいろんなことが詰まった、充実した夏だったと思います。

あいにゃん つま恋のフェス(「Topped! 2017」)の夜にはスタッフさんも交えて、コンビニで買った花火をやったりもしたんですよ。そこで夏らしいことができたのは良かったですね。楽しかった!

すぅ 今年は移籍したこともあって新しいフェスにもいろいろ呼んでいただけたんですけど、バンドとしてはすごく勉強になったところも多くて。毎回見つかる反省点や課題をしっかり次のライブに生かすことができていたので、楽しいのはもちろんでしたけど、それ以上に有意義な夏でもあったと思いますね。

ひなんちゅ 自分たちで主催しているサイサイフェスも今夏で4回目を迎えることができて。過去最多の出演者数になり、フェスとしての規模が大きくなってきたのは純粋に嬉しかったですね。ただ、そこでも新たな課題がまた見えたところもあったから、そこはしっかり改善して来年につなげていきたいなって思ってます。

新たな成長を遂げたサイサイは現在、全国ツアー「新世界」の後半戦やワールドツアーに突入しているわけですが、そんな最中にニューシングル「ジャストミート」が到着します。

すぅ 今回もシングルに向けていろいろ曲を作っていて、いいものがどんどんできてはいたんですよ。ただ、そこでずば抜けていいって思えるものがなかなか生まれていなくって。そんな中、レコーディングの2週間くらい前、けっこうギリギリのタイミングでサウンドプロデューサーのクボ君がこの曲のデモを上げてきたんですよね。それをスタッフさんが「すごくいい!」って気に入ってくれて。

あいにゃん 私はこの曲のデモを聴いた瞬間に、「おーキタ! いい曲だ!」って思いました。ポップなだけじゃない聴かせるメロディがあるなって感じたし、アレンジをブラッシュアップしてゴリゴリな演奏をしたら合うんじゃないかなっていうイメージも広がって。

ゆかるん デモの段階でもすごく良かったけど、そこにすぅの歌詞と歌が乗ったことでさらに「めっちゃいいじゃん!」って思えたところもあったしね。

すぅ 正直言うとこの曲のデモが来たときは、スタッフさんが特に気に入ってくれた理由がわからなかったんですよ。「同じくらいいい曲がいっぱいあるのになんでだろう?」って。でも歌詞をはめてアレンジをしたときすごく納得ができたところはあって。

疾走感のあるストレートなロックサウンドと、キュートでポップな歌詞と歌が絶妙なバランスで融合する仕上がりはまさにサイサイらしいところではありますよね。

ひなんちゅ デビューから約5年が経ち、レーベル移籍もしたタイミングで、あらためてサイサイらしさってなんだろうって考えることが多くなってたんですよ。もっとロックに振り切るか、それともポップにグッと寄せるか、みたいなことを考えた時期もあったし、でもそれは別にサイサイじゃなくてもいいんじゃないかなっていう結論に達して、「じゃあどうする?」みたいな感じで迷ったこともあって。でも今回「ジャストミート」を作っていく中でいろんな考えが一周して、やっぱりこれがサイサイらしさだよねっていうサウンドが作れた感じはしてるんですよね。

「ジャストミート」から感じるサイサイらしさは、これまでの活動の中ですでに確立されていたものでもありますしね。

ひなんちゅ そこに自然と立ち返れた感じはありましたね。歌詞はかわいいけど音はゴリゴリっていう、「チェリボム」を進化させたような仕上がりになったとは思います。

バタバタとした演奏にならないようにしつつ、荒ぶってる感じを出すように心がけましたね(あいにゃん)

レコーディングはいかがでしたか? テンポがかなり速いから大変そうですけど。

あいにゃん 「速いなー」って思いながらも楽しく録れましたけどね。このスピード感があってこそのライブソングなので、とにかくそこに追いつくのみっていう(笑)。フレーズ的には特に難しいことはしていないんですけど、バタバタとした演奏にならないようにしつつ、荒ぶってる感じを出すように心がけましたね。全体的に音数がけっこう少ないので、4人それぞれの音がしっかり聴き取れるんじゃないかな。

ひなんちゅ ドラムはけっこう苦戦しましたね。基本的に速い曲のほうが好きなんですけど、速すぎることでタム回しのときに音が流れちゃったりとか、ツインペダルを使うところがかなり難しかったりとかで、時間かかりまくりました。いつもは先にドラム録りがサクッと終わって、その後にあいにゃんがじっくりとフレーズを決めながらベース録りするんですけどね。今回は相当待たせちゃって。

あいにゃん ひながあそこまで苦戦するのはけっこう珍しかった。この曲の後にカップリング曲のレコーディングが控えてたから時間的な焦りもあったしね。

ひなんちゅ 時間をかけた分、結果的にはいいドラムが録れたと思います。でも、基礎的な部分をもっと練習しなきゃなってあらためて思いましたね。もっとスキルアップしないと。

ギターはどうでしたか? 曲の入りがすごくかっこいいなと思いましたけど。

すぅ あー、あの出だしはバンドっぽくて私も好き。まぁでも基本はシンプルなことしかしてないですけどね。シンプルなことが一番ロックだなって私は思っているタイプなので。Aメロはカッティングしながら歌ってるんですけど、そこはライブでやるときに最初苦労しました。レコーディングではギターと歌を別々に録ってるから、いざ一緒にやるってなるとけっこう難しくって。今はもうしっかり乗り越えましたけどね(笑)。

疾走感を意識しつつ、他の楽器との兼ね合いを大事にしたかな(ゆかるん)

ゆかるんさんは今回、オルガンの音色を使ってますね。

ゆかるん はい。私も基本的にはシンプルなフレーズを弾いてるんですけど、地味に複雑なところが何か所かあったりして。テンポの速さに指が追いつかなくて「あー!」ってなることもありましたね(笑)。疾走感を意識しつつ、他の楽器との兼ね合いを大事にしたかな。前に出すぎず、でも出なさすぎずみたいな。音色も細かくいろいろ調整しながら。

この曲にはタオルを回す振りもありますからね。ライブでのゆかるんさんは、演奏以外でもみんなを引っ張っていかなきゃいけない。

ゆかるん 腕がね、疲れますよね(笑)。サイファミのみんなも大変かもしれない。でも曲の勢いに乗せて、みんなで振りをすると絶対に楽しいですから。今回はサビ終わりでタオルを上に投げるっていう初めての試みも盛り込んでいるので、ぜひみんなやってほしいです。

今は自分が相手のことを好きだけど、その立場を逆転させてやるぞ的な、ちょっと肉食系女子の感じも出せたと思うし(すぅ)

歌詞では女子の恋心が描かれていますが、それを野球のワードで表現しているところがなかなかおもしろいなと。作詞はすぅさんです。

すぅ 野球のワードを使ったことでちょっとカジュアルでポップな雰囲気は出たかなって思いますね。今は自分が相手のことを好きだけど、その立場を逆転させてやるぞ的な、ちょっと肉食系女子の感じも出せたと思うし。私は特に野球に詳しいわけではないんですけど、高校野球が好きで毎年見てるんですよ。この歌詞を書いてるときもちょうど甲子園を見ていたので、“ヒットエンドラン”とか“ジャストミート”とかっていう野球用語が自然と出てきたんだと思います。曲との相性も良かったですしね。

ひなんちゅ 上手い歌詞だなぁって思いましたよ。野球のことを知らなかったとしても、主人公の女子の感情はちゃんと想像できるものになってますからね。“ダーリン”ってワードを入れたのもすごい。すぅは常々、「かわいいワードはあまり使いたくない」って言ってるんだけど、この曲には合ってるもんね。で、結局“ダーリン”を“ローリング”にかけて韻踏んでるし。そのギミックもいいなって。

すぅ 結局って(笑)。まぁ“ダーリン”とかって普段絶対使わないじゃないですか。

あいにゃん 使ったことないわ(笑)。

ゆかるん なかなか使う機会ないよね。

すぅ そういう意味では、歌詞だからこそ使えるワードではあるんじゃないかなとは思いますよね。

ひなんちゅ 曲として好きな人に“ダーリン”って言っちゃう的な(笑)。この曲はカラオケでぜひ歌ってほしいですよね。それ以外にも野球の応援歌に使ったり、運動会の徒競走で流してもいいし。ほんとに耳に残る、気持ちが上がる曲だと思うから、いろんなシーンで使ってもらえたら嬉しいです。

すぅ 実際、カラオケで歌ってもらいやすいように、デモから半音下げたキーでレコーディングしてますからね。今までの自分の感じよりもちょっと低めだからしぶしぶ下げた感じだったんだけど(笑)、それが結果的にすごくハマって。思えば「フジヤマディスコ」もちょっと低めだったし、そういうキーで歌うことに慣れてきたところもあるんですよね。ガッツリ高いキーじゃなくてもキャッチーに聴こえる歌い方ができるようになってきたところもあるし。

柔軟な思考で様々なことにトライしてみると、自分の可能性が広がることは往々にしてありますよね。

すぅ そうそう。各々のパートでそういうことはあると思います。スタッフさんからの意見とかに対しても、「じゃ一旦やってみようか」っていう姿勢で向き合えているというか。

あいにゃん やってみることがまず大事ですもんね。自分たちなりにやれること、やりたいことが増えてきている分、周りの意見にもより耳を傾けられるようになっていますね。バンドとしてはすごくいい状態だと思います。

「フユメグ」がいい曲だっていうのはうちらも思ってたけど、「でもバラードって言われてたじゃん!」みたいな(笑)(ひなんちゅ)

カップリングには「フユメグ」という冬の曲も収録されています。

ゆかるん キラキラした幸せいっぱいの曲です。これは好きですねぇ(笑)。サイサイの冬曲っていうと「I×U」とか「恋い雪」とかちょっとしっとりしたバラードっていうイメージがありましたけど、今回は新しいタイプの冬曲になったなって思いますね。

すぅ この曲に行きつくまでにはけっこう紆余曲折があったんですけどね(笑)。そもそも今回の冬曲も最初はバラードの方向で動いてたんですよ。マネージャーからの強い要望で。で、サウンドプロデューサーのクボ君も頑張ってバラードをいろいろ作ってくれてたんですけど、リフレッシュしたくなったのかアップめの曲を持ってきたことがあって。私もそのときはバラードの歌詞を書くテンションじゃなかったから、カップリングにするとか関係なくその曲に元々ストックしてた歌詞をハメてみたんですよ。そうしたら周りの人が「この曲いいね!」って言い出して(笑)。

あははは。結果、バラードじゃなくなったと。

ひなんちゅ そう。もっと言っちゃえば、バラードを作るために私とあいにゃん、ゆかるんの3人も歌詞を書いたりしたんですよ。けっこうお涙頂戴ものの暗い歌詞を(笑)。で、それらを曲に乗せて審議にかけたら、バラードじゃない「フユメグ」が選ばれたっていう。「フユメグ」がいい曲だっていうのはうちらも思ってたけど、「でもバラードって言われてたじゃん!」みたいな(笑)。急に意向が変わったことに対してとまどいを隠せないうちら、みたいな。

あいにゃん もっと言っちゃうと、マネージャーからの提案で私が作ったバラードもあったんですよ。

ひなんちゅ あった! あれもすごい良かったんだよね。

あいにゃん けっこう評判も良かったんですよ。そしたらバラードじゃない違う曲に決まったっていう。だいぶ持ち上げられたと思ったら一気に落とされた(笑)。なんかおもしろかったですけどね。

まぁいろいろありますよね(笑)。でも結果的にいい曲が世に出るわけですから。

ゆかるん そうそう。たくさん作ったバラードは別の機会に出しましょ(笑)。

あいにゃん そもそもサイサイには冬の曲があまりなかったんですけど、今回で一気にストックが増えましたからね。それはいい結果だったかなと。

すぅ 遠回りしがちだけどね。結果オーライ。

ひなんちゅ そんな過程の中で選び抜かれた「フユメグ」への思い入れはより強まったしね。

この曲の持っているムードで今年の冬はハッピーに過ごせそうだなと。

すぅ うん、そう感じてもらえたら嬉しいですね。「ジャストミート」とは全然違うタイプだけど、シングルのA面になってもおかしくないくらいのポップさがあるし、曲としてのパンチもあるから。バラードじゃなくなったけど良かった。バラードではないけど。

ゆかるん 根に持ってる(笑)。この曲はBメロもサビくらいの良さなんですよ。言わばサビが2回あるくらいなお得感がありますね。聴きどころもたっぷりだと思います。

すぅ うん。Bメロが私もすごい好き。めっちゃ頑張って作ったんでぜひ聴いてください。

ツアーの後半戦はセットリストや構成なんかもけっこう変わってるんですよ(すぅ)

本作がリリースされるとツアーも大詰め。2度目の日本武道館公演も目前に迫ってきていますが。

すぅ ツアーの後半戦はセットリストや構成なんかもけっこう変わってるんですよ。会場が大きくなる分、より楽しい内容になってると思います。武道館は2デイズで内容が違ってもいるので、迷ってる人はほんとに来た方がいいと思うんだけどなー。

ひなんちゅ 武道館も含め、ツアー成功につなげるために1本1本のライブにしっかり向き合ってここまで来たのでね、その成果をぜひ見てほしいです!

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ライブ情報

5th ANNIVERSARY SILENT SIREN LIVE TOUR 2017 『新世界』

10月28日(土)大阪国際会議場グランキューブ大阪メインホール
10月29日(日)大阪国際会議場グランキューブ大阪メインホール ~Halloween Night~
11月13日(月) 日本武道館 ~軌跡~
11月14日(火) 日本武道館 ~奇跡~

SILENT SIREN 5th ANNIVERSARY
SILENT SIREN WORLD TOUR 2017『新世界 -The New World-』

ロサンゼルス公演 12月1日(金)
サンフランシスコ公演 12月3日(日)

SILENT SIREN

すぅ(吉田菫/vo,g)、ひなんちゅ(梅村妃奈子/ds)、あいにゃん(山内あいな/b)、ゆかるん(黒坂優香子)の4名からなるガールズバンド。2012年11月、シングル「Sweet Pop!」でメジャーデビュー。 全員が読者モデル出身。通称“サイサイ”として親しまれ、原宿を中心に女子中高生に人気が広がり、LINEの公式アカウントの登録数は53万人を超える。 2015年1月17日、ガールズバンド史上デビュー後最短で日本武道館でのワンマンライブを開催した。2016年3月には4thアルバム「S」を発表し、そのリリースツアーの最終公演として7月に神奈川・横浜アリーナでのワンマンライブを成功させた。その後、ロスやサンフランシスコ、台湾など5ヵ国6都市を周った「S WORLD TOUR 2016」を敢行した。2017年3月1日に、「フジヤマディスコ」、5月24日に「AKANE / あわあわ」リリース。現在、“5th ANNIVERSARY SILENT SIREN LIVE TOUR 2017『新世界』の真っ最中”。ファイナルは、11月13日、14日の日本武道館公演。

オフィシャルサイトhttp://silent-siren.com/