Interview

【インタビュー】“20歳の1年間が詰まった集大成”─声優・伊藤美来が語りつくす1stアルバム『水彩~aquaveil~』

【インタビュー】“20歳の1年間が詰まった集大成”─声優・伊藤美来が語りつくす1stアルバム『水彩~aquaveil~』

2013年にStylipSに加入、2015年5月からは豊田萌絵とのユニット・Pyxisとしても活動を続けてきた声優・伊藤美来。昨年10月の20歳の誕生日にソロデビューを果たした彼女が、1年を経て1stアルバム『水彩~aquaveil~』をリリースする。今回は初作詞に挑戦した楽曲が収録されたアルバムについて、そしてリード曲「ワタシイロ」MVの撮影秘話やアルバムリリース直後に控えたバースデーライブについて伊藤美来本人に話を訊いた。

取材・文 / 青木佑磨(クリエンタ / 学園祭学園)


ビビッドな色から曖昧に滲んだ色まで、沢山の色が混じり合って「水彩」になっていると思います

ソロデビューから1年、ついに1stアルバム『水彩~aquaveil~』がリリースされます。こちらのアルバムが制作されると決まったとき、どのように思われましたか?

伊藤美来 今年5月に2ndシングル「Shocking Blue」がリリースされたくらいの時期に、実はもうアルバムのお話をいただいていたんですよ。イメージ的にアルバムって、曲をもっと沢山持っている人が作るものじゃないですか。曲数がまだ少ない時期だったので、まさかこんなに早く自分のアルバムを作ってもらえるとは思っていなくて、びっくりしました。アルバム全体の半分くらいが今回のために作られた新曲になっていて、一気に自分の曲が増えるということがうれしかったですね。

本作はタイトルからもわかるように「色」をテーマにしたアルバムになっているとのことですが、アルバム全体のイメージカラーはどんなものだと思いますか?

伊藤 なんか色んな色が混じった薄い……色水?(笑)。絵具を溶く筆洗いのバケツの水に、色んな色が滲んでいるイメージですかね。色んな色の曲が入っているアルバムで、ビビッドな色から曖昧に滲んだ色まで、沢山の色が混じり合って「水彩」になっていると思います。

アルバムの1曲目は「Overture~Invitation to the aquaveil~」。こちらはインスト曲ですが、どういった意図で作られたものなのでしょうか?

伊藤 オーバーチュア(序曲)があると、アルバムの世界観に入りやすいかなと思いまして。作ってもらうにあたって「水彩を象徴するような音楽がいいです」と話していたので、いただいたときに作品の雰囲気に本当にぴったりの曲だと思えて嬉しかったです。私自身にとっても心が安らぐ曲調になっています。

2曲目「ミラクル」は、オープニングナンバーらしい明るくポップな楽曲ですね。

伊藤 聴いてもらえればわかる、本当にオープニングらしい爽やかで元気な曲になっています。とにかくポジティブで前向きな曲で、「聴いている人たちと一緒に、手を取りながら走り抜けようね」と言っているような歌になっていると思います。明るくてポジティブなんだけどそれだけじゃなくて、歌詞で表現されている「芯の強さ」を感じてもらえるように表情を豊かに歌ってみました。強いところや、柔らかいところの歌い分けも気にして聴いてみてもらいたいですね。

3曲目の「あお信号」は伊藤さんご本人が初作詞に挑戦した楽曲です。こちらの歌詞はどのようにして書かれたのでしょうか?

伊藤 「あお信号」は、歌詞を先に書かせてもらったんです。私が書いた歌詞を作曲家の方に見てもらって、メロディーを付けていただきました。テーマもゼロから自分で考えていって、そもそも歌詞の書き方がわからないので書いては提出してアドバイスをもらってという繰り返しでしたね。

曲のイメージがない状態で書かれた歌詞ということで、テーマを決めるのも難しかったのでは?

伊藤 まずは、自分が書くなら自分の目線でしか書けないものがいいと思ったんですよ。ステージから見ている風景や、支えてくれているファンの方や家族、そういう人たちと私の関係を書きたいなと。それで「君の声が すくい上げてくれたね」「こんな私だけど 見つけてくれた」という歌詞を書いていきました。他の部分はアドバイスをもらいながら書いたところも多いんですけど、ここのふたつは一番最初に「歌詞っぽくなくていいから、とにかく自分の言いたいことを」ということを優先して書いた歌詞になっています。

詞先で書いた歌詞に曲が付く訳ですが、内省的な歌詞に対して明るめのメロディーで、でもアレンジとしては歌詞に反することなく落ち着いた印象になりましたね。

伊藤 本当にぴったりな曲を書いていただけたので、とても感動しました。「私が私のことを歌っている」と思って聴いてもらっても全然いいんですけど、ちょっとでも聴いてくれている方に共感してもらえたり、自分になぞらえて感動してもらえたりできたらうれしいなと思っています。

自分で書いた歌詞をご自身で歌ってみていかがでしたか?

伊藤 自分で書いた歌詞を見られるのも恥ずかしいのに、人前で歌うというのがとにかく恥ずかしかったです(笑)。でもできあがったものを聴いたときに、「私の言葉がひとつの曲になったんだ」ということにジーンときましたね。すごくうれしかったです。

詞先ということで自分の言葉がメロディーに当てはめられた形になりますが、思い描いていた通りに歌えましたか?

伊藤 実は一度完成させたものから、レコーディングしながら少し歌詞を変えていったんですよ。歌録りに作曲家の方が来てくださって、作詞と歌の私もいたので、色々と相談をしながらレコーディングをしていきました。

歌録りをしながら歌詞を変えていくというのは面白い方法ですね。

伊藤 ひとりで考えているのは違って、自分の言葉を周りの人たちにちゃんと伝えて、それをディスカッションしなきゃいけないのはドキドキしました。緊張したし、人に自分の意見を求められているその間が怖かったです(笑)。「早くアイデアを出さなきゃ!」って。責任もありつつ周りの人に助けてもらいながら完成しましたけど、すごく楽しい作業でしたね。

完成した楽曲の詞に、自分で点数を付けるなら何点ですか?

伊藤 点数!? 点数かあ……難しいですね。100点とは言えないんですけど、でも自分の言いたいことはちゃんと乗っけられたと思うんです。だから……82点。単位はもらえました(笑)。

今度作詞に挑戦するとしたら、「次はこうしたい」ということはありますか?

伊藤 そうですね。今回は自分のことや周りの支えてくれている人に気持ちを伝えるために自分の言葉で書きましたけど、元々妄想するのが好きなので色んなことを妄想しながら、存在しないことをちょっとフィクションっぽく書いてみたいなと思いました。

曲順的に「あお信号」の次が2ndシングル「Shocking Blue」で、青が繋がりますよね。

伊藤 「Shocking Blue」は強そうなくっきりした青ですよね。でも「あお信号」の青はそれこそ水彩のイメージです。色水の、ジワーッと広がっていく薄い青ですね。同じ青でも、印象の違う青が表現できていると思います。