特集“SPYAIR ニューアルバム『KINGDOM』リリース記念企画”  vol. 1

Interview

SPYAIR ソロインタビュー① UZ〜バンドの未来を、“壮大な音”で支える

SPYAIR ソロインタビュー① UZ〜バンドの未来を、“壮大な音”で支える

SPYAIRの中枢、UZ。ポップで個性的な曲とサウンドは、彼を中心に生まれる。幅広い音楽を聴いてきた経験のすべてを、SPYAIRに注ぎ込む。ポップなデジタル・ロック、エモーション渦巻くミクスチャー・ロック、メロディアスなバラードなど、UZの生み出す音楽は非常に多彩だ。今回はアコースティック・セッションにも挑戦して、バリエーションをさらに広げている。
またUZはバンドの針路や未来に思いを馳せるドリーマーでもある。そのUZが『KINGDOM』ではバンドの未来を、“壮大な音”として描いた。彼の“SPYAIR構想”のすべてを聞いてみた。

取材・文 / 平山雄一 撮影 / 江隈麗志


※記事の後半にはSPYAIRさんの直筆サイン入りポスターのプレゼント応募情報を掲載しています!

SPYAIRっていうバンドをやってる理由って、根本はひとつしかなくて、成功したいからなんです

このアルバムを作るにあたって、どんなことを考えたんですか?

アルバムのコンセプトを決めるまで、ホンットに悩みましたね。前作アルバム『4』を作って、そのツアーも終わって、「さあ、新しい音楽をこのバンドで」ってなるところで、「やべえ、俺、やりたいこと、もうほとんどやっちゃったなあ」みたいな。自分の中で空っぽになった瞬間でしたね。

そういう想いだったんだ。

うん、それがデカかった。でもやっぱりバンドを続けていきたいって思ってた。「じゃあ、俺が曲を作ってコンセプト決めないと、前に進めない」っていうプレッシャーもあったから、もがいてた。というか、悩んでました。

そのとき、SPYAIRにはいろんな選択肢があったと思うんだけど。

いろんな選択肢はありましたよね。どっちにも転がれる。でもそのとき、考えなきゃいけなかったのは、俺自身のことですよ。これは個人の問題で、俺がSPYAIRっていうバンドをやってる理由って、根本はひとつしかなくて、成功したいからなんです。

SPYAIRとして成功したいっていうこと? それとも個人として成功したいっていうこと?

 

個人としてではないです。極端に言えば、ホントに自分の好きな音楽を追究しようとしたら、べつにSPYAIRじゃなくてもできることで。だけどSPYAIRにいて10年間やってる理由は何かって言ったら、やっぱりこのバンドはどこかで必ず成功できると思ってるから。特にIKEの存在はデカイかな。彼の繊細な人間性も含めて、「こいつはスターになりそうだな」ってずっと思ってきた。
そういうボーカリストはなかなかいない。ドーム・クラスのスケール感で歌えるボーカルって、滅多にいないと思うんですよ。で、IKEはそういうものを持ってると、俺は思うんですよね。だからそれがSPYAIRを続ける理由になる。俺はそういう景色の中に立ってみたいし、そのバンドのいちメンバーでありたいと思ってる。それが俺にとって、SPYAIRを続ける理由。だから成功しないと意味がないんですよ。

その思いから、今回の『KINGDOM』のアルバム制作を始めることになったのかな?

ですね。SPYAIRは、このスタイルの音楽が合ってると思ってるんですよ。SPYAIRは俺の音楽的自己満足のための場所じゃない。これは別にマイナスの意味で言ってるわけじゃなくて、そう思ってSPYAIRをやってる。このバンドは、成功して大きくなるためにやるんだっていう。

そのためには、自分がそういう曲を作る。

はい。

一方で『KINGDOM』では、UZくん自身のラップのスキルが上がっていて、これもSPYAIRの魅力になっていると思います。

ありがとうございます(笑)。実はこれは、IKEの声をよりグッ引き立たせようと思ったとき、間に俺の声が挟まることによって、よりドキッとするんじゃないかと思って。

ちょっと違うカラーの声が入った方がいい。

そうですね。そういう意味での声のアクセントというか。ギター・ソロだけじゃ、穴埋めにならなくて。やっぱり他の人の声があった方がいい。俺、根本的にミクスチャー・ロックが大好きでやってきたから、じゃあ、自分がラップのスキルをもっと上げてやっていきたいなっていう。そうすればより、バンドとしても強くなると思った。そうしたらラップは一個の方向性として、バンドの軸になりました。

ラップは、デビュー以後にUZくんが獲得したスキルだよね。デビュー前にはなかったもんなあ。

ないですね。できるわけないと思ってたけど、まだ全然自信もないし、大きい声では言えないけど、こういうロックバンドのあり方って、いいなと思ってます。ラップが入って、歌うヤツがいてっていうのは、一個アクセントになるから。
そういえば、この前KICK THE CAN CREWの復活ライブに行ってきたんですよ。俺、ああいう文化が好きなんです。ただ、根本的にミクスチャーとヒップホップのラップって、ちょっと世界が違う。だからSPYAIRでは、あくまでミクスチャーとしての一個のアクセントとしてとは思っている。あくまで母体はロックなので、そこだけは履き違えないようにしないとなと思ってます。

俺らの目指す“憂いのあるロック”が作れたなって思います

『KINGDOM』の中でUZくんのおすすめの1曲は?

おすすめの1曲っすか。

「このギターを聴け!」とか(笑)。

ははは! べつに「ギターを聴け」はないです(笑)。

「このラップを聴け」でもいいよ(笑)。

「このラップを聴け」もべつにないです(笑)。

じゃあ、どの曲だあ~(笑)。

ははは! 「スクランブル」かな、俺のおすすめは。ラップは入ってないけど、ギター・ソロも大して入ってないけど、どっちかって言うと作曲者目線でのおすすめですね。アレンジも含めて、「来た感」あったかな。「なんかいいな!」っていうのが、この曲は強かった。バンドのために作ってるんだけど、個人的にもすごくグッと来るというか、そういうメロディができた感はありましたね。

「スクランブル」は普通の刻みロックだけど、アレンジに四つ打ちリズムの要素が入ってたりして不思議な魅力がある。

そうですね。一見、爽やかなビートだけど、ちょっとだけ大人っぽい。激しくてガッと押すのともまた違う感じになりました。ロックの中にちゃんと憂い感があって、でもガキ臭くない。そういうものがちゃんと形にできた。俺らの目指す“憂いのあるロック”が作れたなって思います。IKEの歌も、昔とは全然、別物ですよね。声が歪んでる感じとか、そういうのもいいふうに働いたんじゃないのかって思います。

作曲家としても、アレンジャーとしても、バンドとしても満足のいく曲になった。

そうですね。「やったな!」という。ホントにグッと来る曲っていうのは、時間的には短くて、一瞬でできますね。

ああ、作るときの時間ね。

作る瞬間は。だから、「メチャメチャ詰めた!」っていう記憶はない。この曲は、作ってて、早かったです。

vol.1
vol.2