特集“SPYAIR ニューアルバム『KINGDOM』リリース記念企画”  vol. 2

Interview

SPYAIR ソロインタビュー② KENTA〜人間の熱と希望を与える“やりがい”

SPYAIR ソロインタビュー② KENTA〜人間の熱と希望を与える“やりがい”

SPYAIRのマッスル、KENTA。SPYAIRのリズムは、コンピュータとの共同作業が多い。クールなループを作るコンピュータに対して、KENTAの役割は、そこに人間の熱と希望を与えること。アルバム『KINGDOM』では、大会場で鳴らす壮大なリズムが必要だったため、ドラムの中でもサイズの大きい“バスタム”を多用することになった。
コンピュータの正確なリズムに合わせてバスタムを叩くのは、かなりのチカラ技。それをやり遂げたKENTAは、ドラマーとしても大きな成長を遂げた。その“やりがい”について聞いてみた。

取材・文 / 平山雄一 撮影 / 江隈麗志


デカい場所で鳴らしたときに届く音っていうものを出そうと、このアルバムは全編通してすごく気を付けました

KENTAさんは、『KINGDOM』をレコーディングするにあたって、どんなテーマを掲げたんですか?

今回のアルバムを作るときに、“KINGDOM”っていうテーマが最初にあったんです。

言葉としてあったんだ。

はい。制作に入る前、UZの「“KINGDOM”っていうテーマにしたいんだよね」っていう話から始まった。“KINGDOM”って意味がどうこうっていうよりも、この字面というか、言葉の強さみたいなものがすごく大きくて。僕自身、“KINGDOM”っていう言葉からは、せせこましい小っちゃいサウンド感っていうのは出てこなかったんですね。たぶんUZがやりたい音楽は、ドーンと鳴らすデカいサウンド感で、1万人2万人の後ろの方まで届いていくような、そういうサウンド感っていうのがすごくあったと思う。“KINGDOM”って言葉を聞いた時点でそれがすぐわかったんで、「ああ、そういうものがやりたいな」って僕も思ってたから、すごく共感した。

そうなると、早速、バスタムを買い足したりしたのかな?(笑)。

いやいやいや(笑)。でも音って最終的に、いい楽器といいプレイヤーが重なってこそいい音が出ると思ってるんで。やっぱりプレイヤー自身が“理想の音”を持っていないと、それは出ないし。

それを鳴らしてくれる楽器を見つけるっていうことだよね。

そうですね。まずはそういう作業だと思った。すごく大きなサウンド感――ボリュームもそうだし、音の奥行きだったり幅だったり、デカい場所で鳴らしたときに届く音っていうものを出そうと、このアルバムは全編通してすごく気を付けました。絶対に小っちゃい音にならないようにやっていこうって思ってましたね。

ジョークじゃなく、本当にバスタムやタムタムが要求されたんですね。

はい。UZのデモのドラムが、タム系が多かった。SPYAIRってどっちかっていうとエイトビートで、2拍目と4拍目でスネアドラムが入るものが多かったんですけど、僕はこのアルバムでUZのリズムの作り方がすごく変わったなと思ってて。「これはスネアよりもタムを使ったほうがいいんだろうな」って思ってた。そこから僕はUZの思い描いているものを、プレイヤーとして変えてったっていうだけなんです。ただ、タムタムやバスタムに音階が付くようにチューニングするのは初めてだったんで、そういうのってすごく新鮮だったし、楽しかったです。

具体的に新しくドラムを買ったり、筋トレしたりしたんですか?(笑)

筋トレがいちばん大っきいです。

あ、本当にやったんだ(笑)。

はい。僕、ずっと思ってるんですけど、日本人って、白人とか黒人のフィジカルに勝てないんです。素の状態だと、絶対に勝てない。外国の人たちが叩く音って、すっごい抽象的なんですけど、花火の音に聴こえるんですよ。ドーン! バーン! っていう。デカいんだけど、耳が痛くない音っていうんですかね。それってプレイももちろんあるんだけど、結局フィジカルなところが大きいなっていうのはすごく思ってるんで、それで筋トレをガッツリやりだした(笑)。

ははは、アルバムに向けて(笑)。

そうですね、筋トレもやり出したし、よく食うようにしたし。

へえ(笑)。アルバム作りのためにそういうことをやるのは、初めて?

やってたんですけど、ここまで真剣にやったことはなかったですね、うん。

外国人を目指そうと思った曲が、レコーディングの中であったんですか?

このアルバムの6曲目の「THIS IS HOW WE ROCK」で、みんなで音をドンって鳴らしたときの感じ。バンドのアンサンブルとしては、この曲で固まった。ただ、ドラム個人で言うと、1曲目の「THE WORLD IS MINE」かなあ。

「音で圧倒してやろう」っていう、なんかそういう気持ちがすごく生まれた。それでいいんだって思えた瞬間でしたね

これがいちばん手数も多いし、ドラマティックさはナンバーワン!

そうですね、はい。もう派手さはナンバーワン! ははは! 大げさな感じ、派手な感じ。しかもあのストリングスに負けないような生のドラムが重なると「こうなるんだ!」って思ったのが、「THE WORLD IS MINE」だった。

それは、“いちドラマー”として次のステップに行くような感じでした?

あ、それは感じましたね。自分の思い描いてるドラムの音がアンサンブルに入ったときに、「こういう音で鳴っててほしいな」っていうのが体現できたのが「THE WORLD IS MINE」でした。「こういう音を自分は目指してたんだ」っていうのを、自分の耳で聴くと改善点が見えてくる。自分の想像だけじゃなくなったんで、全体としての音楽になったときに「ああ、こういうところをもっとこうすれば音が抜けてくるんだな」とか、「こういうものでどんどん音を太くしていきたいな」っていうのがより明確になってる感じですね、今は。 

当然、それはライブに影響が出て来る?

めっちゃありますね、はい。やっぱりライブも、このレコーディング以降から「派手になった」ってよく言われますね。“音圧”とか、音楽を詳しくわかんない人とか、そこまでドラムがわかんない人にでも、そうやって印象づけられるっていうのは、すごくいいことなんで。

バンド全体の音の構成もあるのかな?

そうッスね。SPYAIRっていうバンドがすごく派手に見えてきたんだろうなって思います。

普通、バンドって、上手くなると渋くなるもんだけど、ちょっと違う方向性だね(笑)。

そうですね。僕らは渋くならないようにしてます。

地味にならないように?

はい、地味にならないように。それこそアメリカのMR.BIG(ミスター・ビッグ)っていうバンドは、全員メッチャクチャ上手くて、やろうと思えば渋い演奏もできるのに、派手にやっている。あの人たちは難しいことはほとんどやらない。ああいうのってすごいなと思うし、僕らも派手でわかりやすくて清々しいもの、潔い音楽が好きなので。

たぶんUZも葛藤があったと思うんですよね。もっと渋いって言われるような方向もあったと思うんだけど、考えに考えて“KINGDOM”っていう言葉が出てきたんだと思う。そのときに、メンバー全員が腹を括った、括れた、と思う。「ドン!」ってやって「バン!」ってやって、「すげえ!」みたいな(笑)。このバカっぽいけど単純に気持ちいい感じでやっていこうって、僕自身も腹が括れた。もっと細かいフレーズや難しいことをやって、「上手いって言われるようなドラマーになりたいなあ」みたいな気持ちはちょっとあったんですけど、それがもうまったくなくなりましたね。

そういう意味ではすごく吹っ切れたっていう感じなのか。

うん。「音で圧倒してやろう」っていう、なんかそういう気持ちがすごく生まれた。それでいいんだって思えた瞬間でしたね。

長くバンドをやっていれば、絶対に上手くなるんだけど、派手さを残すって難しいことだからね。

そうです、そうです。振り切ってやれちゃうのが、SPYAIRのいいところだと思うんで。ただ、その分、ライブで圧倒するような音を出し続けてないと、ただ「バカだな」って思われるだけなんで、そこは危機感としてしっかり上手くなっていくようにはしたいですね、自分も。

結果やっぱり、筋トレが効いてるっていう感じ?

効いてます。音には絶対出てると思いますね、うん。

ははは! わかりやすくていいですね。

はい、わかりやすいです(笑)。体がデカくなると、やっぱ音もデカくなってきます。

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