特集“SPYAIR ニューアルバム『KINGDOM』リリース記念企画”  vol. 3

Interview

SPYAIR ソロインタビュー③ MOMIKEN〜鮮やかな“リアル”を描いてきた頭脳

SPYAIR ソロインタビュー③ MOMIKEN〜鮮やかな“リアル”を描いてきた頭脳

SPYAIRの頭脳、MOMIKEN。作詞のほとんどを手掛けるMOMIKENは、永いストーリーを語ることもできるし、一瞬のパッションを叫ぶこともできる、バンドシーンの中でも屈指の作詞家だ。彼はSPYAIRのテーマである“あきらめない心”を見事に描いてきた。それが『KINGDOM』では、リアリストの側面を大きく打ち出している。
不確かな未来をただ楽観的に歌うのではなく、それまで歩んできた道のりを振り返ったり、仲間とのふとした日常のエピソードを描くことで、『KINGDOM』でのMOMIKENのリリックは、鮮やかな“リアル”を獲得することに成功している。

取材・文 / 平山雄一 撮影 / 江隈麗志


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本筋は同じメッセージであっても、そこはやっぱり年齢とともに使う言葉が変わってくる

このアルバムを作るときに、自分に向けて掲げたテーマはどんなことだったんですか?

「THIS IS HOW WE ROCK」から、今回の『KINGDOM』というアルバムの制作が始まった。この「THIS IS HOW WE ROCK」を作るときに、テーマを決めるのに時間がかかったんですよ。っていうのは、前作の4枚目のアルバム『4』って、僕らにとってはすごく大きかった。IKEが休みを取って、その復活後に掲げたテーマは「自分たちのことをしっかり話すようなアルバムにしよう」っていうことで『4』を作ったんですよね。で、今回はそういうものじゃなくて、もう少し外に向かって言葉を発信していこうっていうことになった。じゃあ、SPYAIRとして今までとは違うメッセージを書いたほうがいいのか、それとも同じでいいのかを悩んでたんですよね。

考える時間が必要だったんだね。

そうですね。それは作曲のUZも同様で、東京ドームっていう大きなものを目指して進んでいく段階で、「いったい僕らの言葉って、どういうものがいいんだろう、どんな音楽がいいんだろう」っていうことで、2人ともすごく悩みました。で、UZが悩みあげた結果、「THIS IS HOW WE ROCK」のデモを持ってきたときに、「細かいことはよくわからないけど、とにかく大きなステージで打ち鳴らすサウンドを目指して作っていこう」っていうことを感じたんです。だったらメッセージの本質自体は、やっぱり変えなくていいのかなと思った。あくまでリスナーの背中を押すような言葉が良くて、そこに4枚目で書いた僕らの自叙伝的な部分、要はバックグラウンドが見えるものがそこにあればいい。――たとえば、グッと背中を押すような強い言葉を言ったあとに、僕らや僕らと同世代が抱えている悩みや不安を歌えばいいんじゃないかと。
そう思ったのは、俺たちもメジャーで7年間走ってきて、ちゃんと歳を取っていて、「何も考えずにそういうことを言っているわけじゃないんだよ」っていうのを、曲の中の言葉で説明してあげるというか、感じさせてあげたかった。20代の勢い任せの、ただ背中を押すような言葉ではなくて、「君たちと一緒に悩んできて、人生を歩んできたからこそ、僕らは今こう思うんだよ」っていう、前向きなメッセージをSPYAIRとして打ち出していくべきだなと思って。『KINGDOM』にそれを落とし込もうと思ったんですね。全体として、僕はそれを達成できたという感覚がありますね。

アルバムとしてね。

アルバムとしてだし、たとえばこのあと6枚目7枚目とバンドが続く限りアルバムや作品を出し続けるだろうと思うんですけど、ずっと「それでいいのかな?」とも思ってるんです。音楽はいろんなものを吸収して、その時代その時代でやっていけばいいと思うんですけど、あくまで言葉自体は前から言っていることからフラフラ変わってもしょうがない。本筋は同じメッセージであっても、そこはやっぱり年齢とともに使う言葉が変わってくる。「生きる」っていう言葉にしても、その年齢年齢で伝え方が変わってくる。その表現の仕方を変えていけばいいんだなって確信して、このアルバムを作って自信になりました。「これでいいんだ。これで行こう!」って思えましたね。

すごくストレートに「世界は俺のモノ!」=「THE WORLD IS MINE」っていう強気の曲があったり、「Goldship」みたいにちょっと振り返って仲間とワイワイやりましょうっていう気楽な曲があったり、『KINGDOM』には両方入ってますね。

はい。そういうバランスにしていけばいいのかなって思って。『KINGDOM』が出来上がって聴いたときに、最初は全体的に振り返っているような内容が多いのかなと思ったんですけど、これは逆に振り返っているっていうよりも、自分たちの足跡なんだなと思っていて。SPYAIRを最近好きになってくれた人たちもいるでしょうけど、7年前に出会ってる人、それ以前に出会ってる人も当然いるわけであって、その人たちがいつまでも成長しないわけじゃなくて、僕らとともに年齢を重ねて、変わっていく時代を生きていく上で、その人たちと一緒に歩んで行けるというか、人生を共にしていけるようなバンドに変わっていきたいなと思ってますね。

7年間やってきたことがあって、それが足跡としてちゃんと残ってるよねっていう。

そうです、はい。そういうものがアルバムの全体として、確かに伝えられたんじゃないのかなと思ってます。さっきおっしゃってくださったように、「THE WORLD IS MINE」で「こういうふうになれよ!」、「こういうふうに生きろよ!」って力強い言葉を言いつつも、普段何も言えないけど日常の中でなんとか幸せを見いだそうとやりくりしてる「Goldship」がある。いい意味で、一個だけの言葉で全部を片付けようとしなくなったというか。1曲の中にあれもこれもどれもって詰め込むようなことは、もうやらなくなりましたね。それはたぶん今までの経験とか、バンドとして大きくなっていった中で思ったことです。だってデビュー当時って「この曲の中に全部入れないと、もしかしたら次の作品が作れないかもしれない」って思ってましたから(苦笑)。

次はないかもしれない(苦笑)。

って思って、「なんとかいろいろ全部入れよう!」って思っちゃってたんですよね。今はもう、そんなことは全然なくて、一個一個丁寧に作って、作品全体を通して伝わればいいと思ってます。だから、この曲たちの中のどれか一個選べって言われると、意外と難しいんですよね。

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