特集“SPYAIR ニューアルバム『KINGDOM』リリース記念企画”  vol. 5

Interview

SPYAIR 個人個人の人間としての成長を刻んだアルバムと一歩を踏み出したバンドの現状について訊く

SPYAIR 個人個人の人間としての成長を刻んだアルバムと一歩を踏み出したバンドの現状について訊く

名古屋から上京して7年。メンバーたちは路上でライブをしていた頃の心をキープしながら、“新しいSPYAIR”を次々に提示してきた。その勇気と友情が多くの人々の支持を受けてきたことが、SPYAIRの歴史だ。『KINGDOM』にはそうした歴史が刻まれている部分がある。同時に4人が『KINGDOM』で、また新しい一歩を踏み出した部分もある。
キャリアと野望を胸に、彼らは「東京ドームを目指す」と高らかに宣言した。メンバー同士の関係や、個人個人の人間としての成長がそのまま表れるバンド“SPYAIR”の現状を、アルバム『KINGDOM』を通して赤裸々に語ってもらった。

取材・文 / 平山雄一 撮影 / 江隈麗志

大きい会場になればなるほど、エンターテインメント性が大事な要素になってくるなって経験として感じた(UZ)

アルバム『KINGDOM』を作ったあと、SPYAIRはどんな道を進んでいくんでしょうか?

MOMIKEN それはもう、富士急ハイランド・コニファーフォレストでやった『JUST LIKE THIS 2017』から始まってますね。

あのライブは『KINGDOM』の1曲目の「THE WORLD IS MINE」から始まった。

UZ 『JUST LIKE THIS 2017』をやる時点で、アルバムタイトルはもうすでに“KINGDOM”に決まってたんですよ。だったら“KINGDOM”というワードを入れたイベントテーマ“ROCK KINGDOM”にして、『JUST LIKE THIS』に落とし込んだら、何か繋がるんじゃないのかなと思って。

コニファーっていう会場のスケール感として、“ROCK KINGDOM”というテーマは似合ってますよね。これって、ライブハウスでやるタイトルじゃないと思う(笑)。

UZ そうですね(笑)。なので、“ROCK KINGDOM”っていうテーマに沿って「THE WORLD IS MINE」を作っていったんですよ。

大会場ライブのオープニングになるような感じっていう?

UZ そうです。去年が「THIS IS HOW WE ROCK」がテーマソングだった。で、今年は“ROCK KINGDOM”っていう言葉を、わかりやすく音楽として表現するために「THE WORLD IS MINE」を作って、結果、アルバムの1曲目にもなりました。最初は「THIS IS HOW WE ROCK」を1曲目にしようと思ってたんですけど。

それもいいですね。

UZ ただ「THE WORLD IS MINE」がすごくしっくりきたので、アルバムの1曲目になったんです。だから「THE WORLD IS MINE」自体は、実はライブのために作った1曲なんです。

そしてライブでやってみて、あの曲のスケール感が確かめられた。

UZ コール&レスポンスの多い曲ではあるけど、いい意味で登場感がある。「一緒に盛り上がろう!」という曲ではないんだけど、“ROCK KINGDOM”というテーマを掲げたライブにとってはすごくいい1曲目になったんじゃないのかなって思いました。

観ていて、とにかくド派手だったです(笑)。

UZ SPYAIRは去年から今年にかけて『真冬の大サーカス』っていうアリーナ・ツアーをやったんですけど、ああいうエンターテイメントとの融合をどんどんやっていきたいなと思ってて。大きい会場になればなるほど、エンターテイメント性が大事な要素になってくるなって経験として感じたので、1曲目の「THE WORLD IS MINE」は特にド派手にやりました。

演出もね。

UZ そうそう(笑)。ああいう曲の中で、俺らはごっつい改造車に乗って登場して、ガタイのいい男たちが大きな旗を振り回して。一歩引いて見るとちょっと恥ずかしかったりするんですけど、大げさにやって入り込んじゃえば、そっちのほうが絵になるんじゃないのかなと思ってやりましたね。 

KENTA UZが言ったみたいにコール&レスポンスが多い曲なのに、お客さんたちは「THE WORLD IS MINE」を動画でしか見たことがない。

UZ この曲は、ライブ当日に発売したんです。

KENTA しかも、お客さんたちはフル尺で聴いたことがなかったんですよね。なので、そんなにしっかりコール&レスポンスが返ってくるとは思ってなかったですけど、けっこう「やったった感」がありました(笑)。

UZさんが意図した通りのオープニングになったんですか?

UZ そうっすねえ。「やったった感」は確かに狙ってましたけど、もうちょい盛り上げられる予定でした(笑)。

(一同笑い)

自分では「足りねえ」って感じだったの?

UZ 僕らとしてはステージに立つ姿をすごい想像できたんですけど(笑)。

IKE 確かにそれは俺も(笑)。でも、けっこうイッパイイッパイだったかなあ。

UZ 映像で見たら「ああ、やれてんだ」って思うのかもしれないけど、“ROCK KINGDOM”っていうコンセプトをあの曲に賭けてたから、ミスの許されない責任感が自分自身にのしかかってきてて。

IKE けっこう緊張したかも(苦笑)。

UZ うん、緊張感はあったよね(笑)。

(一同どよめき笑い)

目指すものはスケール感だったり、デカさ。そういうものを目指すバンドでありたいなと思いましたね(UZ)

1曲目の「THE WORLD IS MINE」を聴いたり、今回のメンバー個々のインタビューを通して、『KINGDOM』はわかりやすく言うと、「SPYAIRはここからもっと派手にやっていくぜ」っていう宣言なのかなって思いました。

UZ 今まで4枚アルバムを出していろいろ経験して、このバンドには何が向いているのか、何をやっていくべきなんだろうっていうことを、『KINGDOM』っていうアルバムタイトルを決める前にものすごく考えたんですよ。どっちにも行けると思ったから。

渋くて地味な“ベテランバンド”にもなれる。

UZ そうですね、落ち着いて渋い音楽をやることも、ちょっとオシャレな音楽をやることも、方向性は無限にあったので、「じゃあ、どうしよう」って、テーマを決めるのにすごく悩んで考えた。で、この“KINGDOM”っていう言葉が、SPYAIRにとっていちばんしっくりきた。「SPYAIRってこうあるべきだよね」ってなんとなく思ってる理想像と、“KINGDOM”っていうタイトルがすごくリンクして、そこから広がっていく感じ。目指すものはスケール感だったり、デカさ。そういうものを目指すバンドでありたいなと思いましたね。なので、ここでひとつ吹っ切れました。

コニファーフォレストではアルバム『KINGDOM』から6曲やっていましたけど、手応えはどうでしたか?

IKE 去年のテーマソング「THIS IS HOW WE ROCK」を改めてちゃんとやったり、「THE WORLD IS MINE」をやったり。ある意味『KINGDOM』の世界が初めて空気に触れた瞬間だったと思います。まあ、空気に触れたけど、雨でかき消されたというところはありましたけど(苦笑)。 

かき消されてはいないと思いますよ(笑)。

IKE 必死で必死にやりました!(笑)

SPYAIRは、これからはスケール感を第一に考えていく。

MOMIKEN そうですね。

IKE 僕ら大っきいところでライブをやり始めてから、細かい音はスタジアム・クラスだと伝わらないっていうことを知ったんです。いかに大きなメロディとか大きい音が強いかっていうのを経験してきたんです。だから大きいステージを目指そうと思うと、そのままなんですけど、大きい音が必要だったりする。“KINGDOM”っていうテーマは、今のSPYAIRが目指しているものピッタリだと思います。今、ライブで目指そうとしてる大きい会場に合わせて音を紡いでいくって、こういうことなんだろうなって思ってますね。

KENTA 『JUST LIKE THIS 2017』のときに思ったんですけど、あんだけ大雨が降ってるのに、メンバーが誰も「ヤだ」と思ってない。トロッコに乗ってみんな楽しいって思っちゃうとかって(笑)

派手っていうよりおバカ?(笑)

MOMIKEN 紙一重ですよねえ(笑)。

(一同笑い) 

KENTA SPYAIRは根本的に、そういうことが好きなんですよね、きっと。ライブハウスが似合う人と、デカいステージが似合う人って絶対いると思うんですよ。どっちがいいか悪いかっていう話じゃなくて。SPYAIRって、やっぱすごいデカい会場でそういうことをやった方が似合うと思うし、きっと求められてることもそうなんじゃないかなと思う。だから「派手さ」は失っちゃいけないって、『JUST LIKE THIS 2017』ですごく思いましたね。

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