Interview

物語を語り継ぐアーティスト edda。独特な感性でメジャーデビュー作「チクタク」を紡ぐ彼女に迫る

物語を語り継ぐアーティスト edda。独特な感性でメジャーデビュー作「チクタク」を紡ぐ彼女に迫る

タツノコプロ発のレジェンドキャラクターたちが集結するアニメ『Infini-T Force』のエンディングテーマと、映画『アヤメくんののんびり肉食日誌』主題歌&挿入歌を収録したシングル「チクタク」でデビューするedda(エッダ)。彼女はYUI、家入レオなどを輩出した福岡の音楽塾ヴォイス出身だが、“私”の生き方や愛し方を歌うシンガーソングライターとは異なる視点を持っている。“物語を語り継ぐ”という意味をアーティスト名に持ち、ジャケットのイラストも手がける彼女が歌うのは、“私”ではなく“物語”だ。光と闇、空想と現実、喜びと怒り、生と死といった、相反する要素が混在した歌声で物語を紡ぐ彼女のルーツを辿る。

取材・文 / 永堀アツオ

小さい頃からずっといたeddaが、やっと具現化されてきてるんだろうなっていう感覚

音楽との出会いから聞かせてください。

小学1年の頃からリコーダーやピアノ、打楽器やマリンバとかを使って学校のみんなでよく合奏してたんです。それで、小学校3年生のときに個人的にギターを習い始めて。マリンバとかスネアドラムも好きだったので、それも小5くらいから習い始めて。中学ではお兄ちゃんがいた吹奏楽部に入って、パーカッションをやっていました。その中でもギターは高校に入っても続けて、高校卒業後に音楽塾ヴォイスに通って、今に至るっていう感じです。

いろんな楽器をやるなかでギターがいちばん好きだった?

最初は全然楽しくなかったです。毎週木曜がギターの日だったんですけど、本当に行くのが嫌で「お腹痛い」って言ってましたから(笑)。でも、小学生の頃は習い事のひとつっていう感じだったんですけど、中学に入ってからはいろんな曲を弾いて遊んだりするのが好きになって。ギターの先生に教えられたザ・ビートルズとか、当時流行っていたYUIさんを弾いてみたりしてました。ただ、そこで歌うっていうことはなかったんですけど。

弾き語りじゃなく、ギターの演奏だけ?

はい。歌わずにでした。歌うことに興味がなかったんですよね。でも、中学2年のときにギターの先生に「歌ったほうがいい」って言われて、無理やり歌わされて。人前で歌うなんて本当に嫌だって思ってたんですけど、褒めてもらったりするうちに、なんとなく歌うことも好きになっていって。でも、人前で歌うことには相変わらず興味が持てなくて。それよりも、絵を描いたり、粘土でものを作ったりすることが好きだったので、音楽を作る人になりたいなって感じで、高校卒業後に勉強したという感じですね。

高校時代はどう過ごしてました?

吹奏楽部のない学校に入ってしまって。友達も全然いなかったので、小学生の頃よりも早く家に帰って、ゲームとネットと本を読んでました(笑)。まだハチだった頃の米津玄師さんとか、ALI PROJECT、平沢進さん、倉橋ヨエコさん、あと、detune.もよく聴いてました。

ものづくり好きになったのは?

音楽を作るのは高校卒業後なんですけど、絵を描いたりするのは小さい頃から好きでした。図工と音楽がとにかくずっと好きだったんですよ。家に粘土もずっとあって。いまだにいつも紙粘土を練りながらなんか考えたりしてるので、幼稚園の頃からやってることは変わらないですね。

高校卒業後にヴォイスに入ったのはどうしてですか?

高校を卒業するときに何をしようかっていうところが全然思いついてなくて。音楽系に進みたいとは思ってたんですけど、音楽の何をするかっていうことが頭になかったんです。もちろん、自分が歌うっていうのも頭になかったんですけど、いろいろ探してみた結果、お母さんに「ヴォイスを受けてみたら」ってすすめられて。曲を作ったり、音楽周辺のことができるようになりたいなと思って入って、勉強してました。

あくまでも音楽という手段を使って物語を表現してるだけ

いつ自分で歌うことに頭が切り替わりました?

ヴォイスに入ってからはそういう意識に向いてはいたんですけど、本格的に自分は歌う人なんだなって強く感じるようになったのは、校内オーディションに受かったときですね。そこでやっと「あ、自分はこっちの道に行くんだな」って思ったくらい遅くて(笑)。そこまでは、作る人になりたい気持ちのほうが強かったんです。いまだにそっちのほうが強いときもあるんですけど、やっと歌う人っていう感覚も大きくなってきました。

今は“シンガーソングライター”って紹介されますよね。

そうですね。もちろん、やってることはシンガーソングライターなんですけど、自分で「シンガーソングライターです」っていうのはなんとなく抵抗があって。あくまでも音楽という手段を使って物語を表現してるだけで。それを軸として、イラストや映像、ジオラマとかの物体、いろんな手段を使って物語を表現していく人になりたいなって思ってます。“ストーリーテラー”って言われたときに「あ、なるほど」って思ったので、なんか作ってる人っていう分類で自分を考えてます。

どうして物語を語りたいと思いました?

すごく小さい頃から物語を自分の中に持つっていうのが好きだったし、ずっとやってきたことなんですよ。一個一個の物語は自分が作ったものなんですけど、その物語はほぼ現実っていうくらいの意識で思っていて。なんと言うか、本当に小さい頃からこのあたり(自分の近く)にずっといたeddaが、やっと具現化されてきてるんだろうなっていう感覚がありますね。

eddaは私とは別にいて、eddaが物語を集めたり、edda自身の物語もある

改めて、“edda”というアーティスト名の由来を教えてください。

物語を語り継いだり、出来事を記した伝記のような書物を“edda”って呼んでいたらしくて。私の中には “物語を集めて、それを形にしながら旅をしている女の子”っていうのがずっとあったので、これをひと言で表せたらいいなって考えてるときに、“edda”っていう言葉が落ちてきて、ぴったりじゃんと思って。

eddaは自分の中にいたインナーパーソン?

うーん……聴いてくださる方には私=eddaとして聴いてもらっていいんですけど、私の中ではeddaは私とは別にいて、eddaが物語を集めたり、edda自身の物語もあって。今は、出会った人たちにeddaが聞いた話を形にしてるだけなんですけど。私は、eddaはなんで物語を集めているんだろう、なんでこんなことしてるんだろうってことが気になっていて。いつか私がそれを知れるときがあったら、形にしていけたらなって思ってます。

eddaの見た目や性別も思い浮かんでます?

インディーズでリリースしたミニアルバム『さんかく扉の向こうがわ』のジャケットに書いた子がeddaですね。一曲一曲の主人公や物語は全部違うんだけど、eddaが旅して集めた物語であるっていう部分は共通してるし、ずっと変わらない。eddaの性格はこうだろうなとか、eddaはこういうこと言わないんだろうとかっていうのも結構あって。それは、私とは離れたところにあることが多いですね。

では、メジャーデビューが決まったときはどんな心境でした?

小さい頃からやってることは変わってなくて。同じことをやり続けて、ここに立っていて。2歳のときに一回だけ観たアニメ『バベルの本』(山村浩二 監督)や絵本『ルンペルシュティルツヒェン』が好きだっていう趣味や嗜好も変わってなくて。もちろん、メジャーデビューはすごく嬉しかったんですけど、いままでどおりにやっていれば大丈夫だろうっていうふうに思ってます。

デビューシングルの表題曲はアニメのEDテーマになってますよね。それは別の物語でもあると思うんですが。

いままでの曲の中でも、アニメの登場人物を題材にしたこともあって。その感覚に近いですね。主人公を別の人が提示してくれただけで、そこから物語を生み出すことは変わらないっていう感じなので。ただ、いままでと変わらずにやってきたんですけど、たくさんの人の目に触れるし、どういうふうになっていくのかなっていうワクワクも不安もあるっていう感じですね。

eddaが聞いた物語を語るという意味ではブレないわけですね。「チクタク」はどんなところから作りました?

「エンディングでホッとひと息つけるような曲を」って言われて、こういう感じのテイストになったんですけど。