Interview

物語を語り継ぐアーティスト edda。独特な感性でメジャーデビュー作「チクタク」を紡ぐ彼女に迫る

物語を語り継ぐアーティスト edda。独特な感性でメジャーデビュー作「チクタク」を紡ぐ彼女に迫る

アニメの1話を観たときと、最終話を見たときの聴こえ方が変わったらいいな

ピアノが弾むアップテンポのポップナンバーになっていてびっくりしました。もっと暗い曲を歌う方なのかなと想像していたので。

私はバラードよりもテンポが速い曲のほうが多くて。表面は明るい色でできてるけど、中はドス黒いとか、一見、賑やかだけどすごく悲しかったり、怖かったりするニュアンスを表現するのが好きなんです。

この曲もよくよく聴くと終わりの予兆がもたらす刹那さを感じます。

嬉しいです。パラレルワールドだったり、いろんな時の流れを“チクタク”っていう言葉にぎゅっと集約した形で。時は戻ることはなくて、進んでいくしかないじゃないですか。“進む”って明るい言葉だけど、進んでいくときに不安になったり、やりきれない気持ちになったりすることもあって。その、進むっていうポップで前向きなワードの中に入っている、そういった感情を表せたなと思っていたし、アニメの1話を観たときと、最終話を見たときの「チクタク」の聴こえ方が変わったらいいなっていう想いで作ってますね。

“バイバイ”だけでも複層的な捉え方ができますよね。何とバイバイしてるのかっていう?

友達や仲間とのバイバイであれば後ろ向きかもしれないし、弱い自分とのバイバイなら、前向きかもしれない。悲しみとか恐怖とか、あっけらかんとしてる感じとか、いろんなものが詰まった“バイバイ”になってます。前向きなのか、後ろ向きなのか。どっちを含んだ“バイバイ”になるのかは、聴く人によって違うんだろうなって思うし、私もまだわからないですけど、そうやっていろんな捉え方をしてもらえると嬉しいですね。

映像のほうはどんなイメージで制作しました?

不安感ややり切れなさをはらみながらも、前に進んでいく少女をイメージして。少女感を尖らせていった映像になってるかなって思います。パキッとこういう世界観なんだっていうよりは、ふわっとしてて、触ると消えちゃうんじゃないかっていう儚さもあって。「チクタク」の持つ曖昧さとか繊細さをすごく表してくれた映像になったなと思うので、早く、フルバージョンで観て欲しいです。

「食べちゃいたい!」よりは「食べて欲しい!」のほうが強くなってきてる

カップリングには映画『アヤメくんののんびり肉食日誌』の主題歌と挿入歌が収録されてます。

「ディストランス」は銀竜草(ギンリョウソウ)っていう花を題材に作っていったんですけど、腐った肉の上に咲く花って言われていて。光合成しないからすごい真っ白なんですけど、映画のアヤメくんと椿ちゃんもちょっと狂ってるというか、ヘンな部分があったので、そことリンクさせながら、銀竜草に咲かれた腐った肉のほうの目線で作った曲になってます。

あははは。すごい目線ですね。しかも、“食べられていい”っていう。

それも、トランス状態じゃないんだよ、真剣に恋をしてるんですっていうニュアンスで作っていきました。大人になってくるにつれて、「食べちゃいたい!」よりは「食べて欲しい!」のほうが強くなってきてるなって感じるときがあって。私、女性アイドルが好きで、道重さゆみさんが好きなんですけど、「もう食べちゃいたい」っていう感情だったのが、最近「食べて欲しい」になってるなって気づいて(笑)。それが真実の愛なのかどうかはわからないですけど、そういう感情ってあるなって思うんですよね。本当に食べて欲しいわけではないけど、銀竜草はそうやって生きるしかない。ほかの肉を食べるなら、「じゃあ、自分が」ってなるだろうなって思うし、それで綺麗に咲いて揺れていてくれるのであればいいなって思う部分があって。そういう感じですね。

4つ打ちのガーリーハウスとなっている「デイストランス」から一転し、「魔法」はピアノバラードとなってます。

この曲はアヤメくんの気持ちを考えながら描いたんですけど、遠く離れた人の幸せを願うっていう気持ちですね。ちょっと頭にあったのは、『千と千尋の神隠し』のハクのその後。遠く離れた人のことを考えて、幸せでいて欲しいとか、いい夢を見ていて欲しいなって思う気持ちって、魔法だなと思って。そういうイメージで作りました。

小さい頃のトラウマみたいなものにeddaがなったらいいなと思います

3曲揃って、ご自身にとってはどんな一枚になりました?

どういう物語なのかっていうところまで掘って感じてくれる人がめちゃめちゃ多いわけではないはずだし、最初はやっぱり、声とか、サウンドとかっていう表層的な部分を聴く方がほとんどだろうなと思うんです。今回、アニメと映画の曲に選んでいただいて、耳にしてくださる方が多いだろうなっていうところでのこの3曲だったので、正直、不安な気持ちもあって。eddaはもっともっと尖ったこともやっちゃう人だから、最初にこれを提示したときに大丈夫かなっていう。だけど、ただただ明るいだけの曲じゃないんだなっていうのが少しでも伝わるといいなと思ってます。まずは聴いて、観てもらって、そこから引きずりこめたらいいですね。あとは、イラストも描かせていただいているので、なんか「ちょっとおかしい子なのかな?」っていうのが伝わればいいなと思います。

あはははは。「半魚人」や「不老不死」のMVを観てもらえれば、かわいいけど不気味でもある、eddaのダークファンタジーに基づく世界観がより伝わると思います。今後はどう考えてます?

物語を伝えていくっていうのはずっと変わらずにやりたいと思っていて。あとはやっぱり、本当に自分が素敵だなって思えるものを作っていけたらいいなって思ってますし、私が2歳のときに一回だけしか観てないのに忘れられないアニメ『バベルの本』のように、子供が観て、小さい頃のトラウマみたいなものにeddaがなったらいいなと思います(笑)。

edda(エッダ)

福岡県出身。音楽塾ヴォイス出身。世の中に埋もれているあらゆる感情や声を人々に伝えたいという想いから、“物語を語り継ぐという意味を持つ言葉“edda”をアーティスト名に 2017 年より活動を開始。5月にシングル「半魚人」を福岡限定リリース、7月に初の全国流通盤『さんかく扉のむこうがわ』を発表。今作「チクタク」でメジャーデビュー。
オフィシャルサイト

TVアニメ『Infini-T Force』オフィシャルサイト

映画『アヤメくんののんびり肉食日誌』オフィシャルサイト

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