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石丸幹二、安蘭けい、石井一孝らミュージカル界至宝の歌声を聴いた! ミュージカル『スカーレット・ピンパーネル』公開稽古

石丸幹二、安蘭けい、石井一孝らミュージカル界至宝の歌声を聴いた! ミュージカル『スカーレット・ピンパーネル』公開稽古

2010年代に入っても数多くの国内外のミュージカルが上演される日本。そんなミュージカル大国日本において、ミュージカル界の至宝といえば、石丸幹二、安蘭けい、石井一孝らに他ならないのではないだろうか。
そんな彼らが出演するミュージカル『スカーレット・ピンパーネル』が、11月20日から12月5日までTBS赤坂ACTシアターにて上演される(大阪公演は11月13日から15日まで梅田芸術劇場メインホールにて)。
日本での初演は宝塚歌劇団によるものだったが、脚本や音楽などに改良を加えた改訂版が2016年に上演。この度、石丸幹二、安蘭けい、石井一孝ら初演のメンバーに引き続き、演出に石丸さち子も加え、好評のうちに再演されることと なった。
フランス革命後のフランス政府とイギリス貴族で結成されたスカーレット・ピンパーネル団の戦いを描く、愛と情熱と勇気の物語。
今回はそんな彼らの稽古場に潜入。彼らの珠玉の歌声を聞くことができた。

取材・文 / 竹下力

目を閉じれば、スカーレット・ピンパーネル団の姿が見える

都内某所。『スカーレット・ピンパーネル』の稽古場。外には、10月の秋風が吹いて寒いほどだが、稽古場に入れば、熱気に当てられて汗が滴る。稽古場のテンションの張り詰めた空気が肌を突き刺して痛いほどだ。すでに石井一孝が台本を丁寧に読み込んでいる。アンサンブルやスカーレット・ピンパーネル団の役者も揃ってダンスを合わせたりしている。そこに石丸幹二、安蘭けいらが登場すると、多和田秀弥らスカーレット・ピンパーネル団の一員もストレッチや体操をやめて彼らを凝視し、緊張がマックスになる。

そこには石丸幹二を座長として中心にした、まさにスカーレット・ピンパーネル団が出来上がっているように見えた。

披露された曲は、一幕終盤の楽曲『謎〜疑いのダンス』。フランス政府側のショーヴラン役の石井一孝が、同じくフランス側のマルグリット役の安蘭けいにピンパーネル団の正体を明かせと脅迫しながら歌い始める曲だ。

ピアノによるアップテンポな曲だが、キーは低く、唸るような声でリノリウムの床を震わせながら石井が歌うと安蘭が加わりデュエットとなり、マルグリットの逡巡する心境が歌われ、キーが一気に高くなる。

とても難しい曲を難なくこなす2人だが、次第にテンションが高くなったところで音楽が止まる。マルグリットの夫、パーシー役の石丸幹二が登場するのだ。背筋を伸ばしながら胸を張る姿で登場すると当時の英国紳士の様子が垣間見える。そして、3人の腹の探り合いが始まる。しかし解決策は見えない。とうとう堰を切ったように石丸幹二が歌い出すと、そこにはイギリスで武勇をなすピンパーネル団の凜とした姿が目の前に浮かび上がるようだ。

そして石井と安蘭が加わりトリオとなるコーダの部分では、一気にピンパーネル団やアンサンブルが加わり、壮絶なハーモニーを奏でる。

疑心と欺瞞、さらには野心といったものを垣間見せる楽曲だが、歌声によって、すべてが洗われてしまったかのような胸のすくような思いになる。

今回の公開稽古はここまでだったが、わずか数分のたった一曲ですらこうなのだから、多くの人を魅了することは確実ではないだろうか。

目を閉じれば、風に立ち向かいながら屹立するスカーレット・ピンパーネル団の姿が脳裏に浮かぶ。衣装に舞台、実際に生で体感したらどんなに感動するだろう。本番が待ち遠しい。

若い役者にはどんどん暴れてほしい

この稽古場取材の後に、石丸幹二、安蘭けい、石井一孝、演出の石丸さち子による会見が行われた。

1年を待たずしての再演ですね。

石丸幹二 ありがとうございます。前回からたった一年なのに、こんなにラッキーなことはありません。とはいえ、私たち3人はそのままですが、他のメンバーはがらりと変わります。新たなスカーレット・ピンパーネルをみなさんに見ていただけると思いますよ。

安蘭けい 石丸さんのおっしゃる通りですが、意外と忘れているセリフもあるので、一生懸命記憶を辿って思い出そうとしています。メンバーも変わるし、演出に最強の石丸さち子さんがいらっしゃるので怖いものなしです。

石井一孝 わずか一年の間に、キャストも随分変わって、新しい動きやテンションを持ち込んで、盛り上がっていく最中ですね。

今回は、石丸さち子さんは演出家として加わりますが、前回と違うところはありますか。

石丸さち子 前回もガブリエル・バリーさんと苦労して作りましたので、前回の持つ良さを大事に守りながら演出したいと思います。新しいメンバーが入り、新しい風が吹いてきたので、それを活かしながら、知恵と勇気で戦う時代を作り上げたいですね。

今回のピンパーネル団のメンバーを演じるのは、泉見洋平さん、松下洸平さん、久保貫太郎さん、久保田秀敏さん、多和田秀弥さん、東啓介さん、藤田玲さんといった2.5次元舞台などでも活躍される若手の方も参加されますが、期待されることはありますか。

石丸 すでに個性が溢れ出ています。彼らが、どんな風に向き合って一つのピンパーネル団を作り上げるか、頭の中にふつふつと湧いてきているので、さち子さんとともに強力なピンパーネル団を作りたいと思います。

石井 みんな背がでかい! 見上げる人ばかりですが、その分個性があって、バラバラな感じが面白いよね。

石丸 バラエティーが溢れる感じがいいよね。

安蘭 みんながそれぞれキャラクターを作ってきてくれているので、俳優の意欲を感じて頼もしいなと思っています。

石丸 手綱はさち子さんが締めてくださいますけど、どんどん暴れてほしいですね。

再演ということで、新たな演技プランはありますか。

石丸 頭の中は成長していますが、体力を戻さないといけない。この舞台は、第4コーナーを回ってからがきついので、みなぎるパワーで立ち向かいたいと思います。

安蘭さんは宝塚時代にパーシーを演じていますね。

安蘭 パーシーのセリフを聞いていると、懐かしいですね。ただ、今は女性だなと改めて思ったり(笑)。とても楽しいミュージカルですし、ピンパーネル団の一員になりたいぐらい興奮するし、見応えがある舞台だと思います。

最後にお客様に一言。

石丸 去年は観たくても観られなかったというお客様の声を大変たくさん聞きました。リピーター・チケットもなかったので、そういう人にはぜひ観ていただきたいと思います。ただ、去年よりも今年は絶対に変わっているので、去年いらした方もぜひ(笑)。劇場でお待ちしております。

ミュージカル『スカーレット・ピンパーネル』

【大阪公演】2017年11月13(月)~15日(水) 梅田芸術劇場メインホール
【東京公演】2017年11月20日(月)~12月5日(火) TBS赤坂ACTシアター
【原作】バロネス・オルツィ
【脚本・作詞】ナン・ナイトン
【作曲】フランク・ワイルドホーン
【訳詞・翻訳・潤色】木内宏昌
【潤色・演出】ガブリエル・バリー
【演出】石丸さち子
【出演】
パーシー・ブレイクニー 役・石丸幹二 / マルグリット・サン・ジュスト 役・安蘭けい / ショーヴラン 役・石井一孝
ロベスピエール 役・上原理生 / デュハースト 役・泉見洋平 / アルマン・サン・ジュスト 役・松下洸平
オジー 役・久保貫太郎 / ベン 役・久保田秀敏 / エルトン 役・多和田秀弥 / ハル 役・東啓介 / ファーレイ 役・藤田玲 ほか

STORY
1789年、王制に対する不満を爆発させた民衆が蜂起し、フランス革命が勃発。その後、ロベスピエールを指導者とするジャコバン党が権力を振りかざし、元貴族らが次々と処刑される恐怖政治が続いた。嵐が吹き荒れる混乱の中、無実の人々を断頭台から救おうと立ち上がったのは、イギリス貴族のパーシー・ブレイクニー。彼は仲間と共にピンパーネル団を結成し、知恵を絞った救出計画を秘密裏に敢行。その活躍ぶりは瞬く間に広まったが、女優を引退しパーシーの妻となったマルグリットでさえも正体を知らず、いつしか夫婦の間に大きな溝が生じていた。フランス政府特命全権大使のショーヴランは元恋人であるマルグリットに接近。ある取引をチラつかせながら心のうちを熱く、甘く語りかけ、ピンパーネル団の素性を暴こうと執念を燃やす。愛を疑うパーシー、愛を信じたいと願うマルグリット、愛を利用するショーヴラン。恐怖政治の嵐の中で愛憎が交差し、物語はスリリングな展開をみせてゆく……。

公式サイト
http://www.umegei.com/the-scarlet-pimpernel/

公式ツイッター
@pimpernel_2017

関連書籍 小説『紅はこべ』

著者:バロネス・オルツィ
出版社:グーテンベルク21


いまやフランスの支配者は民衆! 栄華を誇った王侯貴族はみな国家の叛逆者なのだ……老若男女子供を問わず、ギロチンの刃は連日犠牲者を追い求める……恐怖に駆られた貴族たちを救うべく、ドーヴァーの彼方イギリスから謎の秘密結社「紅はこべ」が神出鬼没の活動を展開する。首謀者は果たして何者なのか? サスペンスとミステリー、恋と冒険とが渦まく、古典ロマンの代表作。