DREAMS COME TRUEが愛され続けているということ  vol. 2

Review

DREAMS COME TRUEの新作に見えた「公」と「私」のものを兼ね備えた稀有な境地

DREAMS COME TRUEの新作に見えた「公」と「私」のものを兼ね備えた稀有な境地

DREAMS COME TRUEが約3年ぶりにオリジナルアルバムをリリースした。
タイトルは『THE DREAM QUEST』。
ここには様々なタイプの全13曲(+ボーナストラック5曲) が収められている。タイトルが示す通り、今作はまさにロールプレイング的とも言える冒険の世界。スタートボタンを押したら、そこには広大な音楽世界が広がり、我々は驚きと発見の旅にでる。
そんな新しい世界を常に見せてくれているドリカムが愛され続けている理由をこの新作『THE DREAM QUEST』を踏まえて展開していこうと思います。
クエストの隠しアイテムが発見できるヒントを祈って。


「DREAMS COME TRUEが愛され続けているということ」vol.2

今回のアルバムの全体像を、手短に語ることは不可能です。そもそもポップ・ソングのアルバムというのは多面体であって、今現在、どの曲と正対しているのかにより全体も左右されます。まあ、そんなこと言ってても話が進みませんから、多面体をグルグル回してみますね。ぴたっ。あ、「あなたのように」が聞こえたんです。

 

この歌を聴いていて、ふと、人類の歴史を想いました。我々が歩んできた道のりには、歴史上の人物がいる一方で、名も無き大勢の人達もいました。彼らが地道に流した汗で、積み上げられた歴史もあるわけです。それらの人達に対し、スポット・ライトほど眩しくない、柔らかな光を充てたのがこの歌なのでしょう。でも、本来ポップ・ソングというのは、そういうもの、そういうところに届けるべきもの…、ではないでしょうか。

音楽には二種類あって、ひとつはメディアなどを通じ、不特定多数の耳に触れるもの。他方、アーティストとファンが直結し、特定の耳に触れるものも存在します。ちなみに前者を「公(おおやけ)」、後者を「私(わたくし)」へ向けたものとしましょう。

このふたつ、どちらが凄いとかって、優劣の関係を生むことはないですが、前者が後者を兼ねることはあっても、後者が前者を兼ねることは稀です。そのあたりを意識するかしないかで、音楽制作に臨む態度も違ってきます。
音楽は 届けば“聞こえてしまう”ので、好むと好まざるとに関わらず、外界を巻き込みます。こんなこと他の芸術ジャンルにはありません。ゆえに、もしその音楽の制作者のなかに「公」と「私」を兼ねようとする意識があったら、無駄に刺激的な音はやめよう、とか、言語中枢を混乱させる歌詞はやめよう、とか、そんな意識が働くことでしょう。

こんなこと書くと、“J-POP規制委員会”のヒトみたいですが、「公」の意識を持ちつつ、それでいて凡庸ではないものへ辿り着ける人達こそが、真にポップな境地を手にします。では、真にポップとはどういうことでしょう。みんながよく使う表現を借りるなら、「通い慣れた道を、まったく違う景色に輝かせる」ことです。

今回のアルバムの……、そう、「秘密」という歌とかは天晴れです。「秘密」「運命」「自由」「夢」…。歌詞に出てくるのは何万回も歌のなかにスタンプされ、印字も薄れつつある言葉ばかりなのです。なのにどれもが初刷りのように、この歌のなかでは魅惑的に響いてる。最新の言葉を取り入れるのも大切だけど、こうした歌に出会うと、今度は僕のなかで印字が薄れつつあった「感動」という言葉が、くっきりと立ち上がってくるのです。

話、あえてまとめることはしません。結論めいたことも書きません。ただ、さっきから言ってることも続きで書くなら、彼らの新作『THE DREAM QUEST』を聴いて思ったのは、「公」のものとして心地良く、「私」のものとしても掛け替えのない、そんな境地を実現させていることへの驚きでした。これはなかなか出来ない。
まずなりより、音楽の鮮度がいい。ぷきぷきと、今も新陳代謝が活発なことも伝わってくる。もちろん、だからこそ“QUEST”=“探求”と、そんなタイトルをつけたのでしょうが。
DREAMS COME TRUEがやりたいこと。それは基本、変わってないのでしょう。変わらないから彼らの「らしさ」となるのです。それはいわゆる、アンセムな感覚です。この言葉自体、様々に解釈されますが、ここでは「聴いた人の気持ちを、体のバランス崩さない程度にアゲてくれる」、みたいな意味に受取ってください。歩幅を1センチ広げてくれる。そんな表現でもいいでしょう。

ここからは追伸といいますか、私、彼らがデビューした頃から存在は知ってて、ただ、ひとつ気がかりだったのは、そのグループ名のことなのでした。“この人達、才能ありそうだけど、カムトゥルーしちゃったら、そのあと、どうすんのかしら…”。でもそうか!。こういう手があったわけですね。“QUEST”=“探求”は、この先も、ずっと続いていくわけですから。
ビタミンにはAとかBとかCとかあるけど、あれはただ、現時点で見つかったものにアルファベットを振ってるだけなんですよね。名前はまだないけど体に効くものが、この宇宙には五万と存在してる。彼らにとっての“DREAMS”も、きっとそうなのでしょう。これからも、たくさんたくさん、見つけていってくれることでしょう。

文 / 小貫信昭

ライブ情報

かんぽ生命 Presents DREAMS COME TRUE CONCERT TOUR 2017 / 2018 THE DREAM QUEST
10/21(土)・22(日) さいたまスーパーアリーナ
10/28(土)・29(日) 大阪城ホール
11/3(金・祝)・4(土) マリンメッセ福岡
11/18(土)・19(日) 宮城セキスイハイムスーパーアリーナ
11/25(土)・26(日) サンドーム福井
12/2(土)・3(日) 北海道立総合体育センター北海きたえーる
12/16(土)・17(日) 横浜アリーナ
1/6(土)・7(日) 日本ガイシホール
1/13(土)・14(日) 大阪城ホール
1/20(土)・21(日) 神戸ワールド記念ホール
2/3(土)・4(日) 日本ガイシホール
2/10(土)・11(日) マリンメッセ福岡
2/17(土)・18(日) 広島グリーンアリーナ
3/3(土)・4(日)横浜アリーナ

かんぽ生命 Presents DREAMS COME TRUE CONCERT TOUR 2017 / 2018 THE DREAM QUEST ~ドリカムの夕べ~
12/23(土・祝)・24(日) グランメッセ熊本
3/24(土)・25(日) 沖縄コンベンションセンター展示棟

リンク

ニューアルバム「THE DREAM QUEST」特設サイト
https://ticket.yahoo.co.jp/special/dct/
DREAMS COME TRUE オフィシャルサイト
http://dreamscometrue.com/

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