LIVE SHUTTLE  vol. 203

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GRANRODEOが確立したスタジアムロックと“幸せなアナーキー”。圧巻の武道館公演「G12 ROCK☆SHOW 道化達ノ宴」初日レポート

GRANRODEOが確立したスタジアムロックと“幸せなアナーキー”。圧巻の武道館公演「G12 ROCK☆SHOW 道化達ノ宴」初日レポート

「日本一デカいライブハウス武道館にようこそ!」――若いロックファンには伝説の、オールドファンにはBOΦWYが初めて放ち、武道館に立つアーティストにとって伝統として受け継がれている名フレーズを、“G ROCK☆SHOW”でKISHOWが放つのは今年で3度目だ。2015年大晦日のカウントダウンライブ“COUNTDOWN SPECIAL LIVE 2015~2016”を含めると、GRANRODEOと武道館の蜜月は4度目を数える。

彼らのデビューからの年数を“G”ナンバリングとして表記し、毎年恒例でアリーナクラスで開催している“G ROCK☆SHOW”。デビュー5周年を記念した2010年の“G5”、翌年の“G6”。そして今年の“G12”と積み重ねた武道館とのマリアージュ。さいたまスーパーアリーナ、大阪城ホール、幕張メッセ展示場などの大会場で毎年スケールの大きなパフォーマンスを繰り広げてきた彼らのライブバンドとしての自負と余りある経験は、今年の“G12”でも遺憾なく発揮されていた。

取材・文 / 阿部美香


2017年9月22日、23日の2daysで行われ、両日併せて約17,000人を動員。その初日となった9月22日公演は、彼らのライブの大きな魅力である“スタジアムロック”としてのエンターテインメント性が、パフォーマンス面でもステージ演出面でも圧倒的な爆発力を見せていた。最大20人の男女のダンサー、今年春から夏にかけてのツアー“GRANRODEO LIVE TOUR 2017 Pierrot Dancin’”にも参加していた実力派ホーンユニット「FIRE HORNS」を随所にフィーチャーしたステージは、バラエティに富んだGRANRODEOナンバーの楽しさを際立たせていた。

毎年、オープニングや幕間に様々な趣向を凝らす“G ROCK☆SHOW”。今回のモチーフはサブタイトルにもある“道化達ノ宴(ピエロ カーニバル)”だ。ファンにはおなじみの21世紀フォックス映画風ファンファーレから始まった今宵の宴は、半円形にせり出したステージで白い仮面と黒いマントを付けた不気味な出で立ちのダンサーたちが舞うミステリアスにスタート。民族的なイメージのダンスがクライマックスを迎えた頃、ステージの床下から光に包まれたKISHOWとe-ZUKAが登場、KISHOWの切り裂くようなアカペラから始まったのは「Pierrot Dancin’」だ。空気を揺るがす重量級のGRANRODEO流ハード&メタルが身体に突き刺さり、ライブでは初披露となるロカビリーテイストの「恋は mirage」、FIRE HORNSを交えたファンキーなパーティーチューン「Punky Funky Love」まで一気に駆け抜ける。

アニソンシーンとロックシーンを、ジャンルレスに横断しながらキャリアを積んできたGRANRODEOだからこその幸せなアナーキーがそこにある。だが、e-ZUKAの流麗でメロディアスなギターとKISHOWの繊細かつパワフルな歌声さえあえば、どんなにジャンルの異なる楽曲が繰り出されようとも、すべてがGRANRODEO色に染め上げられてしまうから不思議だ。

ファーストブロックの衝撃を昇華させるように、MCで最初にぶち上げられたのが、本記事冒頭のあの名フレーズ。KISHOWのシャウトに、待ってましたとオーディエンスが雄叫びを上げる。GRANRODEOのライブでは、e-ZUKAがボケ、KISHOWがツッコミを入れながら、サポートメンバーのベース・瀧田イサム、ドラム・SHiNを交えてユーモア満点に繰り広げられるMCもファンには大人気だ。この日もさっそく、あいにくの雨模様と、ファンやスタッフも認める自分たちの雨男っぷりをネタにして、昼間、急に雨が振り出した時、外にいた物販スタッフが「もしかして、GRANRODEOのおふたりが会場入りしました?」と聞きにきたら、本当にそうだった! というエピソードをKISHOWが披露すると、会場は大爆笑に包まれる。そんな柔らかな空間から、一気にグラマラスにテンションを上げていくのもGRANRODEO流だ。

「本日は、Pierrot Dancin’ツアーを経ての集大成。今日こそが最後の“宴”だと思って、存分に楽しんで帰ってください。今日は最後まで、俺たちとラストダンスを踊ろうぜ!!」

KISHOWの言葉に重なるように、再び武道館はヘヴィネスの渦に巻き込まれていく。客席の全員が一気に跳ねる90年代J-ROCKテイストの「Fake lover’s true heart」。アリーナに椅子席とは別にステージ最前ブロックに設けられたスタンディングエリアでは激しいヘドバンやモッシュが繰り広げられる超アッパーな「ナミダバナ」は、KISHOWの超ロングトーンに高揚。オーディエンスの拳と掛け声が突き刺さる「FAT SHAPER」、タオルが舞う「NOT for SALE」、多幸感にあふれた「Can Do」まで一気に畳みかけていく。

そしてブリッジ。メンバーが去ったステージでは再び、今度は思い思いの白の衣装に着替えたダンサーたちのダイナミックな“宴”が始まり、GRANRODEOライブでは恒例のインストゥルメンタル・タイムがスタート。いつもなら、ドラムソロ~ベースソロ~e-ZUKAのギターソロが順番に行われるこのコーナーも、今回は違う趣向だ。FIRE HORNSの生ファンファーレを浴びてe-ZUKAが登場し、メロディックなソロを弾きまくったあとは、瀧田とSHiNの3ピースで、変拍子バリバリの超絶テクニカルなバンド演奏を放ち、喝采を浴びた。

そこから最新シングル「move on! イバラミチ」へと続くセットリストは、いつもならソロ空けにはMCが挟まって一息入れるところ。しかし今宵の“宴”は、ノンストップでそのまま後半戦になだれこみ、オーディエンスをひとときも休ませない。もちろん、ステージ上のバンドたちも激しいアクションを途切れさせることがない。e-ZUKAが腰を振り、脚を上げながらギターをまるで身体の一部のように操れば、KISHOWは武道館のすべてのオーディエンスに目線を送りながら、高々と跳ね、走る。

なかでも、最新シングル「move on! イバラミチ」からの一連は、縦横無尽にライトが交錯し、幾重ものレーザー光線が混ざり合って“宴”を繰り広げる。ミラーボールの輝きの中で、オーディエンスが一斉に扇子を取り出し、KISHOWの手の振りに合わせてひらひらと舞わせる「SEA OF STARS」から、これもライブでは本邦初公開となる情熱的なラテンナンバー「エンドレスサマー」までの流れはまさに圧巻。大きなフラッグが振られ、赤いスカートをひるがえしながら踊る女性ダンサーたち。きらびやかなカーニバルの光景を、e-ZUKAがガットギターとエレキギターを華麗に引き分けて演出していたかと思えば、次のバラード「少年の果て」では静まりかえった客席を、KISHOWがその見事な歌声だけで熱くドライブする。

気がつけば、ライブ本編ももう終盤戦に差し掛かり、今まで以上にアッパーなナンバーが次々に放たれていく。暴風雨のような爆音が叩きつけられる「NO PLACE LIKE A STAGE」から「ROSE HIP-BULLET」では、ステージ上を駆け回るバンドにボコボコに殴られたような感覚にも陥る。息も絶え絶えなオーディエンスは、フロントメンバー3人がジャンプを決めるおなじみの「modern strange cowboy」で精も根も尽き果てたようにも見えた。

ここでやっと、約1時間半ぶりのMCタイム。「ありがとう武道館、今夜の“G12”は口数少なめにね。平日の脚元の悪いなか、こんなに集まってくれてね! 今年もGナンバリングができるのは、みなさんのおかげです」とKISHOWが感謝の言葉を述べると、ステージ上手に登場してきたGRANRODEOロゴ入のピアノをe-ZUKAが弾き出す。年に一度、“G ROCK☆SHOW”でしか演奏されないレジェンドなナンバー「We wanna R&R SHOW」のスタートだ。まさにスタジアムロック然としたシンガロングなこの曲で、本編が締めくくられた。

“G12”は、アンコールのバラエティ感も見どころだった。最初のアンコールは、彼らが2度目に武道館をやりとげた“G6”のオープニングナンバーだった「SUPERNOVA」と、久々に演奏されたデビュー曲「Go For It!」。MCで初解禁された、2018年初春公開予定の映画『文豪ストレイドッグス DEAD APPLE(デッドアップル)』のオープニング主題歌を担当するという朗報に会場も大いに沸き、メンバーが出したお題に当てはまる人が「IGPX!」と叫ぶ「Go For It!」のコール&レスポンスはなんと約20回にも及ぶ、幸せな空間を作り上げた。

そしてWアンコールで披露されたのは、GRANRODEOの静の一面を圧倒的パワーで表現するドラマティックなバラード「UNDER THE SKY」。圧巻の演奏力と歌唱力に改めて衝撃を受ける。静と動、ユーモアとシリアス、重厚と軽快――様々な相反する要素が詰め込まれたGRANRODEOのライブ。“G ROCK☆SHOW”は、そのポテンシャルの高さが見事なエンターテインメントとして昇華された、最高の空間だった。


GRANRODEO LIVE 2017 G12 ROCK☆SHOW 道化達ノ宴
2017年9月22日(金)@日本武道館

<SET LIST>
01.Pierrot Dancin’
02.恋は mirage
03.Punky Funky Love
04.Glorious days
05.Fake lover’s true heart
06.ナミダバナ
07.FAT SHAPER
08.NOT for SALE
09.名も無き日々
10.Can Do
11.move on! イバラミチ
12.SEA OF STARS
13.エンドレスサマー
14.少年の果て
15.TRASH CANDY
16.NO PLACE LIKE A STAGE
17.ROSE HIP-BULLET
18.modern strange cowboy
19.We wanna R&R SHOW

E1.SUPERNOVA
E2.Go For It!

W1.UNDER THE SKY

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