Interview

賀来賢人「コメディで一番になる」福田組“三男”としての決意と、2日で忘れる!?『斉木楠雄のΨ難』の魅力を語る

賀来賢人「コメディで一番になる」福田組“三男”としての決意と、2日で忘れる!?『斉木楠雄のΨ難』の魅力を語る

『週刊少年ジャンプ』で連載中の大人気ギャグ漫画『斉木楠雄のΨ難』が、『勇者ヨシヒコ』シリーズや『銀魂』で注目を集める福田雄一監督のメガホンで実写化! 個性的なキャラクターしか登場しない本作で、見た目は真面目だけど暴走族の元総長という〈窪谷須亜蓮〉を演じる賀来賢人に、まさかの「2日経ったら内容を忘れる(笑)」という本作の魅力を語ってもらった。さらに、福田組の現場や常連キャストとのエピソード、さまざまな映画、舞台、ミュージカルに出演してきた彼がいま俳優として思うことや、「コメディで一番になると決めた」と語る彼の決意について、たっぷりと聞いてきた。

取材・文 / 吉田可奈 撮影 / 三橋優美子

福田監督の言葉に「『俺は何をビビッていたんだろう』って反省したんです」

『斉木楠雄のΨ難』の原作は読まれていましたか?

このお話をいただいてから読ませていただきました。いわゆる『週刊少年ジャンプ』の王道コメディなんですが、僕が学生の頃に読んでいた作品と比べるとテンポや展開が今風になっていて、すごく新鮮だったんです。登場人物も、みんなかなりブッ飛んでいて、「何でもアリだな」って笑いながら読んでいました(笑)。

今回は、そのブッ飛んだ役のうちの一人である〈窪谷須亜蓮〉を演じられていますが、近年、こういった個性的な役柄を求められることが増えていますよね。

特に福田さんの作品では多くなった気がします。僕にとって、福田さんは一番怖い演出家なので、常に危機感を持ちつつ、プレッシャーを抱えながら演じています。

どの監督よりも一番怖いんですか?

はい(笑)。以前、ドラマ『スーパーサラリーマン左江内氏』(17/NTV)に出演させていただいたときに、笑いながら「そんなんじゃ通用しねぇぞ」って言われたんですよ。さらに「ゴールデンの時間帯のドラマじゃなくて、深夜ドラマだと思って振り切ってやれ」とも言われて。そのときに、「俺は何をビビッていたんだろう」って反省したんですよね。それから思い切って演じるようになったと同時に、福田さんからは笑いへの要求もさらに増えてきた気がします。

ちゃんと指摘してくれるのはすごく嬉しいことですよね。

ありがたいですね。最近は福田さんに「それをポンっとしてバンだから!」って、擬音語で指示されるんです。でも、福田さんとちゃんと向き合って、その暗号が解読できるように頑張っています(笑)。現場に呼んでいただく機会が増える分、福田さんのハードルも上がってきます。だからこそ、福田組の作品に毎回出演している佐藤二朗さんやムロツヨシさんのすごさを改めて感じました。

確かに、そのお二人は福田作品に毎回出演されていますよね。

そうなんですよ。僕も福田さんにその理由を聞いたことがあるんですが、「二人を毎回出そうと思っているわけじゃない。ただ、脚本を書き上げると、必ず作品の中に勝手に二人が入り込んでいる」っておっしゃってました(笑)。

だから原作にない役でも自然に出演されているんですね。

俳優としてすごく理想の形です。僕もいつか、そうなりたいですね。でもそのためには、福田さんから提示される“面白さ”の上を行かなきゃいけないんです。福田さんの現場では、稽古やリハーサルの段階で俳優側から「これはどうですか?」と提案していかなければいけないので、悩むことも多いんですが、それがとてもいい修行になっています。

ステージで悔しい想いをしながらも
転機となったのは劇団☆新感線の舞台

今回演じた〈窪谷須亜蓮〉を演じるにあたって、大事にしたことはありますか?

見た目は真面目だけど元暴走族の総長という、あまりやったことのない役柄だったので、演じる前は難しいなと思っていたんですが、最終的には顔芸になっていて(笑)。常にフルスロットルで演じ切りながら、必死について行っていました。

その経験はすごくいい糧になりそうですね。

そうですね。瞬発力はもちろん、その場でどう動くかというアドリブも、この組では求められるので(笑)。演劇の先輩方にも、そういったことをたくさん教えていただいているので、毎日が貴重な勉強の場になっています。

舞台『ヤングフランケンシュタイン』でもかなりコミカルな演技をされていましたが、コメディ俳優としての意識が改めて芽生えているのではないでしょうか。

僕、コメディで一番になろうと決めたんです。2年前くらいに、『スーパーサラリーマン左江内氏』の前に福田さんに「コメディで一番をとりなさい」と言われて。それからは本気でコメディで上を目指すようになったんです。今はそれを一つの目標としています。

俳優としてのデビュー当時、“コメディ俳優”になるということは視野に入っていたんですか?

最初はなんとなく、「面白いことができたらいいな」と思う程度だったんですが、いざ舞台でステージに立ったときに、ものすごい化け物がたくさんいて、僕の言葉や動きではまったく通用しなかったんです。そのときに、すごく悔しい想いをしたんですが、それからいろんな座組みを経験するなかで、劇団☆新感線の舞台(『五右衛門vs轟天』)が転機になりました。そこで80ステージ立ち続けたとき、心からいい勉強が出来たと思ったんです。当時は毎日、お客さんを笑わせることに命を懸けて、終演後には毎日説教をされていたんですが、そのおかげでものすごくメンタルも鍛えられました。いま考えると、それが僕にとってのターニングポイントだったのかもしれません。いまの年齢で、これだけの経験をさせていただけるのは本当に嬉しいことですし、すべてを吸収して、コメディで一番になりたいです。

賀来さんが舞台で付けてきた瞬発力や対応力が今回の『斉木楠雄のΨ難』のような映像作品にも活かされているんですね。

そうだと嬉しいですね。