Interview

フレデリックが創り出す“理想郷”に誘う『TOGENKYO』が完成。新体制で見据える彼らのこれから──

フレデリックが創り出す“理想郷”に誘う『TOGENKYO』が完成。新体制で見据える彼らのこれから──

2ndシングル「かなしいうれしい」を8月16日にリリースしたばかりのフレデリックが、早くもミニアルバムを完成させた。『TOGENKYO』と題されたこのアルバム、「かなしいうれしい」をはじめ、彼らの持ち味であるダンサブルなビートと多彩なアプローチがふんだんに盛り込まれ、なおかつ新たなチャレンジが見られる、渾身の作品に仕上がっている。現在の4人体制になって初のツアー、さらには地元・神戸での初のアリーナライヴも決定するなど、着実に前進し続ける彼らに話を訊いた。

取材・文 / 岡本明

TOGENKYO=誰も作れない理想郷、俺たちにしかできない場所をどう作っていくか

ついこの間、取材したばかりのような気がするんですけど?

三原康司 デジャヴ感ありますね(笑)。

今回のミニアルバムは「かなしいうれしい」と同時期に制作していたんですか?

康司 ほぼ同時ぐらいでした。

特にテーマはあったんですか?

康司 あらかじめ決めていたテーマはなくて。まず、『TOGENKYO』という曲が出来たんです。今の自分たちが思っている気持ち、言葉、音楽性を出すときに、この曲が出来上がったことで、自然とこの曲の中にテーマがあることに気づいたんですよ。だから、こういうテーマでというより、感じたままを素直に出していこうというところがあって、そこがリアルに出たからこそ、テーマになったんだなと思います。

身構えることなく、やりたいことをやったらこうなると?

康司 4人でやりたいこと、ですね。

どの曲にも16ビートでダンサブルな感じが共通していますね?

康司 昔から16ビートはありますけど、メンバーが気持ちいいからでしょうね。僕もギターのカッティングが好きでデモの段階で入れてるし、ハットも16を刻んでいたり。曲に16ビート感があることで、フレデリックがテーマにしている“踊る”っていう形の伝わり方にいろんなアプローチができる面もあって。

経験してきたこと、感じるものが積み重なって、素直に出してこの作品が出来上がった

そこも、気持ちいいところを追求したら自然と出てきたんですね。

康司 そうですね、自然体というか。バンドが今思っているモード、3人に(高橋)武くんが(正式メンバーとして)加わっていろんなライヴに出たり、そうやって経験してきたこと、感じるものが積み重なって、それらを素直に何のフィルターもなく出してこの作品が出来上がった気がします。そこが幻想チックだったり、現実的だったりして、今の時代に合っている作品になったなと思います。

高橋武 でも、意外とドラムで16はそんなにやってなくて。「スローリーダンス」のサビぐらいかな。実は、シンセやギターのリズムが16になっていたりするんですよ。ドラムで16を刻むというより、各楽器の16になるパートが絡み合って、最終的に16の印象になっているのかなという感じです。だから、最初から16ビートを叩こうという感じではなくて、細かい部分で各々が弾いているパートが16っぽい聴こえ方をしているんじゃないかなと思います。

そこは細かいですよね。

高橋 そうかもしれません。ここはベースが動いているからドラムは動かない、ギターが動いているからドラムは動かないとか、そういう差し引きは細かいところまでどの楽曲もしてあるので、その結果かもしれないです。どちらかというとベースラインで16を感じる曲が多いかもしれないです。

康司 たしかに。俺がそういうプレイをすることが多いからかも。

赤頭隆児 16っぽいというのは、意識するというよりそれぞれが自然にここに欲しいと思ったことをやった結果だと思います。5月に武くんが正式加入したんですけど、それより前からサポートで入ってくれていて。最初に関わってくれたときから濃いサポート期間だったし、バンドで積み重ねてきたコミュニケーションがあって出来たアルバムですね。新体制で初めてのアルバムですけど、そういうフレッシュな気持ちもありつつ、期間が短いゆえのフレッシュさじゃなくて、ちゃんと会話のできた作品かなと。

むしろ、バンドの関係性が密になっている感じがして。それが自然な感じで出せていますよね。

高橋 今思い出したけど、どの曲もリハで合わせる回数が多かったからかな。曲ごとにいろんなアレンジを試して、ここのパートはこうしようという会話もあったんですけど、とりあえず何回かやってみようということに多くの時間を費やしていたと思いますね。そういう時間を大切にできたからというのもあるのかなと思いました。

歌の可能性を広げることで、バンドとしての色が変わってくる

リハの時間の多さが緻密な作品づくりに関係してくる?

康司 音楽に向き合っている時間、でしょうね。4人で集まって、この曲をこうしていこうって話すのも大事だけど、実際に音を出しながらこうだよねってやっていくと全然違うので、リハーサルは大事ですね。

リハーサルで形が変わることもあるんですか?

康司 作ってきたデモをみんなで合わせたときに、ここをもうちょっとこうしたいと思ってドラムとベースのビート自体を変えたりすることもあります。

高橋 全然、ありますね。レコーディング当日に変わることもありますから(笑)。

康司 最終的には出来たものがすべてなので、どういうタイミングとかはまったく関係なく、出来上がるときの判断をいちばん大切にしていますね。

レコーディングしていて、印象に残っていることというと?

康司 作ってきたデモをメンバーと合わせて変化していくときの驚きもありますし、健司の歌が乗ったときの変化というのは、どの作品でも感じることではあるんですけど、その中でもサウンド感……健司が歌いたいこと、メロディ、バンドがルーツにしているものがすごくきれいに合ったなと思える瞬間があって。一曲一曲のゴールに対して、理想というか、「ああ、そうなっていくんだ」って思えることが何度もあったんです。ゴールに向かっていく形はそれぞれにあるんですけど、そのハマり方がすごく良かった。歌をどう見せていくかというのが中心にあるけれど、いろんなことが重なり合ってこの曲が出来ているんだっていう、音楽の根本的感動に気づけたところがあって。だから、自分としてはやり切った感がありますね。

三原健司 4人体制として初のミニアルバムだし、2017年のフレデリックはまた違う面を見せたいと思っていて。その突破口は歌なのかなと。歌の可能性を広げることで、バンドとしての色が変わってくるなと思っていたので、それを見出す一年にしたいと思っていたんです。だから、ミニアルバムを作るなかでも、歌で楽曲の印象を変えるというのを目標にしていたんですけど、中でも「パラレルロール」はオケに歌が乗ったとき、ガラッと印象が変わったんですよね。それが完全に誰が聴いてもいい方向に変わっていて、歌で印象を変えるとはこういうことだなって実感できて。そこは一番印象に残っています。いろいろ挑戦してはいるんですけど、例えば「スローリーダンス」も自分がいままでにない歌い方をして、地声でいくところをファルセットでいくことでアダルトな雰囲気にしたり。でも、実感としていちばん楽曲の印象が変わったのは「パラレルロール」かもしれない。

赤頭 レコーデイングは、先にベーシックを録って、そのあとでギターのダビングを別に録るんですけど。サポートの頃って武くんはスタジオに来てなかったんですが、正式メンバーになってから僕が録っているときにもいるので、フレーズを入れるタイミングの話をするようになったりして、いろいろ意見交換をしてダビングするようになったんですよ。それもあって以前より意識することが増えたし、バンドのノリも前より良くなったと思うし。そういうのは印象的ですね。

高橋 たしかにベーシック以外のところでもレコーディングの場所で一緒にいられるというのは楽しいし、一緒に作っている実感が沸いていたので気持ち的にも良かったですね。やっぱり、同じものを背負っているという時間を持てるのもそういうところだし。いいテイクが録れたという自負もありますけど、でも、最初から終わりまで一緒にいられたというのは、今回、自分にとっても大きいですね。

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